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東芝「ヨーグルトメーカー TYM-1000」
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「ヨーグルトは自分で増やせるんだ」と知ったのは、十年以上前に「ヨーグルトきのこ」が流行ったときでした。我が家でも、どこからか種菌を分けてもらってしばらく作り続けていたのですが、だんだん菌が弱って薄くなってきてしまい、最後はダメにしてしまった記憶があります。
当時は口コミで広まっていたため種菌の入手も難しかったのですが、最近は「ケフィアヨーグルト」や「カスピ海ヨーグルト」などいろいろな種類のヨーグルトの種菌が市販されていて、また流行していると知りました。さらに、昔とは違って温度管理をしてくれる「ヨーグルトメーカー」の存在も知って、ここ最近ヨーグルト作りにかなり興味が沸いていました。
そんなとき、うちの連れが定期検診で「糖尿病予備軍」と診断されました。朝食を食べようとせず、昼食は夕方……という不規則な食生活が身体に負担になったようです。そこで、家族で食生活を見直して、食材も血糖値を上げにくい低GI(グラセミック・インデックス)のものへ変更。そのうち、低GIのなかでも「糖質制限食」という食事方式に移行したのですが、残念なことにこの方式だと普通のヨーグルトは糖質が多すぎて食べられません。ヨーグルト好きな私には結構つらい設定です。
しかし、よく調べてみると、低脂肪のものを少量や、無調整豆乳で作るヨーグルトは食べてもいいとあったので、この機会に自作することに。過去の経験で温度管理の難しさは知っていたので、前々から気になっていた「ヨーグルトメーカー」を買ってみることにしました。
今回選んだのは、いろいろな種類のヨーグルトを幅広く作れる東芝の「ヨーグルトメーカー TYM-1000」をチョイス。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでの購入価格は7,968円でした。
● 温度設定が幅広く、いろいろな種類のヨーグルト作りに使える
東芝の「ヨーグルトメーカー TYM-1000」は、25~50℃まで自由に温度設定ができます。1~24時間でセットできるタイマー機能もあり、作りたいヨーグルトの種類によって温度と時間を組み合わせられるのが特徴です。容量は1,200ccと大容量で、内容器が2セット付属するため1セットを冷蔵庫に入れて保存しながら、次が作り始められて便利です。
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透明の内容器がセットされています
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内側はシンプルなつくり
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ケーブルは固定で外れません。長さは1.9m
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「ヨーグルトメーカー TYM-1000」の第一印象は、「思ったより大きいな」というもの。形は直径16.2cmの円柱形で、高さは19.2cm。本体重量は750gと軽いので移動は簡単です。設置には500mlのペットボトル5本分程度のスペースがあれば大丈夫。構造はシンプルで、本体に二重にふたのついた内容器を入れて、外ぶたをかぶせるだけです。
色は、清潔感があるホワイト。ヨーグルトメーカーだけに、牛乳を連想させる牛柄の操作部がポイント。付属のシールで本体全体を牛柄にすることもできます。ただし、本体が真っ白なだけにキッチンのなかでも油が飛ぶような場所に置いておくと汚れが目立つので、コンセントが届くなら棚やシンクの下などに置いた方がいいでしょう。
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内容器は目盛付きで容量1,200cc。紙パックの牛乳が1本まるごと使えます
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フタは二重。内ぶたはかぶせるだけで、ネジぶたはスクリュー式でしっかりしまります
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マニュアルのほか、攪拌用のヨーグルトスプーンやレシピブック、本体用の牛柄シール付き
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操作部分だけ、あらかじめ牛柄がプリントされています
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シールを貼ると本体全体が牛柄になります
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● 攪拌してセットするだけの簡単操作
基本的な使い方の流れは、煮沸、攪拌、セットの3ステップ。まず最初に容器の雑菌を取るため、内容器や付属のスプーンを煮沸消毒したあと、牛乳と種菌になるヨーグルトを内容器に10:1で入れて攪拌。内容器に二重にふたをして本体に入れたら、温度と時間をセットして発酵するのを6~7時間待ちます。
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発行中に雑菌が繁殖しないよう、最初に容器を煮沸消毒します
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スタンダードなヨーグルトを種菌に、市販牛乳で作ってみます
