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はじめての注文住宅購入レポート その1~もしかして今、住宅が買い時!?

筆者が選んだウィザースホームの注文住宅

 どうも。インプレスで営業をしております瀬戸と申します。私ごとですが、齢40歳にしてマイホームを購入することになりました。でもっていろいろ調べてみたら、今時の家がとっても進化していてビックリ!! 高断熱で省エネな上に24時間換気だったり換気扇が自動で洗浄されちゃったりとすごく高性能!! 言ってしまえば、家そのものが家電化しているんです!!

 なので、編集長にお願いして家電 Watchでレポートを書かせていただくことになりました。家を買おうと思っている人に役立つ情報をお届けできると思うので、おつきあいください。

 その2はこちら

 ワタクシ、40歳にして未だしがない平社員。このまま一生賃貸暮らしかなーと思っていたのですが、築35年の家に住んでいたお義父さんが「半分出すから家建て替えて一緒に住もうよ」と一言。マヂ?

 筆者の実家は、都心に通勤するにはちょっと遠すぎるけど、妻の実家なら通勤時間はドアトゥドアで1時間30分くらいなのでなんとかなる圏内。土地もあって上物(建造物)が2,500万円ぐらいだとしても半分出してくれるなら、もしかして自分でもマイホーム持てちゃうってこと? それならマスオさん生活も悪くないカモ!? と、まぁ早い話が金に目がくらんだのがキッカケであります。

 しかし、結論から言うと世の中そんなに美味い話はありませんでした。いざハウスメーカーにお義父さんと行った時の会話がこちら。

義父:「で、いくらぐらいの家になりそうなんだ?」

筆者:「上物で2,000~2,500万円ぐらいじゃないですか」

義父:「あ? はぁ?? はぁぁぁ~~~~っっ???」

筆者:「へ!? (なにこのリアクション?? あれ? 俺なんか変なこと言った?)」

義父:「なに言ってんの? そんな高い家買うの?? 俺の家買ったとき、上物で750万円くらいだよ、俺そんなに金ないよ」

筆者&妻:「え? ええ~~~~~~~~っ!!!!」

 どうやら義父の家の予算感は35年前で止まっていたようで……。ってことは、あれですか? 半分出すってのは350万円ぐらいってことですか!?

 こうして筆者の思い描いていた棚ぼたマイホーム購入計画は音を立てて崩れ去ったワケであります……。

 がしかし、ここで終わりではありません。当初のもくろみとは大きく予定が変わりましたが、それでもマイホーム購入計画は決行することにしたのです。なぜなら、それでも今が家の買い時であり、今買うのがお得だと判断したからです。ということで第一回は、やっぱり今買うしかねーんじゃねーかと決断するに至った理由をお話ししていきます。

2015年からは庶民も相続税対策が必要

 幸いなことに妻の親も自分の親もどちらも小さいながら土地を持っております。これまでであれば、「少しは相続が期待できるぜラッキー」ぐらいの気持ちだったワケです。

 しかし2015年から相続税の税制が改正されまして、控除の範囲が縮小してしまいました。わずかな土地とは言え、そのまま相続すれば相続税がかかってくる可能性が出てきたワケです。この土地の相続税というのがやっかいで、お金の相続であればそこから相続税を払えばいいのですが、土地の場合、払えなければ土地を手放すしかない。しかも相続税の評価額と、実際に売れる金額は同じとは限りません。場合によっては、売ったところで相続税分をまかないきれない可能性もあるのです。

 ところがどっこい、「小規模宅地等の特例」というものがありまして、二世帯でその土地に一緒に住んでいると、相続の際にその土地の評価額を80%減らすことができるのです。つまり、今後よっぽど地価が上がらない限り、うちぐらいの土地であれば相続税の心配がなくなるのです。マスオさんになっておくのは、そういった意味でもメリットがあるワケです。

 加えて筆者側の親からも、生前贈与という形で工面してもらうことにしました。こちらもまた、親が亡くなってからの相続という形だと相続税がかかる可能性がありますが、生前の贈与であれば、年間で最大110万円まで非課税になります。加えて住宅購入資金の場合、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」として、今(2015年)ならもう1,000万円(省エネ等住宅の場合1,500万円)分が非課税になるのです。ちなみに、2016年はこれが700万円(省エネ等住宅の場合1,200万円)、2017年は500万円(省エネ等住宅の場合1,000万円)に減っていきます。

 将来相続するであろう分を、この家を買うタイミングで先に贈与してもらえば、その分相続額が減って、相続税も減る、あるいはかからなくなるという仕組みですな。要は、シニア世代がため込んだお金を使わせようという国の施策で、家を買おうと思っている若い世代を後押ししてくれる制度です。かく言う筆者もこの話で親を説得したワケです。

2,500万円も借金できるのか? 俺

 ということでそれぞれの親を説得し、なんとか各500万円ずつ、計1,000万円を出資してもらうことに成功。これで余裕! かと思いきや、まだまだマイホームの壁は高かったのであります。

 というのも、土地がすでにあったとしても、家を建てるには上物代だけでは済みません。登記などの各種諸費用はもちろん、たとえばブロック塀や門などの外構費用、ガスや水道の引き込み費用、もしかしたら地盤改良が必要になるかもしれないし、それにソーラーパネルの費用やカーテン代なども上物代とは別に確保しなきゃいけない。加えて今建っている家の解体費用もバカにならないのです。古い家なのでアスベストなども使われているようで、その分高くつくんだとか。

 でもってこれらをまとめるとざっと1,000万円!!

