家電製品ミニレビュー

バイスバーサ「Wサンドラックトースター Luca's」

~キッチンを片付けたくなる存在感抜群の横長トースター
Reported by 西村 敦子

単機能な分、デザインにこだわれるトースター

 

Wサンドラックトースター Luca's
 パンの上に具を乗せたりお餅も焼ける万能なオーブントースターとは違って、スライスしたパンを焼くだけという単機能な調理用器具であるトースター。単機能な分、発熱体の近くにパンをセットでき、焼き上がりが早いのが特徴です。

 基本的には2枚のスライスが縦に入れられるボックス型のものが多いのですが、シンプルな構造なためデザインにこだわれる余地も広く、さまざまなデザインの製品が発売されています。今回のバイスバーサ「Wサンドラックトースター Luca's」も、思いきりデザイン重視の存在感あるトースターです。

メーカーバイスバーサ
製品名Wサンドラックトースター ルーカス
希望小売価格オープンプライス
購入場所シティ・ネット
購入価格13,440円

 

ウサギの耳が生えたような独特の形正面から見るとさらにコミカルサンドウィッチ・ラックを入れるボディ内部

フィレンツェ発“バイスバーサ”のデザイン家電

 「Wサンドラックトースター Luca's」は、イタリアの建築家uga Trazzi氏がデザインした存在感のあるデザインのトースター。サイズも430×130×240mm(幅×奥行き×高さ)と一般的なポップアップトースターよりひとまわり大きめです。

 発売元の“バイスバーサ”はデザインにこだわったアイテムを販売するイタリア フィレンツェ発のインテリアショップ。各社のデザイン家電やグッズを取り扱うほか、オリジナルのブランドも持っています。このトースターもそのひとつ。

  トースターはつくりがシンプルでなかなか壊れないこともあって、個人的にそれほど多くの種類を使ったことがあるわけではないのですが、こんなトースターは初めて見ました。焼き上がるとスライスが上に飛び出るしくみの「ポップアップ・トースター」ではなく、オーブントースターの台のようなワイヤーでできた、サンドウィッチ・ラックでパンをサンドして、それをボディにセットして焼くしくみ。焼き上がってもポップアップはしません。

 トースターというとポップアップのイメージがあったので、使い始めは静かに焼き上がることに拍子抜けしました。が、考えてみるといままでポップアップトースターの焼き上がりと同時にする「バフッ」という音に、いつもびっくりしていたことに気がつきました。これであれば、毎朝キッチンでドキドキせずに落ち着いて準備できます。

レトロな雰囲気のめずらしい横長トースター

 「Wサンドラックトースター Luca's」の第一印象は、「なんだこれ?」というもの。独特すぎて、一見トースターに見えないその形とグロッシーな見た目はなにかのオブジェのようです。両側にウサギの耳のように張り出した部分があり、これがラックをひきあげるハンドルになっています。

 

サンドウィッチ・ラックは2個付属開いてパンを挟みますハンドルのボタンでロックの解除ができます

背面にはデザイナー「LUCA TRAZZI」氏の名前入り
背面下にはパンくず用スライド皿もあります

キッチンでも、鏡面仕上げのボディがステンレス部とよく合います
 ボディは鏡面仕上げになったスチール製。全体的とがったところのない丸いフォルムで、レトロでかわいい雰囲気です。ハンドル部分が羽に見えて、なぜかマッキントッシュのスクリーンセーバー「フライング・トースター」を思い出しました。あのフライング・トースターはパンの投入口が2本縦に並んだ形でしたが、「Wサンドラックトースター Luca's」は投入口が横に並んだ薄いボディです。

 操作部分は、前面にある大きな焼き加減調整ダイヤルのみ。その両側に、赤い電源表示ランプと緑のトースト表示ランプがあるだけのシンプルなつくりです。素材感や高級感は抜群で、キレイに片付いたキッチンでなら、存在感はばっちり。外に出しっぱなしにしてオブジェ代わりに飾っておけるデザイン家電です。


両側にまっすぐ入れます。中央に境目があるので、ふたつのラックで挟んで焼くことはできません
ボディ前面のダイヤルで焼き加減を調整します
ダイヤル下のVICE VERSAのロゴ

