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家電製品ミニレビュー
キングジム「SR600」

~リビングでもオフィスでも便利なキューブ形テプラ
Reported by 西村 敦子

ラベルライターの代名詞「テプラ」の最新モデル

キングジム「SR600」
 「テプラ」といえば、言わずと知れたラベルライターの代名詞。すでに累計販売台数は500万台を超えているというオフィスのアイテムです。実際、お店のポップから、職場、公共施設、学校用品などあらゆるものに貼られていて、ラベルライターで作られたシールを目にしない日はないぐらいではないでしょうか。

 このテプラ、もともとファイルの専業メーカーだったキングジムが「ファイルの背見出しを見やすく表示したい」という発想の元で生まれた製品だそうで、1988年に初代が発売されてからもう20年以上。タイプライターをごく小さくしたような形が定番でしたが、今回あたらしく“新スタイルモデル”として、キューブ形の「SR600」と、パソコンにUSB接続して使うコンパクトな「SR3700P」の2機種が発売されました。

 どちらも雰囲気はスタイリッシュで、デザイン家電そのもの。個人的に以前からテプラは持っていてときどき使っているので、どちらもとてもかなり興味をひかれましたが、キューブ形の「SR600」の方を購入しました。メーカー希望小売価格は23,940円。Amazon.co.jpでは15,809円で販売されています。


キューブ形のスタイリッシュなデザインでオフィスにもリビングにも飾っておける

 「SR600」は、前述のとおりデザインにこだわりのあるラベルライター。ラベルライター自体は、カシオやブラザーなどいくつかのメーカーからも発売されていて、オフィスの事務作業向けの製品のほか、家庭向けにもカラフルでポップなデザインのモデルがいくつも発売されています。

 ただ、今回のようにスタイリッシュなデザインは初めて。マットな質感のキューブ形のデザインは、フタを閉じていると、とてもラベルライターに見えません。一般的に、これまでのラベルライターはキーボード部分が大きめで、タイプライターのように傾斜しているデザインがほとんど。これはこれで使い勝手は良かったのですが、家庭では正直言って収納に困ることがありました。キューブ形であれば、棚にもしまいやすいですし、飾り棚に「見せ収納」しても違和感がありません。


「SR600」の本体。ディスプレイ部分を閉じていると、ラベルライターには見えません
フタをあけた状態。この内側と、下カバーだけが黒でカラーリングされています
ディスプレイ部分のまわりには文字サイズや入力方法などの項目名が並びます

 今回購入したのは「レッド」ですが、ほかに「パールホワイト」もあります。どちらも下カバーと、操作パネル(キーボード)やディスプレイまわりは黒で、文字の入力に集中しやすいようです。また、ディスプレイを閉じると、この黒い部分がライン状に見えてデザインのアクセントにもなっています。触ってみると、この黒い部分もマットな質感で全体的に高級感があります。


本体右下のテープ出口
ここからテープカートリッジが出てきます
下カバーは半透明の黒

印刷中のテープは、印刷しながらテープがするすると出てきます
印刷が終わると自動的にカットされてコトンと落ちます

乾電池でも駆動。入力は基本的にローマ字入力

 電源には、ACアダプターと乾電池の2つの方法があります。ACアダプターの場合は本体奥の下に接続するだけ。電池を使う場合は、単3形アルカリ乾電池6本を付属の電池ボックスに入れ、本体奥にセットします。


電池ボックスにはアルカリ乾電池6本を収納します
本体奥にセット
電池カバーを付けて完了。電池式なら好きな場所で使えます

乾電池だとソファの上でリラックスしながらでも使えます
リビングやダイニングで使うときは、乾電池での利用がとても便利でおすすめ
乾電池だとキッチンでも使いやすいので、内容をメモして机まで移動する必要がなく、その場で作れるのが便利

 テープカートリッジを入れるのは、本体の底面にあたる部分。これまでのデザインでは上面にセットするデザインが多かったので少し意外に感じました。底面の下カバーは完全に取り外しできる作りで、テープは出し入れしやすくなっています。

