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“速乾力”にこだわったシャープのプラズマクラスタードライヤー

シャープ「プラズマクラスタードライヤー IB-HD94」

 シャープのプラズマクラスターイオンといえば、空気清浄機や加湿器などに搭載されており、除菌や消臭に効果があるものというイメージが強い。しかし、シャープではその技術をドライヤーにも搭載、2011年からプラズマクラスタードライヤーを販売している。イオンによる美容効果を謳ったドライヤーといえば、パナソニックのドライヤー ナノケアがヒットしており、シャープは遅れての参入となった。

 すでに、パナソニックという強敵がありながら、シャープが高価格帯のドライヤーに参入したのは、プラズマクラスターイオンによる髪への効果に自信があったからだという。今回は、プラズマクラスタードライヤーの商品企画を担当しているシャープ 健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部 国内商品企画部 健康美容グループ 副参事 粉川径子さんに話を伺った。

“速乾力”にこだわる

シャープ 健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部 国内商品企画部 健康美容グループ 副参事 粉川径子さん

 粉川さんは、プラズマクラスタードライヤーへの自信を次のように語る。

 「プラズマクラスターイオンには、静電気抑制効果があります。髪の静電気を抑えることができるというのは大きな強み。2011年にプラズマクラスタードライヤーを発売してから、2013年には業務用の製品も展開しています。これは、プラズマクラスターの効果がプロの方にも認めていただいたからこそ」

 中でもプラズマクラスタードライヤーがこだわっているのが「速乾力」だという。

 「ユーザー調査を行なっていても、一番ニーズがあったのがやはり“早く乾かすこと”でした。女性にとっては毎日使うもので、特に夏などは早く乾かしたいという声が多かった。ドライヤーには、温度、風速、風量の3つの要素があります。これらの組み合わせが重要になるわけですが、バランスが難しい。たとえば温度を高くすればその分、早く髪は乾きますが、高温にしすぎると髪が傷む原因になります。また温度が高すぎると、使っている人も暑いと感じ、しっかり乾いていないうちに使うのをやめてしまうという傾向もあります。そこでシャープでは、風速と直進方向の風にこだわりました」

 内部のファンには、高速飛行する渡り鳥「アマツバメ」の翼形状を応用し、ファンの回転数を高めた。

ノズルから広がる風ではなく、直進方向に風が進むように最適設計したという
高速飛行する渡り鳥「アマツバメ」の翼形状を応用したファンを採用。左が本体に搭載されているもの
ノズル内部に設けられた十字の仕切り。仕切りに風を沿わせることで、風速を失わずに、直進的な風を出すことができるという

 さらにノズル内部にはファンの回転で発生した空気の流れを直進方向に変える機構を備えることで、勢いのある直進方向の風を発生させるという。

 「例えば、扇風機は風量がありますが、扇風機で髪の毛を乾かそうとすると大変時間がかかります。それは、扇風機は室内に風を広げるための製品だからです。一方、ドライヤーは一カ所に風を集中させることで、髪を早く乾かすことができます。プラズマクラスタードライヤーでは、髪の表面をかき分けて、地肌まで届くような直進的な風で髪を一気に乾かします」

 これらの機構を搭載したことで、髪の乾燥時間は約半分まで短くなったという。

髪の毛の量が多い私でも4分かからずに髪の毛が乾いた

 実際、自宅で「プラズマクラスタードライヤー IB-HD94」を使ってみた。私は、2011年発売の初代モデルを愛用しているが、使い比べてみると性能の差は明らか。

 とにかく早く乾く。私の髪は、美容師さんに呆れられるほど、量が多く、乾かすのに、10分弱は必要。それは、プラズマクラスターの初代モデルでも同様で、8分以上は確実にかかっていた。それが最新モデルでは約4分で、髪の根元までしっかり乾かすことができた。

初代モデル(左)と、最新モデル(右)を使い比べてみた
初代モデル(左)の方が全体的に大きめ
髪の毛の量がかなり多い私でも4分弱で根元までしっかり乾かすことができた

 一番の違いは、直進的な風。風が髪をかき分けて、地肌までしっかり届くのだ。風が塊のようになって、髪の毛に届くので、自分で髪をかき分けたり、動かしたりする必要がないくらいだ。髪の毛を乾かすというのは、女性にとってかなり面倒な作業。

 濡れた髪のまま寝ると髪が傷むし、枕も濡れてしまうから、しょうがなくドライヤーを使っているという人も多いと思う。私自身、面倒さが先に立って、濡れたまま寝てしまうこともしょっちゅう。それが5分以内で終わるというのはやっぱり便利だ。

ブラシ付きドライヤーに参入

2014年秋には、同社としては初のブラシ付きドライヤー「プラズマクラスターヘアスタイラー IB-CB54」を発売した

 2014年秋には、同社としては初のブラシ付きドライヤー「プラズマクラスターヘアスタイラー IB-CB54」も新たにラインナップに加えた。

 「ブラシ付きドライヤーというのは、根強いファンがいる製品。昔からブラシ付きドライヤーを使っている人に加えて、ヘアーアイロンなどを日常的に使っていて、髪が傷んでしまっている人もターゲットとしています」

 ヘアスタイラーで特にこだわったのは、ブラシ部分だという。

 「ヘアースタイラーは、髪の毛をセットする時に使うものですから、ブラシに髪をしっかりかませることが重要となります。サイドに短い毛を配置することで、髪をしっかりキャッチできる構造としました」

髪の毛をしっかりキャッチするために、サイドに短い毛を配置した

 同社初のブラシ付きドライヤーだけに、何度も試作を重ねた。

 「ブラシのモデルだけで何パターンも作りました。本体デザインも持ちやすさやカラーにこだわっています。それはヘアスタイラーだけでなく、ドライヤーの方も同様です。女性の人が使うものは、形と色を決めるのが難しいです」

ブラシのモック。ちょっとした違いのあるものを何十も作ったという
手にフィットするように形もこだわった
ドライヤーも、握った状態で全てのボタンを操作できるように工夫した
デザインモックも様々なパターンを用意

ただ乾かすものではなく、使うことで髪がキレイになる

 試行錯誤を重ねて完成したスタイラーとドライヤーは、市場からの反応も上々だという。

 「一般的なドライヤーに比べれば高額な製品ですが、価格差があっても違いが分かるものは売れています。ドライヤーはただ髪を乾かすものではなく、使うことで髪がきれいになるものだと、ユーザーのみなさんが気づきはじめている。値段ではなく、性能で製品を選ぶ人が増えているように感じます」

阿部 夏子