家電製品ミニレビュー

±0 「Humidifier S (Aroma)」

~部屋のインテリアのアクセントになる小型加湿器
by 阿部 夏子
±0 「Humidifier S (Aroma)」

 今回紹介するのはまるでオブジェのようなデザインが印象的な±0(プラマイゼロ)の加湿器「Humidifier S (Aroma)」(以下、Humidifier S)だ。

 ±0の加湿器というとドーナツ型の円盤のような変わった形が印象的な「Humidifier Ver.3」をまず思い浮かべる人も多いと思うが、Humidifier Sはデザインモデルでは2代目となる製品。Humidifier Ver.3に比べると本体サイズ本体サイズは165×165×155.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約1.1kg。加湿量も少ないSサイズのモデルとなる。

 この製品の特徴はなんといっても深澤直人氏によるそのデザインにある。デザイン重視と聞くと、装飾や形が特異なのかなとも思うが、Humidifier Sは余計な装飾などは一切なく、本体の形も円筒形でごくシンプルだ。それでも艶のある塗装と、曲線を上手く活かしたデザインについ目がいってしまう。

製品パッケージ本体、クリーニングフィルター2枚、アロマポット、電源コードがセットになっている電源コードはマグネットプラグを採用している

メーカー±0
製品名Humidifier S (Aroma)
購入価格10,500円
購入場所±0オンラインストア


 Humidifier Sの素材はプラスチックなのだが、塗装技術が優れているからなのかまるで陶器のような艶がある。特に今回購入した赤色は、発色が良く、遠目でもパッと目に入ってくる。派手な色ではあるが、下品ではなく、意外に置き場所を選ばない。本体の形は円筒形だが、蒸気口付近はなだらかな曲線で、加湿器というより花を活けるための花器のような雰囲気だ。
艶のある赤が印象的な本体カラー本体上部の蒸気吹き出し口はなだらかな曲線になっている

 次に加湿機能を見てみよう。加湿方式は水を加熱して蒸発させるスチーム式。加湿量も多く、蒸気が温かいので乾燥が気になる寒い季節にはうってつけの方式だ。運転モードとしては、標準モードと長時間モードの2種類。1時間あたりの加湿量は標準モードが120ml、長時間モードが約60mlとなっている。

 単機能の製品だけに、操作に迷うことはない。外側のカバーを外して、中に入っているドーナツ型の給水タンクに水を入れたら後は電源スイッチを押すだけだ。

 ただ、購入時には中のクリーニングフィルターがセットされていないので、先にフィルターをセットする必要がある。クリーニングフィルターは、給水タンクの更に下の水路カバーを取り外して中央にある加熱皿に置く。クリーニングフィルターは本体にあらかじめ2つ付属しているほか、別売りで5枚525円で買うこともできる。

本体の外側カバーを取り外すと中に給水タンクが設置されている真ん中が開いたドーナツ型の給水タンク給水タンクを取り外したところ
蒸気口を取り外すと水路と加熱皿などが配置されている加熱皿の上にクリーニングフィルターを置く本体裏側

 電源スイッチは、本体底部付近の目立たない場所に設置されている。スイッチも全て塗装されているので遠目ではどこにスイッチがあるかわからないくらいだ。スイッチを押すとピっという音と、これまた小さなLEDの運転ランプが点灯する。運転状況はこのランプで表示され、標準モードでは2つ、長時間モードでは1つランプが点灯する。

操作スイッチと表示ランプは本体底部付近に設けられている。写真は標準モードで運転中長時間モードでは表示ランプは1つとなる運転開始後3分ほどで白い蒸気が出てくる
蒸気が出ている様子

 運転開始から3分ほどで円筒形の中央から白い蒸気が立ち上る。外観デザインはどちらかというとクールな印象だが、蒸気が上がるととたんに暖かみが加わるから不思議だ。運転時間は実測で標準モードが約4時間、長時間モードで約7時間半だった。

