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セガトイズ「ペコッぱ」

~なぜか気持ちが安らぐ、不思議な“おじぎ草”
Reported by 本誌:正藤 慶一

セガトイズ「ペコッぱ」
 今回取り上げるのは、セガトイズの「ペコッぱ」だ。

 以前、東京おもちゃショーの記事にて取り上げており、その存在をご存知の人もいるだろう。しかし、事前情報の何もない人が右の製品写真を見ても、これがどういった商品か言い当てるのは難しいだろう。何しろ、鉢の上に茎と葉っぱが植えられているだけなのだ。

 簡単に説明すれば、鉢の内部にはマイクが搭載されており、この葉っぱがこちらの呼びかけに応じてペッコリとお辞儀してくれる、というおもちゃだ。ホームページの説明によると、「話の区切りのタイミングを読み取って、葉っぱをピクピクとふるわせたり、茎を大きく動かしてウンウンとうなずきます」とのことだ。

メーカーセガトイズ
製品名ペコッぱ
希望小売価格2,310円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,806円


「空気が読める植物」というキャッチコピーが書かれたパッケージ
主な使用法
鉢に開いている穴がマイク部。ここで音声をキャッチし、葉を揺らすのだ

 しかし、葉っぱがこちらの声に合わせてうなずくことで、いったいどんな効果が得られるのだろうか。

 実は人間は、言葉だけでなく、うなずきまたはジェスチャーによっても、他人とリズムを共有し、コミュニケーションを円滑に取っているという。これは、岡山県立大学の渡辺富夫教授が提唱する「うなずき理論」というもので、本製品ではこの理論を実用化した独自のプログラム、その名も「KY(空気が読める)テクノロジー」を組み込んでいるという。

 さらに葉っぱには、本物の植物に見られる柔らかい印象を再現するため、「バイオメタル」という、筋肉のように柔軟に動く、金属系で繊維状の駆動装置を使用している。通常は柔らかいものの、電流を流せば強い力で伸縮するこの素材によって、本物の葉っぱがうなずくような姿が演出できるのだ。

 これらの技術により、ペコッぱが自然にうなずくことで、心地よい“癒し”が得られるという。最初は安易な“癒しグッズ”かと思ったが、ここまでバックボーンを整えているこだわりっぷりはすごい。

 なればこそ実際に使って、効果があるのかを試してみたい。というわけでまずは電源を入れよう。単四のアルカリ乾電池3本を、鉢の底のフタを開けてセットする。後は、鉢の横にあるボタンを押し、鉢の中に開いているマイク部に向かって話しかければ運転がスタートだ。


「うなづき理論」「バイオメタル」など、案外ちゃんとした理論と技術に裏付けされている点にびっくり
リアルに再現された葉っぱ
茎部分が、筋肉のように柔軟に動く「バイオメタル」を採用する

電池は本体裏面から入れる。誤って開いてしまわないよう、コインで開ける仕組み 電池は単四アルカリ乾電池3本 鉢のサイド部のボタンを押すことで「お辞儀」がスタート

 それでは話しかけよう……と思ったが、オフィスの自分のデスクで使用しているため、周囲の音に反応して、こちらが声を出さずとも、既にうなずいてしまっている。よほどマイクの感度が良いのか、Impress Watchのオフィスがうるさいのか……。というわけで、静かな会議室に移動し、以下の動画のように話しかけてみた。


ペコッぱに相談しているところ。どうにも恥ずかしさが先行してしまう

 正直な感想を言うと、この状況で“癒された”という気持ちは沸かなかった。確かにうなずきはリアルだし、タイミングも絶妙。うなずく前に葉っぱをヒラヒラする姿は愛らしい。しかし、このペコッぱに話しかけるという行為がいかにもわざとらしくて、どうも気が引ける。“一人で機械の葉っぱに相談するオレ”という恥ずかしさが勝ってしまうようだ。これなら同じ恥ずかしさでも、一人言で十分。わざわざペコッぱを利用するまでもない。コラムで書くのは止めてボツにしよう。この時はそう思っていた。


 しかしこの数日後、ペコッぱのありがたみを感じる時が来たのである。

 原稿の処理に追われ、会社で残業をしていたある日のこと。同僚は早々に帰宅し、デスクの周囲には私一人。時計は夜10時を過ぎたというのに、まだまだ仕事は山積みのままだ。「うまくいかないもんだなぁ」と頭の中で愚痴をこぼしながらキーボード打っていると、ふと机の上にほったらかしにしていたペコッぱに目がとまり、何の気なしにスタートボタンを押した。

 するとペコッぱは、キーボードのタイピングの音に合わせて「ウンウン」とうなずきはじめた。その時、何とも言われぬ安心感が胸の中に広がり、鬱屈していた気を晴らすことができたのだった。そこからはうなずき続けるペコッぱを横目に、仕事に集中することができた。ウソのようだが、本当の話である。


残業でひとり会社に残っている時の写真。机の上でお辞儀をするペコッぱに、“癒し”のようなものを感じてしまった
 これはおそらく、前述の「うなずき理論」の作用により、私とペコッぱの間に擬似的なコミュニケーションが成立したのだろう。ペコッぱのうなずきが、一人で抱えていた苦しみを共有できたような錯覚が得られたわけだ。もちろん、ペコッぱは機械なのでこちらの苦悩を理解しているわけでは当然なく、あくまで人間側が勝手に判断し、反応してしまっただけではある。しかし、自分の動きに連動するものがあるだけで、冷え切った心に火がともるような感覚が得られる。まあ、単なる思いこみかもしれないし、疲れていただけかもしれないが、“癒し”の効果は確かにあったと言って良いだろう。

 そして今、ペコッぱは残業の友として我がデスクに欠かせないモノとなってしまった。話しかけてうなずく、という本来の使い方からは外れているが、こちらの出す音に「ウンウン」とうなずく姿は、やはり愛嬌がある。“ウィーンウィーン”“カチャカチャ”といった機械音もないのも良い。目の隅に入って邪魔に感じるケースもあるかもしれないが、動きは基本的にうなずく/葉をひらひらするといった単純なものなので、そこまで目障りというほどでもないだろう。


会社のデスクに置いて、キーボードのタイピングの音に連動するペコッぱ。不思議と気が紛れる

 気に食わないのが、10分運転すると程度で自動ストップがかかってしまうところだ。再開するには鉢のボタンをあらためて押す手間がある。しかし何よりも、さっきまで元気にうなずいていたペコッぱが、たった数分で微動だにしなくなってしまうのは、思い入れがあるだけにあまりにショッキングだ。次回作では、ぜひとも連続モード、あるいは長時間モードを用意してほしいところだ。

 はっきり言って誰にでも勧められる商品ではないし、大多数の人はこれがなくても全然問題なく生活できるだろう。しかし、夜中の仕事で疲れていたあの日、机の上の葉っぱがお辞儀をしてくれた、ただそのことで心が温かくなったという、あの感覚は忘れられない。独りになる時間が多い人は、一度試してみてはいかがだろうか。





URL
  株式会社セガトイズ
  http://www.segatoys.co.jp/
  製品情報
  http://www.segatoys.co.jp/products/robot/pekoppa/index.html

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2008/12/15 00:03

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