家電製品ミニレビュー
ツインバード「デュアルドラムサイクロン」
ツインバード工業「デュアルドラムサイクロン YC-T008GR」 |
部屋のスペースの関係上なるべく大きなものは買わないようにしている。家電製品にしてもしかりで、掃除機ももっぱらスティックタイプやハンディタイプを愛用してきた。ただ、部屋の隅々まで掃除しよう! という時にはやはりパワー不足を感じるため、本格的な掃除機を改めて購入することにした。選んだのは比較的コンパクトな形状ながらパワフルな吸引力を実現したツインバードの「デュアルドラムサイクロン YC-T008GR」だ。
メーカー | ツインバード工業 |
製品名 | デュアルドラムサイクロン YC-T008GR |
希望小売価格 | 21,000円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 10,900円 |
■コンパクトで保管も取り回しも楽
まず本体のサイズを見てみよう。正面から見て235×350×245mm(幅×奥行×高さ)と他の製品と比べて少し小さいくらいだが、この状態での保管が前提ではなく、直立させた状態での保管となるため、約30cm四方のスペースがあれば問題ない。また本体底面にはパイプ部分にあるパイプフックとの接続ユニットがあり、下記写真のようにワンセットで保管できる。筆者宅はアパートなので当然のことながら、掃除機クラスのデカ物は邪魔になる存在なのだが、直立させた場合は部屋の片隅に収まってくれるため、あまり邪魔に感じなかった。
本体正面。他の掃除機と比べるとかなり特長ある顔つきである | 側面から見たところ。車輪のイエローがかなり目立つ | 背面は直立させるためにフラットである |
直立させた状態、本体背面部とブラシヘッドの4点保持で簡単には倒れない | 持ち運び用のハンドルは収納型。本体横幅とほぼ同じのサイズで持ちやすい |
本体重量は約5kgとなっているが、3点保持のローラーがあり、とくに後輪の直径が大きいため、追従性が高い仕上がりとなっている。そのため、あまり重さを気にする必要はないだろう。掃除するときに、すんなりと本体がついてくるし、方向転換をしても引っかかる感がなく、広いお部屋でも本体のことを気にせず掃除できると感じた。
また電源ケーブル長は5mとたっぷりあるため複数の部屋を掃除するときも、電源プラグを差し直す回数が少なくて済む。電源ケーブルは巻き取り式で、本体サイドにあるコードリールボタンを押すと自動的に巻き戻っていく。なお消費電力は1,000W。カタログスペックでの吸込仕事率は強で250W、弱で120Wとなっている。
本体底面 | リール型の電源ケーブルの長さは5mとゆとりがある | 左車輪近くにあるボタンを押すと、自動的に電源ケーブルが巻き取られる |
■タービンブラシも隙間ノズルも使いやすい
付属しているヘッドはふたつ。左がタービンブラシヘッド、右が隙間ノズル |
タービンブラシヘッドは写真のように首振り機能アリ | タービンブラシヘッドの裏側。写真右側のロックを外すと回転ブラシが取り外せる | 回転ブラシは取り外し可能で、水洗い可能 |
首振りのチェック動画。こちらの力の向きにスムーズに反応してくれるため、方向転換時にストレスはまったく感じなかった | 絨毯の上に粉を置いて、とくに押しつけずにタービンブラシヘッドを1往復させてみたところを録画してみた。スムーズに粉が吸引されているのがよくわかると思う |
隙間ノズルは下部にスリットがあるだけでなく、上部にも隙間があり、グイっと押しつけても吸引力が下がりにくくなっている。ホースとパイプを装着すると長さが約1.2mほどになるため、細く奥まったところだけでなく、ちょっと高いところも楽々と掃除できる。ただ意外とホースなどが重いため、長時間、高いところを掃除するには向かない。
隙間ノズルは上部にも切り込みがある | 小回りが利くため、棚の上や細かいオブジェのあるところの掃除で活躍してくれる | もちろん、ベッドと壁の間といった隙間にも強い |
筆者はこれまで、スティックタイプやハンディタイプでツインバードの掃除機をいくつか使ってきたが、はいずれもグリップ形状が優秀だと感じている。YC-T008GRも例外ではなく、どんな持ち方でもグリップ感がよく、力の抜き入れが実に楽だった。電源ボタンへのアクセスもちょうど親指が届く位置にあるため、持ち直す必要もなく、押し間違えもない。
本体とホースの接続部にはロックがちゃんとある。ドラムとぶつからないようにサイドにロックボタンがあるため、やや押しにくい感があった | ボタンは「強」「弱」「切」の3つで、とてもシンプルだ | 握るもよし、ひかっけるもよしな優れた形状のグリップ |
伸縮式延長管を最大まで伸ばしてみた状態。十分な長さがあり、成人男性が使っても問題ない | 約1.2mのリーチがあるため、隙間ノズルで天井の掃除もできる |
