家電製品ミニレビュー

LGエレクトロニクス「HOM-BOT2.0」

~音の静かさと長持ちバッテリーが魅力のお掃除ロボット
by 神原サリー
ホームステーションで充電中のLG「HOM-BOT(ホームボット)2.0」。充電時間は約3時間

 お掃除ロボットが人気だ。アイロボット社のルンバシリーズを筆頭に、新製品が次々に発売されて価格の幅も広い。高価格帯のお掃除ロボットの中でも、3月に発売された韓国の大手家電メーカーLG社の「HOM-BOT(ホームボット)2.0」は、センサー数40(ON/OFFなどすべてを入れると44)と高性能で静音性も高く、効率的な動きをするという。

 実際の使用感やメンテナンス面を中心に、このHOM-BOT2.0の特徴を見ていきたい。


メーカーLGエレクトロニクス
製品名HOM-BOT2.0 VR6170LVM
希望小売赤くオープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格68,600円


ロングライフなリチウムイオンバッテリー搭載で充電時間は約3時間

 まずはHOM-BOT2.0のお掃除ロボットとしての機能を説明しておこう。本体上部と下部にあるカメラセンサーが走行しながら天井と床の映像をとらえ、最大毎秒30回の高速撮影で現在位置をマッピング。と同時に、本体底面の障害物感知センサーが、最大毎秒2,000回の超高速撮影によって移動距離を精密に測って、CPU(人工知能)に送られ、部屋を効率よく掃除していく仕組みだ。家具がほとんど置かれていない15畳ほどの部屋なら、わずか18分で掃除が可能としている。

本体上部のカメラセンサー。走行しながら天井の映像をとらえ、最大毎秒30回の高速撮影で現在位置をマッピングする本体下部(底面)のカメラセンサーでは床の映像をとらえてマッピングする。上部カメラと合わせて2つのカメラがとらえた情報を人工知能に瞬時に送り、部屋を効率よく掃除する仕組みだ

 そのほか、幅3cm、高さ1cmの障害物までを検知し衝突を防ぐ障害物感知センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、段差感知センサーなど、センサー数の多さでは、他社の製品を上回る40個となっている。

 もう1つ大きな特徴が、容量1,900mAhのリチウムイオン電池を採用している点。ニッケル水素電池に比べ寿命が約2倍にあたる約500回の充電が可能なため、電池交換にかかるランニングコストが少ないのは魅力だ。フル充電にかかる時間は約3時間だ。

 本体サイズは360×90mm(直径×高さ)で、重量は約3.2kg。レッドとブラックというコントラストのあるカラーのせいか、見た目には薄く見える。充電用のホームステーションのほか、リモコン、予備用のダストボックスフィルター、畳専用ブラシカバー、マイクロファイバークロスプレート、マイクロファイバークロス、フィルター掃除用ブラシなどを付属している。

予備用のダストボックスフィルター、畳専用ブラシカバー、マイクロファイバークロスプレート、マイクロファイバークロス、フィルター掃除用ブラシなどを付属する底面の様子。側面の2つの回転ブラシが壁際や家具の周りのゴミやホコリをかき出すほか、カバーの奥の回転ブラシがカーペットの奥のゴミを集めて吸い取る仕組み使い始める時は、まず底面にあるスイッチをオンにする

部屋の様子や汚れの状態に合わせて4つの掃除モードから選択可能

 次に、4つの掃除モードについて説明しよう。部屋を最も効率的に掃除していくのが「ジグザグモード」。家具が少ない広い部屋向きのモードだ。何かをこぼしてしまったり、とても狭い空間を掃除したいのなら、半径1m以内の円形空間を渦巻状に念入りに掃除をする「集中掃除モード」が役に立つ。ブロック分けして隅々まで丁寧に掃除をする「空間拡張モード」は家具が多めな部屋向きのモードといえそうだ。こうした自動モードを使わずに、リモコンの十字キーを操作して手動でHOM-BOT2.0を操作する「リモコン手動掃除」にも対応する。

