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家電製品ミニレビュー
三菱重工「nanomist SHH55DD」
~手入れが簡単なナノモイスト方式加湿器
Reported by 一ヶ谷 兼乃
三菱重工「新型nanomist SHH55DD」
冬になって気になるのが乾燥した空気。静電気や肌のかさつき対策以外にも風邪やインフルエンザ対策として加湿器が見直されている。筆者が購入を思い立ったのも、風邪やインフルエンザ対策として、とても有効だということを聞いたからである。今回は、洋室8畳程度の寝室で使う加湿器の購入することにした。
加湿器を選ぶときのポイントとしては、いくつか考えられる。それほど複雑な機能をもった家電ではないので、簡単に選べると思いきや、加湿能力、消費電力、動作音、本体サイズ、手入れの手間など、結構考慮すべき点が多い。
筆者の場合、手間のかからないことと、設置サイズが家電を選ぶポイントとして外せない。もちろん加湿器本来の加湿という部分にもこだわりを持ったものを選択したい。
逆に留守がちなので一日中動作させることは少なく、また筆者がそれほどノイズ音が気にならない性格のために、消費電力と動作音に関しては選択時にそれほど重要視しなかった。
筆者が選択したのは、三菱重工「nanomist SHH55DD」だ。メーカー希望小売価格は35,700円。Amazon.co.jpでは26,800円で購入した。
加湿器は、暖かく水分も多いので細菌の巣窟になりやすい環境なので、定期的な手入れが必要になる家電だ。月に数回は内部を掃除したり、加湿フィルターを洗うことが義務づけられている機種が多い。様々なメーカのカタログを比較したり、メーカサイトで公開されている取扱説明書をチェックしたところ、SHH55DDはお掃除サインが表示されたときに水を抜き、エアフィルターの掃除を行なう程度の手入れでよく、他の機種と比較して手間がかからないのではないかという判断がこの機種に決定した大きな要因である。
購入する機種が決まり、SHH55DDを注文した。パッケージを開けると、加湿器本体に2個のイオンフィルター、電源ケーブル、取扱説明書などが同梱されていた。本体は側面のカバーと水タンク、電源ケーブルが外せる程度で、こまめな掃除が必要になる他社のハイブリッド式加湿器とは多少異なる感じを受ける。取扱説明書にしたがいイオンフィルターをセットし、水タンクに水をためて電源を入れ、イオンフィルタークリアボタンを押すと動作準備が完了、極めて簡単な構造だ。
SHH55DD本体左側面のエアフィルター口から空気を取り入れ、加湿された空気は本体上部から吹き出される。吹き出し口に手をかざしてみると、室温よりも冷たい空気が出ているものの、湿った感覚はまったくなく、この時点では加湿されているのかどうか実感は得られなかった。
本体正面
本体背面
左側面。ここから空気を取り入れる
左側面のパネルを外した状態。右側面のパネルは外すことはできない。
背面のラベル部。同クラスの他社の製品と比べて消費電力は大きめだ
加湿された空気は上面から後ろ斜め上に向けに排気される
いったん電源を切り、SHH55DDを寝室に移動させ実稼働させてみた。特別にハンドルなどはついていないが、前面と背面に手をかけられる部分があり、重量バランスもよく安定して持ち運ぶことができるのはありがたい。
本体上部のLEDには湿度が表示することができ、電源投入時には「30」と表示されていた。このとき、部屋内の温度/湿度が計測できる置時計「カシオDQD-330J」では32%と表示されていた。エアコンで暖房を行なっている状態で、ドアを閉めSHH55DDを「おまかせ」モードで20分程度動作させた。部屋に入ると、図書館のような匂いを感じるが、特に湿った感じはせず、窓の結露も確認できなかった。SHH55DDのLEDの表示は「40」に、「カシオDQD-330J」には43%の表示だったので、確実に加湿は行なわれているようだ。
操作は上面にまとめられたパネルですべて行なう。運転モードは5つ用意されているが、特に他のモードに切り替える必要を感じたことがないため「おまかせモード」に設定している。乾燥状態やタンクの水が無くなったときに音声で知らせてくれる音声ガイドやタイマーで電源を切る機能もこのパネルで簡単に操作できる。湿度はLEDによる表示以外にも前面上部のランプでも確認することができるが、部屋の詳細な湿度を知りたいのであれば別途湿度計を用意したほうがいいだろう。子供が間違って操作できないようにチャイルドロック機能も備えている。
水タンクをセットし、電源を入れた直後のパネル。電源を入れてしばらくはLEDには湿度は表示されない
寝室に移動し、電源をいれて5分ほど経過した状態のパネル。低湿と表示されている
エアコンを動作させた洋室8畳程度の寝室を密閉して、運転開始後20分ほどした状態
