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OXO「ダイコングレーター」

~ケガをしにくいユニバーサルデザインのおろし金
Reported by 本誌:伊藤 大地

ダイコングレーター
 オシャレなキッチン家電もいいが、毎日のように使う雑貨こそ、かっこいいモノが使いたい。輸入物なら、ハンズやロフト、FrancFrancあたりを覗けば、いくらでもデザインのよいモノはある。しかし、醤油差しやら箸置きやら、日本ならではのモノに限定すると、とたんにカッコいいモノが少なくなる。おろし金も、そんなグッズのひとつだ。

 そんな中で例外的存在が、OXOのおろし金。このコーナーでもOXOを幾度となく紹介しているが、それにはワケがある。世の中にごまんとある、シンプルでオシャレならOK! という“インテリア系”の雑貨とは違い、OXOはカッコいいだけでなく、実用性まできっちり考えて作られている点で、一線を画す存在なのだ。ポップコンテナにしても、しゃもじにしても、デザインをまったく抜きにして本質的な性能だけで比べても、ほかの多くの製品を上回るデキだった。

 ハズレなしのOXOのキッチングッズの中でも、傑作といわれているのが、このダイコングレーターである。メーカー希望小売価格は2,940円。値引きなしでAmazon.co.jpで購入した。


パッケージだけを見ると、おろし金には見えない 土台とおろし金とフタの3点構成 裾が広く、がっしりした作りだ

パッケージ裏の説明書きは英語だが…… 日本語の説明書もちゃんと付属する

 この製品、しゃもじと同じく、Suicaの改札機からロボットのデザインまでこなすプロダクトデザイナー、山中俊治氏が手がけている。同氏はOXOの日本進出の際、アドバイザーとなり多くの製品に関わっているが、このおろし金はそのなかでも極めつけの一品。2006年度のグッドデザイン賞を受賞しており、同氏の代表作品に数えられている。

 というわけで、この製品を2週間ほど使ったのだが、確かにこれはいい! この製品の良さは(1)ランダムなおろし目、(2)ラバー製の土台のグリップ感、(3)立てて収納できる、の3点に集約できそうだ。

 まず、(1)のランダムなおろし目。グッドデザイン賞のWebページに寄せられた山中氏のコメントによると、職人が作ったおろし金は、あえて目を揃えていないのだという。なぜ揃えていないかというと、いろいろな理由があるが、もっとも大きいのはケガを防ぐためだ。

 たしかに、目の揃ったおろし金で直線的におろす作業を続けていると、大根の表面にレールを引いたように、規則的な溝ができてしまい、おろす作業を続けていると、引っかかったような感触を伴うことがある。ちょっと引っかかるくらいならばいいのだが、この状態のまま、ムリにする方向を変えようとすると、勢い余って手だけおろし金にこすりつけてしまうことがある。これを防ぐため、一定の溝ができないよう、刃の向きをあえてランダムな方向にしているわけだ。


よく見ると刃の向きが微妙にバラついている 土台の端には注ぎ口がついている。おろした後にでる汁もしっかりと活用できる 土台にはOXOマークが描かれている

土台をしっかりテーブルに押さえ込んでおけば、片手でもすれる 土台ががっちりしているので軽い力でおろせる 仕上がりはやや粗め

 2つ目のラバー製の土台は、一度使えば手放せなくなるほど便利。もうこれは見た目通りで、土台がきっちりテーブルにグリップするため、力強くおろしていても、グラつかない。土台を押さえる側の手の負担が、格段に減った。


立てて収納できる
 3つ目の立てて収納できる点もありがたい。たしかに、裾野の広い台座の形状はかなり場所を取る。しかし、この裾野の広さがグラつかない特徴に結びついているので、妥協できない点だ。だったら、立てられるようにすれば――という発想は、結果から考えると当たり前のようだが、その当たり前が難しいところなのだろう。ただ、縦置きする際に底面となるのは、OXOロゴがないほうの面のみで、逆向きでは立たない。OXOらしく、余計な説明書きは本体側に一切ないので、立てて収納できること自体を知らないと気づきにくい。

 と、いろいろな工夫が光るおろし金だが、不満な点もある。それはおろし目が粗いこと。普通におろすだけだと、わりと繊維というか、大根のかたまりが感じられる、粗めの仕上がりになる。けっしてきめの細かい、雪のような大根おろしができないわけではないが、円を描くように、やさしくおろさなくてはいけない。こうすると、辛みがなくなって、薬味としての魅力が失われてしまう。もちろん、合わせる料理や好みによっても変わってくるが、もうちょっと標準の目が細かければ、両方とも楽しめたのではないかと思う。少なくとも、「ダイコングレーター」の名前通り、ワサビやショウガをするのには、向いていないだろう。

 全体的には、作り手の細かい配慮を随所に感じることができて、傑作と呼ばれるにふさわしい製品だと感じた。おろし金としての価格は高いが、そうそう買い換えるモノでもない。ちょっとした贅沢をするには、いい選択肢ではないだろうか。





URL
  OXO(オクソインターナショナル)
  http://www.oxojapan.com/
  製品情報
  http://www.oxojapan.com/oxo/categories/product/80

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2008/07/29 00:01

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