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第14回:高級なDCモーター扇風機と、安いACモーター扇風機の違いは何?


 このところ、実売で2万円を越えるような高価なDC(直流)モーターの扇風機が人気となっている。従来型の扇風機は、AC(交流)モーターと呼ばれるモーターで羽を回しており、数千円で買えてしまうのに――だ。

 もちろん、高価なのには理由があって、DCモーターで羽根を回すことで、より風量を抑えたやさしい送風ができる特徴がある。そのうえ、消費電力もACモーターと比べて少ない。DCモーターの扇風機は、省エネのご時世にピッタリな扇風機のように思える。

 しかし、傍目から見れば同じ扇風機なのに、そんなに違うものなのか? このDCモーターの扇風機(以下、DC扇風機)と、ACモーターの扇風機(以下、AC扇風機)は、内部でどのような違いがあるのか。そして、どうしてDC扇風機はAC扇風機より消費電力が少ないのだろうか?

 分からんことは、自分で調べる、やってみる!

 Do it oneself!

 今回は分解など色々な実験をして、家電量販店に並ぶDC扇風機の「?」を「!」に変えていこう。


実際に2つのAC/DC扇風機を購入して比較

 実験に当たって、AC扇風機とDC扇風機それぞれの扇風機を購入した。

AC扇風機で選んだのは、山善の「YLT-C302(WA)」。電子スイッチじゃなくて、パッチン!と押し込む昔ながらのデザイン。首振りはモーター上のキノコみたいな突起を押したり引いたりして切り替える ブルーのデジタル表示がカッコイイ、同じく山善のDC扇風機「YLX-AD30」。操作もスイッチボタンで電源を入れ、ダイヤルで風量を調整するという新しいインターフェイスだ。首フリのON/OFFもスイッチで行なう

 いずれも山善のもので、AC扇風機の格安品「YLT-C302(WA)」。スイッチも押しボタン式で、タイマーもゼンマイ式という昔ながらの扇風機だ。今回は2,980円で購入したが、ネットで検索したところ、もっと安い店もあるようだ。

 対するDC扇風機は、羽が2段になっている「YLX-AD30」。台座部のデジタル表示がクールな一品だ。購入価格は12,800円。DC扇風機にしては安い部類に入る。

最低消費電力はAC扇風機は33Wに対し、DC扇風機はわずか2W。同じ風量でも半分以下

 まずは、AC扇風機とDC扇風機の消費電力の違いから測ってみよう。

AC扇風機「YLT-C302(WA)」の消費電力
DC扇風機「YLX-AD30」の消費電力。消費電力の低さに驚かされる。ACアダプタを利用しているが待機電力0Wというのも◎

 AC扇風機(グラフ上)を見てみると、スイッチOFFの待機電力は0W、強で運転しても47Wしか電力を消費しない。DC扇風機がもてはやされているが、AC扇風機でもエアコンに比べたらはるかに省エネ。また首フリをする/しないによって消費電力が変わらないのもAC扇風機の特徴だろう。これはファンを回転させるモーターと首フリをするモーターを兼用しているためだ。

 次にその下にあるDC扇風機のグラフを見てみよう。この扇風機はスイッチOFFから最大風量8まであるためグラフが細くなっているが、消費電力の違いが分かるよう、横軸の消費電力はACモーターと合わせてある。

 この扇風機は、外付けのACアダプタを利用するタイプだが、スイッチOFFの待機電力は0W(計測不能)なので、使わないときもコンセントを抜く必要はない。ファンを回して風を送ってみると、風量1の消費電力はたったの2W。省エネの代名詞となっているLED電球(40W相当)の1/3の電力というから驚きだ。また首を振ったとしてもわずか4Wしかかからない。

 一番電気を食うのは、風量最大の8で運転し首フリをしたときだが、それでも24Wしかかからず、AC扇風機の弱を使うより10Wほど省エネになっている。確かにクチコミ通り、DC扇風機は省エネだ。

 しかし1つ気になることがある。DC扇風機の風量1/2/3は、AC扇風機の弱で運転するよりかなり弱い風になる。同じ風量で比較した場合、消費電力はどのように変わるだろうか。ここで簡単な風量計を作ってみた。

子どもの学習教材の風力発電機。モーターが大きく極弱い風では発電できなかったので、モーターを取り替えてみる 携帯やスマートフォンのバイブレーション用超小型モーターに取り替えて、微弱な風でも回る発電機に改造! 羽にカウル(覆い)をつけて空気の抵抗を減らし、土台も作って風量計のできあがり

