家電製品ミニレビュー
日立「FIESTA R-S27YMV」
日立「FIESTA(フィエスタ) R-S27YMV」 |
当家の冷蔵庫はNECの1997年製モデルだったのだが、突然停止したり「ゴゴゴ……」という異音を発したり限界が近づいていた。エコポイントも始まってちょうどタイミングがよいなということで買い換えすることにした。
といってもひとり暮らし。大型冷蔵庫は不要なのだが、自炊は大好きなので、新春新生活セールで見かける100L~150Lの冷蔵庫では物足りない。そんな背景もあり、ほどよいサイズの日立「FIESTA(フィエスタ) R-S27YMV」を購入した。
メーカー | 日立 |
製品名 | FIESTA R-S27YMV |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシカメラ |
購入価格 | 84,400円 |
■冷蔵庫選びの基本は「設置場所」
筆者は2Kアパート住まいなので、機能云々よりもまずは設置スペースが重要だ。日本家屋の冷蔵庫設置スペースの横幅は60~70cmがもっとも多いそうで、どのメーカーも横幅は60cm前後のモデルが中心となっている。
というわけで筆者の場合、冷蔵庫選びの基本は機能でも見た目でもなく設置面積となった。拙宅のキッチンの設置面積は、750×750mm(幅×奥行き)。国内の冷蔵庫設置場所事情から各メーカーは横幅60cmのモデルを用意しているため、なんら問題のない幅である。次に重要なのがドアの幅だ。大きいように思えて、実は意外とこじんまりしているため、こちらも事前にサイズを測っておきたい。
狙いどころは200L以上300L以下の冷蔵庫。店舗にて確認してみたところ、容量的に中途半端なゾーンであるためかあまり数がなかったが、逆に言えば選びやすかった。キッチンスペースが狭いため、冷蔵庫の上に電子レンジを置いて使いたかったので、手頃な高さのものを探した。
その結果、高さ140cmのSANYO「SR-261R(S)」か日立「FIESTA R-S27YMV」にするかと迷いまくったが、昭和な雰囲気アリアリの住居にマッチする日立「FIESTA R-S27YMV」を選んだ。写真を見てもわかると思うのだが、近未来なイメージの強い冷蔵庫群のなかにあって、なぜかちょっとレトロな雰囲気なのだ。
なお、対抗馬として検討していたSANYO「SR-261R(S)」で気になったところは17Lのフレッシュルーム。魚をそのまま入れておけるところが魅力的なので、店頭でチェックしてもらいたい。
到着したFIESTA R-S27YMV3 | ドアの横幅も大切。実は計り忘れており、搬入当日の朝に気がつき冷や冷やものだった | FIESTA R-S27YMV3の放熱は両側面から行なわれるため、最低でも2cm以上のすき間が必要だ |
裏面はフラットで、放熱もしない。そのため壁にぴったりと寄せることができる | 裏面の左右には転倒防止ベルトを通す箇所がある | このゆるいカーブを描く、最近見ないタイプの取っ手に惹かれた |
■ぱっと見は大型冷蔵庫
容量としては中型なのだが、サイズは540×625×1,495mm(幅×奥行き×高さ)と背が高めなので見た目は大型冷蔵庫に見える。容量は265Lのボトムフリーザータイプで、上から冷蔵室、野菜室、冷凍室という構成だ。それぞれの容量は、冷蔵室は146L、野菜室54L、冷凍室65L。今までの冷蔵庫が全部で約140Lだったこともあり、いっぱい食材を入れられるなぁと感じた。
機能面では、ハイエンド冷蔵庫には及ばないものの、ラップなしで野菜の鮮度を保つ「うるおいチルド」や、「ナノチタン除菌脱臭フィルター」「自動霜取り機能」「高さかわるん棚」「自動製氷機能」などがある。
気になる消費電力は、定格消費電力が87W/111W(50/60Hz)、霜取り時が39Wとなっている。1週間ほど計測してみたところ、実際にはアイドリング時は84W前後、庫内にアクセスしたあとは104~110W。駆動音も静かで、10年もすると冷蔵庫ってすごく進化するんだなぁと感じてしまった。
アイドル時の消費電力は84W | ドアを1分開けたあとの消費電力は104W前後だった |
■ほどよく広く使いやすい庫内
冷蔵室は3段構成で、その下にはうるおいチルドルーム(7L)と給水タンクがある。上段には「うすいん棚」、中段には「高さかわるん棚」があり、棚の高さ変更が行なえ、大きな鍋を入れておくことも可能と使い勝手のいい作りとなっているので、カレーなど作ったあと設置する場所作り苦労することはなくなった。また棚の耐荷重は13kgまでとなっているため、棚が割れる心配は必要ない。