 テープカートリッジをセットできたら、操作パネル(キーボード)上部にある赤い電源ボタンを入れ、[SHIFT]+[Print]でテープ送りをすれば準備OK。入力方式には、一般的な「ローマ字入力」や、ケータイのように「行」で入力していく「かな入力(かなめくり式)」、変換なしで直接アルファベットを入力する「ABC入力」が用意されています。


手前の「OPEN」を上に上げるとバネで跳ね上がります
下カバーは完全に取り外して、テープをセットします
テープをセットした状態

左にあるテープ通路にテープを通します
ACアダプターも付属。旧モデルよりはかなりコンパクト
付属のマニュアル。これなしでは使いこなせないので、熟読をおすすめします。アイコンや枠デザインの参照にもひんぱんに使います

 このあと、基本的にはプリントしたい文字を入力してから文字サイズやレイアウトを指定します。ただし、ビデオテープのラベルや宛名書きなど、細かいレイアウトがされた「フォーム」を使うときには、先にフォームを選んでからフォームに合わせて文字入力していきます。文字入力をしてからフォームを選んでしまうと、入力内容がクリアされてしまうので気をつけたいところです。

 最後に操作パネル左上の「Print」ボタンを押してプリントを実行します。右側面のテープ出口からテープが出てきて、「自動カット」が設定されていれば自動的にカットまで行なわれます。

 終了するときは、電源ONの時と同じく電源ボタンを押して終了。ある程度つけっぱなしになっていると自動的に電源は切れますが、フタを閉じただけでは終了しないので、電源ボタンを押すのを忘れずに。


文字がかすれず、キレイにはがせる優秀なテープカートリッジ

 テプラのテープカットリッジは、上からこすっても簡単には文字がかすれない、とても優秀なものです。カートリッジはプリンターのインクと同じで、どこでも安定して入手できることが大事。その意味ではテプラも入手しやすく安心です。今回の「SR600」にも、数年前に購入した「SR210」で使っていたテープカートリッジがそのまま使えてテープが無駄になりませんでした。

 ただ、テプラをしょっちゅう使っていると、この専用のテープカートリッジがどんどん増えていきます。というのも、テプラの場合はカートリッジで文字の色が決まるため。テープ自体の色はもちろんですが、たとえば「黒いテープに白い文字」をプリントしたければ、「カラーラベル 白文字」のテープを購入すればOK。赤文字や青文字などカラーの文字をプリントしたり、透明なテープに金文字でプリントすることもできます。


本体には幅18mmの白テープ(黒インク)が試用品として付属します
左が幅12mmの透明ラベル(白インク)。黒いものに貼るときや目立たせたくないときに便利。右はつや消しの透明ラベル(黒インク)
使い方をどこかに書いておきたいけれど、目立たせたくないときは、透明(白インク)が便利

 表面もコーティングされたツルツルしたものだけでなく、つや消しタイプもありますし、金や銀のメタリックなものや、ファンシーなチェックや水玉などの模様もラインナップされています。また、布にアイロンで貼り付けられるアイロンラベルや、アイロンで文字だけを転写できるアイロン転写テープなど学校の持ち物などに便利なものもあります。

 テープの幅は4mmから36mmまで。つまり、背景×文字色×テープ幅、でどんどんストックが増えてしまうわけです。今回の「SR600」で対応しているのは4~24mmまで。ビデオのタイトルで18mmですから、24mmまで対応していれば「もっと幅がほしい」と思うのは宛名印刷ぐらいではないかと思います。どうしても大きな文字でプリントしたいときは「でか22」と呼ばれる印刷でタテに4倍まで拡大できます。


濃い色にラベルをつけるときは、透明(白インク)は逆に黒インクよりハッキリ目立ちます
スタンダードな白い背景に黒インクのシリーズ。左から12mm、9mm、6mm。12mmぐらいまではテープカートリッジは同じ程度の厚さで、中身のテープだけが違います。18mmや24mmなど幅が広いものは、テープカートリッジも厚めになります
とても便利な、一部だけにプリントしてケーブルにくるりと透明部分を回して重ね貼りする「ケーブル表示」ラベル。小さな文字はフォントの種類を変えたり、「強調」を設定すると見やすくなります

