家電製品ミニレビュー

ドウシシャ「パーソナルスチーム加湿器 DKS-902」

~寝室にお勧め、長時間加湿できてコンパクトな加湿器
by 但見 裕子
ドウシシャ「パーソナルスチーム加湿器 DKS-902」

小さめでほどのよい出力の加湿器が欲しい

 春はまだまだ遠く、寒さとともに空気の乾燥がつらい。ノドをいたわり風邪を予防するために、寝室に加湿器を置きたいと思った。

 できれば、寝室の床に置いて邪魔にならないよう、小さめなものがいい。また、朝までつけておくこともできるように、長時間加湿できるものがいい。瞬間風速的な加湿力はそんなに強くなくてもいい。

 そう思って探していたところ、ほどのよさそうな製品を見つけた。ドウシシャのパーソナルスチーム加湿器 DKS-902」だ。「デスクやテーブルの上に最適。スリムなコンパクトサイズ」とある。

 スチーム式加湿器は、水を熱して蒸気を吹き出す方式だ。高温で殺菌された蒸気なので衛生的である反面、熱い蒸気が吹き出すので設置場所や扱いに気をつける必要があるとされている。

 とにかく、どんなものか使ってみよう。アマゾンで1.390円の売値がついていて、送料を入れても2.230円で買える。ホワイトとグリーンが選べるが、ホワイトにした。

 


メーカードウシシャ
製品名パーソナルスチーム加湿器 DKS-902
希望小売価格3,980円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,390円

 箱つぶれにより特価、ということでこの値段らしかったが、届いたパッケージは、角がちょっと丸いように見えるだけできれいなものだった。中身も問題なかった。

 DSK-902は上部の水タンクと下部の本体とで構成されている。水タンクは透明なので、水の残量がよくわかるし、見た目にもスッキリした印象がある。白一色のデザインはシンプルな薄型で、なかなかスタイリッシュだ。

 サイズは、225×64×171㎜(幅×奥行き×高さ)。ポップアップ式のトースターをうんと小さくしたような形状だ。重さは0.7㎏と軽く、移動も苦にならない。

 電源コードは、安全のために外れやすいマグネット式だ。コードを足に引っかけるなどした際に、本体が倒れてお湯が流れ出すことがないよう、プラグが抜けるようになっているのだ。

パッケージ。箱つぶれとあったが、それほど気にならなかった薄型でコンパクトだ。手前に置いたのは30㎝定規電源コードは、安全のために外れやすいマグネット式

 また、本体の下には「回転式台座」が設けられていて、本体に対して直角になるよう引き出して支え、さらに安定をはかるようになっている。

 この回転式台座を出すことで、デザインのかっこよさがちょっとだけ損なわれるような気もするが、しかし安全第一だろう。本体が倒れるよりはずっといい。

回転式台座を引き出して、十字型に本体を支える

静かな運転音。穏やかに空気を潤す

 では実際に使ってみよう。本体裏の「ロック爪」を押して水タンクをはずし、水を入れる。約800㏄が入り、約10時間運転できるという。1時間あたり、毎時80ccという計算だ。消費電力は80Wだ。

 タンクをセットしたら、電源ボタンを押す。電源が入ると緑色のランプがつく。ボタンはこれ1つなので、操作に迷うようなことはない。ちなみに、水が切れたときは、給水ランプが赤く点灯する。

 スイッチを押してほどなく、「コポコポ」「シュー」とかすかな、穏やかな音がしはじめ、すぐに蒸気が吹き出しはじめた。耳をすませばたしかに聞こえるが、昼間の生活音の中ではまったく気にならないレベルの音だ。

本体上部。左から、水タンクのキャップはめ込み口、水路、ヒーター部「ロック爪」を押して水タンクをはずし、水を入れるタンクの吹き出し口から蒸気が吹き出す。音は静か
運転中は緑色のランプが点灯する。水がなくなると給水ランプが

