家電製品ミニレビュー

三菱電機「ZITANG(ジタング) RG-FS1」 前編

~これなら欲しい! これなら置ける! ジャストサイズのオーブンレンジ
by 阿部 夏子

欲しくなった3つの理由

三菱電機「ZITANG(ジタング) RG-FS1」

 今回から2回に渡って紹介するのは三菱電機のオーブンレンジ「ZITANG(ジタング) RG-FS1」だ。


メーカー三菱電機
製品名ZITANG(ジタング) RG-FS1
希望小売価格84,000円
購入場所ヨドバシ.com
購入価格62,200円

 

 2011年も各メーカーから様々な特徴を持ったオーブンレンジが発売されたが、私が選んだのはZITANG。その理由は3つ。

・コンパクト
・必要最低限の機能
・時短調理が可能

 仕事柄様々な高機能オーブンレンジに触れる機会があるが、いつも疑問に思っていたのは「これを使いこなせるのかな」ということ。たとえばハイエンドモデルのオーブンレンジの多くが、2段調理に対応、本体サイズも幅500mm以上、奥行き450mm前後で大きく、何百何十という自動メニューに対応している。

 ところが、自分自身の生活を返り見ると、夫と2人暮らしで、量はそれほど必要ない、賃貸マンションなのでそもそも置くスペースがない、共働きで食事の準備の度にレシピブックを開くほど時間の余裕がないという有様。では、そんな私がオーブンレンジに求めるものはというと、先に挙げた3つが当てはまる。

 そもそも、ルクエのような電子レンジ用の時短調理グッズが人気を集めていること自体、時短調理や電子レンジ調理へのニーズが高い証拠だろう。

 今回紹介する三菱電機のZITANGは、機能やサイズを思い切ってカットしたこれまでにないコンセプトの製品だ。まずは、スチーム/過熱水蒸気調理機能をカットし、番号で呼び出すタイプの自動メニューも廃止。2段調理機能を止めて本体の高さを従来の約半分程度にした。

 加熱機能としては、電子レンジ/オーブン/グリルの3つの加熱方法のほかに、同社独自の「レンジ+グリル」機能も搭載している。これは、調理時間短縮のために同社が開発した独自の加熱方法で、レンジ加熱とオーブン加熱を組み合わせた調理方法だという。

 大きくて高機能なオーブンレンジばかりを目にしてきた私にとって、ZITANGは新鮮だった。サイズ的にも、機能的にもこれなら使いこなせるし、自宅に置ける! まさに私が求めていた製品だったというわけだ。そんなわけで今回から2回に渡って、ZITANGの機能を詳しく紹介していく。

置きたくなるデザイン、見やすいパネル

 まずは本体の外観から見ていこう。先にも述べたようにオーブンレンジとしてはコンパクトな本体。特に特徴的なのは本体の高さが低い点。一般的なオーブンレンジを半分にカットしたようなデザインで、サイズは518×412×266mm(幅×奥行き×高さ)。

 三菱電機の調理家電では、最近、蒸気レス炊飯器などに代表されるようなスクエアタイプの都会的なデザインが多いが、ZITANGも例外ではない。生活感が感じられないフラットなデザインで、オープンキッチンなどに置くのにも向くだろう。

製品本体扉を開けたところ庫内の様子
本体側面本体背面付属の各皿(左)と、網(右)

 デザイン面で、私が一番気に入ったのは、パネル部分。大きな画面に白い文字ではっきりと時間や文字が表示されるので、とても見やすい。さらに、操作面でも分かりやすい工夫が施されている。たとえば、レンジボタンを押したら、次にどのボタンを押すべきなのかを、ボタンが点灯して教えてくれる。レンジの温めなどの基本機能なら取り扱い説明書を見なくても、十分使いこなせるだろう。

パネル部分。黒い背景に白い文字が浮き上がって見やすい次に操作すべきボタンが光って教えてくれる全体のデザインもスッキリとしている

シンプル機能が使いやすい

 機能で特徴的なのは、先にも述べた、レンジとグリル加熱を組み合わせた「レンジ+グリル」で、今までになかった新しい加熱方法だ。

 レンジ加熱は、短時間で温めることはできるが、焦げ目などを付けることはできなし、温め方も均一的になってしまう。一方、グリル調理は、食材の旨みを引きだしながら加熱できるが、時間がかかってしまう。レンジ+グリルでは、2つの加熱方法を組み合わせることで、短時間でおいしく調理を行なうという。

 新鮮に感じたのは、ZITANGでは、自動メニュー番号というものを採用していないということ。多くの高級オーブンレンジでは、その料理に最適な調理時間をあらかじめ本体に設定しており、調理時にはその番号を呼び出して、加熱をスタートする。たとえば鶏の照り焼きは13番、調理時には13番を設定してからスタートボタンを押すという具合だ。その料理に合わせた調理時間を設定してくれるのは良いが、私の場合、その番号が覚えられずに苦労した。料理の度に説明書やクックブックを探し出して、番号を確認するということもしょっちゅうだった。