動作音に関しては、同時に動作させているエアコンの動作音のほうが大きく、ほとんど気になることはない。エアコンを切ると、風が吹き出しているために風きり音は確認できるが、モーターの振動や水が飛び散るような音は感じられず、寝付けないような音量ではない。水タンクから水が落ちて空気が入るときのボコボコという音がたまに発生し、気にならないことはないが不快なものではない。
購入して10日程度使ってみたが、部屋の空間が湿っていると直接的に感じることはない。ただ、容量4Lの水タンクが6~8時間程度で空になる、寝起きのときに喉が乾燥していない、ネコと触れていても静電気を感じることがないといった各状況からは、かなりの効果が得られていると判断できる。風邪になりにくくなるといいな程度で購入したのだが予想外に効果が得られてありがたい。たまたまかもしれないが、湿度も上手にコントロールされていて、必要以上に加湿されることはなく一度も結露で悩まされることはなかった。
不自然に湿った感じではない加湿能力は、メーカーのいうナノモイスト方式によるものだ。ハイブリッド方式の気化フィルターに当たる部分が「ナノミストチューブ」構造で、10nm以下の非常に細かな水滴が加湿に使われる。
肌や髪に浸透しやすい、ドライアイになりにくいといった効果以外にも、ナノミストチューブ自体細菌を通さないために水からの細菌は遮断され排気が極めてクリーンである、拡散性に優れていてムラ無く部屋全体を均一に加湿してくれるといった特徴がメーカーから説明されている。
基本的にエアフィルター以外の水や気化時のフィルターは、掃除などの手入れは必要ない。必要ないというよりは、掃除できるようになっておらず、交換するか修理する前提の構造になっている。メーカーによると、イオンフィルター(水フィルター)は1シーズンに1個交換が必要だという。このイオンフィルターは購入時に2個同梱されているほか、
三菱重工のオンラインショップ
で1個1,575円で購入できる。
ユーザが交換することができない加湿モジュール(気化フィルター)は9,000時間が耐用時間ということになっている。
水あかなどを除去するイオンフィルター。標準的な利用形態でワンシーズンに一個交換する必要がある
購入時に2個同梱されているほか、オンラインショップで購入可能
銀イオン抗菌エアフィルター。外れるので水洗いもできる
銀イオン抗菌エアフィルターを外した状態の吸入口
フィルターをセットした状態
水タンクの収納スペース。イオンフィルターをセットした状態
容量4Lの水タンク。キャップ口は大きくないので、内部に手をいれて洗浄などは難しい
そのため、手入れをこまめにやって何年も使い続けたい、消耗部品は少なめにして維持費を抑えたいという方向性で加湿器を探している方には向かない製品かもしれない。
いまのところ満足度は極めて高い。加湿機能以外にもタンクの水が切れたときや低湿になったときに、状況が的確に理解できる音声ガイドもありがたい。部屋の中には様々な電化製品があり、単純なアラームだと何のアラームなのかよくわからなかったりするからだ。
また、水をタンクに入れてセットするだけの手間しかかかっていない。試しに唯一のお手入れである水抜きもやってみたが、水タンクを外して本体を洗面所にもっていき、側面パネルを外して排水ホースを垂らすだけなので、おっくうなほどの手間は感じなかった。
エアフィルターを掃除機で簡単に掃除するくらいの手間なので、かなりの面倒くさがりである筆者でも使っていけると感じている。もしも、もう1台加湿器を買う必要がでてきたら間違いなくSHH55DDが第1候補になるだろう。そのくらい気に入って使っている。
水抜きを行う際に利用する排水ホース。使わない時は本体にはめ込まれいている
水抜きをするときに外側に引き出して使う
排水方法などを説明している表示部分
ナノモイスト方式の加湿器は、女性誌モデルが愛用しているなどの記事などがあり、美容に適しているとの側面から女性からの人気が高い製品だ。
実はナノモイスト方式の初期の製品は過去に不具合が見つかったことがある。しかし、その時のメーカーの対応が迅速で誠実な印象が強く、筆者が安心してSHH55DDを選択できた理由の1つでもある。
ナノモイスト方式の現行加湿器は3モデルで、現時点で生産しているとなると1モデルしか存在しない。広い部屋にも対応できる、より加湿能力の高いモデルがないのが残念である。メーカーにはラインナップの充実を期待したい。
三菱重工業株式会社
http://www.mhi.co.jp/
製品情報
http://www.mhi.co.jp/news/story/200707274610.html
加湿器関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/air.htm
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