■経年劣化も見据えたHiCYCSとデュアルサイクロン
YC-T008GRの目玉として強くアピールされているHiCYCS(ハイサイクス)とデュアルドラムサイクロン。HiCYCSは高速遠心分離システムの総称で、サイトにもカタログにもどういうものなのか詳細が書かれてないのだが、ゴミと空気を高効率で分離するためのシステムで、その分離率は約98%と極めて高い。しばらくダストケース内で回るゴミの動きを見ていたのだが、入ってきたゴミはすぐに分離して、ダストケース前部に集中していた。
HiCYCSはHi-Speed Cyclne Core Systemの略称なので、ゴミがダストケース全体で回転するのではなく、前部に集中させやすく設計したものということなのだろうか。ちょっと気になっている。また風切り音がすごいのかと思ったのだが、強で駆動させてみると、カタログにある約65dBという数値よりも小さく感じた。
容量1.2Lのドラムケースは半透明なので、ケース内のゴミ確認がしやすい | ドラムケースを開いたところ、奥に見えるのがアウターフレーム | アウターフレームははめ込み式。矢印に合わせて動かして取り外しをする |
デュアルドラムはその名の通りで、ゴミと空気の分離を2度行なう。細かいチリは1回では分離されないため、フィルター目詰まりの原因となりやすかったところをフォローする。掃除をしてみた感じでは、大きなゴミはダストケース前部に、小さなゴミはアウターフレームに付着していた。そのため、フィルターメンテナンスの労力も経るだけでなく、吸引力の持続にも成功したというわけだ。またこれまでのツインバード工業の掃除機は経年劣化に弱かったのだが、HiCYCSとデュアルサイクロンによってモーター部への負荷が少なく、カタログのグラフでは3年目で購入直後からみて75%の風量と長持ちするようになった。
アウターフレームのサイドには気流を通すためと思われる穴がいくつもある | 内部は写真のようになっている |
HiCYCSによってゴミがケース前部に集中する様子 |
さて気になるゴミ捨てやメンテナンスだが、ドラムケースは「デカドラムケース」と呼称されるだけあり、容量1.2Lと大きく、掃除ごとにゴミ捨てをする必要がない。捨てるときも口が大きく、カバーを開けてゴミ箱に向けるだけでOKと実に使い勝手がいい。
アウターフレームやフィルター、プリーツフィルターの掃除も楽だ。ほとんどのゴミはドラムケースとアウターフレームにあり、フィルターには細かなチリがついている程度なのだ。プリーツフィルターに至ってはほとんど汚れておらず、頻繁にメンテナンスをする必要がない。またプリーツフィルターは紙製だが交換不要で、水洗いもOKとなっている。使っている感じではゴミ箱上ではたくだけで十分と。主にメンテナンスするのはドラムケースとアウターフレーム、ときどきフィルターとプリーツフィルターといった具合でよさそうだ。
主にメンテナンスするのはダストケース、アウターフレーム、フィルタユニットの3つ | ダストケースは大きく持ちやすいだけでなく、取り外しも本体上部のスイッチを押すだけなのでカンタンだ | フィルタとプリーツフィルタはセットになっている |
また3部屋をまとめて掃除して吸引力の変化や汚れ具合をチェックしてみた。吸引力はまったく変化なく、ダストケース横にあるゴミ捨てラインに達するまで絶好調に吸引してくれていた。フィルタの汚れ具合などは写真を見てもらいたい。
ダストケースサイドにあるゴミ捨てラインいっぱいにしてみたところ。ちなみに3部屋掃除してようやくいっぱいになった | ブラシヘッドのほうはというと、あまり汚れていなかった | ダストケースを取り外したところ、ケース背面にもホコリがびっちりだった。どれだけ汚れていたんだろうか、我が部屋は |
ダストケースのフタを開けたところ。これくらいゴミがたまっても吸引力が損なわれないから、頼りになる | アウターフレームを外した奥の受け皿部分には細かいホコリだけがあった。またアウターフレーム側には少しホコリがあった程度だった | フィルタとプリーツフィルタの汚れ具合は写真の通り。意外とプリーツフィルターに細かいホコリが付着していた |
■お手頃価格でしっかりした掃除機が欲しいならコレ
YC-T008GRは希望小売り価格21,000円なのだが、実勢価格を見てみると11,000円~15,000円が多く、その性能からするとコストパフォーマンスの高い製品だ。コンパクトに収納できるし、吸引力の持続も長く、さらにゴミ捨ても楽々ときている。小型クリーナーからのアップグレード対象にも最適で、ちょっと狭いがしっかりした掃除機が欲しいというなら、YC-T008GRを強くオススメしたい。
2009年6月29日 00:00