 この風量計で発電できた電圧をテスターで測れば、風量を数値化できる! 大きく息を思い切り吹いてみたところ、風量は「106」となった(単位は独自のもの)。

 まずはAC扇風機の強中弱の風量を調べてみた。

まずはAC扇風機の風量を計測。風量は、写真の左から順に弱(75)、中(103)、強(130)となった(単位は独自のもの)

 これに対応する風量のDC扇風機の強弱を調べてみると、弱が4、中が6、強が8に該当することがわかった。

AC扇風機の弱中強に対応するDC扇風機の強弱を調べると、ACの“弱”相当がDCの風量4(75)、“中”相当は風量6(105)、“強”が風量8(131)となった
AC/DC扇風機の強弱レベルと風量
同風量における、消費電力の比較。風を弱くするほど、消費電力はAC扇風機の約1/2、1/3、1/4となっていくのが特徴的

 AC扇風機の強は47Wなのに対して、DCの最大風量8は、そのおよそ半分となる24Wしか食わない。しかも、風を弱くすればするほど省エネになり、中相当ではACモーターの37%、弱では24%の電力で同じ風量を送れるという結果だ。

 これまでの結果だけを見ると、「DC扇風機はAC扇風機よりも弱い風が出せる」ことに加えて、「DC扇風機はAC扇風機と同等の風を出しても、消費電力は半分程度」という、いいことづくめの結果となった。

DC扇風機の魅力は、AC扇風機では真似できない、書類も飛ばない“そよ風”にアリ!

 風量を弱に設定した場合、DC扇風機の消費電力はAC扇風機の1/4程度ということがわかった。しかしDC扇風機の本当の魅力は、電気代だけではないことを声を大にして言いたい!

「書類も飛ばないほど微風なのにDC扇風機は涼しい!」という点だ。

 AC扇風機の場合、弱を選んでも、風は結構強く、机の上の書類が風で煽られバラバラに飛んでいってしまう。ましてや領収書の整理なんてやろうものなら、そこかしこに領収書が散らばってしまう。

 しかしDC扇風機は、“極微風”を送れるのでイライラが一挙に解消する。しかも、今回テストに使っているDC扇風機は、AC扇風機の弱に相当するのが「風量4」なので、1〜3の3段階で微風の調整ができるのだ。すべての製品をテストしたわけではないので断言はできないが、この極微風が数段階送れるというのも、DC扇風機の特徴だろう。

 試しに机の上に書類やら領収書を置いて、1m離れた場所から風量3(AC扇風機は弱)でテストしてみた。結果は写真の通り、DC扇風機は書類が乱れることなくそのままだが、AC扇風機は写真の通り日常の光景となった。

我が家の日常の光景(笑)で、AC扇風機を使ったところ。弱で送風しても、写真を撮ってるそばから書類が中を舞っている DC扇風機は、風量3でも書類どころか領収書すら飛んでいかない。素晴らしい!

 これだけ弱い風だと涼しくないのでは? と思うかも知れないが、これが意外に涼しいのでビックリ。ちょうど夏の夜にフワッっと網戸ごしに入り込んでくる風が凄く涼しいのと同じで、やさしいそよ風が常に送られてくるので気持ちいい涼が得られる。

 テストに使っているDC扇風機をリビングでしばらく使っていたが、AC扇風機の弱に相当する風量4まで上げることはまずなく、たいてい1か2で使っていた。それでもエアコンなしで十分に涼しいから不思議だ。しかもAC扇風機の弱だと、羽の風切り音が耳に付くが、DC扇風機の風量1〜3は風切り音がまったくせず静かという点も見逃せない。

 電気代が注目されるDC扇風機だが、AC扇風機にはマネできないこの涼しい微風は、DC扇風機だけの特権と言えるだろう。


DC扇風機を最大風量で使うと、コンセントを流れる電力はACと変わらない!?

