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三洋電機「eneloop bike」 (3/4)
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大河原克行の「白物家電 業界展望」
松下のウェルネス商品群の事業戦略を聞く
~使って感動を与える「必欲品」を目指す
Reported by 大河原 克行
松下電器産業ナショナルウェルネスマーケティング本部・高瀬豊本部長
ナショナル(松下電器産業株式会社)では、「ウェルネス」と呼ばれる製品群を次のように定義している。美容、健康、環境、安心の4つの領域から、「心とカラダとくらしイキイキ」を実現する商品群を指すもので、松下電工の商品を中心に、主なものだけでも約2400種類の商品を品揃えする。生活に密着した商品が多く、美容や健康への意識の高まりや、環境、安心への需要が高まるにつれて、事業を着実に拡大している。
2008年度は、洞爺湖環境サミット、北京オリンピックといった世界的なビッグイベントがあり、さらに10月には、松下電器産業株式会社がパナソニック株式会社へと社名を変更するという大きな転換点を迎える。同時に、ナショナルブランドをパナソニックブランドへと一本化も始まる。2008年度の同社ウェネルス商品における事業戦略はどうなるのか。松下電器産業ナショナルウェルネスマーケティング本部・高瀬豊本部長に聞いた。
――2007年度は、松下電器のウェルネス事業はどんな1年でしたか。
高瀬氏:
ナショナルウェルネスマーケティング本部では、美容、健康、環境、安心という4つの領域をターゲットに、「シェアダントツナンバーワン」、「普及の拡大」、「需要創造」という3つの観点からの商品提案を行なってきました。2007年度の事業を振り返りますと、美容の商品では、ナノケアドライヤー、ナノケアスチーマが計画以上の実績となっています。2008年度以降もこの勢いは継続しそうです。
しかし、健康分野では、2007年1月に、マッサージチェアの一部製品において、モーターの電源線が断線したままの状態で使用を続けた場合に、発煙・発火に至る可能性があったため、無償で点検、処理させていただくことになりました。松下のマッサージチェア事業にとっては、大変厳しい1年でありました。この点では、みなさまに大変ご迷惑をおかけしました。対象商品の点検はまだ100%ではありません。最後の1台を見つけだすまで、徹底して点検に取り組んでいく姿勢は変わりません。
その一方で、昨年後半に投入した「urban i(アーバンアイ)」は、団塊世代ジュニア、30歳前後といった世代、あるいは都市部のマンション在住者に順調な売れ行きを見せ、新たな需要層を獲得した商品を投入することができました。さらに、乗馬フィットネス機器「ジョーバ」も高い人気を誇っています。もともとは50代、60代の方々が購入していましたが、最近では、特に20~30代の購入比率が、2005年に比べて15ポイントほど上昇しています。当社のイメージキャクターを務める、プロビーチバレー選手の浅尾美和さんによるテレビCMも、普及には大きな効果となったようです。2008年度は、20代から60代まで幅広いユーザーに販売していきたいと考えています。
マッサージ機「 urban i (アーバン・アイ)」シリーズは、都市部のマンション在住者などに好調な売れ行きを見せている
これまでは50~60代を中心に売れていた乗馬フィットネス機器「JOBA(ジョーバ)」シリーズだが、最近では20~30代の購入者も増えている
ジョーバのCMにビーチバレーの浅尾美和選手を起用したことも好調の要因だという
――ジョーバが若い世代に売れているのは、ダイエット効果があることが背景ですか。
高瀬氏:
ジョーバは、約15年前に試作された商品です。開発には、さらに5年ほど掛かっていますから、かれこれ20年近い歴史があります。
開発期間を含めると、20年近い歴史を持つジョーバ。ダイエット効果のほか、ゴルフの飛距離を向上する効果もあるという(写真は開発初期の試作ロボット)
開発の目的は、政府や大学機関と一緒になり、将来の高齢化社会に向けて、75歳の時に、65歳の体力年齢を実現できるように、欧州でリハビリの手法として先行していた乗馬療法を研究し、その効果を活用する、というものでした。その点では、50~60歳というターゲットは狙い通りだったわけです。しかし、ノウハウを蓄積することで、ジョーバ運動によってウエストが引き締まり、ダイエットにも効果があることがわかってきました。現在、「ウエストの引き締め」、「ダイエット」、「運動不足解消」、「ゴルフの飛距離アップ」、「美しい姿勢」、「足腰の強化」、「高齢者の歩行力維持」という7つの運動効果が証明されています。
発売当初は月10台というところからスタートしていますが、2005年以降、販売数量が急激に増加し、いまでは月約1万台の出荷実績となっています。商品を成功させるのは、長年に渡る我慢も大切ですね(笑)
――ジョーバは、健康志向を背景に成長しているといえそうですね。
高瀬氏:
確かにそう言えます。当社では、健康商品をマッサージチェアなどの「回復」、血圧計などの「計測」、ジョーバなどの「運動」、アルカリイオン整水機などの「補給」という4つの領域から品揃えしています。どの領域も健康志向にあわせて高い関心がありますが、最近では、血圧計の動きも好調ですね。これは、健康保険法改正によって、健康に対する関心がさらに高まっているという背景があります。2008年はさらに伸びていくでしょうね。