付属のレシピブック(左)と説明書(右)レシピブックは1ページに1レシピを紹介するなど、見やすい造りになっている

 一方ZITANGでは、そのような番号設定はなく、全てが自動調理となっている。つまり、本体が食材の温度をセンサーで感知して仕上がりを自動で判断するというわけだ。

 たとえば、食材の特性を活かした加熱時間や方法という意味ではメニュー番号があった方がもちろん良いのだろうが、全てを自動加熱にお任せできるのは頼もしいし、料理時間が限られる共働き家族にとってはありがたい。

新機能の「レンジ→グリル」でメインディッシュを短時間で

 まずは、新機能の「レンジ→グリル」から見ていこう。本体に付属するレシピブックから、今回はメインディッシュになりそうな3つのレシピを選んだ。

・スパニッシュオムレツ
 まずはスパニッシュオムレツから紹介しよう。作り方はとても簡単。玉ねぎ、ベーコン、ピーマン、パプリカなどの材料を細かく刻んで、卵と生クリームを溶いた容器に入れて加熱するだけだ。前述したように、ZITANGでは、調理メニュー番号というものがないので、「レンジ→グリル」ボタンを押したら、後はスタートボタンを押すだけだ。14分後にはふわふわのスパニッシュオムレツが完成する。

スパニッシュオムレツのレシピページ玉ねぎ、ベーコン、ピーマン、パプリカなどの材料材料は全てみじん切りにして、卵と生クリームと混ぜる

 スパニッシュオムレツは、フライパンで作っても、蒸し時間が必要だったり、それなりに時間がかかる料理。火加減に注意しないと、卵が焦げてしまう場合もある。それが約13分の調理時間で失敗なく作れるのは嬉しい。

加熱前の様子加熱後。表面に焼き色も付いて、おいしそうな仕上がりカットしたところ。ふわふわの仕上がりで、大満足

 仕上がりも想像以上に、ふわふわで大満足。具材の色がカラフルで見た目にも豪華で、冷めてもおいしくいただけるので、お弁当にも良い。加熱時に使用する耐熱容器に卵と材料を入れてかき混ぜるだけで、できてしまうので、汚れものが少ない。今回はレシピ通りの材料で作ったが、たとえばパルメザンチーズを入れたり、ナスやソーセージなど冷蔵庫にある材料を使って作っても良いだろう。

・タンドリーチキン

 私の持論だが、鶏肉はフライパンで焼くよりもオーブンレンジで料理した方がおいしい。これまで複数のオーブンレンジを使ってきたが、どの製品を使っても鶏肉は絶品だった。というわけで、ZITANGでも作ってみた。選んだレシピは家庭ではなかなか作る機会のないインド料理「タンドリーチキン」。自宅でイチから作るのは今回が初めてだったが、意外にも簡単作れた。

 用意するのは、ヨーグルト、カレー粉、にんにく、しょうが、ケチャップ、それに鶏のももにくだ。所定の分量でつけダレを作って、そこにもも肉を約30分漬け込む。あとは焼くだけで完成だ。

タンドリーチキンの材料タレを作って漬け込む肉を30分ほど漬け込んだら、後は付属の網の上に載せて焼くだけ

 脂はしっかり落ちているのに、ジューシーに仕上がっていて、食感はプリプリ。使っているスパイスの数が少ないので、インド料理屋で食べるような本格的なものとは一味違うが、これはこれでおいしい。子供のお弁当に入れても喜ばれそうだ。

加熱後の様子脂はしっかり落ちているのに、ジューシーに仕上がっているお皿に盛りつけると豪華な一品になった

・ハンバーグ

 次に紹介するのは、家庭料理の定番「ハンバーグ」だ。多くの男性の例にもれず、夫も大好きな一品なので、我が家でもたびたび作る定番料理だ。付属のクックブックに掲載されていたレシピは、挽肉に玉ねぎ、卵、パン粉などを使うごく一般的なものだった。付属の角皿を使って焼き上げると、ハンバーグの周りには脂が流れ落ちていた。

 「こんなに脂を含んでいるの?」とびっくりしながらも、逆にいうと、「これってハンバーグの中に含まれている肉汁では?」という疑惑も。実際食べてみると、中の脂はすっかり流れ出てしまっている。たとえばハンバーグをナイフで切った時に、中かから肉汁がジワーっと出てくるようなあの感じはない。ハンバーグ好きの夫にとっては、満足のいく出来ではなかったようで、「焼き目が欲しいし、ジューシーさもない」と言われてしまった。

ハンバーグの種を作って、小判型に成形したら、あとは加熱するだけ加熱後の様子。脂がたくさん流れていているお肉のジューシーさが感じられない仕上がりになってしまった

 私自身も、少し物足りなさを感じた。フライパンで一度焼き目を付けてからグリルだけで調理した方が、ハンバーグっぽい仕上がりになるだろう。

短時間でさっと調理できるから使用頻度が高くなる

 今回は「レンジ→グリル」のレシピメニューを紹介してきたが、今までのオーブンレンジに比べると調理時間が少なく、メニュー番号を覚える必要もないので、ずっと手軽に使える。付属のレシピブックに掲載されているメニューは、どれも家庭的なもので、それほど凝ったものが選ばれていないというもの好印象。わざわざ買い物に行かなくても、冷蔵庫にあるもので、作れるメニューばかりなので、自然にZITANGを使っての調理が多くなる。

 明日の後編では、今回紹介しきれなかった基本の「レンジ」メニューや、お手入れ方法などを紹介する予定だ。





2011年11月1日 00:00