家電製品ミニレビュー

天井から360度に音が広がるBluetoothワイヤレススピーカー

 スマホやiPodに保存された音楽を、ワイヤレスで楽しめるスピーカーとして、デジタル機器用無線通信である「Bluetooth」を利用したスピーカーがより身近になってきている。数多く出回ってきた中から、天井の照明用配線器具に取り付けられる、ユニークなスタイルのスピーカーを紹介しよう。パナソニックの「ワイヤレススピーカーシステム SC-LT205」だ。

 最大の特徴は、インテリアの印象をほとんど変えずにスピーカーが設置でき、電源まで徹底的にワイヤレスにできる点だろう。天井に付いている照明用配線器具に直接取り付けるスピーカーなので電源コードが要らず、音源とスピーカー間はBluetoothを利用するからだ。

 スピーカーに照明用配線器具が付いているので、手持ちのシーリングライトなどと組み合わせられる。さらに、Bluetooth送信機が付属するので、Bluetooth非搭載の手持ちのテレビやCDラジカセの音もワイヤレスで楽しめる。

パナソニック「ワイヤレススピーカーシステム SC-LT205」。Bluetoothを利用したスピーカーで、天井の配線器具に直接取り付ける。音が360度に広がる
スピーカーには手持ちの照明器具が取り付けられる。見た目はほとんど変わらない
メーカー パナソニック
製品名 ワイヤレススピーカーシステム SC-LT205
購入場所 Amazon.co.jp
希望小売価格 オープンプライス
購入価格 25,080円

 先に実使用の感想を述べると「音楽をより気軽に、十分に楽しめるワイヤレススピーカー」と言える。天井に取り付けるのに、想像していたよりも音質が良く、音量も十分。iPodなどに保存されている音楽やスマホアプリのラジオが、居室の生活の中に自然に溶け込んで、より楽しめるようになったからだ。

 天井から音が響き、大音響で空気を揺るがすような音は出ないので、じっくりと腰を据えて音楽を聴くタイプのスピーカーではない。だが、ハリと厚みのあるクリアな音が部屋全体に響き渡るのは、BGMとしてインテリアにも馴染み、なかなか新鮮だ。音楽だけでなく、アナウンサーの声もクリアで聞き取りやすく、長時間聴いていても疲れない、クセの少ないスピーカーと言っていいだろう。

取り付けはさほど難しくはない。ペアリングの設定は簡単!

 電源を天井の配線器具から取るスピーカーなので、取り付けない事には始まらない。というわけで、取り付けと設定から話を進めよう。

 スピーカー本体は円柱形で、大きさは440×38mm(直径×高さ)、重さは約2.5kg。シーリングライトと組み合わせてもスッキリと収まる大きさだ。操作は付属するリモコンで全て行なう。スピーカーと組み合わせる照明器具のON/OFFもできる。

開梱した器具。左からスピーカー本体、リモコン、取付金具用本体止めねじ(2本)。右上はワイヤレス送信機一式。右下は、金具のない「引掛シーリング」用取り付け金具
操作は全てリモコンで行なう。スピーカーに取り付ける照明器具のON/OFFもできる

 取り付けに「プラスドライバー」が必要ではあるが、さほど難しくはなかった。照明用配線器具が、金具のついた「引掛ローゼット」ならば、10分もかからないだろう。金具のない「引掛シーリング」の場合、手間は増えるが、付属の取り付け金具を利用すれば取り付けられる。

 取り付けは、以下の手順で行なう。

(1) 取り付けてある照明器具をローゼットから外し、付属の「取付金具用本体止めねじ(2本)」をローゼットの金具につける。
(2) スピーカーのフタを開け、先に取り付けたねじを利用して、本体をローゼットに固定する。
(3) スピーカーのプラグをローゼットに接続し、フタを閉じる。
(4) スピーカーについている配線器具を利用して、外していた照明器具を取り付けなおして終了する。

