家電製品ミニレビュー
シー・シー・ピー「真空パック器 BM-V05」
BONABONA 真空パック器「BM-V05」 |
自炊開始当初からの悩み、それはせっかく買ってきた食材が傷んで使い物にならなくなってしまうこと。安いときにあれこれ買うのはいいが、今度は使い切れず、最後には腐らせて捨てるはめに。筆者の場合、とにかく野菜をダメにしてしまうことが多い。冷蔵庫の片隅で、変わり果てた姿で発見される野菜には胸が痛む。これでは節約どころか無駄遣いだ。これまで無駄にしてきた食材のコストを考えると本当に頭が痛い。
そこでテレビCMを見ていて気になっていたのが、自宅で手軽に真空パックができる機械だ。真空パックといえば、ハムやベーコンなどを筆頭に、ハンバーグやミートボールなどスーパーのお総菜コーナーでよく見かけるパッケージだ。袋内の空気を抜いて酸素を無くし、酸化の進行を抑えているのである。
自宅で手軽に真空パック……猛烈に心惹かれるものがあったが、値段を見るとどうしても手が出ない。サイフが真空パック状態になりそうだったからだ。同じような思いで見つめていた方も多いのではないだろうか。
そんな同志にご紹介したいのがシー・シー・ピーの「真空パック器」である。なんと1万円を切るお値段でご自宅で真空パックができるのだ!
メーカー | シー・シー・ピー |
製品名 | 真空パック器 BM-V05 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 8,589円 |
■誰でも手軽に真空パック作り
白とオレンジ色の配色がかわいいシー・シー・ピーの真空パック器「BM-V05」は、これ1台で真空パックや、ポリ袋の口を接着できるマシンだ。
真空パックできるのは、肉、ホワイトソースやトマトソースといったソース類、おかずやご飯など。大切なアクセサリーなども、シルバーなどの酸化しやすいものはメンテナンスしてから袋に入れて保存しておくと変色が防げるから便利だ。
サイズは幅345mm、奥行き150mm、高さ75mmで、重さは2.2kgと、女性でも片手で簡単に持ち運べるサイズだ。取扱説明書の他に、真空パック用の専用抗菌袋と、真空パックされた材料を使ったレシピ集「オイシイ保存帳」が1冊付属する。専用抗菌袋は「大」が28cm×34.5cm、「小」は20cm×25.8cmでそれぞれ10枚入り。真空パックはこの専用抗菌袋でないとできないので、非常に大事な袋なのだ。(追加購入は可能)
正面からみたところ | カバーを開けたところ | 取扱説明書などの付属品 |
付属の専用抗菌袋。真空パックはこれで行う。追加購入も可能 | 専用抗菌袋のつるつるした面 | 専用抗菌袋のでこぼこ面 |
袋を接着させる接着用熱線とスポンジパッド |
真空パックしたいときは、袋を挟んでボタンを押すだけ。パックしたい食材などを専用抗菌袋に入れ、つるつるした面を上にして、袋の開口部をスポンジパッドの内側に置く。袋にシワが入っていないことを確認したら、カバーの両サイドについている開閉ボタンに手を置き、「カチン」と音がするまでカバーを押し下げるのだ。
シール温度を「中」にセットし、「スタート/ストップボタン」を押すと自動的に吸引作業が始まり、吸引が完了すると自動的に開口部の接着作業に入る。接着作業に入ると一旦ランプが消えるので、再び点灯したら作業完了の合図だ。本体右上の「真空解除ボタン」を押してカバーが持ち上がればパック完了という流れだ。
本体裏には「取水カップ」がついており、吸引作業中に吸い込まれた液体や粉末はこのカップに排出されるようになっている。
なお、置き方が中途半端だったり、奥まで置きすぎたり、シワがよる状態だとと吸引作業に失敗することがあるので気をつけよう。またパック直後は袋の接着部分が熱くなっているので、いきなり触らないように注意しよう。
パック完了後に押す「真空解除ボタン」 | 操作部。シール温度は専用抗菌袋の厚さが基準となり、薄ければ「低」、厚ければ「高」を選ぶ | 裏側。吸い込んだ水分や粉を排出するための「取水カップ」がついている |
