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家電製品ミニレビュー
三菱重工「SHE60ED」

~毎時600mlの強力加湿が魅力のスチーム式加湿器
Reported by 本誌:正藤 慶一

1万円台で加湿能力の高い加湿器が欲しい!

 11月も半ばになると、もう季節はすっかり冬。屋外は当然ながら、部屋の中も、空気は乾燥しきっている。読者の中にも、ノドの乾きやイガイガを感じている人は多いはずだ。

 というわけで、今シーズンも加湿器のレビューを掲載しようを思うが、それに当たって購入したのが、三菱重工の「SHE60ED」だ。三菱重工というと、発電所・飛行機・船舶・新幹線など、大型の機械を扱う会社という印象が強いが、家電のカテゴリーでは、エアコンと加湿器に限って製造・販売している。

メーカー三菱重工
製品名SHE60ED
希望小売価格23,100円
購入場所楽天市場
購入価格14,300円


 なぜこの機種にしたかというと、理由は3つある。まず1つ目は、私は既に空気清浄機を持っているため、加湿空気清浄機ではなく、加湿だけの単機能のものが欲しかった。2つ目は、スチーム式加湿器であること。これまでに超音波式・ハイブリッド式はやったことはあるが、スチーム式については初めてで一度使ってみたかった。なお、加湿器のタイプの違いについては、「現代家電の基礎用語:加湿器とは」をご確認いただきたい。

 最後は、加湿能力だ。加湿量は1時間当たり600mlと、1万円台の製品ながら結構高い。狭い我が家なら、すぐに空気を潤してくれそうだ。このひとクラス下の「SHE35ED」は、実売価格は1万円以下で安いものの加湿量は350mlと低く、また上位機種の「SHE120ED」は1,200mlと大容量ではあるが、価格が3万円以上と非常に高い。それを考えると、SHE60EDはちょうどピッタリといったところだ。


暖かいスチームに、熱湯がこぼれない安全構造

 本体は308×221×297mm(幅×奥行き×高さ)というスクエア型をしている。底面積が広いため、がっしりとした印象がある。重量は約3.8kgでそれなりに重いが、取っ手が付いているため室内での移動ならそれほど問題ではない。

 使用方法は、まず上部カバーを開け、その中に入っている容量4Lのタンクを取り出し、中に水を注ぐ。そして、タンクを本体内に再びセットし、前面パネルの「運転/停止」ボタンを押す。しばらくすると、吹出口からモクモクとスチームが吹き出て、加湿がスタートする。運転音は「シュー」っといった感じだが、それほどうるさくはなく、会話やテレビの音の聞き取りに支障は感じられなかった。

 運転中の吹出口からは、肉眼でわずかに見えるくらいの白いスチームがどんどん湧き出てくる。本体内には送風口があり、これでスチームを風で飛ばしているのだ。ちなみに先ほどから本製品を「スチーム式」と呼んでいるが、同社では正式名称として「スチームファン式」を名乗っている。

 スチームの温度は約55℃で、熱いというよりも暖かいといった感じ。これだけでも暖が取れそうだ。なお、吹出口は高温になるため、手で触れることは禁じられている。子供がいる家庭では、誤って触れてしまうケースも考えられるため、使用は避けておいた方が良いだろう。


本体正面
側面
上フタを開け、本体内に入っているタンク(中央手前)、ダクト(中央奥)を取り出したところ

タンク容量は4L
空気の吸込口は本体側面にある

運転中のようす。スチームは色が薄く見えにくい

水を含んだ蒸発布(写真左の白い布)を、ヒーター(写真左の黒い円筒状のもの)が加熱、水分を蒸発させる。水槽内の水は加熱されないので、水がこぼれても火傷の恐れはない
 ところでスチーム式というと、この吹出口の熱さとともに、倒したときに熱湯が出て、火傷を負ってしまう危険もある。しかし、本製品ではこの問題はほぼない。その秘訣は「蒸発布」にある。本製品ではこの蒸発布がタンクからの水を吸い取り、その後、蒸発布に含まれる水分だけをヒーターで温めてスチームにする方式となっている。本体内の水槽に溜まった水は加熱されないので、例え本体を倒したとしても、室温と同等のぬるい水がこぼれるだけなのだ。まあ、もともとがっしりとしたデザインなので、倒す心配が端からなさそうな感はあるが、これならもし倒れた場合にも安心だ。もちろん、蒸発布、ヒーター部はかなり熱い点はご注意いただきたい。

 また、本体正面に大きめの液晶を採用している点も特徴だ。ここには湿度や運転状況が表示される。湿度は30%以下になると「Lo」、80%以上は「Hi」で表示される。また、湿度が約39%以下の乾燥/約40~65%の適湿/約66%以上の多湿状態を3種類のアイコンで示す「うるおいモニター」も用意されている。乾燥のみ赤い色で表示されるが、「あ、空気が乾燥しているんだな」というのがわかりやすい。

 とりあえず、後述する「うるおい運転」で運転を開始したところ、使用前の湿度は39%だったが、1時間で43%になった。乾燥していた室内の空気も、いつの間にかうるおっており、「うるおいモニター」のサインも適湿に変わった。さすがは600mlの加湿能力。4.5畳の狭いマイルームでは、すぐに効果がでた。


湿度が39%の状態で運転スタート。画面右側には、空気の乾燥を知らせるアラートが表示されている 一時間後は43%になり、空気もだいぶうるおった。「適湿」のアイコンも表示されている 温度/湿度のセンサーは、本体下部の「BEAVER」のロゴあたりにあるという

