家電製品ミニレビュー
日立「かるパック CV-PU300」
■軽さは正義
日立の紙パック式クリーナー「かるパック CV-PU300」 |
「重厚感」なんて表現は、こと掃除機に関しては、むしろデメリットでしかない。
日立の最新の紙パック式クリーナー「かるパック CV-PU300」を使ってみると、つくづくそう感じさせられる。
確かに、家電量販店などの店頭でクリーナーを手に取ってみると、適度な重さがある製品の方が「しっかり」とした高級感を感じるし、メカニカルな部分が強調された大きくゴツい本体の方が、いかにも「吸い取りそう」という感じがする。
しかし、実際に毎日使うことを考えると、この重さは、だんだんツラさにつながってくる。
部屋を移るたびに、「よっこらしょ」と本体を持ち上げる……片手にかかる本体の重さを支えつつ、階段を一段ずつ掃除していく……なんてことを体験すると、重い掃除機は、いくら高性能だろうと使うことを遠慮したくなる。それなりに力がある男性でもそう思うのだから、女性ならなおさらだろう。
というわけで、今回、試してみたのが、軽さにこだわった日立の紙パック式クリーナー「かるパック CV-PU300」だ。パイプとヘッド部分にカーボン繊維強化プラスチック「カーボンライト」を採用した紙パック式のクリーナーだ。
メーカー | 日立アプライアンス |
製品名 | かるパック CV-PU300 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 28,867円 |
■紙パック式のメリットでもある「軽さ」
それでは、実際に製品を見ていこう。まずは仕様だが、吸込仕事率が約80W~550W(消費電力200W~1000W)の紙パック式クリーナーで、サイズは266×330×224mm(幅×奥行き×高さ)、本体質量は3.8kg。本体・ホース・パイプ・ヘッドを合計した標準質量は5.5kgとなっている。
ヘッドとパイプ部分にカーボン繊維強化プラスチックを採用している | ヘッド部分を外すと回転式のブラシで細かい場所を掃除できる | 隙間ノズルも同梱 |
細かな場所、高い場所などを掃除するのに便利な「ワイド曲がるロング吸口」も付属 | 延長管はグリップのレバーを引いたり、ヘッド部分を足で押さえるなどして簡単に延長可能 |
紙パック式の掃除機としては、サイズは普通だが、注目はやはり重量だ。
同じ日立の製品で比べてみると、サイクロン式のCV-SU7000の本体重量は5.1kgなので、本体だけですでに1.3kgも軽いことになる。使用時は、本体にホース・パイプ・ヘッドを取り付ける訳だが、その場合は5.5kg-3.8kg=約1.7kgで、2kg近くも重さが違う。
軽量化されたヘッド・パイプ・ホース部分に加え、紙パック式ならではの本体の軽さで、持ちながらの掃除が非常に楽 |
この軽さの秘密は、冒頭でも少し触れたカーボンライトの採用によるところが大きい。延長パイプとヘッド部分に、カーボン繊維強化プラスチックが採用されており、強度を保ちつつパイプの厚さなどを薄くしている。これにより、パイプとヘッドで同社従来製品に比べて13%の軽量化を実現している。
もちろん、比較する製品によってその差は変わるが、本体、ホース、パイプ、ヘッドの合計を考えると、質量の大きな製品に比べて、約ノートパソコン1台分くらい軽いことになる。これを毎日抱えたまま、部屋を行き来したり、階段を掃除することを考えると、この差は地味に大きい。
このように比べてみると、軽さは紙パック式の大きなメリットの1つだということがよくわかる。
通常、紙パック式とサイクロン式の違いは、吸引力の持続期間、お手入れの手間と頻度などが挙げられる。サイクロン式は吸引力が長持ちするが、こまめな手入れが必要になる。一方、紙パック式は、手入れの期間は長くて済むうえ、ゴミ捨てもたまにパックを捨てるだけと楽だが、その分、ゴミがたまってくると吸引力が落ちる傾向がある。
吸引力の観点から製品を選ぶことも大切だが、これからは、これに加えて「軽さ」も十分に考慮する必要がありそうだ。