■シール機能で袋の口を接着すればオリジナルサイズの袋もできる
付属の専用抗菌袋は2サイズ用意されているが、そのまま使うと余りがでてもったいないこともある。そんなときは余分な部分をカットしてからパックしてみよう。
この切り離した部分もシール機能で改めて接着すれば、オリジナルサイズの専用抗菌袋の誕生だ。真空パックと同じように袋を挟んだら、「シール温度」をセットして手前の「シールバー」を押すだけ。シール温度ランプが消えたら接着完了。少量専用の袋もできて一石二鳥というわけである。
シール温度は「高」「中」「低」の3つから選択できる。専用抗菌袋で真空パック、または袋の接着を行うなら「中」を選ぶ。同じ厚みをもつ袋を接着させるときは「中」を選び、厚ければ「高」、薄ければ「低」となる。シール機能は市販のポリ袋にも使える。
上下ともカットされている筒状の専用抗菌袋の一方を接着し、袋状にする様子 |
■下ごしらえしたニンジンを小分けして保存
もう一品あったら……というときのために、加熱調理したニンジンを真空パックにしてみることにした。これなら食べたいときに温めて軽く味を調えるだけとなる。肉料理に添えたり、サラダに加えれば彩りと栄養が同時に追加できて便利だ。
専用抗菌袋「小」を半分にカットして、必要な分だけ真空パックする | 量を変えておけば更に使いやすくなる |
いったん電子レンジで加熱調理したニンジンを真空パックにしている様子 |
■適当なラップでごまかしていたハムやベーコンを真空パックに
恥ずかしながら、ハムやベーコンの場合、開封して使用するもののその後ラップで適当にグルグル巻きにして冷蔵庫へ放り込むことが多い。すると後から入れた食材に押されて冷蔵庫の奥に押し込まれ、気がつくと哀れなまでに乾燥していたりする。余った野菜も同様だ。
そこで真空パック! するとそれまで冷蔵庫の中で場所を取っていたスチロールの容器や、中途半端に開封された袋が不要になってスッキリ。おかげで収納率も高まった。すると今度は賞味期限をメモできるシールが欲しくなってくるのだが。
残ったベーコンの真空パック | 残ったハムの真空パック。パックした日や賞味期限などを書いておくとわかりやすい | かさばる容器は処分する! |
■買ってきた鶏肉や豚肉を小分けにして真空パック
2枚入りの鶏肉は1枚ずつ、豚肉は1回分ずつに分けて真空パック |
肉類も1度の調理で使う分だけ小分けにすれば、必要な分だけ作ることができるのでありがたい。冷凍しても、袋を開ければそのまま電子レンジで解凍できるので洗い物も減らせる。肉は安売りの際にまとめて購入するという方にはお勧めだ。
■つきたて餅を真空パック
柔らかいつきたてのお餅があったので、丸めて真空パックにしてみた。すると、翌朝も指で押せるほど柔らかい状態を保っていた。鍋にお湯を沸かして入れてみると、再びつきたて餅のような軟らかさを取り戻した。袋に穴を開ければ電子レンジで温め直すこともできる。これならご飯の保存にも十分使えそうだ。
小さな袋を作り、1個ずつ真空パックしておいた餅を鍋のお湯の中へ | 簡単に温められてよい | 食べたい分だけ温め直し、納豆と大根と海苔でさっぱりと |
破裂防止のため、袋に数箇所穴を開けて電子レンジにいれてみた。 | そのまま電子レンジへ。ただし電子レンジの場合、水分が多い食材の場合は容器に移し替えた方が安全だ | 中の餅があたたまっているのが分かる |
お餅らしいリアクションも見られた | 取り出したお餅は、バター、醤油、もみ海苔で味付け |
■浅漬け作りも真空パックで
「あ、漬け物がない!」と思ったら「浅漬けの素」の出番 |
空気を抜く……で気がついたのは「浅漬け」作り。ときどき粉末の浅漬けの素を利用するのだが、作る際袋の空気を抜いているのだ。だったら真空パックにしてみようと考えた。
専用抗菌袋に野菜と粉末の浅漬けの素を入れ、全体に行き渡るようよくもみほぐす。その後真空パックにして、20~30分冷蔵庫で寝かしてみた。