 なお、組み合わせられる照明器具は、重さ5kg、最大500Wまでだ。

既に取り付けてある照明器具をローゼットから外し、付属の「取付金具用本体止めねじ」を3回転ほどねじ込む
プラスドライバーでフタのねじを外し、スピーカーのフタを開けておく
スピーカーをローゼットに取り付ける
ローゼットにねじ込んでおいたねじを、本体のダルマ穴に入れ、表示ランプの位置をみやすい位置に整える。向きが決まったら、ドライバーでねじを締めてスピーカーを固定する
スピーカー本体から出ているプラグをローゼットに接続し、フタを閉じる
これでスピーカーの取り付けは完了。スピーカーに付いている配線器具「引掛シーリング」に、外しておいた照明器具を取り付ける

 取り付けが済んだら、スピーカーと音源のペアリングを行なう。こちらはとても簡単だ。

(1)ローゼットと直接繋がっている壁面のスイッチを入れ、スピーカーを通電させる(ロゴ付近の赤いインジケーターが点灯する)。
(2)リモコンの「-ペアリング」ボタンを2秒以上押す(緑色のインジケーターが点滅する)。
(3)ペアリングさせたい機器のBluetoothをONにし、機器名(SL-LT200/205)が表示されたら選択する。

 30秒もかからずにペアリング設定は終了した。ペアリングが成功すると、点滅していた緑色のインジケーターが点灯に変わる。

「-ペアリング」ボタンを2秒以上押し(上)、スマホなどのBluetoothをONにし、機器名(SL-LT200/205)が表示されたら選択するだけでペアリングは終了。簡単だ
通電中、ペアリングされていない場合は赤いインジケーターが点灯する(上)。ペアリングされると緑色のインジケーターの点灯に変わる

 Bluetoothが搭載されていない音響機器(テレビやラジカセなど)を再生したいなら、付属のワイヤレス送信機を利用すればよい。送信機の電源は別に必要だが、ペアリングは上記の(2)で、送信機の側面のボタンを5秒以上押せばOKだ。

Bluetooth機能が無いテレビやCDラジカセでも、付属する「ワイヤレス送信機一式」を使えば音がワイヤレスでスピーカーに飛ばせる
テレビにワイヤレス送信機を取り付けた様子。送信機の大きさは44×69×15mm(幅×奥行×高さ)なので場所はとらない

 なお、ペアリングできる機器は、ワイヤレス送信機も含めて最大8台。同時に鳴らす事はできないので、切り替えはそれぞれの音源機器で行なう。

音楽を十分に楽しめる音量があり、生活シーンに応じた音質が選べる。

 冒頭でも触れているが、音楽を気軽に楽しむスピーカーとしての実力は十分に感じられた。ワイヤレスなのに音質は良く、音量も十分で期待以上。聞こえ方は一般的なステレオと違い、ミックスされたステレオサウンドが天井から部屋全体に広がる印象だ。自宅でカフェのBGMのような音の演出ができる。

 音量は音楽に浸れるぐらいしっかり鳴るので、物足りなさは感じなかった。リモコンでスピーカーを最大、音響機器(iPod)の音量を最大にしても音は歪まず、会話の邪魔になるぐらいの結構な音量になる。無音から最大まで、リモコンで無段階の音量調節ができる。

 音質は全体的に素直でクリア。滑らかでハリと厚みのある中高域が素直でクセが少ない。クラシック、ジャズ、ロック、J-POP、演歌など、様々な音楽を再生したが、BGMとしてオールラウンドに楽しめる印象だ。空気を震わすような低域は望めないが、音楽、テレビの音がしっかり楽しめるだろう。

 リモコンには4種類の音質がプリセットされており、生活シーンに合わせた音質が簡単に選べる。軽快なBGMや普段のテレビ視聴に向く「フラット」や、低域と高域を強調する「ヘビー」は音楽を元気に鳴らせる。「ソフト」を選べば夜間のBGMにピッタリなまろやかな音質になる。「クリア」は、音量を絞ってもアナウンサーの声がはっきり聞き取れるので、深夜のテレビやラジオ視聴に特に向いている。