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使える牛乳は、生乳100%で乳脂肪分が3.5%以上、無脂肪固形分が8.0%以上のもの
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内容器に種菌としてヨーグルトを100g、牛乳を1本まるごと入れて静かに攪拌
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よく混ぜたら内ぶたを乗せてネジぶたをしめます
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本体の「モード」を押して温度表示に切り替え
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温度を40℃にセット
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再び「モード」を押してタイマーに切り換え、6時間にセット
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本体に内容器をセット
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最後に外ぶたをかぶせます
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「スタート」を押して発酵開始
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通電中は「通電ランプ」が点灯します
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作業のなかでは、最初の煮沸が少々面倒で、ヨーグルトメーカーの種類によっては牛乳パックをそのまま容器に使って煮沸をしないで済むタイプもあります。ただ、それでは牛乳でしか作れませんし、豆乳でのヨーグルト作りや納豆作りなどに使えません。結局のところ、容器を使うほうが応用が効いて便利です。
設定時間が過ぎても通電が終わるだけで、アラームなどが鳴るわけではありません。7時間ぴったりで取り出せたことはほとんどなく、気がつくと終わっている感じで使っていましたが、とくに問題はありませんでした。6~7時間だとちょうど一晩ぐらい。私の場合は、寝る前にセットして、翌朝に冷蔵庫へ移し替えるパターンで使っています。
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終了時間になるころには、内ぶたに水滴が
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少しゆるい状態に発酵しています
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ゆるすぎれば、追加で発酵させられます
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内容器のまま冷蔵庫で冷やします
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ゆるめに見えても、冷えるとちょうどいいかたさに
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右が元のヨーグルト、左がヨーグルトメーカーで作ったもの。発酵時間が短かったので酸味が少なく食べやすい味に仕上がりました
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プレーンヨーグルトなら約40℃、カスピ海ヨーグルトなら27℃、ケフィアヨーグルトなら25℃とそれぞれ適切な温度が違うので、作りたいヨーグルトに合わせて温度と時間をセットします。通常、ヨーグルトメーカーは40℃台、ケフィアやカスピ海用は20℃台などとセットできる温度が固定されているものが多いのですが、これだけ設定が自由だと使い道が広がって便利です。
実際に作ってみると、たった100ccのヨーグルトが1Lの牛乳がヨーグルトに変わる様子は何度やっても不思議。いろいろなヨーグルトを種菌にしてみましたが、まったく同じものにはならないものの、基本的にはその種になるヨーグルトの風味を残しています。こうして作ったヨーグルト自体を、次の種菌に使うこともできます。
カスピ海ヨーグルトやケフィアヨーグルトは、市販されているヨーグルトが「種菌には使えない」と書かれているものが多いので、粉末で売られている専用の種菌を使用します。また、種菌によっては発酵にまる1日かかるものや、設定温度が本体に付属するマニュアルとは違うものもありました。いろいろなパターンでやってみましたが、基本的には買った種菌の説明書どおりに行なうのが正解のようです。
本体の温度設定は50℃までなので、45℃で手作り納豆を作ったり、最近流行している、イースト菌を使わない「天然酵母」の種おこしにも便利に使えます。
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特殊な菌のヨーグルトでもできるのかやってみました
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しっかりヨーグルトは完成
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結構おいしく、風味も残っていました。でも確認したところこの乳酸菌は増やせないそうです。残念
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● 「ほぼヨーグルト」な食感の豆乳ヨーグルト