冷蔵室を正面から見たところ。ライトが大きいこともあり、隅々まで見やすい | 中段にある「高さかわるん棚」は、一度引き抜いてから高さを変更するタイプ | 「高さかわるん棚」を1段上げれば、写真のように大型の鍋も収納可能だ |
チルドルームの容量は7L。4パックくらいが上限といったところ | チルドルームの隣には、給水タンクや急冷凍スイッチなどがある |
次に、冷蔵庫選びで重要なファクターであるドアポケットを見てみよう。ポケットは3つあり、上段には卵ケース(14個)と小物置き場があり、中段には250mlまでの飲み物などを入れておける。下段はジャンボダブルポケットであり、2Lペットボトル3本を入れて、さらに1Lペットボトルや紙パックを6本収納可能。また傾斜が設けられてるため取り出しも楽々である。
ドア部を正面から見たところ。ビン類を中心にけっこうな量を詰め込める | 卵ケースは14個まで対応。裏返せば、小瓶を置くことも可能 | ジャンボダブルポケットは、奥にペットボトルを入れていても出し入れがしやすい |
野菜室は野菜ケースに加えて、透明パーツのスライド小物ケースがある。キャベツなど大きな野菜は野菜ケースに、トマトなど形が変わりやすいものはスライド小物ケースにといった使い方ができる。引きも軽く、腰に負担が少なくていい感じだ。
野菜室は、筆者の野菜消費量からすると大きすぎ感アリアリ。とはいえ、トマトの持ちがいいので助かっている | スライド小物ケースはカンタンに取り外せるため、お手入れも楽々だ |
冷凍庫には貯氷コーナー、スライドケース、下段ケースがある。主に冷凍食品を入れておくのは、下段ケース。十分な深さがあり見た目以上に多くの冷凍食品を入れておける。またスライドケース部分に冷凍食品やアイスを置いておくことができると同時に、急冷凍したい食材を置く場所でもある。冷蔵庫にある急冷凍スイッチを押すと冷却が始まり、約2時間で急冷凍運転が終わる仕組みだ。
冷凍室は冷凍食材10パックが楽に入る大きさ | 取り外し可能なスライドケースには、アイスなどを入れておけるボックスと、貯氷コーナーがある |
■野菜はラップなしでOK
購入したときに気になっていたのが、うるおいチルドを採用した「ナノテクミスト野菜室」だった。カタログによると、ラップしなくても野菜がみずみずしいまま冷凍されるというもの。直接冷気を当てない幅射冷却とナノサイズの水分子を吸放湿するモイスチャーカセットのふたつで実現しており、エチレンガスを抑制するとともに、高湿保存でビタミンが失われにくいという。
とはいえ、ほんとかなぁ~と疑問に思ってしまったので、チェックしてみた。キャベツとニンジンを、それぞれナノテクミスト野菜室に3日置いてみた。
結果は以下の写真の通り。まずキャベツだが、3日目で色はやや悪くなっているものの、シャキシャキとした歯ごたえだった。以前の冷蔵庫では、1日でパサパサしてしまったのと比べれば雲泥の差だ。
ニンジンについては表面がブヨブヨしていたが、内部はかなり新鮮。皮を剥いてしまえば気にならないといった印象だった。ひとり暮らしの筆者は、キャベツを半玉買うと、以降3食はキャベツ三昧になってしまっていたので、3日ほど置いておけるのは嬉しい。
3日経過したキャベツ。表面が軽く変色していたが、一皮剥いてみたところ、購入直後とあまり変わらないビジュアルだった | 同じく3日経過したニンジン。半額扱いな見た目になっているが、皮を向けば問題なく、食感もよかった |
もうひとつ気になっていたのは自動製氷機能だ。製氷時間は1回約150分で、1回の製氷で10個の氷が生成され、貯氷コーナーに120個貯まると自動的に製氷を停止するため、操作としては給水タンクに水を入れてセットするだけである。実は、人生初の自動製氷機能だったりする。そのため、最初の製氷が終わったのは真夜中で、聞き慣れない音に飛び起きてしまった。が、氷が貯氷コーナーに落下する音に慣れてさえしまえば、いつでも氷が用意されていて、便利な機能だと感じている。
製氷性能は1回約150分、1回の製氷で10個の氷ができあがる | 120個の氷ができると、自動的に製氷が停止するため、氷が詰まるなんてことはない |
■押さえるべき機能を搭載したオススメモデル
15万、20万といったハイエンド冷蔵庫から見ると、当然のことながら機能的に物足りないところはあるが、ひとり・ふたりで使うというのであればまったく問題のない容量で大きな鍋も置けてしまう、ラップなしで野菜を保存できるナノテクミスト野菜室、自動製氷機能と困ることはまずないだろう。ひとり暮らしを初めてしばらく経ったが、そろそろ冷蔵庫の容量に不満がある、ふたり暮らしを始めようと思っている人にオススメしたい一台である。
2009年9月2日 00:00