家電製品ミニレビュー

東芝「ピコタワー F-TP5X」

~狭い場所にピッタリ! 2台目向けのタワー型扇風機
by 小林 樹
東芝「ピコタワー F-TP5X」

 朝は準備で忙しい。髪を整えたり、歯を磨いたり、洗面所でせわしなく動き回るのだが、夏場になると、身だしなみを整える端から汗だくになるというジレンマに襲われる。我が家の洗面所は2畳程度の狭い空間で、もちろんエアコンはない。これまでの対策はもっぱらタオルで汗を拭うことだった。

 でも、さすがにこれでは効率が悪いし、朝からモチベーションが下がるし、やってられん! ……というわけで、狭い場所にも設置できるタワーファンを探していたところ、辿り着いたのが東芝ホームテクノの「ピコタワー F-TP5X」だ。

 


メーカー東芝ホームテクノ
製品名ピコタワー F-TP5X
希望小売価格オープン
購入場所Amazon.co.jp
購入価格12,600円

 

組立てはとても簡単

 届いた外箱は細長く、中にはベース部と本体、リモコン、リモコンカバーが同梱する。

 ベース部は半円状のものが2つ収まっていて、これらをはめ合わせると1つのベースになる。それを本体底面にはめて、付属のネジで4カ所とめれば、完成だ。普通の扇風機よりも組立ての手間がかからず、拍子抜けするほどだ。

細長い外箱外箱の内側には、収納の仕方が書かれているベース部は半円状のものが2つ
中には本体がスリムに収納されている取扱説明書が1冊付属するリモコン
まず、2つのベース部を1つに組み合わせる
本体底部本体底部にベース部をはめて、裏からネジで4カ所止めるネジが4つ付属する

 完成した本体サイズは、約300×891mm(直径×高さ)で、内部の羽根径は90mmという。狭い脱衣所にも置けるスリムなデザインで、身長164cmの大人の腰辺りに届く高さだ。本体重量は約5.8kgで、背面上部の取っ手をつかんで持ち運べる。

本体背面取っ手をつかんで持ち運べる本体側面には付属のリモコンカバーを取り付けて、リモコンを掛けておける
操作部。リモコンと併用して操作できる電源となるコンセント。コードの長さは1.9m

ピコイオンの発生装置を搭載

 ピコタワーは、同社独自のイオン技術「ピコイオン」の発生ユニットを搭載している点が特徴だ。ピコイオンは、空気中の雑菌を除菌したり、花粉やダニといったアレル物質、ウイルスの活動を抑制する効果があるという。

 具体的には、ピコイオンユニットの電極ピンに高電圧をかけることにより、電極ピンの先端に集まった水を微細化させ、イオンを空気中に放出する。

 背面のフタを開けると、ピコイオンの発生装置「ピコイオンユニット」が収まっている。使うにはあらかじめユニットに水道水を注ぐ。1回タンクを満水にすると、1日8時間運転した場合、約10日間連続して運転できるという。手入れは、約2週間に一度、浸けおき洗いする。

 なおこのピコイオン運転は、送風時だけでなく、単独運転もできる。単独運転時の消費電力は3Wという。

背面のフタを開けると、ピコイオンの発生装置「ピコイオンユニット」が姿を現す上から見たところ
側面には水位目盛りが付いている水道水を入れる

 正直、イオンの効果はよくわからなかったが、他社のイオン発生器で見られるような独特のイオン臭さがない点や、水道水を入れるだけで使える点は良いと思った。

基本機能はシンプルで、風量は大きめ

 基本機能はシンプルだ。モーターはACで、運転モードは「連続/リズム」の2パターン。「連続」では断続的に風を吹き、「リズム」では間欠運転を行なう。風量はそれぞれ「弱/中/強」の3段階が用意されていて、説明書のスペック表によると、風量「強」の場合、1分あたりの風速は210m、風量は5立方m、消費電力は35Wとなっている。

