家電製品ロングレビュー
東芝「トルネオV」は家具の下から布団まで“家中丸ごときれいにできる”[後編]
by 神原サリー(2013/12/2 00:00)
ロボット掃除機は別として、掃除機というのは家電の中でも“人がいて完結する”という点で、ある意味独自の立ち位置にある。つまりお任せというわけにはいかず、どこかしらストレスがたまる部分があるのが掃除機なのだ。
しかし、東芝「トルネオV VC-SG513」が、“掃除をしたくなる掃除機”なのは、前編でお伝えしたとおり。軽くて引き回しがしやすく、「ゴミ残しまセンサー」が達成感を与え、6つのアタッチメントと専用の収納バッグまでついているという念の入れようだ。
後編では、日々の掃除でのさらなる使用感や、2012年モデルの「トルネオV VC-SG512」との違い、そして軽量モデルの「トルネオV コンパクト」についても併せて紹介しよう。
メーカー名 | 東芝ホームアプライアンス |
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製品名 | トルネオV VC-SG513 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | yodobashi.com |
参考価格 | 79,800円 |
延長管やヘッドまで軽く、じゅうたんや家具の下も楽々お掃除
12気筒のバーティカルトルネードシステムで、しっかりゴミを分離する「トルネオV」は、フィルターレスの本格サイクロンながら、本体重量3.3㎏と小型なのも大きな魅力の1つだ。それだけではなく、延長管やヘッドまでカーボン素材を使用しており、軽くて操作がしやすい。
じゅうたん敷きの部屋の掃除も、自走するヘッドでゴミをかき取りながらすいすい進み、ちょっとした方向転換の際にも、手首を軽くひねっただけで負荷を感じずにヘッドの向きが変わる。
広いとはいえない独立型のキッチンの掃除をする時も、本体がコンパクトなので引き回しがしやすく、フローリングの床からキッチンマットに移動すると、自動でパワーの強弱を調節してくれるのでムダがない。床に置いてある野菜かごを移動するため、スイッチをオフにしないまま手を離してハンドルを下に置いても、「節電アイドリング機能」が働いて、6秒でアイドリング状態に入り、再び掃除を始めるとスムーズに動くという賢さだ。ヘッドが浮いてから60秒たつと運転停止になるので、もしも何かの都合でこのまま掃除をやめてしまったとしても安心。いやはや至れり尽くせりで助かる。
また、ホコリのたまりがちな食器棚の下もヘッド部分が薄いために楽に入っていく。グリップをひねれば奥まで到達、ヘッドが浮かずにぴたりと床に吸いついて掃除できるので、ホコリの取り残しもない。ゴミ残しまセンサーの赤いランプを確認しながら、掃除をすれば完璧だ。今回、撮影のため、食器棚の下の部分を、フラッシュを焚いて撮影してみたところ、まるで拭き掃除をしたようにきれいになっているのを確認できて、うれしくなった。
コシのあるブラシで気になるところをサッと
アタッチメントを使わずとも、「延長管の先」や「ホースの先」に折りたたまれて付いているブラシもとても便利だ。前編では延長管の先に付属しているブラシで、廊下の壁の幅木の掃除をする様子を紹介したが、ホースの先のブラシは、たとえば空気清浄機などのプレフィルターの掃除に活躍する。
わが家では愛犬のハウスのそばに脱臭機を置いているが、吸い込み口や集じんフィルター部にたまりがちなホコリや犬の毛の掃除をするときも延長管を外し、ホースの先のブラシを起こして、サッと使える。
そのほか、ソファの溝などもグリップを握って、ハンドクリーナーのようなイメージで掃除ができるのがいい。
「ふとん用ブラシ+ゴミ残しまセンサー」でハウスダストもしっかり吸引
最近、清潔であることを重視する赤ちゃんのいる家庭などで特に注目が集まっているのが、ダニなどのハウスダスト、花粉対策に有効だという“布団掃除”。専用機を購入しなくても、トルネオVのアタッチメントの1つ「ふとん用ブラシ」を使えば、12気筒の小さなサイクロンが微細なチリや花粉まで捕え、しかも目詰まりの心配もない。
