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ナショナル「3つ星ビストロ NE-W300」
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我が家で使っているオーブンレンジは、1998年に購入したナショナルの「NE-N250」だ。9年も使っているので愛着があるのだが、予熱機能が数年前に壊れてしまったため、すっかり火力が弱まってしまった。さらに、庫内の天板もサビてしまい、ふきんで拭くと錆びがポロポロと落ちてしまう。今年のクリスマスはローストチキンに挑戦つもりだったのだが、これではなかなか難しそうだ。
そこで、新しいオーブンレンジを購入してみた。選択したのは、ナショナル「3つ星ビストロ NE-W300」だ。購入理由は、独特の調理方法――レンジ・ヒーター・スチームの3つの加熱を組み合わせる機能と、2つの料理を同時に温められる機能――に惹かれたからだ。メーカー希望小売価格はオープンプライス。Amazon.co.jpでは77,750円で販売している。
NE-W300のサイズは、509×465×414mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約22.5kgである。オーブンレンジだけあってなかなかの大きさだが、側面と背面に排気口がないので、上部だけ20cm以上あければ、壁にピッタリくっつけて置ける。
我が家のレンジ棚に置いてみると、扉部分だけが棚の前面にはみ出てしまった。家具店で売られているレンジ棚は、奥行きがだいたい39~42cmのものが主流で、奥行きが465mmのNE-W300は収まりきれない計算となる。できれば奥行きが深いレンジ棚を使いたいところだ。ちなみに我が家では多少棚をはみ出たが、使い勝手や安定性に大きな問題はなかった。
付属品は、角皿が2枚と、グリル皿1枚。庫内の皿受けは上・中・下段の3カ所にあり、それぞれに角皿とグリル皿を入れることができる。庫内容量は30Lだ。
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本体側面
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裏側。側面と背面に排気口がないのでぴったり壁にくっつけられる
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庫内の容量は30L
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レンジ棚に収めたところ
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角皿2枚、グリル皿1枚、スチームの吹き出し口に置くサラミックカバー、ミトンが付属する
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● 加熱方法はヒーター・スチーム・レンジの3種類。合わせ技も可能
NE-W300の加熱は庫内の4カ所から行なう。まず、庫内の上部からのヒーターと、背面のコンベンションファンヒーター、そして、庫内奥の吹き出し口から出る高温スチーム、そして、庫内底面にあるマイクロ波である。まとめれば、ヒーター・スチーム・レンジのマイクロ波という3つの加熱方式を持つことになる。ヒーターの最高温度は320℃、スチームの最高温度は370℃となっている。
これらを組み合わせて、さまざまな調理を行なうのが「新・合わせ技」モードで、27種類の自動メニューにおいて、前述の3つの加熱方式を自動で組み合わせて調理する。このほか、底面に2つあるマイクロ波のアンテナが自動で向きを調節し、2品の食品を同時に暖める「ねらって加熱」モード、370℃のスチームで加熱する「ヘルシーコース」、320℃のヒーターで調理する「高火力」モードがある。なお、庫内の温度は「ワイド8眼赤外線センサー」が首を振ることで監視、調節を行なう。
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庫内のスチームの吹き出し口
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スチームの給水タンクは本体底面にある
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庫内側面の「ワイド8眼赤外線センサー」
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本体前面のスイッチだけで、ほとんどの操作を行なう
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これだけたくさんの機能があるものの、スイッチは1つだ。「あたため」でも、「自動メニュー」でも、「手動」で細かい設定をする時でも、全部、このスイッチの操作によって行なえる。
スイッチのつまみを左にまわすと自動メニューの選択、右にまわすと手動で加熱方式や、加熱時間、加熱温度を設定する仕組みだ。ダイヤルの中央にあるスイッチを押すと、「あたため」がスタート、またはメニューの「決定」だ。手動メニューで「オーブン」「グリル」「レンジ」などを選択した場合、スイッチの中央を押して「決定」してから、次にそのままスイッチを回して温度・調理時間を設定する。
