家電製品ミニレビュー

富士通「F-PLUG(エフプラグ)」

〜節電ポイントがパソコンで一目瞭然。電力を“見える化”する電源プラグ

 電気はどれだけ使っているか見えないが、最近は各社から様々な「電気を見える化する装置」が発売されている。24時間365日コンセントの使用電力を監視するため、無線LANに接続し、製品専用のサーバーにデータを蓄積、データを閲覧するときはWebブラウザを使ってサーバーにアクセスし、電力使用量や電気代を確認するというものが多い。しかし、価格は1万円以上するものが多く、なかなか手を出しづらいものだった。

富士通ビー・エス・シーのF-PLUG。100V-15A(1,500W)まで測れる
専用ソフトでさまざまな角度から使用電力が見られる

 今回紹介する富士通ビー・エス・シーの「F-PLUG(エフプラグ)」も、電気を見える化する装置のひとつだが、本体内に80日分の計測データを蓄積し、パソコンとF-PLUG間で無線でデータをやり取りできる点が特徴。このため、データを閲覧するたびにサーバにログインする必要がなく、手軽に使えるのが特徴だ。

メーカー 富士通ビー・エス・シー
製品名 F-PLUG(エフプラグ) 115
購入場所 Amazon.co.jp
購入価格 6,799円

※初出時、購入価格に誤りがありました。訂正してお詫びいたします

Windows7以降のパソコンとBluetoohアダプタが必須

 まずはセットアップから見ていこう。F-PLUGはパソコンと連携して使用電力を表示するので、次のような機器が必要になる。

(1)Windows7または8がインストールされたパソコン
(2)Bluetooth(ブルートゥース)アダプタ

 WindowsXPやVistaには対応していないため、2013年2月17日現在で利用できるパソコンは、Windows7/8のどちらかだ。32/64ビットや、Home/Professionalといったエディションは何でもかまわない。

Bluetoothアダプタが搭載されているノートパソコンには、どこかにこのマークがついている。機種によっては左の「B」マークだけの場合もある

 また、パソコンとF-PLUGのデータ通信にはBluetoothを使うため、パソコンにBluetoothアダプタが必要になる。とはいえ、Winodws7以降がインストールされているノートパソコンには、たいていBluetoothアダプタが搭載されているので、Bluetoothのログマークがどこかに印刷されていればOKだ。マークがあったら、マニュアルを参照してBluetoothアダプタをONにする。たいていのノートパソコンは、工場出荷時の状態ではOFFになっていることが多い。

 もしすでにBluetoothに対応したマウスやキーボード、スピーカーなどを使っている場合は、そのままの状態で、ほぼ9割がたF-PLUGに対応しているはずだ。「ほぼ9割がた」というのは、製品のWebページを見ると「Bluetoothアダプタによっては正しく動作しない」とあるため。もし内蔵のBluetoothアダプタが対応していない場合でも、後述する2,000円程度のUSBに差し込むだけのBluetoothアダプタを買えば使えるようになる。

 一方デスクトップPCの場合は、Bluetoothアダプタが最初から内蔵されている機種はほとんどないため、動作保証されたBluetoothアダプタを別途購入する必要がある。筆者が購入したのは、バッファローの「BluetoothR3.0+EDR対応 USBアダプター(class1) BSHSBD05BK」で、近所のPCショップで購入価格は1,800円だった。それ以外にも5メーカー14モデルのBluetoothアダプタでの動作が確認されている(詳しくは、メーカーのWebページで)

 BluetoothアダプタとF-PLUGの通信できる距離は、見通し距離で50mほど。自宅では3Fの仕事場から2Fの居間のデータを取ってみたが、問題なく通信できた。建物の躯体は軽量鉄骨構造で、床は発泡コンクリート。直線距離にして10m程度で、WiFiのアンテナだとMAXから2個減る程度だった。

筆者のデスクトップパソコンに追加したBluetoothアダプタ。USBコネクタのつまみ部分ほどの大きさしかない
筆者宅を外から見たところ。パソコンは3階の壁の裏あたり、F-PLUGは2階の壁の裏あたりにあるが、問題なく通信できた

 なおBluetoothアダプタを新たに取り付ける場合の注意が2点ある。1点は、Bluetoothアダプタに付属しているドライバをインストールせずに、Windows標準のドライバを使うこと。