取り付けた場所は、LED照明器具の記事でいつも撮影する、我が家のリビングルーム。十分な音量、素直でクリアな音が部屋に広がる。BGMとして十分に楽しめる
生活シーンに応じて、リモコンで4種類の音質が簡単に切り替えられる。リモコンでスピーカー自体の音量も調節できる

 実際にテレビにワイヤレス送信機を繋ぎ本機で聴いたが、正直言って、テレビのスピーカーよりも音がキリッとし、聴き取りやすい。使い始めは音が天井から響き、ステレオ音声も曖昧になるので違和感はあったが、すぐに慣れてしまった。音と映像のズレもなく、深夜に音量を絞っても良く聴こえるのですっかり気に入ってしまった。

クリアなサウンドが部屋中に広がっても、スピーカーは振動知らず

 音質もさることながら、“音の広がり”も特徴的だ。スピーカーの真下に立つと頭上だけで鳴って音の広がりはさほど感じられない。だが、スピーカーから数メートル離れれば、音が部屋全体に広がる。

 驚きなのは、部屋のどこに居ても音が極めて明瞭に聴こえる事だ。音量を変えずに、スピーカーの直下はもちろん、5m以上離れた場所でもクリアな音が楽しめる。つまり、居場所に応じて音量を調節せずに、BGMとしての心地良い音環境が演出できる。

 天井に取り付けるスピーカーで、ある程度の音量もあり、音も広範囲に及ぶとなると、階上や隣室への騒音が心配かもしれない。だが、本製品は振動の原因となる低域の音を、ユニークな方法で解消している。

 本機のスピーカー構成は100×30mm(同)のフルレンジスピーカーが、L/Rそれぞれ2ペアで合計4つ、4方向に配置されている。外側からは見えないが、右側、左側のスピーカー同士を対向配置し、互いの振動を打ち消す「振動キャンセラー」が搭載されている。特に低音部の振動を抑制するそうだ。

 実際に最大音量にして鳴らしても、天井がビリビリと鳴り響く事はなかった。さらに、スピーカーから10m近く離れた天井の点検口を開け、天井裏の音漏れを確認した。天井裏の音は、テレビ単体を同じぐらいの音量で鳴らした時と同じ、痩せた音が僅かに聴こえただけだった。この結果から、天井取り付けのスピーカーだからといって、特に神経質になる必要はなさそうだ。

 なお、音楽を鳴らしている時の消費電力をワットチェッカーで測定すると、どの音量でも2Wだった。待機時は1Wになり、ローゼットに直結する壁面スイッチを切らない場合、1カ月の待機電力代は16円程度。組み合わせる照明器具は、付属のリモコンでON/OFFができるので、通電しっぱなしもありだろう。Bluetooth送信機の消費電力は0Wで、測定不能なぐらい低かった。

スピーカーの構成と、低音部の振動を抑制する「振動キャンセラー」の仕組み(HPより抜粋)
音楽を再生中の消費電力は、音量にかかわらず2Wだった(左)。音が無くなった10分弱後のスタンバイ状態では、消費電力は1Wになった
スピーカーを鳴らしながら、リモコンで照明器具のON/OFFができる。点灯しても音質に影響はなかった
天井についている配線器具が金具の無い「角形・丸型・丸型フル/引掛シーリング」の場合、付属の取り付け金具を天井に直接ネジどめする必要がある。天井を傷つけるので、賃貸ならば許可が必要だろう

 個人的にはかなり気にいっているが、欠点は幾つか挙げられる。まず、価格が他のBluetoothスピーカーよりも割高感がある。天井の配線器具が金具のついていない「引掛シーリング」だった場合、付属の金具を天井に直接ねじ止めしなければならないので、賃貸に住んでいる場合は取り付けができないことも考えられる。

 それでも、配線を徹底的に排除でき、インテリアの表情をほとんど変えずにスッキリと設置でき、手持ちの音源を良い音で、日常生活の中にすんなりと溶け込ませられる気軽さ、魅力がある。Bluetooth対応スピーカーの購入をお考えなら、検討するに十分値するワイヤレススピーカーだ。

(藤原 大蔵)