第3回:エアコンの節電法、実際どれだけの効果がある?
7月に入って、節電に積極的に取り組んでいる人も多いと思うが、夏の電力消費の約半分はエアコンによるものだ。「使わない電気機器のプラグをこまめに抜く」「なるべく家族全員が居間に集まるようにする」といった細かな節電を心がけるのもいいが、てっとり早く節電効果を得るなら、まずはエアコンの省エネ作戦から始めると、効果は絶大なものになる。
そこで今回の「実践! 家電ラボ」のテーマは、「簡単にできるエアコンの節電」だ。「設定温度を28℃にする」という、よく言われているようなアプローチから、「冷房じゃなくてドライ(除湿)運転にした方が電気代が安くなりそう」とか、「カーテンを閉めたり窓にUVカットフィルムを貼ったら電気代が安くなりそう」といった“かも知れない節電”を試して、本当はどれだけの節電効果があるのかどうかを、検証していくことにする。
夏に最も電力を使うのはエアコン。会社で会計に携わっている人はご存知の通り、大きな割合を占めるところから経費削減していくのがセオリーだ | いや~、いかにもヤラセっぽい写真だけど、たまにはこんなのも新鮮でしょ? |
分からんことは、自分で作る! 調べる! やってみる!
Do in oneself!
というポリシーのままに、実験で明らかにしていこう。
■設定温度を28℃にすると、25℃設定に比べ1カ月で約2,000円お安く!
まず検証するのが、よく言われる「温度設定は28℃にする」が、どれだけの節電効果があるのか? についてだ。温度設定25℃の場合と比べ、電気代にどれだけの差が出るのかを見ていこう。
しかし、この実験をするに当たって困ったのが、外気温の問題だ。エアコンの設定温度は28℃としても、外気が30℃と35℃の場合じゃ、消費電力は大きく違ってくる。気象庁発表の昨年8月の最高気温を調べてみたところ、所長が住んでいる横浜では最高で35.2℃を記録したというが、その時の外気温によって、消費電力はコロコロ変わっちゃう恐れがある。
そこで今回の実験では、設定温度25℃と28℃にした場合の相対的な消費電力の違いを見るために、ある実験日の気温よりマイナス10℃の場合を「外気35℃の場合の、設定温度25℃相当」、マイナス7℃の場合を「外気35℃の場合の、設定温度28℃相当」と見なし、それぞれの消費電力の違いを見てみよう。
もちろんこの場合、外気温以外にも窓から差し込む日差しや窓から伝わる熱などもあるので、各自の家で実験しても必ず同じ数値にはならない。あくまで参考程度ということに、ということは頭にとどめていただけると嬉しい。
実験は、昼間の14時から3時間エアコンを冷房運転した消費電力と電気代を、ワットメーターを使って測定した。その結果が次の表だ。
運転モード | 設定温度 | 1時間あたりの平均消費電力 | 3時間の電気代 |
冷房 | 28℃相当 | 667Wh | 44.0円 |
冷房 | 25℃相当 | 977Wh | 64.5円 |
表に示した通り、設定温度が3℃違うだけだが、3時間の運転で20円の差が出た。
とはいえ、実際には3時間だけ冷房をしているというのはまれなので、これを3倍して9時間運転したものとして、月あたり(30日間)の電気代に換算してみる。
すると、結構な差がでてきてしまう。えーーっ!って位に…。
運転モード | 設定温度 | 月あたりの合計消費電力 | 月あたりの電気代 |
冷房 | 28℃相当 | 180,090Wh(180kWh) | 3,960円 |
冷房 | 25℃相当 | 263,790Wh(264kWh) | 5,805円 |
月に換算すると、両者には84kWh、電気代にして1,845円の差がある。月に約2,000円ほどの差がでてくることになるわけだ。
このデータは、最高気温を挟む3時間のデータなので、1日9時間の運転に慣らすと、気温が低い時間帯もあるため、実際にはこれよりも電気代は若干安くなるだろう。また、30日間に渡って最高気温35℃が続くこともないので、電気代はさらに安くなるハズだ。
ちなみに、7~8月の電気代はホントに高い。エアコンを使わない5月~6月の電気代と比べ、エアコンを酷使する7月~8月の電気代が4,000円~6,000円高くなったという経験がある人も多いだろう。というか、ウチが実際にそうだ。