これらの他には4つボタンがあるだけだ。1つは「取り消し」。あとの3つは「音声」「ヘルシー」「仕上がり」だ。「音声」は音声ガイドの有無が選べ、「ヘルシー」は前述の「ヘルシーコース」を運転するときに使うもの。「仕上がり」は、メニュー選択後さらに5段階で強弱を選ぶ時など。どれも補助的に使うスイッチだ。
自動メニューから手動メニューまで、ダイヤルスイッチ1つで行なえるおかげで、操作に悩むことが一度もなかった。これだけ高機能だと、使い方をマスターするのに手間取るのではないかと思ったが、取扱説明書はすぐに見なくてすむようになった。
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補助的に使う「ヘルシー」「仕上がり」「音声」ボタン
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液晶画面の「17」「42分」という表示。それぞれ「自動メニューのローストチキンの調理中」「残り調理時間は42分」を表わす
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● 自動メニューで焦げ過ぎの心配はなし
まずは、ヒーター機能を試してみよう。ヒーターの温度設定を320℃にして、角皿を使ってピザを焼いてみる。その結果、生地が薄いクリスピーピザの場合は10分ほど、通常のピザの場合は15分ほどで焼きあがった。両方とも、生地の中までしっかり焼け、その上のチーズも溶けて広がり、具材も全体にほどよく焼けている。
ヒーターでは、付属のグリル皿を使えば、グリル調理も可能だ。手動メニューで「両面グリル」を選び、今度はタンドリーチキンを焼いてみる。このモードは、上部のヒーターでグリル焼きをすると同時に、食品の裏側は、電子レンジと同じマイクロ波でグリル皿を温め、両面焼きにする方法だ。つまり、このモードはグリル皿が必須ということなる。
調理時間は20分ほどだった。できあがりは、下味につけた辛子と皮がいっしょに焦げて、表面の食感がとてもおいしい。裏型もやわらかく、ちゃんと焼くことができた。
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「オーブン」で焼いたクリスピーピザ
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生地が厚手のピザは、15分でできあがった
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焼く前のタンドリーチキン
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20分後の焼き上がった時の様子、グリル皿にチキンからでた油がおちている
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中もしっかり焼けており、やわらかい
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次に、自動メニューを使って「新・合わせ技」を試してみよう。クリスマスも近いので、ここはローストチキンに挑戦だ。なお、「新・合わせ技」は自動メニューでのみの機能となっている。
角皿の上に、香辛料をまぶした鳥肉と茹でたじゃがいもをのせ、自動メニューのローストチキンを選んだ。予熱に26分、焼くのに約1時間かかったので、1時間半ほどかかった。角皿を見ると、鶏肉からでた旨味の油と肉汁が落ちている。これを集めて鍋でのばし、グレイビーソース(肉汁を使ったソース)を作ることもできる。
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自動メニューで作ったローストチキン。パリっとした食感がおいしい。皿に溜まった肉汁でクレイビーソースを作ることもできる
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食べると、外側はレモンと香草が効いて香ばしい味だ。さらに、焦げ目がつきパリっとした食感になっている。内側もやわらかいが、味つけをし忘れたので、やや淡白に感じた。グレイビーソースにひたして食べると良いだろう。
自動メニューと手動での違いは、手動も温度と時間の設定は簡単なので、操作の手間に差はないように感じられる。しかし、自動メニューは食品の温度を赤外線センサーが感知しているので、焦げてしまう心配がない。自動メニューは常にちょうどよい仕上がりの“ちょっと手前”で運転が終了しているように感じる。おそらく焦げ過ぎないようにパワーをセーブしているのだろう。もうちょっと焼きたいという時はそのままスイッチを回して延長運転するとよい。
ということで、ボタンを押すだけで余計な焦げが付いてしまうのを回避できるという点では、自動メニューは便利だ。
気になる点としては、調理のメニューの数が27種類と、他社製品と比べるといくらか少ないところだろうか。ただし、シフォンケーキを「スポンジケーキ」メニューで焼いてみると、しっかりと焼き上げることができたので、同じような調理方法のメニューで代用することもできそうだ。
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スポンジケーキ」の自動メニューで、シフォンケーキを焼く
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できあがり。スチームの効果でしっとりふわふわだった
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自動メニューでは、現在どの加熱方法が“合わせ技”になっているかがランプで表示される
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● レンジの「ねらって加熱」機能で、異なる2つのおかずを一緒に温める
次はレンジの温め機能について触れよう。レンジでは、3種類の温め方がある。
1つ目は、食品を扉の中に入れて、「スタート」ボタンを押すだけの温め。これで、あらかじめ設定してある温度に加熱できる。できあがり温度はつまみを左右に回して変更できる。
2つ目は、手動でレンジの強さと加熱時間を設定するモードだ。この場合は、800W/600W/500W/150Wの4段階に設定可能。また、スチームと併用することで、しっとりと加熱する「300Wスチーム」機能もある。また、異なる出力を組み合わせることで、煮込み料理などに対応する「連動調理」もある。
3つ目は、自動メニューの5つのメニューだ。この中に「スチームあたため」、「中華まん」、「カリっとフライ」などがあり、このメニューを選ぶと「合わせ技」がはたらき、レンジの他にヒーターやスチームが自動的に加わる。
まずは、1つ目の温度設定機能を使ってみよう。カチカチに凍ったマイナス16.4℃のアイスクリームを、設定温度をマイナス5℃にし、温めて柔らかくしてみる。10秒ほどで運転は終了。できあがったアイスクリームの温度はマイナス11.2℃。スプーンを刺してみると簡単にカップの底まで届き、アイスクリームは溶けすぎず柔らかすぎず、ちょうど良い感じだった。ちょうどマイナス5℃にできあがったわけではないが、アイスクリームをやわらかくしたいという目的は果たせた。
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マイナス16.4℃に凍ったアイスクリーム。スプーンが刺さらないので食べられない
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「マイナス5℃」で温めた後のアイスクリーム。この結果マイナス11.2℃になり、簡単にスプーンが刺さった
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出力を低く設定して、卵を温めた。出力が高いと爆発してしまう卵も、きれいな目玉焼きになった
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続いて、2つ目のレンジ出力の設定機能を使って、ゆで卵を作ってみる。500Wの電子レンジでは、庫内で爆発する恐れがあるが、今回は出力を一番低い150Wにして、卵を3分間温めてみた。結果は、爆発することなく、黄身も白身も、しっかりとゆでることができた。お湯でゆでる場合と違い、レンジで全体が温められるので、内側の黄身もきれいに固まっている。もちろん、はじけて庫内が汚れるということはなかった。
最後に、3つ目の自動メニューを試す。ここでは、メニューの中から「中華まん」を選択する。庫内に冷凍の中華まんをいれて、自動メニューの「中華まん」を選び、個数を設定しスタート。ちなみにこのメニューでは、庫内に投入した中華まんが冷凍/冷蔵/常温のどんな状態でも、このメニューだけでで温められるのだ。調理には「合わせ技」で自動的にスチームも加わる。できあがりは、しっかり中の具まであたたまり、外側はふわふわだった。
3つのモードを試してみたが、調理時間もできあがり温度もNE-W300が考えてくれるので、自動メニューはとても便利だと感じた。
ところで、レンジの特徴的な機能に「ねらって加熱システム」がある。これは、2種類の異なるおかずを庫内に入れて、同時に温めを完了するというもの。実は、本体の底面にはマイクロ波のアンテナが2つ搭載されており、「ワイド8眼赤外線センサー」が食品の温度を感知、温度が低い方にアンテナの向きを自動で変え、集中的に温めるという仕組みになっている。
実際に、カレーを使って試してみよう。常温にさらしておいた28.4℃の白飯と、前日に作って冷蔵庫にしまっておいた10℃のカレールーの2品を同時に温めてみる。できあがり温度は80℃に設定してスタート。調理が完了して温度を計ると、ごはんは85.8℃、ルーは73.7℃という結果になり、最初には20℃違いがあったのだが、できあがりは約10℃ほどになっている。食べてみると、体感では差を感じられない。ごはんとカレーの両方をほどよく温めたいという目的は、十分達成しているといえるだろう。
ところで、設定温度とできあがりの温度には、いくらか誤差がある。センサーはあくまでの食品の表面温度を計っているので、設定よりも温度が高かった場合は、全体をよく混ぜればより設定温度へと近づけることができるだろう。
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温度も素材もちがうものを2品を同時に温められる。2品を温める時は、写真のように横に並べる
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温める前のごはんは、28.4℃
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温め後のごはんは、85.8℃になった
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一方、カレーの温める前は10℃
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温め後のカレーは、73.7℃。どちらも設定温度近くまで温度があがっている
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● 高温スチームで油分と塩分の少ないヘルシー料理を
今度は、スチームについて触れよう。NE-W300で使用されるスチームは2種類あり、1つは蒸し料理を作るために吹き付ける標準的なスチームで、もう1つは、高温の水蒸気を吹きつけて、食品の中の脂肪や塩分を減らす「ヘルシー調理」と呼ばれるものである。
蒸し料理で使う“標準スチーム”は、手動のほか、自動メニューの中の「スチームあたため」「中華まん」「茹で野菜」「茶碗蒸し」などで使用できる。レンジの「300Wスチーム」でも可能だ。
ヘルシー調理は、自動メニューの中で「焼き魚(切り身)」「焼き魚(干物)」「鳥の照り焼き」「肉巻きや際」「串焼き」で使うことできる。これらのメニューは、「合わせ技」でも調理することができる。
しかし、ヘルシー調理のスチームと標準のスチームでは、どれほどの違いがあるのだろうか。ここで、それぞれのモードで魚を焼いてみた。なお、調理時間は標準のものは12分ほどで、ヘルシーコースでは22分かかっている。
できあがりを見ると、見た目はまったく同じだ。身を食べてみてもそれほど味が感じられない。しかし、違いがはっきりとわかったのは、皮の部分を食べた時だ。標準のコースでは、魚の油の旨味と一緒に口の中にしつこい粘着質の油分が残る。ヘルシーコースでは、旨味はあるものの、しつこさがほとんどない。感覚的には、油分は半分以下ほどといったところだろうか。
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焼く前の鮭の切り身(中塩)
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標準の自動メニューで焼くと、12分かかる
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ヘルシーコースでは22分かかった。切り身の周りに鮭からでた油と塩が広がっている
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切り身の味では違いがなかったが、グリル皿の上を見ると、ヘルシー調理の効果がちゃんと現れていた。ヘルシー調理では、魚からでた油分と塩分がグリル皿の上に広範囲に広がっているのだ。これをちょっと舐めてみると、味はほとんど塩そのもの。油分で焦げてしまっている。
ヘルシーコースでは、ほどよく旨味を残したまま、油分や塩分を減らす効果がある。基本的な味に変わりはないが、おいしいものを今まで通り食べながら健康を気づかうことができる、とてもうれしい機能だ。
● 肉のできあがりがちょうどよい「スチーム解凍」
ほかにも「スチーム解凍」「カリッとフライ」「煮込み」「発酵」など、さまざまな機能がある。ここでは、スチームを使って解凍する「スチーム解凍」を取り上げてみたい。前述の通り低温の加熱も得意で、さらには「ワイド8眼赤外線センサー」が詳細に食品の温度を感知することにより、精度の高い解凍が期待できそうだからだ。
使い方は、冷凍された肉や魚などを、スーパーなどで購入した際に付いてくる発泡スチロールのトレーのまま入れる(トレーがなければ耐熱性の平皿を使う)。ラップはかけなくてよい。自動メニューの「スチーム解凍」を選択して、肉類を解凍する時はそのまま、刺身の時は、次に「仕上がり」ボタンを押して「弱」に設定してから、スタートする。
さて、結果だが、 肉は、実にちょうどよく解凍できている。触るとちょっと冷たく、凍って固い状態にもかかわらず、肉の1つ1つの塊が剥ぎ取れる。これなら1つに固めて冷凍しても、必要な量だけ取り出し、残りはまた庫内に戻すことができる。また、完全に柔らかいわけではないので、身を半分にちぎることもできた。肉の解凍には、とても使い勝手がよい。
一方刺身だが、こちらでは端の1カ所だけが火が通ってしまった。包丁で切ってみると、内側はまだ少し凍っておりサクッと音がする。刺身は柔らくてカットしにくいので、薄く切りやすいのは良かったが、肉の解凍よりも注意が必要だ。
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凍っている牛肉の角切り
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「スチーム解凍」後の様子。手でちぎれるぐらいに少し凍っており、ちょうどよい
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凍っているまぐろ
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「スチーム解凍」後の様子。一部が煮えてしまったが、包丁が通るぐらいの適度な固さまで解けている
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写真左のまぐろの刺身。煮えてしまった部分は3切れぐらいの幅
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● 庫内の「お手入れ」「脱臭」も自動メニューで簡単に
これまで多くの料理を調理してきたNE-W300だが、実は、お手入れも自動メニューでこなせてしまうのだ。
従来の電子レンジのお手入れは、水を入れた容器をレンジで温めて、水蒸気を発生させて庫内の汚れを浮かせ、拭き取るというものだった。スチームオーブンレンジの場合、水蒸気を自動で発生させられるので、自動メニューの中に庫内の「お手入れ」と「脱臭」の機能がある。
実際に使ってみたところ、さすがは高温の水蒸気、このお手入れで落ちない汚れはなかった。どんなにこびりついた焦げも、お手入れ機能を使った後なら、簡単に拭き取ることができる。さらに、側面のフッ素加工と、底面と側面の接ぎ目にあるゴム質のコーティングのおかげで、水蒸気で錆びる心配も少ないのだ。
魚や肉、カレーなど、臭いがある食品でスチームオーブンレンジを使った時、すぐには臭いに気がつかない。しかし、別のものをあたためようとして扉を開けると、庫内に前回の臭いが充満しているのだ。この時、「脱臭」を使ってこの臭いをなくしてみると、歴然と効果がわかる、直前の臭いがすっかり消えてしまう。操作はボタンを押すだけなので、大した手間ではないだろう。今ではこの「脱臭」と「お手入れ」を、皿洗いするような感覚で使用している。
● 気になるのは、予熱時間の長さ
使用している時に、少々気になったのが、予熱時間の長さだ。庫内を180℃に予熱するには約8分、210℃では10分かかるのだが、高温にするに従って予熱時間は長くなり、280℃では約25分、320℃では約30分ほどの時間がかかってしまう。調理を始める前に、あらかじめ、予熱時間は確認する必要があるだろう。
ただし、予熱時間の長さはNE-W300に限ったことではないようだ。ほかのメーカーの高機能スチームオーブンレンジも、これぐらいの時間はかかる。高火力で調理ができるという点では、ガスオーブンや、ビルトインの200V電気オーブンに匹敵できそうであるが、予熱時間にはまだ差があるようだ。庫内の広さによって予熱時間は異なるので、気になる場合は、店頭のデモ機などで確認した方がよいだろう。
● 覚えやすい操作方法と、わかりやすい表示で、使う人を選ばない
3カ月ほどNE-W300をつかってみて、感じたことをまとめておきたい。
まずは、操作性がよいことから、NE-W300はすぐになじむことができた。操作方法が目的と連動していることが、その理由だろう。「○℃に温めたい」「○分間加熱したい」、または「蒸し料理がしたい」「ヘルシーにしたい」といったように、もっとも自分が重要だと思った目的から、操作をはじめることができるからだ。説明書でページをめくる方が、時間がかかると感じるほどだ。
これまで使っていたナショナルのNE-N250は、火力に物足りなさがあって「レシピにはこう書いてあるけれど、うちの場合はもっと設定温度を高くし、調理時間を長くしよう」というように、機種に合わせて考えて使うのが常であった。
しかし、NE-W300の場合は赤外線温度センサーと底面の2つのマイクロ波で、微調整はNE-W300がやってくれる。焼き時間と温度に関しては、NE-W300の指示を頼りにすればうまくいく。あとは、できあがりを見て、調理時間の微調整をすればよいだろう。
ところで、これは製品自体とは関係ない話だが、付属でついてくる辻調料理師学校のレシピ集がとても良いものだった。調理の手順も簡単で、あまり食べたことがないメニューを楽しむことができた。はじめは単なる付属品だと思っていただけに、喜びもひとしおだ。大げさかもしれないが、レシピ本は数多くあれど、このように本当においしいレシピとの出会いはなかなかない。
高火力から低出力まで使え、赤外線センサーの微調節も頼れる。そして、操作も簡単。誰にでも使えるスチームオーブンレンジとして、おすすめしたい。
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付属でついてくる説明書と、辻調料師理学校のレシピ集
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レシピを見て作った、鮭のごまだれ焼き。レシピには白ごまと書いてあったが、黒ごましかなかったため、少々黒くなってしまった。しかし、ごまと卵黄の風味が効いて、とてもおいしかった
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■URL
ナショナル(松下電器産業株式会社)
http://national.jp/
製品情報
http://ctlg.national.jp/product/info.do?pg=04&hb=NE-W300
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2007/11/30 00:00
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