 というわけで、DC扇風機は初期投資はやや高いものの、AC扇風機と比べれば省エネ効果はある、ということがわかった。しかし、「電気代が安い」イコール「省電力」とは一概に言えない

 ここからは少し面倒くさい話になるが、2つのモーターの違いに関わる部分なので、順を追って説明したい。

 まずは、下の2つのグラフに目を通してほしい。2つとも、AC/DC扇風機の消費電力を測ったグラフだ。

先ほど登場したAC/DC扇風機で、同じ風量時の消費電力をWで測ったもの
こちらもAC/DC扇風機で、同じ風量時の消費電力を計測。ただし、「VA」という単位で測った。風量8ではAC扇風機とほぼ変わらない値になっている

 W(ワット)で見るとDC扇風機はAC扇風機に比べるとかなり省電力に見えていたが、VA(ボルト・アンペア)という単位で見ると消費電力が多くなっていることが分かる。特にAC扇風機の強に相当する風量8のDC扇風機は42VAと、AC扇風機の49VAとさほど変わらなくなってしまっている。

 実はこのVAという単位は、コンセント側から見た消費電力(皮相電力)で、Wという単位は機器側から見た消費電力(有効電力)となっている。W数が少なく、電気代が安くなっているように見えても、実際にコンセントから機器に流れた電力(VA)は、AC/DC扇風機でもさほど変わらないということがある。

 ではなぜ機器から見た消費電力「W」と、コンセント側から見た消費電力の「VA」がこんなにも異なるのかを詳しく見てみよう。

 消費電力の「W」表記は、型番など書かれたシールに書かれており、白熱電球や電気ストーブ、コタツなどでよく見かける。しかし掃除機や扇風機、ACアダプタなどの製品は「VA」(ボルト・アンペア)で表記、もしくは「W」と併記されているのが普通。いずれも機器が消費する電力を示しているものの、それを算出するための方法が異なる。

 一般的に知られている電力を求める計算式「〔電流〕×〔電圧〕=〔電力〕」は、電池などの直流の電力の計算方法。家庭のコンセントの交流の場合は、次のような計算式で電力を求めるようになっている。

 〔電流〕×〔電圧〕÷〔力率〕=〔電力〕

 ここで突然「力率」という言葉が出てきたが、これは家庭に送られた電気のうち、有効に使われた電気の割合を表すものとなる。例えば、白熱電球や電気ストーブは、使った電力の100%を光や熱エネルギーに変えているので、力率は1.0。電流が10Aのヒーターであれば、消費電力は10A×100V÷1=1,000VAとなる。W表記の消費電力においても、10A×100V=1,000WでVAとまったく同じ値だ。このため力率が1.0や1.0に近い製品では、消費電力がWのみ表示されているものが多い。

電気ヒーターは力率が1.0なので650WとW表記になっている カメラや携帯電話、充電電池のチャージャーなど、ACアダプタ系はだいたいVA表記が一般的。この場合22VA(100V)が実消費電力で、ワットチェッカーでW数を測ると22より少ない15Wとなった 今回使ったAC扇風機は、力率を向上させる回路が入っていた(後述)ためVAとWの値がほぼ同じなのでW表記となっていた

 しかし、電磁石を使ったパーツが多い製品、つまりモーターやACアダプタは、力率が1.0未満になり、WとVAが同じ値にならない。なぜなら電磁石を使った製品は、コンセントから取った電気エネルギーの100%をモーターの駆動力などに変えられないという性質があるためだ。

 たとえば力率が0.8(80%)の場合は、残り0.2(20%)のエネルギーはそのままコンセントに帰っていってしまう。しかも、コンセントに帰る電気エネルギーは、熱エネルギーとしてロスするわけでもなく、そのまま何の仕事もせずにコンセントに戻ってしまう。このような力率0.8のモーターで電流が10A流れるときの消費電力は、10A×100V÷0.8で1,250VAとなる。実際にモーターを駆動するために必要なエネルギーは1,000VAだが、コンセントからは1250VAの電力を貰っているこということになる。

電気代の請求は、ロスした電力を含まないWで請求される

 一方、電気代の請求の元となっているのは「W」だ。電気代の請求書でも、「今月の使用料×××kW」(1kWは1Wの1000倍)と、Wが基準となっている。先のモーターなら、実際には1,250VAの電力を消費しているにもかかわらず、電気代としては力率が考慮されない1000VA(W)で電力会社は請求している。つまり無駄になってしまった250VAの電力は、電力会社がサービスしていると言っていいだろう(小口の一般家庭のみ。大口の工場などは力率が電気代に加味される)。