下に、過去4年間の我が家の月別電気代のグラフを掲載したが、ピンクの2007年のグラフを見ると、6月の19,000円に対して、8月は26,500円と、7,500円も電気代が高くなっているのが分かる。先の実験では、設定温度を25℃にすると月の電気代は5,800円上がるという理論値だったが、かなり実際に近い額と言えるだろう。
もし手元に去年の電気代の請求書がある場合は、エアコンを使わない6月とフル稼働の8月の「ご使用量」の欄を見て欲しい。このご使用量の差額が200~300kWhほどになっていないだろうか? この使用量の差と、増えた電気代のほとんどが、エアコンによるものなのだ。なおこの値は、昼間も家族が家にいる場合を想定している。日中は仕事に出ていて誰もいない家庭だと、もっと少なくなる。
過去4年間の我が家の電力消費。やっぱり7~9月は消費量が多い。仕事の都合で突出したり激減している箇所には、コメントを入れてある。そーいえば、そんな仕事してたっけ |
電気代に換算するとこんな感じ。今年(青)は震災以降に節電をしているため、ぐんぐん電気代が下がっている |
去年(2010年)の6月の電気代(左)と、8月の電気代(右)の比較。去年の場合8月の請求は7月13日~8月10日までだったので、8月の電気代は少し安めなのだが、それでも6月より220kWh増しで、約5300円出費がかさんでいる |
ところで読者の中には、部屋をいち早く冷やそうとして、設定温度を28℃より下げて運転開始する人も多いのではないだろうか? これは次のグラフを見れば、無駄なあがき(笑)というのがよく分かる。
設定温度を28℃と25℃にした場合の室温と湿度変化。設定温度を下げても部屋の冷えるスピードが早くなるわけじゃない |
エアコンの電源ON直後は、設定温度を25℃にしようが28℃にしようが、フルパワーで運転しているため、温度の下がり具合はほぼ変わらないのだ。1時間ほどすると設定温度が28℃の場合も25℃の場合も部屋温度は5℃下がり、すでに暑さを感じない程度になる。つまりエアコン運転開始時に設定温度を低くしても「早く冷えたような気になっているだけ」ということだ。
■ドライ運転は冷房より電気代が月2,000円も高くなる!
これもWebの質問コーナーなどでよく見かけるが「エアコンの冷房運転とドライ(除湿)運転ではどちらが消費電力が少ないか?」という疑問だ。
結論から言えば、ドライ(除湿)運転の方が消費電力が多い。
では、ドライ運転はどのぐらい消費電力が多く、高くつくのかを調べてみよう。
運転モード | 設定温度 | 1時間あたりの 平均消費電力 | 3時間の電気代 |
冷房 | 28℃相当 | 667Wh | 44.0円 |
ドライ | 28℃相当 | 973Wh | 64.2円 |
冷房・ドライ運転ともに設定温度を同じにした場合は、ドライ運転の方が高くつくという結果が出た。しかもドライ運転は、冷房運転で設定温度を25℃にしたときと同じほど電力を消費するという結果だ。月の電気代に換算すると、冷房では3,960円なのに、ドライ運転すると5,778円になり、約1,800円も高くつくという計算になる。
実はフツーに冷房運転をしても、除湿はできてしまう。ドライ運転は除湿だけするのだから、ドライ運転の方が電気代が安い……と思いがちだが、実際はそんなことはないので、注意して欲しい。
冷房でもドライ運転でも、それほど室温・湿度に差は見られない。ただし最新のエアコンの場合は湿度も設定できるので、その場合はこの限りではない |
冷房よりドライ運転が電気代が高くなる原因は、エアコンのしくみにある。ドライ運転の場合は、エアコンの熱交換器(写真)の半分を冷やし、もう半分を暖めている。まず湿った空気は冷えた熱交換器に送られ除湿される。夏場に冷たい飲み物をテーブルに置いておくと、コップの周りに水滴が付く現象を利用して除湿するのだ。その後乾いて冷えた空気は、暖められてる熱交換器に送られ、ここで設定温度まで空気が暖められて送風される。
ドライ運転をすると、エアコンの熱交換器と呼ばれる部分の半分を冷やし、もう半分を暖める。冷えた熱交換器で除湿を行ない、暖めた交換機では除湿された冷気を暖めて送風する。つまり、温度を変化させずに除湿しているというわけだ | ドライ運転は冷たい水を入れたコップの周りに水滴が付く現象を利用して除湿しているので、どのみちいったん空気を冷やさないことには除湿できないのだ |