選択したモードによって、表示部のアイコンが変化する。これは、家具などが少ない広い空間に向くジグザグモード半径1m以内の円形空間を渦巻状に念入りに掃除をする集中掃除モード
ブロック分けして隅々まで丁寧に掃除をする空間拡張モード。家具などが多い部屋に向く付属のリモコン。リモコンの十字キーを使って手動モードで掃除することも可能

 まずは、ジグザグモードでリビングの掃除をしてみた。アームチェアやダイニングテーブル以外は家具がない広めの空間だが、部屋の隅には愛犬(ラブラドールレトリーバー)のハウスもある。いざ稼働させてみて分かったのは、圧倒的に音が静かだということ。排出する空気を少なくしてホコリを巻き上げにくくする「エアーパスシステム」を採用しているというが、低振動ファンもかなり静音性に貢献しているようだ。

 愛犬のハウスに近づく時にも速度を落としてゆっくりと近づき、音も静かなため、いつもなら掃除が始まると逃げ出すのに、全く動じずにそのまま昼寝を続けている様子には正直驚いた。

48dBとお掃除ロボットの中では抜群の静音性のホームボット2.0。キャニスタータイプの掃除機やお掃除ロボットが嫌いな愛犬だが、ホームボットが近づいても逃げることなく昼寝を続けていたジグザグモードで掃除して部屋の隅まで到着したところ通り過ぎた後を確認すると、部屋の隅のホコリもきれいにかき取っていた

 部屋の隅に到達した際にも、通り過ぎた後をチェックしてみると、取りこぼしがちと言われる角の部分のホコリもきれいにかき取っていて満足のいくレベル。途中、アームチェアの脚の部分に乗り上げてしまったが、ギブアップせずに自力で元に戻り、掃除を続けていた。ダイニングのイス付近を掃除する際にも、ギリギリまで近づいてから向きを変えたため、取り残しはほとんどなかった。

リビングに置いてあるアームチェアに乗り上げたホームボットギブアップするかに思われたが、無事に生還ジグザグモードで稼働中ににダイニングのイス付近を掃除する際にも、ギリギリまで近づいてから向きを変えたため、取り残しはほとんどなかった

 HOM-BOT2.0のようなカメラで空間を認識するお掃除ロボットは、家具などの障害物にぶつかると、その周囲を掃除NGと判断してしまうために、取りこぼしが多いと聞いていたが、今回使った範囲ではあまりそうした不満点は見つからなかったようだ。

 そのほか、カーペット敷きでデスクや本棚、ポールスタンドなどモノが多い仕事部屋では、空間拡張モード、キッチンでパン粉をこぼしてしまった際には集中モードを使ったが、いずれも短時間できれいになり、満足度は高かった。

 HOM-BOT2.0には、フローリングの拭き取り掃除用のマイクロファイバーモップも付属している。専用のプレートにこのモップをセットし、底面にカチッとはめ込めば簡単に使える仕組みだ。ただし、このモップはカーペット敷きの部屋では使えないので、廊下やラグなどを敷いていないフローリングだけの部屋で使うようにしたい。

 実際に廊下で使用してみたところ、微細なホコリもきれいにふき取っていくため、普通にHOM-BOT2.0を稼働させた時よりも、“磨いた感”があり気持ちがいい。掃除機の後にモップを掛けている人には特におすすめの使い方だ。

フローリングの拭き取り掃除用のマイクロファイバーモップを専用のプレートにセットしたところプレートの裏面にある2つの凹みを本体底面の突起にはめ込んで使用する
本体にマイクロファイバーモップをセットしたところモップをセットした際にはカーペットなどの掃除はできないため、フローリングの廊下で使用した

上から取り出すダストボックスが使いやすい

 最後にゴミ捨てや日ごろのお手入れなど、気になるメンテナンス面について紹介する。本体上面にある「PUSHボタン」を押すとフタが開き、ダストボックスが現れる。取っ手を起こして引っ張れば簡単にダストボックスが取り出せ、ボタン1つでゴミ捨てができるので、とても簡単だ。手が汚れず、ゴミが散らかってしまう心配もないのがうれしい。

