|
Canon「SELPHY CP770」
|
近頃はほとんどの人がデジカメを持っているのではないだろうか? 筆者も1年前に購入して以来、常に鞄の中に忍ばせている。しかし、写真をプリントアウトしたことが一度もない。自宅にパソコンはあるものの、プリンターを持っておらず、そうなると店に行ってプリントすることになる。わざわざプリントするほどの写真もないからなぁと思い、結局パソコンにデータとして残すだけ。そんな筆者の元にキヤノン「SELPHY CP770」がやって来た。メーカー希望価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでは13,800円で販売されている。
● ポップな色合いと形はプリンターの枠を超えている
パッケージを開けてまず思ったのは、「なにこのかわいらしさ!?」だった。従来の写真プリンターは"四角くて地味な色合い"といったように、デザイン性にはあまり優れていないものが多かったように思うのだが、「SELPHY CP770」はその色と形にキュンとした。フタとバスケット部分はオレンジ色、それらを留めるパッキン部分はライトグリーン。操作ボタンとフタの縁取りはホワイト。全体的にポップな色合いでまとめられている。
デザインはというと、ひとことで言うなら「バケツみたい」な形である。取っ手が付いているので持ち運びも簡単。大きさは炊飯器ぐらいで、重さも2kg以下。子どもでもひょいっと持てるサイズだ。おもちゃのような見た目はリビングの片隅に置いても違和感なく、それがプリンターだと気付く人は少ないだろう。
|
|
|
オレンジ、ライトグリーン、ホワイトの3色がポップな印象を与える
|
フタの部分がプリンターになっており、バスケット部分は収納BOXの役割を果たす
|
必要な道具が全て納まる。中仕切りがあるので、バスケット内でぐちゃぐちゃにならないところがいい
|
● 印刷の準備に1分もかからない
バスケットの中にはお試し用のインクカセット、Lサイズの用紙5枚、ペーパーカセット2つ、コンパクトパワーアダプターが入っている。
まず初めにインクカセットを準備する。とは言っても、インクシートにたるみがないかをチェックすればいいだけ。次にペーパーカセットに用紙をセットしよう。そして、プリンターのカバーを開け、インクカセットとペーパーカセットを差し込む。この際、インクカセットとペーパーカセットのサイズ表記が同じかどうかをチェックしないといけない。ちなみに店ではインクカセットと用紙がセットになって売られているので、プリントしたい写真のサイズを選べばいいだけになっている。
用紙はLサイズ、ポストカードサイズ、カードサイズ、ワイドサイズ、シールタイプのものなど、使う目的によって選べる。カードサイズなら定期入れに、シールタイプなら小物ケースに張って中身を分類するのに役立つ。
|
|
カードサイズとLサイズのペーパーカセットがある。用紙のセットの仕方がイラストで説明されているのでわかりやすい。閉めるのは中ぶたのみで、外ぶたは開けておく
|
インクカセットはこのような形。フィルムになっている部分にインクがついている
|
2つをセットしたら、カバーを閉じる。その後、プリンターを安定した場所に置き、電源プラグをコンセントに差し込む。この時、通気孔をふさがないようにする。準備をする段階ではほとんど時間が掛からず、手間取ることはなにもなかった。
|
|
インクカセットとペーパーカセットをセットしたところ。ペーパーカセットは本体から飛び出している
|
コンセントに差し込んだところ。「SELPHY」のロゴがある部分が通気孔になっているので、塞がないよう気をつける
|
● メモリーカードから印刷してみる
電源を入れたら、カードスロットにメモリーカードを差し込む。機械に慣れていない人でもよくわかるように、差し込む口には各メモリーカードのイラストがついているので間違えることはない。メモリーカードを差し込めば、液晶に画像が出てくる。2.5型液晶は大きくて見やすいが、少し画像が粗いのが残念なところ。操作ボタンでプリントしたい画像を選び、枚数を指定し、印刷ボタンを押す。これでプリントスタートだ。
|
|
|
イラスト付きでメモリーカードの差込口が説明されている。ダイレクトに差し込めないものは別売りの専用アダプターを購入する
|
液晶は少し画像が荒い。一応確認はできるので問題ないが、少し残念
|
印刷スタート。ライトグリーンの印刷ボタンを押すだけでいい
|
|
出来上がり写真。Lサイズだが、両端を切り落とすので少し小さくなる。画質はキレイ
|
昇華型熱転写方式というプリント方法なのだが、この過程が面白い。最初に黄色が着色され、プリンターから写真が出てくる。「まさかこれで終わり?」と思っていたら、また引っ込んで、次は赤色が着色されて出てくる。そしてもう一度引っ込むと、次は青色が着色され、もう一度戻ると出来上がりだ。
印刷ボタンを押した瞬間から排紙されるまでの所要時間は1分。色味の派手なものと地味なもので試してみたが、どちらも同じくらいの時間が掛かった。この1分というのは少し長い。なので、1度にたくさんの枚数をプリントしたい人にはオススメできないが、数枚をプリントしたいという時に使うのなら大丈夫。子どものお誕生日会の時に、撮った写真をその場でプリントして子どもたちにあげたりしても喜ばれるかもしれない。プリントの過程も見ていて飽きない上に、「どんな写真が出来上がるんだろう?」というワクワク感もある。
|
|
|
まずは黄色から色がつく
|