つまりドライ運転は、いったん冷やした空気をわざわざ暖め直して送風するので、電気を食うということだ。
なお、上記の説明は、「再熱除湿方式」という最近の機種で採用されている方式の場合だ。エアコンの除湿には、以前は「除湿冷房方式」または「弱冷却式除湿」と言って、弱い冷房で除湿する方法が多かった。この場合、ヒーターはなく、除湿と一緒に気温も下がってしまう。電気代で言えば、弱く冷房しているのと同じなので、強く冷房している状態よりは、やや安くなる。
さらに、最近の製品では、外気温に合わせて「再熱除湿方式」と「除湿冷房方式」を自動的に切り換えて使う製品まで表われている。
結論から言えば、「冷房」をしたいのであれば冷房、「除湿」をしたいのであれば除湿を選び、あとはエアコン側に任せるのが、良いようだ。「冷房」をしたいのに節電のために「除湿」を選ぶというような配慮は、よけいなお世話ということだろう。
■室外機の風通しをよくするだけで、電気代は約1,000円安くなる
苦労せずに節電するポイントとしては、「室外機の風通しをよくする」という手がある。
しかし室外機の前にあるスペースは意外に便利で、ちょっとした物置になっていたり、植物のプランターが置かれていたりなんていうのはありがちだ。中にはラティス(格子状になった木製のフェンス)で、室外機カバーを付けているなんていう場合もあるだろう。
大きな板で派手に室外機の送風を塞いでみた。実際にこんな状況はありえないかもしれないが、結果をはっきり出すため、このようにしてみた |
そこで、室外機の風通しの良し悪しによる電気代の変化をチェックする実験をやってみよう。右の写真のように大きい板を使って、結構派手に風通しを悪くしてみた。
さて、これだけ室外機の風通しが悪いと、どのぐらい電気代が上がるだろうか?
運転モード | 設定温度 | 室外機の状態 | 1時間当たりの 平均消費電力 | 3時間運転したときの 電気代 |
冷房 | 28℃相当 | 風通しのよい状態 | 667Wh | 44.0円 |
冷房 | 28℃相当 | ついたてを置き 風通しを悪くした状態 | 983Wh | 64.9円 |
というわけで、室外機の風通しが悪いと、消費電力が約1.5倍にもなる。せっかく設定温度を28℃にしているのに、25℃にしたのと変わらない程度の電力を消費し、月々の電気代(1日9時間で30日間)にすると1,000円近く変わってしまうのだ。
運転モード | 風通し | 月あたりの消費電力 | 月あたりの電気代 |
冷房28℃相当 | よい | 180,090Wh(180kWh) | 3,960円 |
冷房28℃相当 | 悪い | 265,410Wh(265kWh) | 5,841円 |
またエアコンの冷房効率も、下のグラフのように悪くなる。
室外機の風通しが悪いと、エアコンの冷房性能も極端に悪くなる |
風通しが悪い室外機は、風通しのよい室外機に比べると、室温の下がり具合が緩やかで、なかなか設定温度まで達しないのが消費電力を多くしてしまう原因と言える。。
室外機の風通しをよくするポイントとしては、できるだけ背面に隙間を設け、前面は排気の邪魔になるようなものを置かないようにするといい。なぜなら、エアコンの室外機は背面から空気を吸い込み、前面のファンで熱風を空気中に逃す、という仕組みになっているからだ。
またバルコニーなどに設置している場合は、熱風の排気を再び室外機が吸い込まないように、ついたてなどを置き、排気を横や上に向かって逃がすという手もあるだろう。
エアコンの室外機に直射日光が当たる場合は、日よけをつけ影になるようにするといい。ただし日よけをつけたことで、風通しが悪くならないように気を付けていただきたい。
室外機の背面は横は、できるだけ隙間を開けて風通しを良くしよう | バルコニーの壁に排気が当たり再び室外機が熱風を吸い込まないように、排気を反射させて上に逃がすのも1つの手だ。 |
■南向きの部屋なら、窓ガラスフィルムはかなり効果がありそう
続いて挑戦するのは、窓ガラスに貼るフィルムだ。今年の夏は節電対策ということもあり、扇風機だけでなくヨシズや窓ガラスに貼るUVカットフィルムが飛ぶように売れているという(近所のDIY屋のおっちゃんから聞いた話)。