ふとん用ブラシには、ビーズ状の大きなたたき玉がついており、1回転で16回たたく仕組みになっている。ゴミ残しまセンサーで確認しながら、ふとん用ブラシを転がしていくと、ふとんに潜むハウスダストやダニがどんどん吸引できる。パワフルな吸引力がありながら、ふとんのカバーなどは吸いつかない構造になっているため、力を入れずに転がすことが可能だ。表面だけでなく、奥の奥に潜むハウスダストも捕れる。
一般的なハウスダストの大きさを見てみると、ダニが50~300μm、花粉は10~100μm、カビ胞子が1~50μm、細菌・ウイルスが0.5~5μmといわれている。このトルネオVは粒子径0.5μm以上の微細塵を99.9%捕塵するというのだから心強い。しかも捕えた微細塵は、ダストカップにたまるため、それをサッと捨てるだけでOK(その際にはマスク着用をおすすめする)。フィルターレスなのでお手入れも不要だ。
分解して水洗いもできる“洗えるサイクロン”
2012年モデルの「トルネオV VC-SG512」との違いは、バーティカルトルネードシステムが水洗いに対応したこと。ダストカップのみだったが、新たに12気筒の遠心分離機構も水洗いできるようになっている。
とはいえ、基本的にはダストカップのゴミを捨てた後、カップの底についているお手入れ用のブラシで、分離ネット部やダストカップカバーのゴムパッキンやすき間にたまっている細かなホコリをかき出す程度で十分。先に紹介したふとん掃除の後などで、どうしても汚れが気になるようなら、分解して水洗いしよう。ただし、その後、十分に乾燥させることを忘れずに。ちなみに部品が少ないので、分解や組み立てはとても簡単だ。
そのほか、本体後部右側にある「メンテナンスサイン」が点滅したら、排気清浄フィルターとプリーツフィルターのお手入れをする必要がある。背面にあるツマミを引っ張って排気清浄フィルターを取り出し、スポンジ状の排気清浄フィルターと、その下にあるプリーツフィルターを手のひらで数回たたいてチリを落とせばOKだ。こちらも汚れが特に気になるようなら、水洗いもできる。
さらに軽く、本体を持っても掃除がラクな「トルネオV コンパクト」も
「トルネオV」には、タイヤ部分を覆うカバーデザインが印象的な「トルネオV コンパクト」が姉妹機として用意されている。凹凸が少ない新デザインを採用することで、家具など障害物の間をスムーズにすり抜けられるほか、本体を手で持って掃除をする際にタイヤが衣類に直接触れないという利点もある。本体重量は「トルネオV」よりも約0.4㎏軽い2.9㎏だ。
コンパクトながら、機能は本格的だ。10気筒のバーティカルトルネードシステムを採用し、6つのアタッチメントと収納用バッグがついている。軽さ以外の大きな違いとしては、サイクロン部が水洗いできないことと、「ゴミ残しまセンサー」がついていないことだ。
軽いと思っていた「トルネオV」だが、実際に持ち比べてみると「コンパクト」のほうはまさに驚きの軽さで、よりスムーズな引き回しが可能になっていることを実感できる。本体を手で持つ時にも、なめらかなカバーがタイヤを覆っているので体から離して持とうとしなくてもよいのは女性にとって、うれしい配慮だと感じる。「ゴミ残しまセンサー」がついていないのは残念だが、一戸建てなどで2階に持ち運ぶことがある場合や、なるべく軽いものを望んでいる高齢者には特におすすめだ。
これ1台あれば、大掃除もバッチリの「トルネオV」
「トルネオV コンパクト」は強い吸引力を持続するサイクロンクリーナーであることに加え、軽くてデザイン性もよく、アタッチメントも充実しているという点で魅力的だが、コンパクトな分、ダストカップの集じん容積が0.25Lと一回り小さい。
わが家のように犬を飼っている家(しかも大型犬)では、抜け毛が多くゴミも多くなるため、やはり選択肢としては「トルネオV」のほうが安心だろう。そして何より、一度使うと頼りにしてしまう「ゴミ残しまセンサー」の存在は大きい。
最近は要所要所で、掃除機も使い分ける方法が広まりつつあるが、「トルネオV」が1台あれば、2台目の掃除機は不要。これから暮れにかけての大掃除シーズンにも、気になるところをこれ1台で、すべてきれいに掃除できる……いや、普段からこれを使っていれば“大掃除”すら、必要がなくなることだろう。掃除大好き人間にも、掃除嫌いな人にも、心からおすすめできる掃除機だ。