家電製品ミニレビュー
パナソニック「ラムダッシュ ES-SV61」
パナソニック「ラムダッシュ ES-SV61」 |
男は大人になると、誰もが自然と複数の派閥に分かれる。ラーメンの種類からケータイのキャリア、女性アイドルの好みや歴代最高のストライカーは誰だ、などなど……。これを互いに主張しあうだけで、居酒屋や喫茶店で2時間くらい時間をつぶせてしまう。
家電の分野にも“男の派閥”がある。それが電気シェーバー。「深剃りなら〇〇社の4枚刃が一番」とか「俺は●●社とは肌の相性が悪い」などなど。マニアでなくとも、自分なりの“ヒゲ剃り法”に関する好みや理想を誰もが持っていることだろう。
今回紹介するシェーバーは、“パナソニック派”待望の新製品「ラムダッシュ ES-SV61」だ。ラムダッシュはパナソニックの電気シェーバーの高級シリーズの製品だが、今回は刃の枚数を増強。従来までは4枚刃までだったが、今回はついに「5枚刃」となった。
5枚刃を搭載したシェーバーは、業界でもこのラムダッシュのみ。俳優・歌手の亀梨和也さんが出演しているテレビCMや広告をご覧になった方も多いはず。しかし、CMを見ながら「5枚刃って! 手剃りのカミソリじゃないんだから!」と、ツッコミを入れてしまった人もいるだろう。というか、私がそうだ。
しかしこの5枚刃、結論から言わせてもらうと「イイ!」。とにかく素早く、かつしっかりとヒゲを剃ることができるのだ。もちろん肌も荒れなかった。
メーカー | パナソニック |
製品名 | ラムダッシュ ES-SV61 |
価格 | オープンプライス |
実勢価格 | 34,800円(yodobashi.com) |
今回紹介するES-SV61は、IPX7の防水性能を備えた“お風呂剃り”用モデルだ。ラムダッシュシリーズは基本的に浴室での使用は可能となっているが、水深1mに30分つけても影響を受けないIPX7の防水性能は、ES-LV61をはじめとする“お風呂剃り”用モデルだけとなる。なお、今回発売された「5枚刃ラムダッシュ」は、洗浄器・携帯ケース付きの「ES-LV90」などほかに4種類があるが、“お風呂剃り”を謳っているのはES-LV61のみとなる。
ES-SV61の外刃のアップ写真。この5枚刃が特徴だ |
ES-SV61で注目すべきは、やはり5枚刃のヘッドだ。とにかく面積が広く、3枚刃の「ES-GA21」と比べると、倍くらいの広さがある。しかしその5枚刃のせいか、引きで見ると頭でっかちな印象を受けてしまう。ちなみに本体サイズは72×52×161mmだ(3枚刃のES-GA21は64×47×153mm[同])。
ここで「なんで刃の枚数を多くするの?」と疑問に思う人もいるだろう。その答えは“肌に負担を掛けないこと”。前年モデルからは、深剃り用の「フィニッシュ刃」という刃が、1枚から2枚に追加されたが、刃の面積が広くなることで、シェーバー使用時における肌にかかる圧力が分散される。そのため、従来モデルと比べると、肌に掛かる負担が前年モデル比で約13.2%削減されるというのだ。
ちなみに本製品の刃の構成は、フィニッシュ刃が5枚のうちの一番外側にあり、中央には長めのヒゲをカットする「スリット刃」が1枚、「くせヒゲリフト刃」という刃がその両脇に2枚用意されている(くせヒゲリフト刃については後述)。
3枚刃の「ラムダッシュ ES-GA21」と比べると、面積は倍くらいあるように見える | 付属の充電スタンドに立たせたところ。やや頭でっかちな印象を受ける |
外刃のケースを取り出し、内部から見たところ | 内刃は2枚 |
5枚刃はそれぞれが独立しており、押すと1つ1つの刃が沈む |
しかし、「13.2%の負担軽減!」と言われても、正直ピンとこないし、剃ってみて効果がなければ意味がない。というわけで、さっそくシェービングをはじめよう。まずはお風呂ではなく、フツーにリビングで使ってみた。
「ブーン」という高音が鳴るヘッド部を肌に付ける。刃の面積はとても広く感じられ、“面”でやんわりと抑えられている感触だ。この5枚刃を使用した後に3枚刃も使ってみたのだが、何だか尖っているように感じられた。