「ケーブル表示」ラベルの場合は印刷濃度を濃くセット。設定を変える必要がある場合はテープカートリッジの外箱に記載されています
プリントする前に、実際にプリントされる長さが表示されます

 テプラの場合、テープがしっかり貼れるのに、はがしたいときはキレイにはがせるのがすばらしいところ。以前、いち早くパソコンに対応したほかのメーカーの機種を使っていたことがあったのですが、シールがはがれにくくて困りました。このとき、意外にもラベルやテープは「はがす」ことを前提としているものなのだなと知りました。

 また、パソコンとプリンターの方が便利なのではないかと切り換えてみたこともありましたが、小さいラベルは本当に数mmのズレが気になるものでプリンターの設定が面倒でやめてしまいました。

 テプラは、パソコンに比べればのディスプレイのサイズは小さいですし、写真や大量の文字も入れられませんが、アイコンや外枠のデザインは豊富なので普段使う分には問題ありません。よく使うファイルも99個(ファイル名等も含め最大で合計5,000文字)まで「ファイル」として保存できるので、パターン化も簡単です。


ATOKのすごさにあらためて感動!パソコン接続でなくてもこれなら便利

 そんな訳で長年テプラを使い続けてきましたが、唯一の不満が変換入力が不便な点でした。が、今回のモデルではその問題も解消されています。変換にジャストシステムのATOKが入っていて、予測変換も行なえます。自分が長くATOKユーザーで使い方に慣れていることもありますが、やはりその効果は抜群。一部のケータイと同じように予測入力機能も搭載していて快適です。

 たとえば、以前使っていた「SR210」で「杜仲茶」のラベルを作ろうと思えば、「とちゅうちゃ」とすべて入力してから変換すると「途中茶」にしかなりません。「と」と「ちゅう」と「ちゃ」をそれぞれ変換して確定させていく必要があります。「SR600」の場合、「とちゅうちゃ」と入力すれと一度で正しく変換できました。

 予測変換も本当に便利。「SR210」で「烏龍茶」のラベルを作るには、「うーろんちゃ」とすべて入力してから変換する必要がありましたが、「SR600」なら「うー」と入れた時点で「烏龍茶」が候補で表示され、選択できます。一度変換すれば次回からは候補のトップに来るようになりますし、この賢さは一度使ってしまうと戻れません。


「とちゅうちゃ」と続けて入力しても一回で気持ちよく変換
「うー」と打っただけで「烏龍茶」と予測変換してくれて快適

キーボードは小さめでキーの高さは低め。打ちにくさは多少あります
 これらの入力を行なう「SR600」の操作パネル(キーボード部分)は、横10個×4行の、数字とアルファベットの配列、そして上下にあるレイアウトや矢印キー、変換などの操作ボタンで構成されています。キーはPCのキーボードやタイプライター形のテプラとは違い、タテの列が揃った配置。少し違和感がありますが、操作パネル部分が小さいのでこれが限界でしょう。

 使うときは、左右の人差し指か、親指で打てば問題ありません。ただ、キータッチは小さなPDAのような感じで、多少打ちにくさは感じます。ツメで打つとキーが少しぐらつくので、指の腹で押していくとミスタッチが少ないようです。

 ディスプレイ部分では、バックライトが搭載されたことも特徴です。以前はバックライトがなかったので明るい場所でしか使えませんでしたが、バックライトのおかげで、少し暗めの場所でも見やすくて便利。ちなみに、このバックライトはオフに設定して乾電池などの減りを抑えることもできます。


うちで使っていた旧機種の「SR210」(左)。大きく、事務向けのイメージ。ディスプレイ部は「SR210」が2行、「SR600」が4行と大幅に大きくなっています
キーは旧モデルの方が打ちやすいのですが、大きさの違いを考えると無理もありません
バックライトのない「SR210」を暗い場所で撮ったもの。まったく見えません