また、先頃、新商品として、皮下脂肪をミリ単位で計測できる体組成バランス計「EW-FA70」を発表しました。世界初の光センサー技術を搭載した「皮下脂肪スキャナー」により、身体の二の腕やお腹、太もものそれぞれの皮下脂肪の厚みをミリ単位で測定するとともに、体の重心位置などを測定できます。気になる項目をより細かく見たい、数値の判定結果の意味を知りたい、簡単に測りたいなど、より高度な要求が出ている。ナショナルでは、毎日測るという家族の健康習慣をもたらす、新たな家庭の計測機器として、新需要を創出する商品の1つに位置づけていきます。
――ところで、健康商品にも、北京オリンピック需要はあるのですか(笑)
高瀬氏:
ナショナルでは、「からだ家電で健康ニッポン」をキーワードに、アスリートの方々に、健康領域の商品訴求をしています。北京オリンピックだから健康商品の売れ行きがすぐに増加するというわけではありませんが、専門店、量販店には、多くの方々が来店するきっかけが増える。その時に、ウェネルス商品を試していただく機会があれば、増販につなげることができる。2000年も、2004年も、オリンピック需要期には販売が増加しています。多くの方々に触れていただく機会を設けて、ナショナルのウェルネス商品の良さを体感していただきたいと考えています。2008年度は、からだ家電を「群」展開していく考えです。とくに、団塊世代、団塊ジュニア、都会のマンションに住む方々に向けた商品群によるマーケティングをしていきます。
――新たなコミュニケーションメッセージを発信する形になりますか。
高瀬氏:
そうですね。ただ詳細は言えません。いまちょうど検討しているところですよ(笑)
体組成バランス計「EW-FA70」は、光センサーを搭載した「皮下脂肪スキャナー」で、皮下脂肪の厚みと重心の位置が測定できる
スポーツ選手を広告に起用し、「からだ家電で健康ニッポン」をテーマとした健康領域の商品宣伝も行なっている。写真はジョーバの製品発表会に出演したアマレスの浜口京子選手(右)と、父でありトレーナーのアニマル浜口氏
――「環境」領域の商品ではどうでしょうか。
高瀬氏:
低消費電力を訴求できるような商品を環境商品とし、コミュニケーションメッセージを、従来の「Nのエコ計画」から、「Nのエコアイデア」に進化させてきました。温水洗浄便座やパルックボール、パルックプレミア、シーリングライトツインPaといった主要4商品は、対前年同期比で30%近い成長を遂げています。パルックボールプレミアは電球を変えるだけで、省エネが実現できることで訴求でき、これが高い評価を受けています。10倍長持ちであること、家庭における省エネへの取り組みは、まず電球を変えることから始められるということが浸透してきました。
また、大阪の天神まつり、世界遺産である白川郷、札幌雪まつりなどにおいて、パルックボールプレミアを使用するといった訴求も成功しました。2008年度は、環境に対する意識がさらに高まりますから、対前年比で40~50%以上の成長を目指したいと考えています。
――もう1つが「安心」の領域ですね。
高瀬氏:
この領域では、防犯、防災の商品に加えて、電池が含まれます。電池は、2006年度には厳しい状況でしたが、2007年は前年を大きく上回る実績となりそうです。オキシライド乾電池だけでなく、アルカリ乾電池の動きも順調です。任天堂さんのゲーム機の普及などによって、ゲーム機で乾電池を使用するといった需要増加がこれを支えています。4月には、「EVOLTA」という新たなブランドの乾電池を投入しますから、2007年度以上に、「打って出る」1年にしたいですね。
一方、住宅用火災警報機も、2007年度は前年比倍以上の成長となっています。2006年6月から、新法令が施工し、2011年までを期限として、新築、既存を問わず、住宅用火災報知器の設置が法律により義務化され、一部の市町村によっては、条例によって、すでに昨年から義務化が始まっている地域もある。スーパープロショップを中心に大きな商売へと発展している商材です。
世界遺産である白川郷に、電球型蛍光灯「パルックボールプレミア」を寄贈するなど、消費電力、CO2排出量を削減する取り組みを行なっている
「世界No.1長もち」を謳うアルカリ乾電池の新ブランド「EVOLTA(エボルタ)」も、4月よりスタートする
法律により一般家庭でも設置が義務化された火災報知器も、売上を大きく伸ばしている(写真は「ねつ当番定温式 SH4600P」)
――ウェネルス商品は、すべての領域において非常に好調な業績だといえますね。
高瀬氏:
いずれも、小さな市場規模において、圧倒的なシェアを獲得することを目指して商品であり、「小さな島の賢いガリバー」がキーワードです。ただ私は、白物家電は、必需品が多いのに対して、ウェルネス製品の場合は、「必欲品」が多いといえます。
ヘアドライヤー「ナノケア EH5442」。髪のツヤやハリ、みずみずしさを保つ「nanoe(ナノイー)」イオンの発生量を、従来製品から20%アップした
――「必欲品」とは、どういうものを指しますか。
高瀬氏:
簡単に言えば、欲しいと思わせることができる商品です。例えばヘアドライヤーは、言ってしまえば生きていくうえでなくてはならないものではありません。しかし、あれば便利なものです。これをもっと進化させれば必需品になります。当社の「ナノケア」シリーズなら、単に髪を乾かすだけでなく、ナノケアが発する「nanoe(ナノイー)」イオンで髪をしっとりとさせて、これまでは翌朝に紙がゴワゴワになっていたのを防ぎ、寝癖を少なくできます。さらに、地肌を健やかな状態で保つ効果もあります。これなら、なくてはならない製品になるばかりか、同じくナノケア技術を搭載する関連商品も欲しくなるという連鎖を起こせるようになります。
これはシェーバーでも同じです。単にシェーバーが「あると良い」「欲しい」という段階で留まるのではなく、ナショナルのラムダッシュでないと駄目と思っていただける商品づくりが必要です。つまり、こうした商品を市場に投入し続けることが大切です。
商品企画は、どうしてもいまある商品をベースに考え、その目線で商品を作ろうとする傾向になってしまいがちです。昨日も商品企画会議がありましたが、中には必欲品、必需品になれるような企画に達していないものがあり、それを商品企画からドロップしました。我々が妥協した商品を提供していては駄目です。感動していただける商品づくりにこだわり続ける。マーケティング本部の役割は、市場の声を、BU(ビジネスユニット)に伝えることが大きな役目です。ナショナルにマーケティング本部ができて、4年を経過しようとしていますが、妥協するような雰囲気が、もしかしたら、一部で出ているのではないか。健全な対立関係を維持していくことに改めて力を注ぐ考えです。
そのためには、私たちがもっと勉強して、市場をまわり、市場から声を聞き、市場を知り、トレンドをきちっと捉えなくてはならない。商品別、年齢層別、男女別で、必欲品となるもの、必需品となるものに差があります。普及率15~20%のものは、さらに普及率を引き上げる施策を打ち、そのなかでシェアを獲得していくということに取り組んでいきます。
――具体的にはどんな領域がありますか。
高瀬氏:
それはいくつもあります。例えば、メンズシェーバーは、日本も、米国も、欧州も年間700~800万台の市場規模がある。それに対して、電動歯ブラシは、米国も欧州も、メンズシェーバー同様に700~800万台の市場があるのに、日本は200~250万台に留まっている。まだまだ潜在市場があり、そこに必欲品となる仕掛けができていない反省がある。電動歯ブラシを必欲品とし、さらに必需品とする仕掛けにも取り組んでいきたい。ヘアドライヤーに関しても、まだまだ発展性がある。例えば、育毛などの効果を加えると、新たな需要層も獲得できるようになるでしょう。不安、不満、不便という「不」の要素は、まだまだたくさんあり、それを解決する手段もあるはずです。その点では、まだ多くの努力が必要です。
高瀬氏はシェーバーについて「ラムダッシュでないと駄目と思っていただける商品づくりが必要」と語る(写真は「ラムダッシュ ES8259」)
電動歯ブラシの市場は、欧米で700~800万台であるのに対し、日本は200~250万台程度に留まっているという(写真は「ドルツ・リニア音波ハブラシ イオン EW1046」)
――最後の質問になりますが、10月1日から社名がパナソニックに変更します。また、2009年度を目標に、ブランドをパナソニックへ一本化する計画を打ち出しています。ナショナルブランドを扱うナショナルウェルネスマーケティング本部にとっても節目の1年になりますね。
高瀬氏:
6月の株主総会での承認を経て、10月に社名変更となります。10月以降のナショナルウェルネス商品の展開に関しては、現時点では、お話できるレベルではありません。我々が取り扱う商品の中では、既に乾電池がパナソニックブランドになっています。もちろん、10月以降には、パナソニックブランドのウェルネス商品が登場することになるでしょう。パナソニックには、先進性というイメージがありますし、感覚的に思うのは、若年層への受けがいいだろうという点です。美容や健康領域の製品にも、パナソニックへの一本化はプラス効果になると思っています。
また、この動きとは別に、年代別、男女別といったセグメントでの展開も強化していきますし、浸透しはじめたラムダッシュ、ジョーバ、ナノケアといったサブブランドの強化も検討していきます。パナソニックブランドとの組み合わせによって、これまで以上に効果を発揮させたいと考えています。
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URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
からだの学校(健康関連製品のページ)
http://national.jp/kenko/
カラダ家電で健康ニッポン
http://national.jp/kenko/nippon/
きれいなおねえさんは好きですか(ナショナルの美容情報サイト)
http://kireone.jp/
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大河原克行の「白物家電 業界展望」 バックナンバー
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2008/05/19 00:06
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