Bluetoothアダプタを一度USBコネクタ差し込んだら、別のUSBコネクタに差し替えない方がいい

 もう1点は、アダプタによっては、差し込んでいるUSBコネクタを替えるとF-PLUGを認識できなくなる場合があるという点。これはBluetoothアダプタをUSBに差し込むと自動的にドライバインストールされるが、その際に製品によっては「どのUSBコネクタにBluetoothアダプタが差し込まれたか」ということも記憶してしまうためのようだ。一度BluetoothアダプタをUSBコネクタに差し込んだら、そこからコネクタを変更しない方がいい。

 なお、Bluetoothはスマートフォンやタブレットにも搭載されているが、これらの端末には対応していない。

 パソコンに詳しい方は「Bluetoothで通信するのにOSに依存されるのはおかしい」と思う人も少なくないだろう。筆者もその点が不思議で「もしかしたらWindowsXPやVistaは古いので実は動くけどサポート対象外にしているだけかも?」と思い、動作を調べてみた。その結果、BluetoothアダプタとF-PLUG間の通信はできるのだが、Windows Vista(もしくはXP)とF-PLUGの専用ソフト間の通信ができないことがわかった。これは専用ソフトがWindows7以降に搭載しているBluetoothのドライバを経由して、F-PLUGと通信しているためだ。つまりWindowsXPやVistaでは、どうあがいてもF-PLUGは利用できない。

専用ソフトをパソコンにインストールし、ペアリングして準備完了

 Bluetoothが使えるようになったら、セットアップは半分終わったも同然。あとはメーカーWebページからF-PLUGユーティリティという専用ソフトをダウンロードしてインストールする。

 またソフトのインストールと同時に、パソコン(のBluetoothアダプタ)とF-PLUGのペアリングをする。ペアリングとは、その名のとおりパソコンとBluetooth機器、この場合はF-PLUGを1対1(ペア)に関連付けることだ。これでF-PLUGのデータを他のパソコンから覗き見できなくなる。

 ペアリングの設定では、F-PLUG本体の操作も必要なので、パソコンから離れた場所のコンセントを測る場合でも、一時的にパソコン近くに持ってきてセットアップするといい。なお一度ペアリングすれば、F-PLUGをコンセントから抜いてもその情報は保持される。

 さてダウンロードしたファイルを起動すると、次のような画面が表示される。

インストールはきわめて簡単。ペアリングも、画面の指示にしたがってF-PLUGのペアリングボタンを押すだけでいい

 F-PLUGが複数ある場合は、ペアリングを繰り返し、すべてのペアリングを終えたら設定終了。次に、ペアリングしたF-PLUGを、電力を測定したいコンセントに差し替える。

 F-PLUGで測定できるのは、最大1,500Wまで。これを越えない範囲であれば、F-PLUGからテーブルタップなどを伸ばして、複数機器の合計消費電力を測定してもかまわない。

きちんと消費電力を計算して1,500W以内になるようであれば、テーブルタップなどを使ってもかまわない
ネジで足の高さが変えられるようになっている
コンセントの段差などでグラつく場合は、足を伸ばして壁に固定させる

 またF-PLUGがグラグラしてしまう場合は、ねじ式の足の高さを調整して壁にピッタリ安定させられるようになっている。

ソフトを起動して設定2画面からプラグ一覧を表示させると、F-PLUGと通信できるかが確認できる。右の確認ボタンを押すと、該当するF-PLUGのランプが点灯する

 最後は、専用ソフトをインストールしたパソコンとF-PLUGの間で通信できる範囲にあるかを確認する。それにはいったんソフトを起動して、プラグ一覧で測定可能になっているか否かをチェックする。

 またどのF-PLUGが画面上のどれか分からなくなった場合は、「確認」ボタンをクリックすると、指定のF-PLUGのランプが点灯するので確認できる。

6タイプのグラフで消費電力を多角的にチェック。温度や湿度の情報も

 専用ソフトを起動すると、まずF-PLUGの内蔵メモリーに蓄積されていたデータの読み込みが行なわれる。内蔵メモリーには、およそ80日分のデータが蓄積でき、メモリーがいっぱいになると古い日付から40日分のデータが消去されるようになっている。そのため、最低でも月に1度はソフトを起動する必要がある。ソフトを起動すると、F-PLUGに蓄積されたデータは、パソコンにコピー・保存されるので、数カ月前や去年の電力量と比較するといったことも可能だ。