「SR210」をスタンドのもとで撮ったもの。4文字×2列の表示が可能です
バックライト搭載の「SR600」を暗い場所で撮ったもの。十分見えます
「SR600」をスタンドのもとで撮ったもの。6.5文字×4列の表示が可能です

SOHOや小さなお子さんのいる家庭に特におすすめ

我が家の場合は、普段はデスクに常駐しています
 さて、そもそも私がテプラを使いはじめたのは、実家で母親が仕事用に使っていたものを、家庭でも使い出したのがきっかけ。当時はまだ学生だったのですが、自分の下手な字でずっと使う教科書や持ち物に名前を書くのが本当にイヤで、「これがあれば便利だったのになぁ」と感じたことを思い出します。

 残念ながら字の下手さは直らなかったので、SOHOで仕事をしている今はテープライターを活用しています。本来の用途である、ファイリングの背表紙を作ったり、仕事の進行状況をチェックしていけるラベルをファイルケースに貼ったりして仕事の管理をするほか、私物と機材が混じって混乱しないように、私物に名前を貼ったりしています。

 たとえば、CFカードなどの小さなアイテムは仕事中に機材に紛れてどこかに行ってしまいがち。さんざん無くしてきましたが、今は名前と電話番号を忘れずテープで貼るようにしています。

 今は7割ぐらいを仕事で使っていますが、生活の面でもよく使います。たとえば写真のアルバムの背表紙や、キッチンのキャニスターの中身の表示に便利に使えますし、家の中の家電などの使い方で忘れがちなものにもよく貼っています。また来客が来るたびに聞かれていたトイレのスイッチの場所にも便利。あたりまえですが、アイコンで1つ貼っただけで、だれも聞かなくなりました。また、慣れないと使い方に迷うインターフォンなどの操作も、目立たないように白文字で貼っています。

 ガスレンジも最近は高機能で、ときどき使うぐらいでは、なかなか操作を覚えられないものです。たとえば炊飯機能を使うときも、材料の量の指定が通常と違うため、使うたびにマニュアルを見返していました。そのうちそれがめんどうになって、数値をテプラでプリントして貼ってしまいました。


テレビなどAV機器の近くに置いておいても便利
キューブ形の形は、四角いものが多いパソコンまわりにもフィット。ちょっとしたスペースに置けておさまりがよく感じます
作るたびに忘れる、我が家のガスコンロの炊飯機能の配分量。アイコンが豊富なので入力文字数を減らせます

トイレの照明の表示。あたりまえですが効果は抜群でした
よくデジカメの写真をプリントするので、アルバムが無限に増えていきます。棚に並べると見分けがつかなくなるのでラベルは必須
格安で利用できるアルバム製本サービスの「Auto Album」をよく使うのですが、背表紙がないのでもっぱらテプラで追加しています

カメラやカードなど無くすと困るものには、大人になっても名前の記入が必須。テプラなら、はがしたいときキレイにはがせて便利
キャニスターにラベルを付けたところ。お茶以外にも、調味料や材料、材料を漬けた日……などなど、キッチンにはラベルライターがあると便利なものが結構あります

 テプラは、使えば使うほど「ラベル」にこだわり続けてきたアイテムなんだなぁと感じます。パソコンやプリンターのように「何にでも使える」汎用機でなくとも、何かの機能を極めると、それはそれで手放せなくなるんだなと感じました。パソコンやプリンターが普及した今でも、なくなっていないのは、その証拠かもしれません。

 「SR600」は、オフィスにもリビングにも、どちらに置いても違和感のないデザインと、ATOKを搭載した賢さが魅力の1台です。1万円以下のモデルが多いラベルライターのなかでは、標準価格で23,940円、実売でも2万円弱と、便利さを知らないとちょっと高価に感じるかもしれませんが、SOHOの方や、小さなお子さんの持ち物のネーム作りをひんぱんにされる方には、ぜひおすすめしたいアイテムです。





URL
  株式会社キングジム
  http://www.kingjim.co.jp/
  製品情報
  http://www.kingjim.co.jp/new_tepra/index.html

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2008/07/01 00:00

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