圧縮が漬け物石の効果を果たしたのだろう。できあがった浅漬けは、単にもんで30分置いたいつもの浅漬けよりしんなりと柔らかく、味も染みこんでいた。これは意外と便利かもしれない。ただし、液体の浅漬けの素は空気の吸引時に抜けてしまう恐れがある。試すなら粉末か塩などがお勧めだ。
浅漬けの素のポイントは「空気を抜く」こと | 全体によくなじませてから真空パックに | 空気はぴったり抜けている |
広がった水分 | 30分後の様子。かなり水分が出てきている | 完成した浅漬け |
■食べかけのケーキをポリ袋に入れて接着
食べかけの手作りケーキを保存するのに、市販のポリ袋に入れて口を接着してみた。専用抗菌袋に比べて非常に薄いので少々心配だったが、シール温度を「低」にして試したところ問題なく接着できた。こうなるとお店でも開けそうな気がしてくるから不思議だ(笑)
市販のポリ袋は専用抗菌袋に比べて非常に薄いので、シール温度は「低」 | いつもと同じ要領で接着すると、即席のケーキパックが完成 | しっかり接着されている。破れたポリ袋の修理にも使えそうな気がしてきた |
■パックしてはいけないものもある!!
便利な真空パック器だが、液体や水気の多いもの、粉っぽいもの、ポテトチップスのような割れやすい食材は真空パックに向いていない。吸い出される空気とともに水分が簡単に流れ出てしまう材料はNGなので覚えておこう。
意外と向いていないのは調理前の生野菜である。パックして長期間保存したいと思うだろうが、買ったままのニンジン、ジャガイモ、ゴボウなどは真空パックしても野菜からエチレンガスが発生してしまい、数日でパンパンに膨らんでしまうのだ。そのまま放置すると見た目は変わらないが、ガスの臭いが染みついてしまうので、調理しても味は保証できない。また生のキュウリもそのままパックするのはお勧めできない。試してみたところ、目立ってガスは発生しないものの、全体的にしんなりして味も香りも損なわれ、とてもおいしいとは言えない状態になっていた。野菜を保存する場合は、一旦加熱するなど下ごしらえをしておくといいようだ。
NG例として、結構水分の多い春雨の中華サラダを真空パックしてみることにした | 一見普通だが、パックの上まで水分が上がってきて、本体にまで染みだしてしまった。その様子は動画で確認できる |
空気が抜けると同時に水分が上がっていくのが分かるだろう。この手の食材は「シール」にとどめておくほうがいいようだ |
■食材の有効活用に役立つ一台
真空パック器「BM-V05」を使えば、匂いの強い食材も匂い移りすることなく保存できるし、容器はいらないし、保存スペースも節約できる。これは食材の無駄をなくし、有効活用したい方にはうってつけだ。
作りすぎたおかずを誰かに分けたいなんてときも、いちいち容器を探さずに済む。真空パックできないような水分の多い料理でも、専用抗菌袋に入れて空気を抜かずに口を接着するだけで、持ち運びの際の安全性も高まる。アウトドアでも、おかずをパックしてゆけば茹でるだけで温め直しができる。実家の親に紹介すれば、手製のおかずが届く確率が高まるかもしれない。
とはいえ、すでにNG食材でご紹介したように真空パックは万能ではない。また、保存期間をやや伸ばせるというだけで、永遠に保存できるわけではないので、早めの消費を心がけたいところ。パックの隅に消えにくいペンで購入日やパッケージに記されていた賞味期限などを転記しておくと参考になる。また真空パックする前にできるだけ食材に雑菌がつかないよう、衛生面に配慮しよう。
最後に気になるのが専用抗菌袋の追加購入だ。使い始めは特に楽しいので、調子に乗って、つい袋を大量に消費しがち。専用抗菌袋は家電量販店や、Amazon、楽天市場といった通販サイトでも扱っている。大(20枚入り)の定価が1,680円、小(20枚入り)が1,260円とのこと。ぜひチェックしておこう。
2009年6月25日 00:00