UVカットフィルムなどの窓ガラスフィルムは、紫外線や赤外線をカットして窓から熱が入ってこないようにするもので、自動車用品の「スモークフィルム」と呼ばれるモノと同じ。つまりこれを部屋の窓ガラスに貼れば、紫外線がや赤外線がカットできるため、部屋は涼しいというものだ。
【7/17 お詫びと訂正】遮熱効果があるのは、赤外線カット効果があるフィルムになります。紫外線カットのみのフィルムの場合、熱を防ぐ効果はありません。訂正してお詫びさせていただきます
貼り方には、ちょっとコツがある。写真で軽く紹介しておこう。
窓ガラスフィルムの取り付けには、準備が必要。まずは、スプレーボトルに水と食器洗い洗剤を小さじ半分ほど入れ、ガラス全体に吹きかける | フィルムはシールになっているので、ガラスに貼りながらシールをはがしていく。フィルムは水と洗剤の混合液の上に浮いている状態なので、簡単に位置をずらすことができる | 貼り付ける位置を決めたら、フィルムの上から混合液を再び全体に吹きかける。これはヘラのすべりをよくするため |
ヘラなどを使って、フィルムの中央から外側に向かって、ガラスとフィルムの間に入っている気泡と混合液を押し出す | 左がフィルムを貼ったガラス、右は貼っていない状態。空の色の違いに注目。まるでサングラスをかけているように見える |
フィルムを貼り終わったら、フィルムを貼った窓と張っていない窓に温度計を30分置いて、直射日光でどれだけ温度計が熱く示すかを調べてみた。
結果は次の通りだ。
フィルムあり | フィルムなし |
34℃ | 44℃ |
これは凄い! フィルムを張るだけで直射日光の温度上昇が10℃も防げる!
ということで、さっそくこの状態でエアコンの設定温度を28℃相当にして3時間実験してみた……かったのだが、実はこれまで実験した部屋は北向きの部屋。窓にフィルムを貼って測定してみたが、効果はゼロだった。部屋を変えてしまうと比較実験ができなくなるため、申し訳ないが、この実験はカットとさせていただく。
とはいえ、南向きの窓であれば直射日光の影響が10℃も違うので、かなりの節電効果が期待できるだろう。問題があるとすれば、フィルムが窓1枚分で2,000円ほどするという価格面か。広い窓だと電気代以上にフィルム代がかさんでしまう。
■カーテンを閉めるだけでも絶大な効果あり!
最後はカーテンを閉じた場合の節電効果を見てみよう。ちなみに写真はイメージ。実験を行なった部屋は機密事項が多すぎてお見せできません……というのはウソで、あまりにも汚いのでお見せできません…… |
最後は、カーテンを閉じる/閉じないに関する節電効果を見てみよう。直射日光を遮るという点ではUVフィルムと一緒だが、これなら家に付いているため、新たに購入する必要はない。
というわけで、カーテンを閉めた場合と閉めなかった場合の消費電力と電気代を調べてみた。
実は、この実験を行ない始めた日から本格的に暑くなりだしたので、先ほど実験した、外気マイナス7℃(=設定温度28℃相当)のデータを取り直した。フィルムを貼ったサッシを外して、フィルムを貼っていないサッシに取り替えて、設定温度28℃相当のデータを測定。その後さらに、カーテンを閉めて再測定。エアコンは室内の温度だけでなく、外気温も見て制御するものが多いので、気温がかなり変わってくるとデータも変わってしまう。自然に左右されるエアコンの実験は、大変なんっすよ……。
運転モード | 設定温度 | 条件 | 1時間あたりの 平均消費電力 | 3時間運転したときの 電気代 |
冷房 | 28℃相当 | カーテンを開けたまま | 1043Wh | 68.9円 |
冷房 | 28℃相当 | カーテンを閉めて測定 | 853Wh | 56.3円 |
カーテンの有無による節電効果は、手軽なわりに大きく、3時間で電気代が13円も節約できた。これまで同様に月の電気代(9時間運転して30日間の累計)に換算すると、おおよそ次のようになるだろう。
条件 | 月あたりの消費電力 | 月あたりの電気代 |
カーテンを開けたまま | 281,610Wh(282kWh) | 6201円 |
カーテンを閉めて測定 | 230,310Wh(230kWh) | 5067円 |
なんと、カーテンを閉めただけで電気代が1,000円近く安くなるという結果が出た。これはまさに、手軽にできる節電方法だ!
