家電製品ミニレビュー

タイガー「ホットプレート これ1台 CRB-A120」

~たこ焼きから本格焼肉まで1台で何通りも楽しめる
by 阿部 夏子

いつもの食卓の雰囲気を変えたい

タイガー「ホットプレート これ1台 CRB-A120」

 長引く経済不況の影響で、相変わらず“内食”(外食を控えて自宅での食事を楽しむこと)が人気だという。確かに、自宅で食事を作れば安上がりなのは分かっているが、仕事を終えて帰ってきて、毎日1人でキッチンに立つというのは、精神的にキツイものがある。そもそも、外に食事を食べに行くというのは、食事を取るという目的のためでなく、いつもと違う雰囲気を楽しみたい、気分を変えたいという理由もあるはずだ。

 自分の楽のためだけでなく、可能ならば週に1回は外に食事に行きたい――でもお財布事情がついていかない……そんな人にお勧めしたいのが、手軽にいつもと違う食卓を演出できる「ホットプレート」だ。大きな鉄板を食卓に出すだけで、ガラリと雰囲気が変わるし、みんなで調理しながら食べられるので、主婦の負担も減る。

 しかも、最近のホットプレートは替え用のプレートが付いているものが多く、1台でいく通りもの楽しみ方があるという。というわけで、今回はタイガーの最新ホットプレート「ホットプレート これ1台 CRB-A120」をご紹介しよう。


メーカータイガー魔法瓶
製品名ホットプレート これ1台 CRB-A120
希望小売価格19,950円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,999円


 CRB-A120は3枚の替え用プレートが付属し、付け替えるだけで3通りもの使い方が楽しめる。
感心したのは、これらのプレートが用途に合わせてきちんと造りこまれているということ。

 付属する3種類のプレートは、オーソドックスな平面プレート、焼肉用の波形プレート、たこ焼きプレートの3つ。いずれも、表面には、耐久性が高く、遠赤効果があるセラミックを含んだフッ素加工が施されている。詳しくは、実際調理しながら見ていくが、思っていたよりもずっと本格的な調理ができることに驚いた。

 それぞれのプレートの付け替えは簡単に行なえるので、用途に合わせて手軽に使い分けられるのも大きな魅力だ。また、本体には専用の大きな蓋も付属する。

 本体サイズは434×359×124mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は6.9kg。ずっしりとした大きさのある製品で、これ1枚で2人~6人くらいは対応できそうだ。操作は、電源コードと一体になったダイヤルで行なうオーソドックスなもの。ダイヤル部分には設定温度になると消えるランプがついている。

製品本体パッケージ。複数のプレートが付属するのでパッケージは保存用に取っておくと良い左上から時計周りに、ふた、本体ガード、遮熱板、やこやきプレート、波型プレート、平面プレート
使用時は本体ガードの上に遮熱板をセットする電源コード

本格的な焼肉を自宅で楽しむ

波型プレートをセットしたところ

 最初に、焼肉用の波形プレートを使って自宅で焼肉をしてみよう。プレート表面に凹凸が付いたこのようなプレートは、それほど珍しいものではなく、替え用プレートとして付いてくるものが多い。ただし、タイガーの波型プレートは凹凸だけでなく、脂がしっかりと落ちる工夫がされている。

 プレートの中央には、余分な脂を落とすための大きな穴が開いていて、その穴に向かって周囲の波型部分は鉢状にゆるやかなカーブを描いている。お肉を焼いた時に出る余分な脂が、自然にその穴の中に落ちる仕組みになっているのだ。穴に落ちた脂は、プレート下部に設置した水受け皿が受ける。

 なお、波型になっているのは中央の穴の周りだけで、そのほかのスペースは平面になっている。中央でお肉を焼いて、外側のスペースでは野菜などを同時に焼けるというわけだ。

 使い始めるまでの準備は至って簡単。まずは、水受け皿に水を入れてヒーターがある遮熱板中央にセット、あとはその上に波型プレートをセットするだけだ。自宅で、焼肉をやるのは随分久しぶりだが、CRB-A120のプレートは形状が変わっていて、置くだけで一気に本格的な雰囲気になる。

プレート中央には穴が空いている穴の周りの波型部分は中央の穴に向かって傾斜がかかっている遮熱板の中央部に水受け皿を設置する
水受け皿(左)と、水受け皿ふた(右)水受け皿に水を入れて、ふたをセットするいつもの焼肉がぐんと本格的な雰囲気に

 今回は、脂が多めの国産カルビと豪州産の牛肉、焼き用の野菜と、肉を巻くためのレタスを用意した。

 実際にお肉を焼いてみると、想像以上にたくさんの脂が出てくることにびっくり。肉をひっくり返すと、プレートの溝の間に脂がしっかり溜まっている。これだけの脂を食べる前にきちんと落とせるというのはやはり魅力的だ。

 ゆるやかな傾斜のおかげで、溜まった脂は水受け皿の中にしっかりと落ちる。プレートの上に脂が残ることがないので、途中で脂をふき取ったりする必要がないのも良い。驚いたのは、後片付けの時。水受け皿にたっぷりと脂が溜まっていた。最初に入れておいた水の分量が増えていたので、その分は脂ということになる。

今回用意した肉と野菜油が滴るように落ちているのがわかる肉から出た脂が中央の水受けに溜まっていく
調理後の水受け皿。表面には油がぎっしり溜まっている脂が落ちたことで水の量が増えていた

 味にも差が出た。脂がプレートの上に残ることがないので、お肉が脂っぽくなく、まるで網焼きのように、さっぱりといただけるのだ。自宅で焼肉をやるというと、なんとなく安さや団欒を優先として、味は二の次といったイメージがあったが、CRB-A120のような本格的なプレートがあるなら、ちょっと高めの肉を用意する気にもなる。

中央で肉を周りで野菜を焼く野菜ももちろん焼ける。特に玉ねぎは甘さが増しておいしい焼いた肉と野菜をレタスで巻いて食べる

初めてのたこ焼きパーティー

たこ焼きプレートと、たこ焼きの材料をあらかじめ食卓にセット

 次にCRB-A120のたこ焼きプレートを使って、たこ焼きを作った。関西の方では自宅でたこ焼きを作るのは当たり前だというが、関東生まれの私にとってはあまり馴染みがない。幼少時や、友人の家で作ったことはあったが、自宅でたこ焼きを作るのは今回が初めてだった。

 CRB-A120のたこ焼きプレートは、とにかく数が多い。直径約42mmのたこ焼きが一度に30個も焼けるという。これは人数が多くないと、食べきれないなと思い友人を自宅に招いて、大人4人でたこ焼きを作ることにした。

 プレートの設置はこれまた簡単。電熱線の上にプレートを置けば、これだけで終了だ。後は温度を一番高い250℃に設定してランプが消えるのを待つ。

 今回、初めてのたこ焼き作りだったので、インターネットなどで色々作り方を研究。専用の粉や青のり、鰹節、揚げ玉なども用意して、準備万端で挑んだ。集まったメンバーは全員たこ焼き初心者だったので、これがもう大騒ぎ。イスもちゃんと用意してあるというのに、誰もが立ちあがって率先して作業を行なおうとする。

 しかも、みんな初心者のはずなのに「ここはこうした方がいい」「まだひっくり返したら駄目」など、勝手な意見がとびかう。結局この日は、最初から最後まで立食スタイルとなってしまった。

まずはダシと粉を混ぜた生地を入れるそこにタコなどの具を入れていく具を入れたら再度生地を入れて、丸い形に整えていく
とにかくみんな立ちっぱなしテーブルの上は腕だらけ――ひっくり返すのもいろんな方向から手が出る

 たこ焼きを作るのは今回が初めてだったが、思ったよりもずっと楽しい。粉を入れる、タコを入れるなど、卓上でしなければならない作業が多いので、鍋や焼肉などにはない不思議な連帯感が生まれる。