もちろん、実際の使用感も軽やかだ。グリップを握ってヘッドを動かしてみると、特に方向転換させたときの動作が軽快に感じられる。
カーボン繊維強化プラスチックが採用されているのは、ヘッド部分と延長パイプ部分という、先端部分になるため、ここが軽いと、グリップに伝わる重さが、より軽く感じられるのだろう。
また、かるワザグリップと名付けられたグリップ部分も太めで握りやすく、力を入れやすい。階段など、ヘッドを持ち上げることが多い場所では、この軽さとグリップの力の入れやすさが特に効く印象だ。ヘッドの稼働もスムーズで、階段などでも隅まで残さず掃除できる。
グリップ部分が太く持ちやすい。指先のレバーでパイプの延長も簡単 | ヘッドの稼働範囲が広く、動きもスムーズなので階段などの掃除が楽 | 床面のぴったり張り付くように平らになるため、ベッドの下なども奥まで掃除できる |
■紙パックならではの工夫も
そうは言っても、長く使うと吸引力が……と気になる人もいるかもしれないが、長く使っても、意外に吸引力は衰えにくい印象だ。
本製品には、紙パックを長持ちさせるために、電源コードを引いたときに紙パックを振動させてチリを落とす工夫がなされているうえ、紙パックの上部に空気の通り道を設けることで、ゴミがたまった場合でもスムーズに空気を流す工夫がなされている。
紙パックを取り外すときにシールがはがれ、口を簡単にふさぐことができる |
また、吸引力を維持するには、こまめな紙パックの交換が必要になるが、純正の紙パック(GP-2000FS/GP-130FS)にも使いやすい工夫が施されている。紙パックには、「シールふた」がついており、本体から取り外すときに、ふたの粘着面のシールが自動的にはがれ、紙パックの口を簡単にふさげるようになっている。
せっかく吸い込んだゴミが、捨てるときに紙パックから舞い上がると、かえって手間がかかることがあるが、それを防げるのだ。
シール付きの紙パックGP-130FSの実売価格は3枚入りで1,000円前後、シールなしのGP-110Fは同じ1,000円前後で5枚入りなので、若干高いが、手間を考えれば、シール付きをおすすめしたい。
このほか、お手入れに関しては、フィルターを交換しても本体ランプが赤点灯している場合に、紙パックの背面にあるフィルターを水洗いすることが推奨されている。
また、ヘッド部分は約43万本の毛を使ったワイドな回転ブラシが搭載されているので、この部分にからみついたゴミも定期的に取り除く必要がある。
髪の毛などが絡みついてしまうとやっかいだが、回転ブラシ自体はヘッドから簡単に取り外せるので、定期的にチェックしてゴミを取り除いた方がいいだろう。
どちらかというと、紙パックよりも、ヘッドのブラシの方をこまめにお手入れした方が、掃除の効率も上がりそうだ。
紙パックの背面にあるフィルター。簡単に取り外して水洗いできる | ヘッドの回転ブラシは髪の毛などを巻き込みやすいので、こまめに掃除した方がいい |
■価格もリーズナブルでおすすめ
以上、日立の紙パック式クリーナー「かるワザ CV-PU300」を実際に使ってみたが、毎日使うことを考えると、この軽さは大きな魅力と言える。ゴミ捨ても紙パックの方が楽で、掃除にかかる労力がかなり軽減される製品だ。
娘に掃除してみてもらったが、軽さが効いているのか、取り回しに苦労することもなかった | 約1ヶ月使った紙パック。それなりにホコリがたまっているが、まだまだ使える印象。吸引力も問題ない。ランニングコストは思ったほどかからない |
吸引音も静かというわけではないが、特に気になるような大きさでもなく、一般的と言える。排気も勢いが良いが、上方に排気するように工夫されているうえ、フィルターの性能が高いため、ニオイも気にならない。紙パック式掃除機としては上位モデルに位置づけられるものの、サイクロン式に比べて割安だ。
紙パックのコストがかかるが、お手入れが楽なことを考えれば、さほど気にならないだろう。これからの時期、新生活を始めるためのアイテムとして考えると、オススメできる製品と言える。
2012年4月2日 00:00