ホットサンドも作れるサンド式

 実際の使い方は、サンドウィッチ・ラックをボディから取り出し、ハンドルにあるボタンを押してラックをオープン。なかにパンをはさんだら、ハンドルを合わせてロックし、ボディの中にセットします。焼き加減調整ダイヤルを右に回して焼く分数を目盛りで合わせればあとは焼き上がりを待つだけです。

 焼き加減調整ダイヤルは時間をカウントしてる間、キッチンタイマーのようにカチカチカチ……と音がして、設定時間を過ぎると自動的に止まります。焼き上がったら再びハンドルを持ち上げてラックを開き、パンを取り出します。

ダイヤルをまわすと内部の発熱体が赤く光ります。構造自体は普通のトースターと同じ
左が電源表示ランプで右がトースト表示ランプ。ちなみに電源コードが入ったままだとずっと赤いランプがついたままになります
開いたサンドウィッチ・ラックにパンをセット

ボディに入れてダイヤルを合わせればスタート

焼き上がったら再びサンドウィッチ・ラックを開いて取り出します

カリッとおいしく焼き上がりました


 焼き上がると勝手にポップアップする一般的なポップアップ・トースターとは違うため、気がつくと焼けているという感じですが、前述のとおり「ドキッ」とする心臓に悪い瞬間はありません。オーブントースターとは違って焼き面が見えないので、どのくらいの目盛りにセットすればいいのかは悩むところですが、だいたいどのトーストも4分ぐらいでトーストできていました。サンドウィッチ・ラックと発熱体との間にある程度すき間があいているためトーストの上部はのぞけますから、はじめは様子をみながら使うといいかもしれません。

投入したらダイヤルを回して待つだけ。「カチカチカチ」とキッチンタイマーのような音がしますポップアップせずに静かに焼き上がります
  

ボディの手入れは大変。でもキッチンがぐんとオシャレに

 最初、わざわざサンドすることが面倒に感じるのではないかと思っていましたが、パンが薄いとセット時はラックを取り出して開くまでもなく、ハンドルのロックを外しておけばそのまま上からすとんと入ることに気がついたこともあって、普段使いでそれほど面倒さは感じませんでした。

 サンドウィッチ・ラックのサイズは、ちょうど正方形の食パンが入るサイズ。厚さは4枚切りまで大丈夫ですが、横はそれほど余裕がなく、左右のラックもつながっていません。イギリスパンのように背の高いパンは縦にセットするしかなく、上部の耳の部分が飛び出したままになります。

イギリスパンを焼いてみます。縦にしか入らないのでちょっとパンが余り気味

焼いている間も飛び出た状態

焼き加減はのぞき込むとすき間からだいたい見えます

焼き上がり。ラックの網目部分は焼けません

トースターに入っていなかった上部もある程度焼けています


 また、サンドウィッチ・ラックというだけあって、ホットサンドを作れることもウリのひとつなのですが、ホットサンドのように圧力をかけて挟み込 んで焼くわけではないので、四隅がぴったりくっつく感じではありません。厚さとしては、8枚切りのパン2枚でホットサンドを作ると、耳が一部圧着されて ちょうどいい食べやすさでした。ホットサンドのように薄いパンにチーズや卵をたっぷりはさんで……というサンドのしかたをすると、ラックがゆるすぎてセッ トしたとき縦に具が落ちるという場合もありますから、オールマイティに何にでも使えるというわけではありません。

 

ホットサンドを焼いている様子。これは8枚切り2枚を使った例

サンドウィッチ・ラックで適度にプレスされてふっくら仕上がっています

マフィンを焼くためにサンド。こうして普通のトースターでは焼けないものも焼くことができます
表面がカリッとおいしく焼き上がりました
横着ですが、サンドウィッチ・ラックのロック

 さらに、鏡面仕上げのボディは自分の手垢すら気になるため、ガス台の近くなどに置いておくと油はねが結構目立ちます。オブジェとして美しい見た目を維持するには、定期的にクロスで磨いてやることが必要です。

 ただ、このトースターがあるだけで、キッチンがぐんとオシャレになったように感じられるのも事実。個人的には、このトースターが来て以来、ボディに映るキッチンがごちゃごちゃしていることが気になってしまうようになり、以前よりキッチンに置くものを厳選して、シンプルでキレイになるよう意識するようになったのが大きかったように思います。決してオールマイティでも機能満載でもないですが、アナログな雰囲気があるだけに、徐々に愛着が沸いてくる、「飾れる」おすすめのトースターです。




2009年4月2日 00:00