 F-PLUGには面白い機能があって、消費電力のほかに、気温、湿度、明るさも同時に記録してくれる点。エアコンや暖房機器の消費電力を調べる際「この日はまぁ寒かったからしかたない」といった総合的な判断もできる。

 以降は、ソフトで表示できるグラフを順に見ていこう

(1)1時間モニター

 まずソフトを起動すると、次のグラフが表示される。

時間ごとの消費電力(料金)累積グラフ。この調子だと、今夜0時までに40円は行きそうだということがわかる
時間ごとの消費電力(料金)グラフ。深夜2〜3時にかけては筆者が居間でテレビを見ていた時間だ。6時あたりから家族が起き出して、消費電力が少し増えている

 表示形式には累積モードと時間ごとモードがあり、累積モードでは当日0時からの積算電力代金が表示される。画面は1本の折れ線グラフだけだが、F-PLUGが複数ある場合は、その数だけ表示されるようになっている。時間ごとモードに切り替えると、当日の0時から現在までの時間ごとの電力代金が表示される。ここには生活サイクルが現れてくるだろう。

(2)リアルタイム

ホットカーペットが定期的に電源を入れ温度調整しているのがわかる。最高600W電力を消費しているようだ

 リアルタイム表示に切り替えると、近々5分の消費電力が表示される。この機能は家電の消費電力を測るワットチェッカーのようにして使えるだけでなく、ホットカーペットのように温度を調整するためにスイッチをON・OFFする機器で、最高どのぐらいの電力を消費しているかなどを調べるのに便利だ。なおこの画面では、電力以外に温度や湿度、明るさもリアルタイムに表示される。

(3)比較

オレンジが1月、青が2月のグラフ。縦軸の1,000円に引かれた緑の点線は、目標額を示している。今月は目標をオーバーしそうだ

 比較モードで表示すると、1カ月の電気代が調べられる。あらかじめ各F-PLUGの目標電気代を入力しておくと、日ごとに電気代が加算されていくグラフなので、目標額をオーバーしそうなのが視覚的に分かる。また季節の変化や家電が増減すると、グラフの傾きが変わるので、何を使うと電気代が跳ね上がるのかといった調査も可能だ。

(4)履歴

2月はだいたい30〜50円で推移しているのがわかる。ただ15〜18日にかけて少し電気代が高めだ。クリックして詳細を調べてみよう

 履歴モードでは、当月の1日から今日までの1日あたりの電気代が表示される。目標金額を設定すると、電気代を節約できた日にはニコニコマークが表示される。

 また日付をクリックすると、当日の時間ごとの電気代の推移に加え、温度や湿度、明るさなどのグラフも合わせて表示することが可能。暖房機器などの電気代がどれだけ温度や湿度に影響されるのかを調べるのみ便利な機能だ。

15日の未明から、ピンクで示される「気温」のグラフが徐々に下がり始めている。16日は一日中寒かったことがわかる
このグラフは消費電力と湿度を同時に表示したもの。夏に活躍するだろう
このグラフは消費電力と明るさを同時に表示したもの。F-PLUGを差したコンセントは物陰に設置したため、あまり明るさのデータは活用できなかった

 なお履歴モードで1カ月分の電気代が確定すると、設定した目標額に応じてどのぐらい節電できたかが評価され、成績のハンコが押されるようになっている。

1月は13日からデータをとり始めたので、成績は右下のはんこのとおり「たいへんよくできました」の評価

(5)ワンショット

 最後のワンショットは、炊飯器でご飯を炊くと1回いくらになるか? ドライヤーを15分使うといくらなるのか? という電気代を調べるもの。計測ボタンをクリックし、何分間記録するかを指定してスタートと同時に機器を使って電気代を調べる。測定時間が指定できるワットチェッカーと思っていいだろう。