 ここで、実際にどのぐらいの電力がコンセントから機器に流れているかを、ワットチェッカーで調べてみた。


電気代の請求は、ロスした電力を含まないWで請求される DC扇風機の請求される電力(W)と、ロスも加味した皮相電力(VA)。AC扇風機に比べるとかなり力率が悪く(緑とオレンジのグラフの高さに差がある)、実際には倍近い電力を消費している

 今回使ったAC扇風機は、安物ながらも力率を向上させる回路が入っているようで、ほぼW=VAとなっている。

 一方、DC扇風機は、請求される電力のほぼ倍の電力がコンセントから流れている。AC扇風機の弱に相当する風量4で実際に消費する電力は、ACの33VAに対してDCは15VAと半分程度の消費電力になっているが、AC扇風機の「強」運転で実際に消費する電力は、ACの49VAに対し、DCは42VAと、皮相電力に大きな差はない。電気代として請求される消費電力は24Wだが、実際には倍の42VAがコンセントから流れているのだ。

 このように扇風機など電磁石を使っている家電は、力率を向上させる回路が入っていないと、Wよりもかなり多い電力を消費していることがある。家庭の電気代には反映されないが、VAの値がブレーカーを上回った場合は家庭の電気が落ちることもある。ちょっとした知識として、頭の片隅にでも入れておいていただければ幸いだ。

DC扇風機の省エネの秘密は制御とモーター

 経済性やAC扇風機ではマネできない微風が送れるDC扇風機ということが分かったところで、なぜそこまで省エネにできるのかを調べてみよう。それには、扇風機を分解してみるのが一番だ。

■■ 注意 ■■

・分解/改造を行なった場合、メーカーの保証は受けられなくなります。
・この記事を読んで行なった行為(分解など)によって、生じた損害は筆者および、家電Watch編集部、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
・内部構造などに関する記述は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。

 

 まずは、AC扇風機を分解してみる。すると、次の写真のようになっている。

扇風機の強さを設定する押しボタンスイッチの裏側。赤青黄白の電線は、扇風機の支柱を通りモーターまで来ていて、エナメル線を巻いた鉄心(コイル)につながっている 強中弱のスイッチを押すと、モーターの赤青黄の電線のいずれかに電気が流れ、電磁石となるコイルを通り、白い電線を経由してコンセントに戻る モーター内部の鉄心に巻かれたエナメル線。電気が流れると鉄心1つ1つが電磁石になる

 押しボタンスイッチから出ている3本の電線は、そのままモーターの鉄心(モーター中心部の鉄材)に巻かれているエナメル線につながっている。鉄心に巻かれたエナメル線は1本に見えるが、実は3本ある。そして弱につながっているエナメル線は鉄心に巻いた回数が少なく、強のエナメル線は巻き数が多くなっているのだ。

 ここで小中学校の理科でやった電磁石を思い出して欲しい。釘に巻いたエナメル線が少ないと電磁石は弱くなり、たくさん巻いてやると同じ電池1本でも強力な電磁石になる。

エナメル線の巻かれた太さに注目して欲しい。巻き数が少ないと、くっつくクリップの量が少ない。つまり電磁石の磁力が弱いということ 巻き数が多いと強い電磁石になるので、クリップがたくさんくっつく

 このようにAC扇風機のモーターは、電磁石の強さを変えることで、風の強さを変えている(力を強くすることで、若干速さも変わる)。そしてモーター内部の電磁石には、常に電気が流れているという特徴がある。

 一方DC扇風機を分解してみると、次のようになっている。

基板の表は表示部とスイッチ類。丸いリング状のものは強さを切り替えるダイヤルスイッチで、中央に電源ボタンがある 基板裏には小さなコンピュータ。人の操作を見極め表示部に状態を示したり、タイマーなどの処理をする 左の白いモーターが羽を回すモーターで、黒くて丸いたくさん穴が開いているものが、首振り用モーター

 モーターはこれ以上分解できないので中をお見せできないが、直流24V駆動のDCモーターだ。つながっている電線は、モーター駆動用の電源とモーター内部にあるコンピュータ用の電源、そして操作パネルのコンピュータから送られてくる速さを示す信号となっている。

 省エネの秘密の1つ目は「速さを示す信号」だ。電線の信号の様子をオシロスコープで見ると、次のようになっていた。

風量を1にしたときの信号。横方向の1マスは0.005秒となっている。縦方向は電圧(下側が0V)を示している 風量3にしたときの信号。信号の幅が小刻みになっている
風量5にしたときの信号。0.0025秒に1回のペースになった 最大の風量8にしたときの信号。さらに小刻みになった