しかし問題が1つある。ここで閉めたのは、夜に閉める厚手のカーテンで、昼間用のレースのカーテンじゃないという点。厚手のカーテンは節電効果大だが、部屋が暗くなってしまう。レースのカーテンでは、厚手のカーテンほど節電効果は期待できないが、部屋はさほど暗くならない。カーテンを閉めるのは、落としどころが難しい。
【突然ミニコラム:DIY屋のおっちゃん曰く「ヨシズは部屋にかけるものじゃない!」】
仲良しのDIY屋のおっちゃん曰く「あんた記者なんだからヨシズの正しい使い方を紹介してやってよ」と言われた。そこでおっちゃんの受け売りで、正しいヨシズの使い方を紹介しよう。
DIY店に並んでいるさまざまなヨシズだが、エアコンの効きをよくするために使うなら、必ず窓の外に立てかけること!
ということだ。部屋の中に写真のように吊るしておくのは間違えだそうだ。なぜなら、部屋の中にヨシズを置いておくと、日光の熱を吸収してしまい、かえって部屋が暑くなるということだ。
部屋に吊るすとヨシズが日光の熱を吸収してしまうので、エアコンの効きが悪くなる | ヨシズは必ず外に立てかけること。これ正解! |
■節電のしかたは数あれど、節電のセオリーは5つ! いや、やっぱりたった2つ!
今回の実験を踏まえて、これから本格的な夏に向けたエアコンの節電ポイントは、以下の5つにまとめられる。
1)エアコンの設定温度を25℃から28℃に上げるだけで、電気代は2,000円近く安くなる
2)設定温度28℃なら、ドライ(除湿)運転より冷房運転した方が月2,000円安い
3)室外機の風通しをよくすると、月の電気代が1,000円安くなる
4)南向きの窓ではUVカットフィルムの効果が期待できる
5)カーテンを閉めると電気代が1,000円安くなる
4については、今回は実験できなかったが、少なくとも1~3と5を徹底すれば、月6,000円の節約効果が期待できることになる。
特に簡単で苦労せずに節電できるのは1~3だ。ドライ運転はやめ冷房で過ごし、室外機の風通しが悪い場合は、まわりのものを片付けるだけでいい。
4は北向きの部屋では効果がないが、南向きの部屋ではかなり節電効果が期待できる。ただしフィルムの値段が窓1枚で2,000円ほどするので、費用対効果には疑問が残るところだ。
5は、厚手のカーテンを閉めてしまうと部屋が暗くなるので、仮に20W蛍光灯×5本タイプを9時間点灯すると月の電気代が1,260円となり、エアコンで節電できたぶんが相殺されてしまう。直射日光が入らない北側に採光用の窓があれば、南側の窓のカーテンを閉めて節電できるだろう。
上に5つのポイントを挙げたが、機器側でなく、家側でできる工夫に限れば、次の2つセオリーに統一される。
セオリー1:屋外機の風通しをよくして廃熱を吸い込ませない
セオリー2:冷気を逃さない、外気を部屋に入れない
セオリー2については、今回は実験をしなかったが、「部屋のドアを開けっ放しにしない」という、エアコンを使ううえでは極めて基本的な事項も含めておこう。
これらを元に具体的なアクションに落とし込んでいくといいだろう。たとえば部屋のドアにのれんを大きくしたようなカーテンをつけたり、ドアが勝手に閉まる器具「ドアクローザ」(DIY店で売っている)をつけたりなど、対策はいろいろある。今回紹介した以上の節電方法があったら、ぜひ教えていただきたい!
■次回予告「冷蔵庫の節電法、実際に効果があるのはどれ?」
次回は、家庭の電力消費でエアコンの次に電気を食う「冷蔵庫」の節電方法についてを実験してみたい。「冷蔵庫の強さを強から弱にしても食品は腐らないのか?」「冷蔵庫にビニールカーテンを付けると電気代が下がるのか?」などの素朴な疑問を、実際に検証して真偽を明らかにしていこう!
2011年7月15日 00:00