 1つ注意したいのが、Humidifier Sの適用床面積についてだ。説明書では木造/和室2畳、プレハブ/洋室3畳とある。この表記を見たときは思わず「3畳って……」とつぶやいてしまったが、実際使ってみた感覚ではそれほど力不足だとは感じなかった。

 この表記を見て設置場所を寝室にしようかなとも思ったが、我が家では無理矢理12畳のリビングに設置している。小型加湿器としてはかなり高額となる1万円を出して、さらにこのデザインなのだ、やっぱり一番目に付く場所に置きたいというのが人間心理ではないか。

 というわけで、明らかにキャパオーバーな場所で使用しているが、加湿効果はそれなりに実感できる。季節柄、暖房器具を使うことが多く、何もしていないと肌がピリピリするほど室内が乾燥するが、Humidifier Sをつけると肌のピリピリは解消される。また、暖房器具と併用することで体感温度は確実に上がる。加湿器と併用するときはいつもエアコンの温度を2~3℃下げて使っている。

 とはいってももちろん、加湿容量が多い本格的な製品には性能的にかなわないが、今回は加湿器兼インテリアグッズとして購入したものなので基本的には満足している。

付属のアロマポットにオイルを数滴垂らすだけで気軽に香りを楽しめる。私は、いつも無印良品のオイルを使用している

 中でも気に入っているのは本体に付属するアロマトレーを使ってアロマの香りを一緒に楽しむこと。アロマトレーにオイルを数滴入れ、加湿運転をするだけで室内にアロマの香りが広がる。アロマオイルを楽しむためにはディフューザーや、専用のウォーマーなど色々な製品があるが、専用の機器を使うと、香りが強すぎてしまうということがある。

 香りが強く、いつまでも残ってしまうので、これまでは食事をするリビングで香りを楽しむということは避けていた。それが、Humidifier Sでは香りが立ちすぎることなく、本体に近寄った時にフワっと香る程度。使うオイルの種類にもよるだろうが、香りがずっと残るということもなく、食事をする部屋でアロマを焚いても不快感を感じなかった。

 冬の寒い時期にはうってつけのスチーム式加湿器だが、手入れに手間がかかるという弱点がある。Humidifier Sも例外ではなく、週1回程度は手入れが必要だ。特に気になるのが水アカのお手入れ。放っておくと見た目も汚く、衛生的にも良くないので、こまめな掃除を心がけたい。

 Humidifier Sでは水タンク下の蒸発板や水槽部分に特に水アカが溜まりやすい。一度中の水を全部出してから水洗いをしてカルキをとるのだが、中の構造がやや複雑で手間がかかる。本体サイズそのものがそれほど大きくないため、内部のカルキを徹底的に取ろうと思ったら綿棒やヨウジなどが必要になる。

最初は白かったクリーニングフィルターもこの通り。ちなみにこれは5日ほど連続的に使った後だ。クリーニングフィルターは水でもみ洗いすると汚れが落ちる特に汚れが目立つのは蒸気吹き出し口。赤は汚れが目立ちやすい加熱皿の回りにも水アカが目立つ。水路となる細かい部分などは綿棒やヨウジなどを使わないと汚れが取れない

 Humidifier Sでは中の細部に至るまで赤で統一されていて、デザイン的には申し分ないのだが、その分汚れも目立つ……デザイン重視で購入したのだからと自分に言い聞かせながらもやはり面倒だ。汚れを溜めるとその分掃除も大変になるのでこまめな掃除をおすすめする。

 運転モードも機能もごくシンプルで単機能の製品だが、満足度は高い。デザインに凝っているといっても、前モデルのHumidifier Ver.3に比べると本体サイズもコンパクトで、形も比較的オーソドックスなので置き場所に困るということはないだろう。

 どこどこのバッグが欲しい、あそこのブーツじゃなきゃ嫌だ。Humidifier Sは、洋服や靴と同じように±0の加湿器として指名買いをしたくなる。一目見てあそこの製品だとわかるようなデザインや雰囲気を兼ね備えた製品だ。




2010年1月26日 00:00