肌に当たる面積が広くなったことで、ヒゲをカットするスピードも早くなったようだ。これまでは小刻みに手を動かし、同じ部分を何度も繰り返し当てていたりもしたのだが、この5枚刃なら、ワンストロークでも大部分のヒゲがカットできてしまう。
運転中のようす。1分間に約14,000ストロークの高速駆動だ。動画後半はカバーを取り外した状態で駆動させている | シェービング中の動画。肌に当たる面積が広いので、素早く剃れる |
“やっぱり良いな”と感じたのが、ラムダッシュ独自の「密着トレースヘッド」だ。この機能は、ヘッド部分が前後、左右に自在に動くことで、アゴ下など顔の曲面に追従し、密着してヒゲを剃ることができるというもの。私も過去、発表会やイベントなどで使用したが、このスムーズな動きは一度経験すると癖になる。フツーのシェーバーとは、肌の“ピッタリ感”がまるで違うのだ。未体験の方は、一度は味わってみていただきたい。
パナソニック独自のヘッド「密着トレースヘッド」は、顔の曲線に合わせてヘッドが自在に動いてくれる機能。従来モデルから引き続き採用されている機能だが、動かしやすく、かつ肌への密着性も高いので、お気に入りだ |
カット前後のヒゲのようす(ウェット剃りではない)。アゴ下部分もしっかり剃れているのがうれしい |
そうこうしているうちに、シェービングは終了。剃り残しや肌の荒れが起きることもなく、時間も2~3分ほどだった。柔らかな肌当たりと、接面積が広くなったことによるスピードの早さ、そして深剃りという、非常に総合的にバランスのとれた結果が得られた。使用に慣れれば、1分台でもちゃんと剃れてしまうことだろう。
特に気に入ったのが、アゴ下のカット能力。通常のシェーバーだど剃り残しが出てくる場合もあるが、この5枚刃の場合はよく剃れていた。今回の5枚刃のうち2枚は、寝たヒゲやクセのあるヒゲをすくい上げてカットする「くせヒゲリフト刃」が新採用されているとのことだが、これの効果かもしれない。
お風呂でも使ってみたが、こちらも問題なく剃れた。ウェット剃りはシェービング後のサッパリ感が味わえるのが良い。また、ES-SV61には洗浄充電台が付属しないが、ボディーソープを使って簡単に本体が洗えてしまうのも、防水仕様のメリットの一つだ。なお、誤使用による感電を防ぐため、本製品と家庭用コンセントを繋ぎながらの使用(いわゆる交流式)は使用できない。
お風呂での使用にも対応している。 | ボディーソープを使って簡単に手入れできるのもうれしい |
シェービング自体にはまったく不満はないが、コンセントに繋ぎながら使用できない点は、好みが分かれるかもしれない。電池が減っているのを気づかずに使い続けて、いざ使おうという時に電池切れ……ということが1回だけあった。普通のシェーバーなら、コンセントに繋いで交流式で使えるのだが、本製品では前述の通りできない。充電は約1時間で済むし、毎回充電スタンドに置いておけばまったく問題ないのだが、「やっぱいつでも使える交流式でしょ!」という人は、交流式に対応しているES-LV90などの製品を選ぶのが良いだろう。
ES-SV61をはじめとする“お風呂剃り”用モデルは、誤使用による感電を防ぐため、コンセントに繋いだ状態では使用できない。交流式愛好家はご注意 | こまめに充電するのが良い。ちなみに写真は付属品一覧 |
本体にはモニターも付いている。運転中は稼働時間を表示し、停止すると残量を10段階で知らせてくれる | モニターは暗いところでも確認しやすい |
いろいろ小言を言ったが、シェービングという基本性能に関しては「早い」「肌に優しい」「深剃りできる」と、非常にバランスのとれたパフォーマンスが得られた。特に、“面”で抑える5枚刃の感覚は、従来のシェーバーではなかなか味わうことはできない。シェーバーの購入に迷っている人、買い替えを検討している人、または“パナソニック派”にはもちろんお勧め。個人的には、“俺は●●のヒゲ剃りしか認めない”というこだわりのある人にも使ってもらいたい。この新しい剃り心地を味わえば、「5枚刃、意外といいかも」と思う人も中にはいるはずだ。
2011年5月12日 00:00