老師オグチの家電カンフー

紙でできたサンドイッチみたいなデジカメ「PaperShoot」を台湾で購入

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 三明治。

 意味わかりますか?

 三明治は中国語でサンドイッチのことで、サンミンチーと発音します。日本の明治時代や明治大学とは関係なく、当て字ですね。ちなみにハンバーガーは、漢堡(ハンバオ)。台湾の街角にはサンドイッチ屋さんがたくさんあって、朝から買って行く人を多く見かけます。炭水化物におかずをセットにして食べるという意味では、小籠包や肉まん、おにぎりも同様。大昔に世界規模で起こった、食のイノベーションといえるかもしれません。

 さて先日、台湾でサンドイッチみたいなカメラを買ってきました。台北駅の地下街をぶらぶら歩いていたところ、お姉さんが謎のガジェットを売っています。見ればデジカメのようですが、デジカメの機械部が基板そのもので、ケースとなる紙のジャケットが交換できる仕様です。

店頭に並んだPaperShootのバリエーション。初めて見ると、「なにこれ?」と吸い寄せられる
購入したら、SDカードを入れての動作確認をしてくれる。親切!
なぜかお姉さんと2ショット写真。旅の恥は何とかってやつです

 製品名は「PaperShoot(ペーパーシュート・紙可拍)」。画素数は500万画素と、スマホのフロントカメラレベル。液晶モニターも持たない、いわゆるトイカメラです。2014年頃からある製品で、当初は紙ジャケットが白1色だったのですが、今ではジャケットの種類がかなり豊富になり、木製のものも展示されていました。1回出して、フェードアウトしていくガジェットも多い中、着実にバリエーションを増やしているのはうれしくなります。

木箱に収められる、ちょい上位モデル。広角レンズと魚眼レンズが付属する
PaperShoot本体(手前側)。基板萌えするよね。上部に開いているのがファインダー。乾電池を入れるスペースもぽっかり空いています
PaperShoot本体(センサー側)。右から、SDカードスロット、撮影センサー、スピーカー、シャッターボタン

 メイド・イン・タイワンであり、1個買うと好きなジャケットをオマケで付けてくれるというので、アタッチメントレンズ付きのセットを購入しました。価格は2380元(約8500円)。細かいことは写真のキャプションに書きますが、見た目の面白さとジャケットが交換できることがキモ。サンドイッチは中の具が変わりますが、PaperShootは外側が変化するのです。

紙製のジャケット。厚手でしっかりしている。モチーフは昔のオリンパスPEN。おまけでもらったジャケットは、昔のマッチ箱のようなテイストのデザインだ
電池は単4形2本。USBでの駆動も可能
サンドイッチのように本体を紙ジャケットで挟み込みます
ネジとセンサーまわりのリングはゴールドとシルバーから選べた
サイドから見たところ。SDカードは横から着脱できます

 トイカメラというとたいてい、安っぽい外観ゆえに飽きやすいのですが、これなら、おもしろTシャツのように着替えられます。なんなら、デザインを自作してみたいぐらいです。企業のノベルティグッズとしても利用できるのではないでしょうか。

紙製のストラップが付属する。お姉さん曰く「ウォータープルーフよ」とのことだが、本体が防水じゃねーし!
アタッチメントレンズは磁石でくっつく
シャッターボタンは、紙に切れ込みが入っていて、押すと基板のボタンが反応する仕組み
ファインダーは穴! 左のスイッチは、カラー、白黒、暖色、寒色の切り替えに使う
LEDが2つあり、撮影準備完了や記録時に点灯する

 PaperShootは液晶モニターがないので、撮影してすぐに確認することはできません。これは昭和40年代生まれのオッサンには、懐かしい感覚です。後で現像するまでは、失敗しているかもしれないというドキドキ感。今、若い女性に「写ルンです」が人気らしいですが、すぐに結果が出ないことに新鮮さを感じるんでしょうかね。

 考えてみれば、今はすぐに結果が見えることだらけです。Webの記事もすぐにページビューやSNSのシェア数で人気がすぐに可視化されますし。紙メディアで育ったライターにとっては、面白くもあり、ちょっと息苦しくもあり。ぜひ「いいね!」「シェア」をよろしくお願いいたします。

左から、カラー、白黒、暖色、寒色。カラーは登場初期のデジカメテイスト。後は昔のフィルムテイストだ
作例。シャッターボタンを押してから撮れるまでのラグがあるので、動く物体は苦手。基本トイカメラなので、たまにキレイに撮れると「おおっ!」と喜ぶぐらいの楽しみ方をしたい

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
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