 この信号は、モーター内部の電磁石のプラスとマイナス、つまり電磁石のNとS極を入れ替えるタイミングを示す。風量1だと切り替えるタイミングが長いので、モーターは遅く回り、風量8だと高速に回るというワケだ。

 省エネの秘密2つ目は、モーターの中にあるコンピュータにある。それは速さを示す信号を受け取って、プラスとマイナスを入れ替える一瞬だけ電気を流し、モーターの中の電磁石のNとS極を入れ替えるようになっているのだ。

 AC扇風機は、羽が回っている間は常に電気が流れているが、DC扇風機は電磁石のNとS極を変える瞬間だけ電気を流す。これがDC扇風機の驚くべき省エネ性の秘密だ。

 このようにDC扇風機は羽の回る速さを変えているので、羽の駆動と首フリ用のモーターを兼用できない。さもないと微風にすると極端に首フリが遅くなり、強風にすると激しく首を振るようになってしまう。DC扇風機には、首振り専用のモーターがついているといのも納得がいくだろう。


夏だけの扇風機ならAC、年中使うサーキュレータとしても使うならDC扇風機がお得!

 DC扇風機の経済性と、なぜ省エネにできるのかという仕組みを見てきたが、そろそろ「安いAC扇風機を買ったほうがいいの? それとも高いケド将来的には元が取れるDC扇風機を買ったほうがいいの?」という結論を出してみよう。

 次のようなタイプの人には安いAC扇風機をオススメしたい。

・書類など扱わないので扇風機の「弱」でも十分に弱い風と感じる人
・夏場の涼を取るだけに扇風機を使いたい人
・扇風機は常に最大風量で使う人

 逆にDC扇風機をオススメしたいのは、こんな人だ。

・扇風機で涼を取りたいが、書類が飛んでもらっては困る人
・さわやかな自然のそよ風のような涼が欲しい人
・AC扇風機はいつも「弱」で使っている人
・空気循環用のサーキュレータやシーリングファンを使っている人

 最初の3項目は、これまでの説明でお分かりいただけるだろう。初期投資は高いものの、AC扇風機の不快感がまったくなく心地よいそよ風が得られる。

 4つめのサーキュレーターやシーリングファン(天井で羽根を回して風を送る装置)を使っている人は、これらをDC扇風機に置き換えることで電気代を節約できるというメリットがある。サーキュレーターやシーリングファンのほとんどは、ACモーターを使っているので、電気代は扇風機を年中使っているのとほぼ同じことになる。しかしDC扇風機なら微弱な送風ができるので、より自然に部屋の空気を循環できる上に、電気代も安く上がる。

 また、もしかすると、「DC扇風機はこれだけ電気代安いんなら、スグに元が取れるんじゃない?」とお思いの方もいるかもしれないが、それには結構時間が掛かってしまうことを予めお伝えしておこう。

 確かに、DC扇風機は非常に電気代が少ない。例えばAC/DC扇風機を1日8時間、それぞれをAC扇風機の“中”相当で送風したときの電気代を比較してみると、次のようになる。

暑い夏に涼むことを想定し、AC扇風機における「中」相当の風量で、AC/DC扇風機の電気代を比較してみた

 ACモーターだと8時間の電気代が6.2円のところが、DCモーターだと0.9円と激安だ。しかし、販売価格の差(DC扇風機1万2,800円、AC扇風機2,980円)を電気代で割ってみたところ、元が取れるには62カ月(5年2カ月)掛かることになる。夏の扇風機として限定的に使うなら、およそ10年以上も掛かる計算になる。今回扱った山善の機種は寿命が6年とされているので、規定通りに使えば元は取れないことになる。

 また、夏は扇風機として、それ以外のシーズンではサーキュレータとして1日12時間使う場合、1日あたりの電気代は1.32円(風量は1または2、首振り運転の場合)。かたやサーキュレータ相当のAC扇風機は弱で7.92円となる。元を取るまでの期間はおよそ4年と短くなった。

年中長時間使う場合は、DC扇風機の電気代の安さが効いて、ほぼ4年で元が取れる計算になる

 夏もこれからが本番。安いAC扇風機と高いDC扇風機のチョイスで悩んでいる皆さんは、この豆知識を活かして、自分や家族にピッタリな扇風機を選んでいただきたい。





2012年7月25日 00:00