 首振り角は90度で、操作ボタンでON/OFFを設定できる。風向きは上下2つのルーバーを手動で調節する。さらに、1~9時間の間で1時間単位で設定できるON/OFFタイマーも搭載している。

 運転ボタンをONにすると、正面の液晶パネルに文字とマークが青く表示された。「弱」でもそこそこ風量があり、「強」だと1m以上離れた場所に置いた書類がなびくほど、風量は十分だ。首振りの角度は明記されていないが、体感では左右50度ずつ程度に風が感じられた。

風量「弱」ピコイオン運転時風量「中」ピコイオン運転時風量「強」ピコイオン運転時
ピコイオン運転を停止すると、中央のアイコンが消える風向きは、上下2つのルーバーを手動で調節する

 では、上下方向にどれほどの風が吹いているのだろうか。試しに、2つのルーバーをそれぞれ上下に最大限に開き、風量「中」で、本体から約1mの距離でテープをなびかせて確認してみた。

本体からの距離約1m。高さ1mの場合、テープはそよそよとなびく程度だった本体からの距離約1m。高さ80cmで、なびき始める
本体からの距離約1m。高さ40cmで、最も強くなびく本体からの距離約1m。高さ20cmで、しっかりなびいていた

 テープのなびく様子を見てみると、かなり低い位置でもしっかり風が届いているのがわかる。

 次に、本体からの距離は約1mと同じ状況で、2つのルーバーをそれぞれ最大限中央に寄せるようにして、テープのなびき具合を確認した。

上方向にはあまり風が届かなかった中央付近はかなり風が強い低い位置にもそこそこ風が届いている

 この場合、上のルーバーが下に、下のルーバーが上に向いているため、高さが中ほどの40cm付近がもっとも風が強くなっている。しっかりとした風に当たりたいときには、ルーバーの向きを中央に寄せると良いだろう。

狭い洗面所やキッチンなど、動き回る場所にピッタリ

狭い洗面所に設置。エアコンがなく、朝準備をしていると、どんどん汗をかいてしまう。せっかく顔を洗っても、すぐに汗ばんでしまうのでは、やってられなかったが、設置してからというもの、朝の準備の時間が快適

 やはり最も気に入ったのが、設置しやすさだ。洗面所などの狭い場所でも、スムーズに設置できる。

 実際に、狭い洗面所に置いて風量「中」で使ってみると、首筋まで風を感じた。直進性の強い風ではなく、意外と柔らかい風だ。

 洗面所に風の流れが生まれたことで、毎朝、身だしなみを整える最中から汗をダラダラとかいていまうという悲惨な状況は脱することができた。

火を使って暑くなるキッチンにもピッタリだ

 もうひとつ、設置して便利だった場所が、キッチンだ。冷房をつけたキッチンでも、食材を火にかけて料理をしていたり、流しで皿を洗ったり、せわしなく動きまわっていると、どんなに冷房をかけていても、一時的に暑苦しいものだ。

 だが、ピコタワーなら場所もとらず、ダイレクトにたっぷりとした風に当たれるので、重宝している。

微風よりも風量を求める人に

 ちなみに、ピコタワーのモーターは、ACモーターだ。今ドキ流行りの微風を吹かせるようなDCモーターの扇風機には及ばない面もある。「弱」運転やリズム風には、DC扇風機の微風モードのような独特の繊細さはない。“身体に優しく涼しい風を浴びたい”ではなく、“微風ではモノ足りない、涼しい扇風機が欲しい”というニーズに応えてくれる。

 また、普通の扇風機が置きにくい狭い場所に設置した方や、調理中や楽器の練習中など一時的に暑くなる時に使用したい方にもオススメだ。脱衣所で、湯上がりに気持ちいい風を全身に浴びたい方にも良さそうだ。

 安全面では、チャイルドロックを採用しており、子どもが羽根に指を挟む心配がないので、お子さんがいる家庭でも安心して使えるだろう。

 残暑を乗り越える2台目の扇風機として、試していただきたい製品だ。






2012年8月10日 00:00