今回の目的は「豆乳ヨーグルト」だったので、使い方に慣れてからチャレンジしてみました。どんなものができるのかワクワクしましたが、やってみると本当にあっさり作れて拍子抜け。成分無調整で大豆固形分8.0%以上のものであれば問題なく作れますし、一度間違えて調整豆乳で作ったときも、案外ヨーグルト風に作れてしまいました。
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慣れたところで本題の豆乳ヨーグルト作りへ
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想像以上にしっかりできあがりました
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最初、食べてみた食感は不思議なもので、「豆腐」そのまま。ヨーグルトを作ったつもりが豆腐ができてしまった……と思いましたが、よくまぜてシロップをかけると「ほぼヨーグルト」でした。まったくヨーグルトが食べられないよりは、この豆乳ヨーグルトに置き換える方が全然ラク。これなら食事療法も続けられそうです。
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かなりかためで豆腐のようです
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カロリーゼロのシロップをかけて食べてみました。よくまぜるとほぼヨーグルトの食感です。ただ、風味はやっぱり牛乳ではなく豆乳
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繰り返し使っていていちばん便利だと思ったのは、やはり内容器のセットが2セットあること。一度に食べられるヨーグルトの量はそれほど多くありませんし、かといって食べたいときに冷蔵庫にあってほしいもの。発酵自体6~7時間かかりますし、発酵後のぬるいものよりは、冷えたヨーグルトが食べたいものです。冷蔵庫に保管しながら次を作る、という作業にはどうしても容器が2セット必要です。
ケフィアヨーグルトやカスピ海ヨーグルトを作る際には、やはり温度設定の変更が自由にできる点が便利でした。種菌は、30℃を超える暑さになると雑菌が繁殖しやすくなったり種菌が弱まったりしますし、逆に冬で寒いと発酵までに長い時間がかかってしまいます。これをいつでも一定の時間で行なえるのは想像以上に便利でした。
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カスピ海ヨーグルトやケフィアヨーグルトは粉末の種菌が市販されています
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通常のヨーグルトと違って温度は低め
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時間もほぼまる一日かかります
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ケフィアヨーグルトのできあがりは、普通のヨーグルト以上にとてもまろやか
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牛乳にカスピ海ヨーグルトの粉末を入れてよく攪拌します
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できあがりは結構しっかり。こちらもとてもまろやかでおいしいです
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● 不安定な菌をコントロールして安定してヨーグルトが作れる
ヨーグルトメーカーがあると、ほぼできあがりの状態を一定にコントロールできるため、失敗なく安定したものを毎日食べられるのが利点です。あまりに簡単にコントロールできるため、逆に“手作り感”は少し薄れますが、毎日の生活に組み込みたいときは安定して作れるほうが助かります。
今は、昔と比べて市販されているヨーグルトの種類も多く、価格も安いので、ヨーグルト作りは“オトク”という意味では説得力に欠けるのですが、やはりまだまだカスピ海ヨーグルトやケフィアヨーグルトは手に入りづらいですし、好きな風味のヨーグルトがない場合もあるでしょう。
また、私の場合は「豆乳ヨーグルト」でしたが、こういった素材の違うヨーグルトを作ったり、ゼラチンを使ったゼリーのようなヨーグルトを作って自分の好きな食感に変えたり、生クリームを使って濃厚なヨーグルトを作る、といったことも自由にできるのがヨーグルトメーカーの楽しさです。市販のヨーグルトを種菌に、何度でもチャレンジして自分用のレシピを作れる楽しさは、価格分の価値はあるな、と感じました。
ちなみに、「糖質制限食」を2カ月間ゆるく守ったところ、再検査のころまでにうちの連れは6kg体重が減り、数値もかなり回復しました。次の検診はまた3カ月後。引き続きヨーグルトメーカーで数値を改善すべく、対策に励みたいと思います。
■URL
東芝ホームアプライアンス株式会社
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
製品情報
http://www.toshiba.co.jp/living/kitchen_appliences/tym_1000/
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2008/07/11 00:11
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