1,200Wのドライヤーを13分ほど使うと、電気代はおよそ0.4円というのがわかる。ワットチェッカーのようにCo2排出量なども表示できる
特定機器の消費電力を測る場合は、機器名と測定時間を入力して「START」ボタンを押す。あとは自動計測される

設定でF-PLUGごとの目標電気代や料金設定も変更OK

 設定メニューでは、各F-PLUGごとに次のような設定ができる。

設定・機能 説明
F-PLUGに接続している機器名 接続している機器を入力しておくとグラフが見やすくなる
1カ月の目標金額 電気代の推移グラフや月末の評価に使われる
温度・湿度の誤差設定 実際の気温や湿度と食い違う場合は、誤差を補正する
F-PLUG内のメモリークリア F-PLUG内に記憶されている使用電力量などのデータをクリアする
ファームウェアのアップデート F-PLUG内蔵のプログラムを最新のものにバージョンアップする
設定画面のメニュー。設定1には利用頻度の高いメニューがあり、設定2は一度設定するだけでいいものがある

 この中でよく使うのは、1カ月の目標金額だ。これを入力すると今月はどれぐらい節電できているかなどをグラフで分かりやすく表示できる。またF-PLUGは、たいてい足元のコンセントに差し込んで測定するので気温は低めになる。そのため温度を補正して部屋の室温計と同じ温度になるように調整するといいだろう。

 また電気代のプランにはいくつかあるが、深夜割引やオール電化などを利用している場合は、それぞれ単価の設定をできるようになっている。さらにデータを集計しているパソコンとF-PLUGでデータの送受信ができるかを確認したり、パソコンを買い換えた場合のデータの引っ越しなどもできる。

履歴を調べると、ムダが一目瞭然。できればデータの出力機能がほしい

 およそ1カ月半にわたって、我が家のリビングの電気代を調べてみたが、電気の無駄遣いが1つ見つかった。それはホットカーペットの消し忘れだ。6時間経過すると自動的に電源が切れるようになっているホットカーペットだが、消し忘れが非常に多く朝まで電気がついていることが多かった。きちんと消したときは1日の電気代がテレビとホットカーペットでおよそ30円程度なのだが、消し忘れて寝ると50〜60円と倍近く電気を消費しているようだ。そのためテレビの近くに「最後の人はホットカーペットの電源を切る!」という注意書きをした。

 また、日ごとの電気代と気象庁の過去の天気から平均気温をグラフにしてみると、寒い日は電気代がかさむというということもよく分かる。逆に言うと、暖かかったにもかかわらず電気代も増えている場合、グラフで言うと両方の折れ線グラフが山になっている日は、何かで電気を余分に使った日ということが分かる。

我が家のホットカーペットを計測したデータ(グラフはExcelによる自作)。さほど寒くないのに電気代が高い日は、ホットカーペットの消し忘れなどによるムダづかいがあったと判断できる

 さて、このように電気代を多角的に調べられるF-PLUGだが、難点が1つある。それはデータをメーカーのサーバーに蓄積するのではなく、手元のパソコンに蓄積しているのに、専用ソフトの中でクローズドになっている点だ。専用ソフトからデータを書き出し、Excelなどで独自のグラフを作るようなことはできない。先に挙げた電気代と平均気温のグラフは、専用ソフトで見た情報を、わざわざデータを手で入力して作成している。

 せっかく使用電力に加え、気温や湿度、明るさまで記録しているのに、このデータをほかのソフトで利用できないのは非常に残念だ。最近ではサーバーにデータを記録するタイプの製品でも、Excelに読み込めるデータをダウンロードできるようにしているので、ぜひ次回のバージョンアップでデータ出力機能を追加してほしいところだ。

 まずはとりあえず1つだけ購入して、除々に数を増やして本格的に電力を調べる、といった拡張性を活かす使い方もある。また現在発売されているのは1,500Wまで製品だが、将来的には2,000W(100V-20A)、4,000W(200V-20A)まで計れる製品も発売予定となっている(富士通のホームページより)。1,500Wモデルでは、機種によってはエアコンや電子レンジは測定できないが、これらのモデルが発売されれば、リビング・ダイニング・キッチンの照明以外の電力をすべて測定できるようになる。

 手軽に省エネ生活を始めようかな? と思っている人にぜひお勧めしたい消費電力計だ。

(藤山 哲人 )

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