 マジか!? と思って複数のハウスメーカーに聞いてみましたが、どこもこれぐらいの金額を言うので、間違いではなさそうです。

 マジか~、どうにか親から合計1,000万円を確保したけど、それは全部上物以外で消えちゃうってこと? ってことは自分で2,500万円くらいはローンを組まなきゃいけない。家買うんだからそれぐらいは仕方がないのかなー、でもそんなに返せるかなー、やっぱりやめておこうかなー、とかマジ悩みましたとも。

 今まで買った一番高い買い物と言えば、新車のアテンザ300万円がマックス。2,500万円なんてまったく想像もできない金額。本当に返せるのかとシミュレーションをしてみました。

当初10年は金利0.87%! 変動型並の低金利「フラット35S」

最長35年間固定金利のフラット35。保証人も不要で、繰り上げ返済手数料が不要なのが特徴です

 ローンで考えているのはフラット35Sです。変動型のローンのほうが金利は安いですが、それでも今は史上最低レベルの低金利、今後金利が上がると予想すると今後も金利が変わらない固定金利のほうが安心だと思います。

 期間は、頑張れば20年で返せるかもしれませんが、これから子供が生まれれば、学費などで今より余裕がなくなることは必至。なので、万全を期して35年ローンで組むつもりです。その上で、繰り上げ返済して定年となる25年後までに払い終わるのが理想。ということでフラット35Sの返済シミュレーションのサイトで試算してみます。

 2015年3月現在、フラット35Sでもっとも安い金利は1.47%。2月までずっと最低金利を更新していたところで少しだけ上がりましたが、それでもかなり低い金利です。しかも先日改正されたおかげで、今なら当初10年間は0.6%金利が引き下げられるのです!! つまり当初10年間は金利0.87%! もはや変動型に迫る金利です。

フラット35Sの金利(融資率9割以下の場合)の推移。左が返済期間が21年以上、右が返済期間20年以下の場合の金利。2015年3月時点の金利は最低で1.47%

 では、2,500万円を35年で返すシミュレーションをしてみます。すると月々の支払いは最初の10年が約6万9,000円、11年目以降が月約7万4,000円になります。サイトの注意書きによれば“あくまで目安”とのことですが、これは思っていたよりも安いかも!

フラット35Sの返済プラン比較シミュレーションの結果。当初10年間は、金利が0.6%低くなるフラット35Sで、金利は1.47%、2,500万円、35年ローンを組んだ場合、当初10年が6万9,066円、11年目以降は7万4,188円の試算。右の表は、35年間の支払額と元金残高の減り具合。当初10年間の金利が低いので、利息分がだいぶ抑えられているのがわかる

 個人的には、月10万円というのが一つの指標かと思っていました。というのも、都内に通勤できるエリアだと、家族で住める3LDK程度の家と駐車場を借りれば、月10万円以下の物件というのはなかなか見つからないからです。だから10万円というのは、家族持ちの住環境の必要経費としては下限となる金額だと思うんです。実際に今借りているマンションも10万円以上は払っていますし。

 なので、35年で借りておいて、月の支払いが約7万円。残りの3万円を貯蓄しておいて、これを10年ごとに繰り上げ返済する形で試算してみると、25年と3カ月で返済が終わる計算になります。これであれば、万が一、月に10万円も払えないという状況になっても安心ですし、繰り上げできなかった分は、退職金で支払うといった逃げ道もできます。

 いずれにしても、40歳の男が月10万円程度の支払いで65歳の定年までに返せる借金は、2,500万円ぐらいが限度ということがわかりました。若ければもっと選択肢があるんでしょうが。逆にこれ以上後ろ倒しすれば、返済が厳しくなるだけ。たぶんこの期を逃したら、もう家を建てようなんて思うことはなくなるんじゃないかと。

 これが、義父のおとぼけにまんまとやられてもなお、今家を建てようと決心するに至った最大の理由です。しかし、他にも今買うとお得じゃないか! と思わせた理由がいろいろあるので、簡単に紹介していきましょう。これ、知らなきゃ損ですヨ。

毎月3万円貯蓄して、10年に1度360万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション結果。およそ10年返済期間が短くなって定年の頃にはほぼ返し終わる計算だ

固定資産税が半額に

 賃貸から持ち家になった場合、家賃がローンに変わるだけではありません。これまでかからなかった、固定資産税というのもかかってきます。筆者の周りのいろいろな人に聞くと、ざっと月1万円ぐらいになりそうです。こればっかりは、建てた家がどう評価されるかによるので正確なところはわかりませんが。

 ただし、今だとこの固定資産税についても減税が受けられます。新築戸建ての場合で、当初3年の間、1/2の減額措置が受けられます。我が家は長期優良住宅にするつもりなので、その場合、この期間がさらに2年間延長されます。この減額措置も、今のところ2015年度中に家を取得した場合に限ります。延長されるかもしれませんが。

長期優良住宅だと固定資産税が5年の間半額になるほか、登録免許税や不動産取得税も軽減措置が受けられる

住宅ローン減税で、10年間で最大400万円が減税

 筆者も含め、多くの人は家を買うときローンを組むでしょうが、今ならローンをたくさん組むとその分お得になります。「住宅ローン減税」というのがそれで、当初10年間は、所得税(住民税も含む)が減税されます。減税されるのは、年末時点の住宅ローン残高の1%分。そして、その控除対象が4,000万円(長期優良住宅や低炭素住宅では5,000万円)まで拡大されています。

 つまり、たくさんローンを組んだ人ほどたくさん減税されるワケで、4,000万円以上のローンを組んでいる人は4,000万円分が対象となって、その1%、40万円が控除されるわけです。これが10年間なので、最大だと400万円お得ということになります。

住宅ローン減税の最大控除額が、消費税率アップ前の倍となる、400万円(長期優良住宅では500万円)に

 筆者の場合、2,500万円のローンを組むとして、仮に年末に借りたとします。最初の年が25万円控除、フラット35S、35年ローンで組むとすると、金利を2015年3月現在の金利で計算した場合、翌年の年末の残高は2,438万6,261円。なので、控除は24万3,800円の計算。

 その翌年は、残高2,376万7,159円なので23万7,100円の控除となり、計算していくと10年間で合計240万2,800円控除される計算(実際には、所得税以上は控除されないですし、借りる時期でも少なくなるはずです)になります。

 このローンで支払う利息分は全部で554万4,358円なので、利息の40%程度が控除されることになります。実際には、その分ローンを繰り上げ返済すれば返済期間が2年ぐらい短くできてその分利息も減りますし、あるいは固定資産税分に回したと考えてもいいかもしれません。

すまい給付金は最大30万円

 住宅ローン減税は、たくさんローンを組む人の方がお得度が高いです。逆に収入が少なくてそんなにローンを組めないよ~、という人にとってはちょっと損な気がするワケです。そんな人のために設けられているのが「すまい給付金」です。

収入に応じて最大30万円の現金がもらえる「すまい給付金」

 これは、年収によって最大30万円を現金で給付するというもの。目安として年収425万円以下で30万円、475万円以下で20万円、510万円以下で10万円といった程度。実際には都道府県民税の外区割り額によって決まるので、詳しい計算は住まい給付金のシミュレーションサイトで計算してみてください。

 ちなみに筆者は年収500万を超す程度で、計算したら8万円という数字が出ました。筆者ぐらいの年収だとこれは微妙ですね。もちろん、もらえるものはもらいますけどね。

エコポイントが復活!! その名は「省エネ住宅ポイント」

 実は、筆者が住宅購入を決めた時点ではまだ決定していなかったのですが、「省エネ住宅ポイント」として昨年末にエコポイントが復活しました。これをもらうためには、住宅をある程度エコ性能の高いものにした上で、第三者機関による証明を受ける必要があります。そうすれば、30万ポイントの省エネ住宅ポイントがもらえるんですね。

 このポイントは1ポイント1円相当の計算で、省エネ・環境配慮商品や全国で使える商品券に交換できるとのこと。さらに、これから建てる家の工事費にも充てることができます。

省エネ住宅ポイントのWebサイトで、ポイント交換できる内容などを確認できる

 これは結構大きいですよね。額としては住宅ローン減税よりずっと少ないんですが、後からじわりじわりと引かれるものと違って、購入段階で設備の費用に充てられるというのは、実際に家の設計に入ると、本当にありがたいと実感します。2,500万円の借金からすれば微々たるものなんですけどね。結局、その2,500万円も数十万円の床材とか換気扇とかエアコンとか便器などの集まりなので、具体的に話が進むと、この30万円は大きく感じると思います。

 ちなみに筆者は、すでに具体的な話を進めているワケですが、省エネ住宅ポイントを取得するためには、玄関を今より断熱性能が高いものにする必要があるとのこと。この辺は素人が考えてもよくわかりませんが、今の家は単に頑丈なだけでなく、断熱性能、気密性能がとても高くなっていて、しかもそれを評価する基準まで設けられています。多くの住宅メーカーが高気密、高断熱を売りにしていますので、省エネ住宅ポイントに適合させたい旨さえ伝えれば大丈夫だと思います。

 ということで、今、いろいろ補助や減税があって、家がお買い時なワケですが、2020年の新しい省エネ基準が一昨年に決められまして、今まさに各メーカーから新基準の住宅が登場しているんです。そういった意味でも今が家の買い時! 次回はその辺の話をしていきたいと思います。

瀬戸 学