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ダニ対策にガラストップデザインなど、高機能化でますます好調な洗濯機市場

販売実績を基にしたデータから、国内家電市場の実態を検証(協力:GfK Japan)

 大容量モデルの人気や平均価格の上昇などを背景に、回復傾向にあるという洗濯機市場。近年は、ダニ対策機能やガラストップデザインの採用など、さらなる高機能化が進んでいる。

 市場調査会社GfK Japanによると、家電量販店における2017年1~8月の洗濯機の販売台数は、前年比4%増、金額前年比7%増と好調に推移。月別の販売台数をみても、ほぼすべての月で前年同月を上回っており、直近の8月では前年比9%増という結果になった。

業界最大容量12kgを実現した日立の縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ BW-DX120B」。ガラストップデザインを採用
2017年1~8月の販売台数。ほぼすべての月で前年同月を上回っている

 2017年1~8月における、平均価格(税抜)は約69,600円と、前年同期から3%上昇。この背景として、大容量化とガラストップの搭載が挙げられるという。

 洗濯容量8kg以上の大容量クラスは年々拡大しており、2017年で販売台数の51%を占めている。中でも10kg以上はラインナップも拡充され、2割以上に達した。

 GfK Japanの行村真実子アナリストは、「こうした大容量クラスが引き続き支持されていることから、1度により多くの衣類を洗濯できることで手間を軽減したい、カーテンや布団などの大きい洗濯物も自宅で洗いたいというニーズが依然高いことが伺える」とコメント。

洗濯容量別の数量構成比

 また、ガラストップデザインは、2014年に業界で初めて縦型洗濯乾燥機に搭載されて以来、多くのメーカーで採用が進んでいるという。フラットで傷が付きにくく、汚れがサッと拭ける掃除のしやすさなどから、好評を博している。

 ガラストップ採用モデルの数量構成比は17年1~8月で、縦型全体の31%を占め、前年同期から7%拡大。8kg以上の大容量クラスに絞ると半数以上を占めるという。

 「従来、ガラストップは縦型の中でも大容量クラスや乾燥機能付きに搭載されていた。しかし、最近では洗濯容量6kg未満のクラスや乾燥機能が付いていないモデルにも搭載されはじめており、今後も広がりそうだ」(行村アナリスト)

シャープの縦型洗濯乾燥機。ガラストップによるフラットデザインで掃除が簡単としている。シースルー設計により、洗濯中の動きも見える

 また行村アナリストは、洗濯乾燥機の高機能化について、「洗濯乾燥機は、シワが付きにくい、衣類が傷みにくいというメリットに加え、温風加熱によりダニなどのアレル物質を取り除いて、衣類や寝具を清潔に保つことなどが訴求されている。こうした機能を搭載したモデルは、2016年秋頃から見受けられるようになった。健康・清潔に対する消費者の関心は高いが、価格に見合った価値として捉えてもらえるかも注目されている」とコメントしている。

パナソニック「ななめドラム洗濯乾燥機 NA-VX9700」。洗濯前にダニを高温加熱する「ダニバスターコース」搭載
日立は温風でダニを加熱し、すすぎで洗い流す「ダニ対策コース」を用意

 出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ」