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家電製品ミニレビュー
三洋電機「EMO-FS30A」

~スチーム機能がついた3万円台の電子レンジ
Reported by 奥川 浩彦

三洋電機「EMO-FS30A」
 長年使い続けた我が家の最古の家電製品、電子レンジを買い替えることにした。いざ確認してみると、この電子レンジは1988年製で、購入したのは88~89年頃と思われ、20年近く使ってきたことに驚いてしまった。当時の電子レンジのトレンドは記憶にないが、この機種にはレンジ機能に加え、オーブンとグリルは搭載されていた。レンジ出力は500Wで、当然テーブルが回転するタイプだ。

 買い換えるべく情報収集を進めると、現在の電子レンジは1~2万円で購入できる低価格機、3~5万円台の中級機、それ以上の高級機といった感じで分類できることがわかった。

 低価格機は電子レンジ機能がメイン。オーブン、グリルを搭載したものも中にはあるが、ごく少数。電子レンジの出力は500~600Wが主流となる。テーブルが回転するタイプがほとんどだ。いわゆる、ごく普通の電子レンジといったところ。

 中級機ではオーブン、グリルに加えスチーム機能が搭載されている。電子レンジの出力は900~1,000W、庫内は回転テーブルのないフラットタイプとなる。赤外線センサーを搭載し加熱する飲食物の温度をリアルタイムに測定できるものもある。庫内容量も30Lと一回り大きくなる。

 高級機になるとオーブンの最高温度が300℃を超え、スチーム機能、センサー機能が充実する。操作面もボタン類が少なく液晶パネルを見ながら操作する機種が多くなる。メニューを選ぶだけで調理できる、自動メニュー機能のレシピ数も多い。

 高級電子レンジと言ってすぐに頭に浮かぶのはシャープの「ヘルシオ」。そのほか「ビストロ」「デリスタ」「ヘルシーシェフ」「カロリエ」とペットネームが付いた製品はみなこの高級機だ。

 さて、どれを買うか。

 「チンしか使わない」という本音も残しつつ、スチーム単独で動作すること、給水タンクがあること、温度指定ができることの3点にこだわって選んだのが三洋電機の「EMO-FS30A」だ。主なスペックは庫内容量30L、レンジ出力1,000W、オーブン、グリルの最高温度は250℃となっている。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでの購入価格は33,300円だった。本体の買い替えと同時にレンジ台も替えたいとの希望があり、本体より高い台を購入したのは予定外の出費となったがこれも大人の都合と割り切るしかない。


中級機のレンジ出力は1,000Wが主流 庫内はフラットタイプとなり、大きめのコンビニ弁当も大丈夫 本体と同時にレンジ台も購入。予定外の出費となる。上部に10cmしか隙間が取れなかった

 細かく見るとレンジ出力は1,000W、700W、600W、500W、200W相当、100W相当と切り替えられる。どのメーカーの製品も低出力が「相当」と表記されているのは、強い出力を小刻みな時間制御でコントロールし低出力を実現しているのであろう。1,000Wの出力は最初の8分間でその後は700Wとなる。これはカタログの注記に小さく書かれている。他のメーカーでは3分と表記されている製品もあれば、時間制限のない製品もある。実使用で冷凍ピラフ1袋を1,000W、6~7分にセットすることがある。8分はまずまずというところだろう。

 まず外観から見ていこう。操作部はオーソドックスに正面右側、扉の下部分にメニューと温度設定の目安が印刷されている。水タンクは扉の下側に、プリンタ用紙のトレイの様に差し込む方式だ。扉を開けると右奥に赤外線センサー、左側にスチームの吹き出し口が4つ付いている。


水タンクを下部に差し込む方式。タッパーの様に密閉性が高くないので、傾けると水がこぼれるので注意

赤外線センサーは庫内右上部
スチームは左側の4箇所から噴出される

 操作パネルを見ると、大きめのボタンが縦に「あたためスタート」「解凍」「スチーム」と並び、その下に横にレンジ、オーブン、グリル、更にその下に「お好み温度」などがある。おまかせで加熱する場合は「あたためスタート」を押すだけだ。この場合75℃をターゲット温度として加熱し、センサーが食品表面の温度が75℃になったことを検知して停止する。仕上がり調節により65~85℃まで5℃単位で変化させることも出来る。解凍の場合はターゲット温度は8℃となる。解凍ボタンを2度押すと「さしみ解凍」となりターゲット温度は2℃となる。

 大きなボタンの左横にオートメニューのボタンが並んでいる。扉下に書かれたメニュー番号を見ながら選んだメニューのボタンを押す方法だ。高級になると扉の文字が点灯したり、操作パネルにメニュー自体が表示されるが、このクラスは数字だけ表示されるものが多い。たとえば牛乳を2杯温める場合はオートメニュー22-27を押すと22-1と表示され牛乳1杯、そのままツマミを回すと22-2、牛乳2杯と変化する。以前使用していた機種は「牛乳」と書かれたボタンがあったが、対応するメニューが豊富になった分、ダイレクトのキーはなくなっている。


操作パネル。使用頻度からするとスチームとレンジ出力は逆にした方が使い易そうだ
牛乳2杯を加熱する場合はオートメニューの22を選ぶ
扉の下の部分にメニューと参考温度が印刷されている

 操作パネルの下部は横にレンジ出力、オーブン、グリルと並び、その下にお好み温度、温度/仕上り調節等のボタンがある。レンジ出力は押すと1,000Wと表示され、押す度に700W、600Wと下がっていく。ワット数を決めてツマミを回すと時間が変化する。オーブンは押すと180℃と表示される。温度/仕上り調節の上下で設定温度を変化させツマミで時間を設定する。グリルは時間だけツマミで設定する。

 さて、気になるスチーム機能を使ってみよう。

 天ぷらをスチームで15分間加熱すると盛大に油が落ちる。食感もからっとして揚げたてに近付いた感じだ。電子レンジだと1,000W、30秒で温めることができたが、ベトっとしたままでその差は歴然とした違いがある。オーブンを250℃にして加熱したところ、12分でやや焦げた感じとなった。食感はスチームのそれに近いがおすすめはスチームだ。


天ぷらをスチームで15分加熱。大量の油が落ちる。食感もからっとしておすすめ レンジ出力1,000Wで30秒加熱。ベトっとした食感はおいしくない オーブンを250℃にして12分加熱。尻尾は黒く焦げてしまった

 普通の電子レンジでは作ることのできないゆで卵は、20分間スチームをかければできあがる。筆者は普段、レンジ専用のゆで卵器を使用しているが、1個であれば6分半くらいでゆでられる。ゆで卵については、わざわざスチームを使用する理由は見あたらない。


スチーム加熱で蒸し卵を調理中。20分はさすがに長い
背面左奥からかなりの湯気が出る。ちなみに本体自体は上面と右側面が熱くなることが多い

 スチーム調理全体に言えることは、時間がかかるということ。たとえば、冷凍シュウマイ3個で実際に時間を比較してみると、ラップをかけて1,000Wで加熱する時間は50秒だったが、スチームの場合、1分50秒を要している。

 スチーム調理の場合、スチームと同時にレンジで加熱もしている。電力をレンジとスチームに分散するためか、レンジ出力は自動的に400Wになる。このため、加熱時間が長くなるのだろう。また、スチーム調理は給水タンクに水を入れる準備作業と終わった後に水を捨てる後片付けが必要。さらに本体パイプ内に残った水を抜く作業がいるので、レンジの代わりに手軽に使うというより、本格調理の時に使うモードとして捉えた方がよさそうだ。


実験的にティッシュをスチームで20分加熱。扉を開けた瞬間に水蒸気が冷え湯気に変わる
ティッシュは熱くはなるが濡れていない

 次に選択ポイントとした温度指定が出来る「お好み温度」の実験をしてみよう。お好み温度のボタンを押すと40℃と表示される。温度/仕上り調節の上下でマイナス10℃から90℃まで指定することが出来る。扉にも適温がバターなら20℃、お酒のかんは55℃、牛乳は60℃、ごはんは75℃と書かれている。水を45℃まで温めたければ45℃と設定しスタートボタンを押すだけだ。

 このクラスにはお好み温度機能を搭載している機種は多いが、メーカーによっては使用する器のサイズを直径12cm以上、深さ5cm以下と限定している場合がある。EMO-FS30Aには特に容器の指定はないので、深めのマグカップとスープ皿に200ccの水を入れて実験することにした。加熱前の水温は18℃、設定温度は65℃にしてみた。

 マグカップは加熱時間1分25秒で停止し、温度はほぼ65℃になった。スープ皿の方は50秒で停止し、温度は50℃くらいにしかならなかった。器の容積や熱伝導率の影響も考慮しスープ皿を変えてみたが、ほぼ同じ結果となったので形状による影響だと思われる。スープ皿の方が温度検出がしやすいと思っていたので予想外の結果となった。


お好み温度で指定した温度まで加熱することが出来る
マグカップはほぼピッタリの温度まで加熱できた
スープ皿はなぜか50℃までしか加熱できなかった

 実は筆者がお好み温度にこだわった理由は温泉卵だった。この機能を利用して手軽に温泉卵を作ることができないかと考えていた。温泉卵は卵黄の凝固温度65℃、卵白の凝固温度70℃の中間で温めることによって作ることが出来る。筆者がネットで調べた中で一番確実な方法は、卵をラップに包んで炊飯ジャーのご飯の上に1時間ほど放置しておく方法だ。この方法は難しくはないが時間がかかるのと、精神衛生上イマイチな感じがする。

 何度か実験した結果以下の方法で温泉卵を作ることができた。

 アルミ箔で卵を包み水を入れたマグカップに沈める。お好み温度の設定を75℃にし加熱する。一旦水温は75℃まで上がるが冷えた卵があるため2~3分で70℃以下に下がる。5分ほど経ったところで1,000Wで15秒加熱、更に5分後に15秒、10分後に15秒加熱、10分待って計30分経ったところで終了だ。徐々に庫内温度が上がるので温度は下がりにくくなる。出来映えは殻にほとんど卵白が付かず、卵黄も割ったときにトロ身がある筆者好みの温泉卵となった。手軽かと言われると微妙なところだが、出来映えと時間を考慮すれば満足できる結果となった。


アルミ箔に包んだ卵をマグカップで加熱し温泉卵に挑戦 30分で筆者好みの温泉卵が完成。とろろと併せて月見とろろそばにして食べたい

 最後に基本機能のレンジを見てみよう。出力1,000Wでどれくらい加熱時間が短くなるのかは気になるところだ。売られている冷凍食品の表記は500W、600Wの時間しか書かれていないものが多く1,000Wの加熱時間は推測するしかない。今回かなりの食材を集めてみたが、1,000Wの加熱時間が書かれていたのは、味の素のエビピラフと五目炒飯などわずかな製品しか対応していなかった。

冷凍食品の種類500W600W1000W
エビピラフ1/2袋300270(90%)170(57%)
エビピラフ 1袋540480(89%)360(67%)
五目炒飯 1/2袋270240(89%)180(67%)
五目炒飯 1袋480420(88%)360(75%)
※時間は秒数で表示。(%は500Wに対する比率)


 この2製品を比較すると同じメーカーでも食材によって加熱時間が違う。500Wから600Wは約10%の時間短縮だが500Wから1,000Wは25~43%とかなり差もあるし、時間の逆転現象も起きている。他の冷凍食品も500Wから600Wは10~15%の時間短縮になっているものが大半だった。


今回20種類以上の冷凍食品を購入。1,000Wの時間が書かれた食品はまだまだ少ない
味の素のエビピラフは1,000Wに対応している
五目炒飯はなぜか500Wは短め、1000Wは長めの時間となっている

 ピラフに限らずシュウマイ、肉まん、揚げ物、ピザと食品メーカーを問わず実食した結果、筆者としては1,000Wの加熱時間は500Wに対し25~30%の時間短縮を適正値とした。500Wで4分なら1,000Wで3分弱と言ったところだ。製品によってはやや加熱しすぎとなる場合もあるが、イメージとしては1,000Wになっても、大幅な時間短縮にならないと思った方が間違いないであろう。食べてみて加熱が足らなければ再加熱すればいいとの考えもあるが、一旦食卓のテーブルまで運んで、食べ始めてからまたキッチンに戻って加熱するなら、多少熱くても時間が経てば冷めるというのが筆者の考え方だ。


レンジ用のスパゲッティ。短時間で調理できるが、価格がやや高いのがネック
 せっかく買い替えたので新しいことにチャレンジしてみた。電子レンジに関して何人かに聞くと「チンしかしない」との意見が多い中、「スパゲッティ」をゆでるのに便利との声があった。スーパーにはレンジ用のスパゲッティも用意されているので、実際に試してみることにした。レンジ用のスパゲッティは断面がS字になっていて熱が伝わりやすい工夫がしてある。通常より短時間でゆでることが出来、ゆで上がると断面形状は丸くなる。

 ホームセンターにはゆでるための容器も売られているので、それなりに多くの人が使用していると思われる。鍋でゆでる場合深い寸胴鍋が理想だが、お湯を沸かすのに時間がかかる。一人前程度ならレンジの方が短時間でゆでることが可能だ。


断面はS字になっているが、ゆでると丸くなる
4~5分でゆで上がるので鍋より短時間に調理できる
製品名「レンジでパスタ」左の丸穴は100gの計量用。右のスリットは湯切り口

スパゲッティを入れ、水を注いでチンするだけ。かなりおすすめ ゆであがった様子。大幅な時間短縮できる魅力は大きい

 レンジ用のスパゲッティはやや価格が高いので、普通のスパゲッティでも試してみた。2分ほど時間は余計にかかるが、それでも時間的メリットはある。市販のパスタソースを用意すれば10分程度で一人前のスパゲッティが完成する。電子レンジとスパゲッティの組み合わせはおすすめできる。ほかにはブロッコリーもオートメニューの「23 葉・果菜」を使用してみたが、ゆでる場合より香りもよく、短時間で調理できる。


鮭の切り身を付属の網に乗せスチームグリルで調理してみた
 次は魚料理だ。鮭の切り身をフライパンとスチームグリルで比較してみた。

 付属品の網に切り身を乗せオートメニューの焼き魚(切り身)を使ってみた。片面を20分かけて焼くとブザーがなり、裏返して8分、およそ30分の調理となる。時間はかかるが天ぷらと同様に盛大に油が落ちヘルシーな気分になれる。ちなみにフライパンは5分程度で焼き上がる。食べてみると油が落ちているのでややさっぱりした感じだ。塩分も減った気がする。明らかに違うのは皮の部分でカリカリとした食感となった。6倍の時間は悩ましいが、筆者の様に高血圧と中性脂肪を医者から指摘されている人には価値はありそうだ。


片面20分、裏返して8分。ヘルシーだが時間はかかる 焼き上がった瞬間。網から落ちそうな油が見える かなりの油を落とすことができる。フライパンより後片付けは面倒

スチームグリルで焼いた鮭。皮は噛むと音がするほどカリカリ フライパンならたった5分で焼き上がる フライパンで焼いた鮭。時間を取るか、健康を取るか……メタボリックな中年には悩ましい

 購入以来1カ月ほど使用してみて、製品に対する満足度は高い。問題があるとすれば、実験する度に食べるので太ったことだ。お薦めできる製品だが、「チンしかしない」という気持ちも変わらない。機能が豊富になったので操作の選択肢も増えている。たとえばご飯を温めるときに

・スチーム+レンジ(ラップ不要)
・おまかせ
・レンジ出力と時間を設定
・お好み温度を設定

の選択が可能だ。便利な気もするが、いちいちレンジの前で迷うことも多い。

 結論としては、横着な人にはチンだけできる低価格機を、健康などクオリティを求める人にはスチームなどの機能が充実した中上級機もいいだろう。電子レンジは長く使えるし、家族全員で使うもの。後は奥さんとの力関係を配慮して機種選択すればいいと思う。





URL
  三洋電機株式会社
  http://www.sanyo.co.jp/
  製品情報
  http://www.e-life-sanyo.com/range/emo/EMO-FS30A_N_point1.html

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2008/01/22 00:00

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