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家電製品ミニレビュー
トーマス「高速脱水機」

~洗濯物を干す時間が短縮できる脱水専用機
Reported by 本誌:伊達 浩二

トーマス「高速脱水機」
 洗濯機の売場に行くと、ドラム式の洗濯乾燥機が主流になっているが、我が家では依然として縦型の全自動洗濯機を使い続けている。これにはいくつか理由があるが、ウチの妻が南向きのベランダに洗濯物を干すことを楽しんでいることが一番大きい。たしかに、日光にあたった洗濯物の気持ちよさは格別のものがある。

 しかし、いつも好天の日ばかりとは限らない。雨の日は、しかたなく室内で干すことになる。その場合は、エアコンを除湿運転にし、扇風機も併用して空気を撹拌するのだが、乾くのに時間がかかるし、時には生乾きの匂いがついてしまうこともある。

 乾燥専用機を導入することも考えたのだが、衣類のシワとかメンテナンスの問題で、どうも妻は気が進まないらしい。もう1つの選択肢として、脱水専用機というものを見つけたので、こちらを購入した。

 メーカーは、ドイツのトーマスというところで、輸入元は株式会社ダーハムという。取扱説明書には型番は記載されておらず、「高速脱水機」とだけ書かれている。メーカーサイトの写真などから判断すると「THOMAS CENTRI 772 SEK」という製品らしい。メーカー希望小売価格は不明だが、楽天市場での購入価格は29,800円だった。

 高速脱水機というのは、日本の家電メーカーからは製品が出ていない。日本では、このトーマスと、フランスのソメラの製品が主に販売されている。ソメラも以前、このコーナーでレビューされているので、併せてお読みになることをお勧めする。

 高速脱水機を一言でいえば、全自動洗濯機の脱水機能だけを抜き出した機械だ。昔懐かしい、二槽式洗濯機をご存じであれば、あれの脱水機の部分だけを切り出したものと考えていただければ間違いではない。ただし、大きく異なるのは、その脱水性能で、全自動洗濯機や二槽式洗濯機の脱水機能よりも強力とされている。全自動洗濯機の脱水時の回転数が1,000回転/分前後なのに対して、トーマスは、50Hzでは2,800回転/分、60Hzでは3,000回転/分で回転する。トーマスは、脱水槽の直径が小さいので、回転数の差がそのまま遠心力の差になるわけではないが、ちょっと期待できる数字だ。


本体正面
本体側面
本体背面

 到着した段ボール箱は、一辺が50cmぐらい、高さが70cmぐらいの大きさがあった。重さは本体だけで9.8kgあるので、箱全体では10kgを越える。正直に言って、予想よりも大きく重かった。設置は一人でできるが、ちょっと汗をかくかもしれない。

 パッケージの内容は簡素で、本体以外には、紙一枚の取扱説明書が入っているだけだ。本体は円筒形で、直径は35cm、高さは56cmだ。ボディ本体はスチールで、脱水槽はステンレス、フタの部分はABS樹脂のようだ。


洗濯機の前にあるのが製品パッケージ 本体のほかには紙一枚の説明書がついてきただけだった

フタの下に見えるレバーがスイッチを兼ねる 黒く見えるのは搬送時の固定用樹脂 脱水槽はステンレス製

本体の直径は35cm、脱水槽の入り口はそれよりも一回り小さい 脱水槽の深さは約25cmほどだ。内ぶたがないので入り口ぎりぎりまでは入れることができない

本体側面から突きだしている排水口
 電源コードとアース線は、本体から直に生えている。ちょっと変わっているのは排水口で、日本の洗濯機のようにホースが生えているのではなく、本体の脇に突き出したような形で穴が開いている。

 最初は、洗濯機のそばに置くつもりだったが、排水のたびにバケツや洗面器などで受けるのが面倒なので、ベランダで使うことにした。幸い、ベランダにはアース端子付きのコンセントが設置されていたのでコードをつなぐだけで設置は終了した。排水は、容器で受けずにそのままベランダに流してしまうのだ。