 吹き出し口に手を近づけてみると、熱い蒸気が出ているのがわかるが、タンク全体は、さわってもほんのり温かいだけだ。タンク全体を熱しているのではなく、吹き出し口下のヒーター部に入った水だけを熱しているらしい。

 穏やかに、ゆっくりと蒸気を出しているので、いかにも「いま加湿していますよ、湯気をバンバン出していますよ」というような勢いではない。音が静かなこととあいまって、生活の邪魔にならない、気にならない存在の製品だ。寝室に置いて使ってみると、空気がほどよく潤って、快適。朝起きたときの喉の調子がいい。

 適用する部屋の広さは洋室の場合で約3.5平方mとされていて、部屋の広さからいうと出力が少ないのだが、ベッドのそばに置いているせいか適度な加湿量だと感じる。デスクやベッドサイド用の、まさにパーソナル加湿器ということだろう。

床に置いて使用新書本と並べると大きさがわかる

 寝る前に水を満タンにしてセットしておくと朝まで加湿が続く。暗くした部屋の中に、加湿中を告げる緑色のランプが点灯しているのを眺めると、安心感をおぼえる。

アロマも楽しめる

 DKS-902には、アロマオイルの香りが楽しめる「アロマケース」が付属してくる。

 リング状のアロマケースの中に、アロマオイルをしみこませるためのフェルトが敷いてある。これに好みの香りのオイルを落として、蒸気吹き出し口にのせる仕組みだ。フェルトはアロマケースに最初から装着されているものの他に、3枚の交換用がついてくるので、複数の香りのアロマオイルが楽しめるわけだ。

 アロマケースは吹き出し口に固定するのではなく、「のせた」感じなので、本体を大きく動かすと落ちてしまうことがあるので気をつけたい。

 手持ちのアロマオイルで試してみた。オイルはとりあえず2滴ほど落としてみたが、フェルトに厚さがあるので、もっとたっぷり浸みこませることもできそうだ。好みに応じて量を調節できるのは良い。

アロマオイルをアロマケースにたらし、吹き出し口に置いてアロマを楽しむ

 蒸気でアロマケースが温まるにつれて、やわらかく香りが広がってきた。アロマポットと違い、じかに高温で温めているのではないので香りはソフトだ。

 加湿で空気に潤いを与えつつ、アロマの香りに包まれていると、リラックスして、なかなかどうして優雅な気分になれる。

 1つ気になった点は、水タンクの中の水を抜いたあと、内部が乾きにくいことだ。タンクと本体を逆さにしてよく水を切ったあと、日の当たる窓際に置いたのだが、完全に水滴が取れて乾くのに2日以上かかった。タンクが複雑な形をしているために、乾きにくいようだ。次のシーズンまでしまっておく場合、中まで完全に乾かさないと不安だから、乾燥に時間がかかることを想定して段取りする必要があるだろう。

全体的にバランスの取れた製品

 DKS-902の長所は、まず音が小さいことだろう。お湯を沸かして加湿するスチーム式としては、非常に静かな製品だ。寝室で使っても、よほど神経質な人でないかぎり眠りの邪魔にならないと思う。

 次に、コンパクトなわりに水がたくさん入り、そのため長時間連続しても使えることだ。もっと大きくて価格も高いのに、この半分しか水が入らない加湿器もよくある。

 スチーム式で心配になる転倒対策も、本体を十字型に支える台座と、外れるマグネットコードでしっかりなされている。マグネットのコードは価格が高いので、安価な製品に使用されていることは珍しい。試しに、わざとコードに足を引っかけてみたところ、パシンと簡単に外れた。水が少なくなって本体が軽くなっている状態でも大丈夫だった。

 あっさりしたデザインも、インテリアの邪魔をしなくてポイントが高い。価格を含めて全体的にバランスが取れた、いい製品だ。





2011年1月17日 00:00