湿度をコントロールする自動運転モード搭載。音声ガイドは意外に効果アリ

自動で湿度を最適にコントロールする「うるおい運転」を搭載。運転中は本体の画面に「うるおい」の文字が表示される
 本製品ではさまざまな運転モードが用意されているが、まずは自動で湿度を最適な状態にコントロールする「うるおい運転」を紹介しよう。これは、本体内の温度/湿度センサーが室内の温度をチェックし、最適な湿度にコントロールというもの。説明書によると、最適な湿度は室温によって変わるようで、例えば19℃なら65%、20~22℃なら60%にするらしい。

 ここで試しに、うるおい運転中にセンサー付近(本体正面下部の「BEAVER」のロゴ部分)に水を飛ばし、湿度を意図的に上げてみた。すると、吹出口からスチームが噴出しなくなり、本体の運転音も小さくなっていった。本体のモニターは「74%」とかなり高い数値を表示している。確かに湿度が上がると自動で停止し、湿度の調節をしているのだろう。その後湿度が下がっていくと、また元気にスチームを吹き出しはじめた。過剰な加湿は、カビの原因となる結露を引き起こすことになるが、うるおい運転ならその被害を抑制する効果が期待できそうだ。

 運転モードではこのほか、湿度を60/55/50/45/40%に設定できる湿度設定運転、湿度に関係なく加湿運転を続ける連続運転、運転音を抑えながら湿度を50%にコントロールするおやすみ運転、1/2/4/6/8時間後に電源を切るタイマー運転もある。いずれも、本体正面のボタンを使って操作をする。


説明書の「うるおい運転」の記述。室温によって、最適な湿度が変わる 「うるおい運転」中に、センサー部の前で水を振りまいて湿度を74%にしたところ、運転が弱まった。湿度が高くなると自動的に運転を抑制し、無駄な加湿が抑えられる

 その他の機能としては、音声ガイド機能がある。これは、タンクの水がなくなった場合、また空気が乾燥した場合に、「タンクの水がなくなりました。給水してください」といった女性のセリフでアラートしてくれるというもの。多くの加湿器では、水がなくなった際には「ピーピー」といった機械音で知らせるものだろうが、本製品ではなぜか音声付きなのである。そんな機能いらないよ、という意見もありそうだが、実際に耳にすると「あ、替えなきゃ」と、いそいそと水を入れ替えに行ってしまった。これまでの「ピーピー」という音では億劫がってあまり交換しなかったものだが……これは単に私の気が小さいだけかもしれない。なお、音声はOFFにも設定できる。

 このほか、チャイルドロック機能、マイナスイオンの発生機構も備えている。また、アロマオイルを吹出口のトレーに載せて、アロマテラピーを楽しむこともできる。


音声ガイドによるお知らせ機能。「ピー」という機械音よりも、思いのほか気付きやすかった

マイナスイオン機能も付いている。水がなくても単独で利用可能 アロマオイルを使えば香りも楽しめる。本体や庫内にオイルが付着するとニオイが取りづらいのでご注意

メンテナンスの問題は不可避

 ところで、加湿器を使う上で忘れていけないのがメンテナンス。特にスチーム式は水アカが溜まりやすいというマイナス面を抱えている。何しろ、水道水にはカルシウムやマグネシウム、鉄分などを含んでいるため、こうした成分が必ず蒸発後の残留物として堆積する。説明書ではこれら残留物を「スケール」と呼んでいる。

 説明書では、1週間に1回の手入れが必要としている。我が家では11月1日から、ほぼ毎日、8時間以上使用しているが、これを書いている時点(11月11日)では、まだ一度も手入れをしていない。いかん、これはさぞスケールが溜まっていることだろうとフタを開けると、案の定、ヒーターと蒸発布はかなり汚れていた。

 同社によれば、この掃除を怠ると、ヒーターの温度が過剰に上昇、安全装置により運転がストップするという。この状態が続くとヒーターの寿命が短くなるため、これらを定期的に除去することが加湿器を長持ちさせることにつながるとしている。

 メンテナンスは、まず蒸発布はヒーターから取り外し、もみ洗いでスケールを洗い流す。ヒーター部分は、濡れた雑巾や歯ブラシなどで掃除する。蒸発布には茶色の跡が付いているが、これは水分中の鉄分が付着されたもので、焼け焦げたものではないとのこと。蒸発布の交換の目安は2カ月で、購入時には予備としてもう1枚付属する。もちろん、別売りもされている。


11日間、メンテナンスをせず使用した後の蒸発布とヒーター部。1日8時間以上も使っていたため、かなりの蒸発残留物が付着している 蒸発残留物とは、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウム、鉄分が、蒸発した後に固体となって残留したもの。蒸発布やヒーターに、しっかりと付着している もみ洗いした後の蒸発布。茶色く残っているのは蒸発残留物の鉄分によるもの。焦げ跡ではない

 スチーム式の加湿器を使う上でメンテナンスは不可避ではあるが、やっぱり面倒であることに違いはない。なお、吸気口にもフィルターが搭載されているが、こちらは今のところゴミが溜まっておらず、きれいだった。ヒーター部の掃除がメンテナンスのメインとなるのは間違いない。


 メンテナンスに課題を残すが、毎時600mlの加湿能力と、自動で最適な湿度にコントロールする運転モード、倒れても火傷しない安全構造は、1万円クラスでは有り難い機能だ。これでメンテナンスがもうすこし楽だったら……。どちらかというと、加湿器を初めて使う人よりも、「加湿器、特にスチーム式にはメンテナンスは付きもの」ということを分かっている“熟練者”にお勧めしたい。





URL
  三菱重工業株式会社
  http://www.mhi.co.jp/
  製品情報
  http://www.beaver.jp/product/kasitu/series_60dd.html
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  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/air.htm

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2008/11/14 00:00

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