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やじうまミニレビュー セイコー「STANDARD KX308K」
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~10年、20年使えるデザインの電波式掛け時計
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Reported by
本誌:伊藤 大地
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STANDARD KX308K
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携帯電話の普及もあって、腕時計をしている人はめっきり少なくなった。しかし、掛け時計が家に1つもないという人は、少ないのではないだろうか。
めったに買い換える機会のない掛け時計だが、シンプルで見やすく、さらに電波受信機能を、などと欲張りだすと、選択肢はとたんに少なくなる。機能満載の製品は、文字盤も機能同様、盛りだくさんに要素が詰め込まれているし、デザインに気を遣った製品だと、電波受信機能を備えたものが少ない。信頼性を求め、時計メーカーのモノを選ぼうと思うと、さらに選択肢は狭くなる。
そんな中、目に止まったのは2007年にセイコーと深澤直人による共同プロジェクト「POWER DESIGN」から生まれた、「STANDARD」という名の製品だ。その名の通り、「あたりまえにふつうで美しい時計」(ニュースリリースより)を目指した製品群で、アナログが3サイズ、3カラー、デジタルが3サイズ、2カラー、合計15製品がラインナップされている。
その中で今回は、アナログタイプで一番大きい、「KX308K」というモデルを選んだ。
メーカー | セイコークロック |
型番 | KX308K |
希望小売価格 | 31,500円 |
購入場所 | ヤマギワリビナ(ネット通販) |
購入価格 | 31,500円 |
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洋室の白い壁に掛けてみた。時計そのものが作り出す陰影も美しい
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もう、写真を見ていただければわかる通り、黒と白。文字盤には数字すらない、シンプルかつミニマルなデザインである。
ミニマル、シンプルと表現すると、無機質でいかにも「業務用です」といった感じの「駅の時計」を思い浮かべそうなものだが、なぜかそうした無機質さは感じられない。なぜか。じっくりと製品を見ればわかる。枠の角はわずかに丸く加工され、針の根本が少しだけ太くなっている。目盛りや針の先端も角が取れている。遠くからでは見落としてしまうようないくつもの細部のこだわりが有機的に融合して、無機質さを感じさせないのだ。
実は、「シンプルな電波掛け時計」というテーマでは、過去にカシオの「IC-2000J」と、同じセイコークロックの「SF229S」をご紹介している。だが、個人的な好みであることを承知で言わせていただければ、KX308Kはこの2つを遙かに凌駕するデザインだ。以前の2つが、シンプルであること自体が価値だったが、KX308Kはそうではない。シンプルであることがゴールなのではなく、シンプルであることを出発点とし、美しくするにはどうすればいいのかを考え、細部をデザインしていることが伝わってくるのだ。その点が「駅時計」との最大の違いである。
洋室にはもちろん、和室にも不思議とマッチしそうなデザインである。モダンな装いに見えるが、10年後も、20年後でも通用するだろう。
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アルミ製のフチの角がわずかに丸まっているのがわかるだろうか
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目盛りや針の先端もわずかに丸まっている
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盤面の直径は約30cm
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と、外見についてはこのくらいにして、時計としての機能に触れておこう。ムーブメントはクオーツ式。電源は、単三型乾電池2本。電波時計として、福島局または九州局からの電波を受信して時計を自動で合わせる機能を持つ。時刻補正は毎日午前2時に行ない、以降3時間ごとに、秒単位での補正していく。
初回購入時は、電池を入れて、シャープペンなど先の尖ったものでリセットボタンを押せば準備完了。あとは勝手に時刻を合わせてくれる。電波の受信状況などは、操作ボタンの横にあるLEDに表示される。ランプの点灯の意味が本体には書かれておらず、説明書にしか載っていないのは不親切だが、操作そのものは簡単だ。
電波時計というと、場所や環境によって受信しにくいことがあるが、そうした場合に備え、手動で調整する機能も付いている。また、「5分早め」に設定して、そのまま固定して使いたい人などに向けて、電波受信機能をオフにする機能も搭載している。
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裏面
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基本的な操作はシールで貼られているので、説明書を読む必要はほとんどない
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電源は単三乾電池2本。はじめから同梱されている
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針の動き方は今、流行のスムーズに流れるように動くタイプではなく、昔ながらのカチッ、カチッと1秒ずつ、音を立てながら、時を刻むタイプである。これまでも繰り返してきたように、KX308Kはとにかく、細部にこだわりが見て取れる製品である。「妥協して」昔ながらの方式を採用したとは考えにくい。私に読み解くことはできないが、これが“スタンダード”である、という作り手の明確な意志と捉えるべきだろう。
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画像加工でSEIKOロゴを消してみた。みなさんはどう思われるだろうか
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ところで、この時計をじっくりと眺めるうちに、「12時の目盛りの下にある“SEIKO”マークもないほうがいいのでは」などと思い始めた。そうした選択肢が、作り手側にあったかどうかは今となっては、わからない。そこで遊び半分で、画像加工してマークを塗りつぶしてみた。スッキリとしたが、なにかしっくりこない、どこかのっぺらぼうのようで、間が抜けているというか、バランスを失している印象を受ける。私はセイコー信者ではないけれど、やっぱり元の製品のままがいい。みなさんは、どう思われるだろうか。
31,500円という価格は簡単に買える価格ではないが、手に取り、間近で眺めて、感じられる完成度を考えれば、私は決して高いとは思わない。10年、20年経っても古びないデザインを買う、そういう心持ちで求める製品だろう。発売後1年が経ち、取り扱う店舗も少なくなってきているようだ。迷っている人は、購入を急ぐことを強く勧めたい。
■URL
セイコークロック株式会社
http://www.seiko-clock.co.jp/
製品情報
http://www.seiko-clock.co.jp/standard/index.html
ニュースリリース
http://www.seiko-clock.co.jp/news/press/20070606/index.html
■ 関連記事
・ やじうまミニレビュー CASIO「IC-2000J」(2007/10/12)
・ やじうまミニレビュー セイコークロック「SF229S」(2007/09/13)
2008/09/10 00:00
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