趣味の節電道入門

第3回:失敗しない「緑のカーテン」の作り方

 節電に少しでも興味のある方には説明不要と思うが、「緑のカーテン」とは、ヘチマやゴーヤーなど、つる性の植物を屋外にカーテン状に生育させ、日光を遮ることにより屋内の気温を下げる手法である。グリーンカーテンとも呼ばれる。単に、日本語と英語の違いだが。

 わが家では、2009年からベランダで緑のカーテンを作り始めた。その結果、真夏でもエアコンの使用を極力減らせている。窓ガラスに貼り付けるタイプの遮熱シートも売られているが、直射日光が当たる窓でなければ、夏場は効果が薄いだろう。緑のカーテンでは、ベランダなど空間ごと遮熱する。そのため、窓からムワっとした熱気が入ってくることを防げ、網戸ですごすことができるのだ。

今年植えたゴーヤーの苗。品種はポピュラーな「太れいし」。1つ157円(税込)とリーズナブル。品種によっては500円以上の苗も。お好みでどうぞ
ネットを張って這わせていくとカーテン状になる

メリットと失敗しないコツ

 節電以外にも緑のカーテンのメリットはある。ひとつは、育てる植物によっては食べられる実が収穫できること。わが家はもっぱらゴーヤーだが、チャンプルーやおひたし、カレーなどの食材として、ひと夏楽しめる。ゴーヤーはカリウムやビタミンC、カルシウム、マグネシウムが豊富で、夏バテ防止にも効果があるらしい。

 もうひとつのメリットは、外からの目隠しになることだ。ベランダの向かいに道路や住宅があっても、丸見えでなくなるので、ベランダで夕涼みがしやすい。緑のカーテンがあると、もっと広いベランダでテーブルやイスを置きたいと思うようになる。

 反対にデメリットとしては、生育が悪いとカーテンとしての役割を果たさないことがある。デメリットというより不確定要素ですな。生育不良を防ぐ決め手は「土」にある。同じ土を毎年使い回していると、確実に葉の茂りが少なくなってくる。当然、実もなりにくい。培養土や堆肥の入った土を毎年入れ替えるようにしよう。土の量も大事で、1つの苗につき15Lは欲しいところだ。

花が咲いて、雌花が実となる。収穫時期を逃すと黄色くなってしまうので注意(まぁ、食べきれないぐらい実るんだが)
個人的には、ゴーヤーをもっともおいしく食べられるのはチャンプルーだと思う。豚肉、豆腐、卵との相性はバッチリ。沖縄料理だけに夏バテ防止も期待できる。

 ゴーヤーは、ほかの実がなる野菜に比べれば栽培が簡単(実が虫に食われるようなこともない)。だが、日照不足や冷夏といった要因で、生育が不良となる可能性はある。葉っぱがスカスカだとカーテンの効果をあまり果たしてくれないのだ。

 そういう失敗をリカバリーする、もしくは「園芸なんてダルくてやってらんねーよ」という人におすすめの方法がある。最初からカーテン状のものを張ってしまえばいいのだ。

 具体的には、園芸用の遮光ネットを使用。これを物干し竿用の金具などを利用してベランダに取り付けるのだ。遮光率が70〜80%以上あれば、かなりの日よけ効果を発揮する。価格も2×6mのサイズで1,500円ほどと安く、しかも繰り返し使用できる。

 欠点は、見た目がかなり仰々しいこと。下の写真をFacebookにアップしたら、「爆撃されるぞ」とコメントいただいた。確かに、戦場で使用されるカモフラージュネットに近いものがある。まぁ、節電は戦闘である、という理解でひとつヨロシク。

遮光ネットをベランダに張ったところ。上部のハトメにひもを通すように張っておけば、まさにカーテンのように開閉が可能だ
これが戦場などで使われるカモフラージュネット。日本語では偽装網。植物に見せかけた、戦場での「緑のカーテン」であるとも言える。これをベランダに張ってもいいが、園芸用の遮光ネットにくらべると値段が高いのが難点

小口 覺