ゴミを捨てる際には、本体上部の「PUSH」と書かれた部分を押してフタを開けるフタを開けるとダストボックスがセットされているのが見える。上から取り出せるのでゴミ捨てがしやすいダストボックスの取っ手を起こして引っ張り上げれば簡単に取り外せる

 わが家のように犬を飼っていると抜け毛なども多く、1回の掃除でもダストボックスからあふれるほどの量になってしまう。ダストボックスの容量は0.4Lと決して小さくはないが、掃除の前後には必ずダストボックスにゴミがたまっていないか確認するようにしたい。

ダストボックスを取り出したところ。犬の抜け毛などもあり、かなりゴミの量が多く吸い込み口付近からあふれそうになっていたダストボックスを取りだした後の本体内部の様子。ダストボックスが満タンになっていたので、チリなどが少しあふれ出てしまったようだダストボックスを違う角度から見た様子
側面の「PUSH」ボタンを押すとダストボックスのフタが開くフタが大きく開くのでゴミを捨てやすいゴミ捨て後もダストボックスにホコリや抜け毛などが少し残った

 ゴミを捨てた後にダストボックス内に付いてしまった汚れや、静電気などで付着したホコリが気になる際には水で丸洗いができるのも便利だ。排気用のHEPAフィルターや、その奥にあるスポンジフィルターについたホコリは付属のブラシで落とせるが、汚れが気になってきたら、こちらも水洗いできる。しっかり乾かしてから装着しないと、後々、ニオイの原因になってしまうので、陰干しを十分にすることが大切だ。

手前のブルーのフィルターが、排気の微細じんをキャッチするHEPAフィルター排気フィルターには表面積の多いプリーツフィルターを使用している
プリーツ状のHEPAフィルターにホコリがたまっているようなら、ブラシできれいにしようHEPAフィルターを取り外すと綿ボコリや髪の毛などを除去するスポンジフィルターが現れるHEPAフィルターとスポンジフィルターは水洗いOK。汚れが気になってきたら水で洗い流し、陰干しする。しっかり乾かすのがポイント

 そのほか、定期的に行なうメンテナンスとしては、髪の毛や糸くずなどが絡まりやすい回転ブラシや、カメラをはじめとするセンサー部分の掃除がある。本体底面にはメンテナンスするべきセンサーの場所や方法が図解入りで示されているので、これを参考に乾いた布で拭くようにしよう。いずれもそんなに面倒な作業ではないので、たまにチェックして気になった時に行なうようにしたい。

底面にあるセンサー部。ここも乾いた布などでのお手入れが必要だ黄色いカバーの奥に回転ブラシが取り付けられている。髪の毛や糸くずなどが絡まりやすいので週に1回程度のお手入れが目安となるお手入れ後は、底面に図解されている手順に沿って、再び取り付けよう

ペットを飼っている家や年配の方の家庭にもおすすめのお掃除ロボット

 ランダムに動くタイプのお掃除ロボットではないので、掃除の経路がわかりやすく安心感があるのがHOM-BOT2.0の特徴だ。空間拡張モードを使用した際にも比較的短時間で掃除が終了し、音も静かなので、家に居ながらお掃除ロボットを使用することが多い年配の方にもおすすめできるだろう。また、わが家の愛犬の例にもあるように、お掃除ロボットを苦手に感じるペットでも、近づくと動きがゆっくりになり、音も穏やかなHOM-BOT2.0なら拒否反応を起こさないかもしれない。

 デザインについては高級感があるものの、ブラック寄りのカラーと周囲が少し下がったような丸みのあるフォルムに2本の触手(サイドブラシ)が付いている様子が、少々昆虫チックな気がしないでもない。これは好みの分かれるところだろう。

 使っているときには忘れがちだが、バッテリーの性能の高さも含めて、及第点のHOM-BOT2.0。お掃除ロボットの選択肢の1つとして十分におすすめできる。






2012年8月20日 00:00