 注意したいのは、作りすぎだ。たこ焼きのサイズは、ごく一般的な大きさで、10個も食べるとお腹が膨れてくる。それでも、焼くのが楽しくて、この日は結局90個(3回分)のたこ焼きを焼き上げてしまった。お好み焼やたこ焼きなどの「粉もの」はお腹に溜まりやすいので、大人数で楽しむのをお勧めする。

初めて作ったたこやきトッピングをしたところ。初めて作ったにしては味もなかなか好みによって焼き目をつけるのも良い

朝ごはんやいつもの夕食を手軽に

平面プレート

 最後に紹介するのは、平面プレートだ。オーソドックスな形で、3枚のプレートの中でも使用頻度が一番高かった。

 CRB-A120の平面プレートの特徴は、特殊な表面加工が施されているため、金属ヘラにも対応するということ。実は、ホットプレートを使っていて一番厄介なのが、この表面加工がはがれてきてしまうということ。表面がはがれてくると、食材がプレートにくっついてしまって、悲惨な仕上がりになる。金属のヘラを使っても、はがれないという表面加工ならば頼もしい限りだ。また、CRB-A120には、蓋も付いているので麺を蒸したりすることもできる。

 というわけで、まずはオーソドックスな焼きそばから作った。短時間でさっと作れて、野菜もたくさん摂れるので、我が家の夕飯のレギュラーメンバーでもある。

 ホットプレートはフライパンに比べて圧倒的に、加熱面が広いので一度にたくさんの量を作れるのが魅力。使っていて感じたのは、プレートの使いやすさ。大きさはもちろん、野菜や肉などの食材がプレート表面にくっついてしまうということが全くない。これなら油の量をいつもより少なめにしても大丈夫かもしれない。

秋田県横手市のB級グルメ「横手焼きそば」を作るまずは野菜を炒める。プレートが広いので一度に大量の野菜を炒められる麺を投入
ソースで味を整えたら横手焼きそば特有の目玉焼きを焼く目玉焼きを早く作るためにしばらくフタをすることにフタをした状態
できあがり最後に青のりトッピングする。麺が太くてもちもちした食感

 次に作ったのはホットケーキ。これも休日の朝に良く作る定番メニューだ。ホットケーキで一番難しいのは火加減。強すぎるとすぐに生地が焦げてしまうので、直火で作る場合、一度フライパンを冷ますなどの手間をかける必要がある。

 その点、ホットプレートは、160℃などの低温設定もできて、焼き面も広いのでホットケーキを作るのには適した製品だといえる。

 フライパンなら1枚ずつしか焼けないのが、ホットプレートなら複数を一度に焼けるというところも魅力。CRB-Aの平面プレートなら一度に最大で4枚くらいは焼けるので、大家族の朝ごはんにもぴったりだろう。

 うまく焼くポイントは温度管理にある。最初、温度を160℃にして焼いたところ少々焦げてしまった。そこで、温度設定を保温にして再チャレンジ。今度はきれいな焼き色となった。

温度を160℃に設定今回は2枚焼いたが、プレートが広いので4枚くらいは同時に焼けそう最初は火力が強かったようで焦げてしまった
温度を低くして再チャレンジ。今度はうまくいった焼き立てをその場で食べられるは嬉しい休日のブランチにぴったりなメニューだ

本格的な調理家電として

 幼少時、自宅でよく使っていたこともあってホットプレートというと、食卓でわいわい食べるもので、食事の味というよりも雰囲気を楽しむものというイメージがあった。それが今回、CRB-A120を使ってみてそのイメージが一新した。

 安物のフライパンよりも数倍優れた表面加工や、本格的な焼肉が楽しめる波型プレートなど、家族の団欒のためというよりも、しっかりと味を追求した本格的な調理家電に進化している。家族や子供だけでなく、味にこだわりたい大人が使っても充分満足できる製品だ。





2011年2月8日 00:00