次に赤色がつく。この状態だとアートな写真だ
|
最後に青色がつくと、ほとんどできあがりに近い鮮やかさ
|
● デジカメから印刷してみる
まず、手持ちのデジカメがPictBridgeやダイレクトプリントの規格に対応したカメラかどうかをチェックする。対応していれば、カメラに付属のUSBケーブルでプリンターと接続し、プリンター、カメラの順に電源を入れる。そしてカメラにプリントしたい画像を表示し、カメラの印刷ボタンを押す。これで印刷がスタートする。
出来上がり時間はメモリーカードの時と全く同じ。プリンターの液晶では確認しにくいので、デジカメの画面でしっかりチェックした画像だけをプリントしたいときはこの方法がオススメ。
|
|
カメラ付属のUSBケーブルで接続する。使用したデジカメもCanon製だった
|
デジカメの画面で「印刷」を選択する。操作方法はデジカメによって違う
|
● デジカメだけじゃなくケータイからの印刷もOK
今まではデジカメの画像のプリントを試したが、このプリンターはケータイからも無線で印刷できる。試しにドコモのD903iで試してみた。プリントしたい画像を赤外線通信でプリンターに送信する。送信が完了すればプリントが始まるのだが……非常に遅い。転送だけで1分は掛かったので、プリントと合わせれば2分だ。しかも、少し位置がずれるだけでエラーになるのも厄介だ。どうしても試してみたいというとき以外は、ケータイの画像もメモリーカードからプリントするほうが賢明。
ちなみに赤外線通信に対応しているケータイの中でもいくつか使えないものがあったので、自分のケータイが対応しているかどうかはHPで確認してみたほうがいい。しかし、筆者のケータイは動作確認済みリストには載っていなかったものの、きちんと通信できたので、使えるかどうかは試してからでないとわからないかもしれない。
|
|
まずはN702iDで試してみたのだが、赤外線通信ができなかった
|
次にD903iで試すと赤外線通信が始まった。何度か通信中にエラーが出たり、時間がかかったりしたのでオススメできない
|
● 印刷の設定を変えてみよう
普通にプリントするだけでも楽しめるが、いろいろな機能があったのでそちらも試してみた。「日付」、「赤目補正」、「マイカラー」、「レイアウト」、「自動写真補正」、「フチ」の6つの機能が搭載されている。この中でも特に面白いのが「レイアウト」機能だ。最大8枚の写真を1枚の用紙にプリントでき、できあがりはポストカードのよう。自分で何かテーマを決めて、1枚の写真にまとめればお洒落なカードが出来上がる。ただし、写真の並び順を自分で決められないのが残念だった。
|
|
|
「レイアウト」機能を使ってみた。ちなみにこの写真のテーマは「カラフル」
|
「マイカラー」機能で、セピアと白黒にしてみた。印刷の設定を変えるだけでこんなに雰囲気の違う写真ができる
|
「フチ」機能でフチあり写真にしてみた。少しレトロな雰囲気がでる
|
● お店で印刷するのとどう違うのか?
|
上が「SELPHY CP770」でプリントしたもの、下がお店でプリントしたものだ。ぱっと見た感じではあまり差がない
|
プリントのスピードに時間はかかるものの、お店でプリントをするのとはどう違うのか? セブンイレブンのお店プリントでプリントアウトしたものと「SELPHY CP770」を使ってプリントアウトしたものを比べてみることにした。紙質が少し違うので、お店のほうが写真に光沢があるのだが、色合いはというと「SELPHY CP770」のほうは精細さに掛けるが、1色ずつが強調されて見え、ぱっと見た感じは"鮮やか"だった。撮影したものをよりリアルにプリントしたいのならお店で頼むべきかもしれないが、“家でやりました”感はほとんどない。
ほかの人にどちらがSELPHYでプリントしたものかを聞いてみたところ、「SELPHYはサイズが少し小さいからわかるけど、お店のものより色の出方が鮮やか」だと言っていた。
● コスト面の問題は?
画質も気になるが、引っかかるのはコストの問題だろう。調べたところによると、セブンイレブンがL版1枚30円、フジカラーが店舗により違いはあるが、1枚30円~40円。「SELPHY CP770」はインクと用紙のセットで1,260円(36枚セット)と2,700円(108枚セット)があり、これを1枚あたりで考えると33円(36枚)もしくは25円(108枚)となる。108枚分のセットを買えばお店でプリントするよりも安い。36枚分のセットでも店舗より数円高いだけなので、外に出かける手間を考えればお徳な気がする。
● 写真プリンターを持っていない人にオススメ
すでに写真プリンターを持っているという人は、今あるプリンターで十分かもしれない。しかし、写真プリンターを持っていない人や今のプリンターの操作がややこしいと思っている人には「SELPHY CP770」をぜひ使ってみてほしい。
パソコンがなくてもプリントできる気軽さ、そしてプリンターなのにほとんど場所を取らないというのは魅力的なはず。子どものいるママ向けの商品として売り出されているが、デザインにかわいらしさを求めている人、簡単な操作性を求めている人にもオススメできるプリンターだ。
■URL
キヤノン株式会社
http://canon.jp/
製品情報
http://cweb.canon.jp/cpp/cp770/index.html
■ 関連記事
・ 家電製品ミニレビュー カシオ「プリン写ル PCP-1000」(2007/12/17)
2008/06/26 00:01
- ページの先頭へ-
|