家電製品ミニレビュー

実売1万円以下の実用的な空気清浄機

ロングセラーシリーズの最新機種

日立アプライアンス「EP-JZ30」

 今回は、日立アプライアンスの空気清浄機「EP-JZ30」を紹介する。スッキリとしたデザインとコンパクトさが特徴で、ほぼ同じデザインのまま、10年近く販売されているロングセラーシリーズの最新機種だ。

 先月から、1万円前後の空気清浄機を何台か試しているが、EP-JZ30は、このクラスの代表的な製品の1つと言って良いだろう。

メーカー日立アプライアンス
製品名EP-JZ30
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,880円

スッキリとした外観

 基本的なデザインは、2005年にグッドデザイン賞を受賞した「EP-V12」から引き継がれている。グッドデザイン賞受賞時は、「デザインコンセプトが優れている」、「長く使えるデザインがなされている」、「調和のとれた景観を提案している」という点が評価されていたが、現時点でも良いデザインだと思う。

 本体色はホワイト1色。側面や背面はブラックで、これがアクセントになっている。

本体正面
本体側面。薄いことがよくわかる
本体背面。吸排気口がないので、壁にピッタリ付けて設置できる
本体の幅はちょうど40cm

 本体サイズは幅が40cmちょうど、高さは42.4cmあるが、奥行きが13.3cmと薄い。重さは4.0kgだ。床置きだけではなく、棚の上などに置ける大きさと重さだ。背面にはハンドルもあるので、移動もしやすい。

 本体の上面にはリモコン置き場があり、飛び出た形でいつも見えているリモコンが、外観上の特徴にもなっている。このリモコンが、ライバルたちと差別化する大きなポイントだ。

背面の中央には移動用の取っ手がある
本体の上にリモコン用のポケットが用意されている
リモコンは、いつも見えている

PM2.5対応のフィルター

 使いはじめるまでの準備の手間はあまりかからない。主な用意は、ビニール袋で包まれているフィルターを包装から取り出して、本体に設置するだけだ。フィルターは大きなホコリを止める「プレフィルター」と、主役の「アレルオフフィルター」の2枚構成。アレルオフフィルターだけビニール袋に入っている。

購入した時点では、フィルターにビニール袋がかかっている
内部にあるフィルター交換の目安。下がタバコを吸う場合、上は吸わない場合
中央がメインのアレルオフフィルター、右がプレフィルター

 このアレルオフフィルターは、前モデルのEP-HZ30から新しいものになっており、PM2.5も99%キャッチするという。本体の外観は引き継がれているが、内部は進化しているわけだ。もちろん、スギ花粉についても96%抑制するとしている。フィルターの交換の目安は約2年間で、交換用フィルター(EPF-HZ30F)は5,250円だ。

 なお、フィルターのセットは簡単だが、本体の前面パネルを外すときに、ちょっとひっかかるときがある。パネルの下側を両手で持って、斜め上の方向に引っ張るのがコツだ。

フィルターを外した状態
まずアレルフィルターをセットする。フィルターの裏側は脱臭用の活性炭が入っている
セットした状態
プレフィルターをセットする
コンセントを挿して、電源を入れれば準備完了だ

 本体の電源コードをコンセントにつなぎ、リモコンに付属の乾電池を入れると準備は終了だ。

リモコンでの操作が便利

 本機の操作は、本体の前面にあるスイッチで行なう。ただし、本体にボタンは1つしか用意されていない。目的の機能にたどりつくまで、ボタンを何回か押す必要がある。

 それに対して、リモコンは電源のON/OFFも含めて、すべての操作ができるし、機能ごとにボタンが独立していて操作しやすい。リモコンのほうが操作の主役と言って良いだろう。

右上にある操作部分。ボタンは「運転切替/停止」の1つだけ
リモコンと付属の単四形乾電池

 起動した直後は、自動モードの1つ「空清」で動いている。自動モードは、「空清」のほかに、少し風量が強めになる「脱臭」と、強い風量を使わない「ひかえめ」の3つがあり、リモコンの「モード」ボタンで切り換える。

 風量は弱/中/強の3段階ある。7畳ほどの部屋で風量を「強」にすると、風が動いているのが肌でわかるほどの風量がある。動作音は比較的大きめで、「中」でも動作音が常に意識される。「強」では、テレビの音声が聞き取りにくいほど大きな音がする。

 自動モードの「空清」で動いているときは、風量は「弱」で動いているときが多い。「脱臭」にすると、センサーに対して敏感になり、料理の匂いでも反応して「中」になる。アルコールを使ったウェットティッシュを使ったときは、すぐに「強」に切り替わり、大きな音をたてて空気の浄化を始める。

 なお、「ひかえめ」にすると風量を強くしないように動くので、ウェットティッシュを本体に近づけても「中」までで「強」にはならない。

 また、リモコンに用意された「一発ターボボタン」を押すと、風量「強」で動作して、5分経つと元のモードに戻る。タバコを吸うときなど、積極的に部屋の空気をきれいにしたい場合に便利な機能だ。

 ちなみに、リモコンには、タイマーボタンも用意されている。2時間固定のオフタイマーなので、タイマーボタンを1回押せば、すぐにセットされる。

 また、動作音とは別に、本体には微妙に振動がある。弱でも、家具の上などに置くと、常に振動しているのがわかる。本体の下に振動を吸収するゴムを敷くとかなり改善されるので、気になる場合は試してほしい。

価格も安く、実用的な空気清浄機

 本体の周囲の空気を吸い、フィルターで浄化して、上に吐き出すという本機の構成は、フィルター型空気清浄機の原型ともいうべき形だ。

 機能面では、加湿機能が付いていないし、センサーもニオイセンサーだけだが、実用的には問題を感じない。逆に加湿機能がないのは、水の補給や貯水槽の掃除などの手間がかからないという利点もある。

 メンテナンス面では、フィルターが2枚構成なのでプレフィルターが薄く取り外しやすいのも良い。掃除しやすいプレフィルターのホコリを、月に1回ぐらい掃除機で払っておけば、ほかにすることはない。

ファンの口径は約16cmで、ライバル機種に比べると少し小さめ

 ちょっと惜しいのは、動作音が大きめなことだ。静かにすることよりも、風量に重点を置いている印象で、特に「強」になると、かなり大きな音がする。本体のファンが少し小さめなのが影響しているのかもしれない。

 それもあって、本機は自動モードで任せっぱなしにするという使い方よりも、リモコンで積極的に操作する使い方のほうが向いている。自分で操作していれば、多少、動作音が大きくても気にならないものだ。特に、大風量で積極的に空気をきれいにする「一発ターボボタン」は、この製品らしい便利な機能だ。

 実売価格でも1万円を切っていることが多いが、実用的な機種だ。デザインもスッキリとしており、本体もコンパクトだ。花粉が飛散してくるシーズンに向けて、とりあえず1台というときには、検討対象にいれるべき機種だ。

伊達 浩二

Amazonで購入