排水の場所に困りベランダに配置することにした ベランダのコンセントにはアース端子が付いていた

 トーマスの脱水容量は約3kgとされているが、脱水槽のフチから6~7cmは余裕を作るように指示されているので、あまり詰め込めない。厚手のバスタオル2枚で一杯になってしまう。ウチの全自動洗濯機は、洗濯/脱水とも8.5kgと大容量なので、1回分の洗濯物をトーマスに入れようとすると、2~3回に分ける必要がある。

 使い方は簡単で、タイマーどころかスイッチやボタンすらない。洗濯物を脱水槽に詰めてフタを閉め、フタを固定するレバーを動かすと、勝手に回転を始める。すさまじい音とともに回転数が上昇し、驚くほど大量の水が排水口から出てくる。約1分ほどで、水が出なくなるので、レバーを戻すと、回転が止まる。回転を止めるブレーキがあるようで、すぐにフタを開けても危険を感じることはない。取り出した洗濯物の手触りは、明らかに水分が少なく乾いた印象になる。


【動画】実際に脱水を行なっている様子(WMV形式,2.16MB)
 何を絞っても面白いほど水が出るので、どれぐらい出るものか測ってみた。まず、約3kgの洗濯物を用意した。内容はTシャツや下着類が中心で、素材は綿が多い。

 全自動洗濯機の通常コースで、洗濯から脱水まで行なう。この時点で重量を量ってみると、約4kgある。水は、1L(1,000cc)で1kgの重さがあるので、この洗濯物は約1Lの水分を含んでいる計算になる。

 排水口の下に、500ccの容器を置いて、脱水を始める。洗濯物は、一度では入り切らず二度にわけなければならなかった。そして、二度目の脱水が終わったときは、500ccの容器から水があふれてしまった。脱水済みの洗濯物に含まれている水分が半分以下になった計算になる。天候や湿度にもよるが、これぐらい洗濯物に含まれる水分の差があれば、乾燥時間が短くなるのも当然だろう。

 設置後、半月ほど試したところでは、バスタオルやバスマットのように、吸水性の高い素材のものにはとても有効だ。厚手のバスタオルなどは、朝干しても、夕方までに乾ききらないことがあったが、必ず乾くようになった。また、シーツなども有効で、干す場所が狭いときに、四つ折りの状態で干しても、生乾きの匂いがつくことがなくなった。化繊のシャツなどは、ちょっと風に当てれば、すぐに着られるぐらいの状態まで脱水できる。

 いまのところ感じている短所が3つある、騒音と排水と内ぶただ。騒音はかなり大きく音質も刺激的だ。我が家では、開放されたベランダに置いていることもあって、深夜はとても使えない。一応、夜9時を過ぎたら使わないように心がけている。排水は、現在のような排水口ではなく、普通の洗濯機のようにホースになっていてほしい。そうすれば、洗濯パンや風呂場に排水できるので、洗面所に置くことができる。また、独立した形で良いので内ぶたがあれば、洗濯物が飛び出ることなく詰めやすくなる。ソメラ用には用意されているので、試してみるつもりだ。

 高速脱水機は、完全に乾燥機の代わりになるわけではないが、干し時間を大幅に短縮してくれるという点では、十分に機能を果たしてくれる。なじみの少ない家電だが、手間を我慢できれば、かなり実用性は高い。今使っている洗濯機の脱水能力や乾燥能力に不満があるならば、検討すべき家電製品だ。





URL
  ロバート・トーマス(英文)
  http://www.robert-thomas.de/
  製品情報(英文)
  http://www.robert-thomas.de/content/?lang=gb&og=8&pgr=11

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ソメラ「高速脱水機 C-14LSS」(2007/11/14)




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2008/01/10 00:00

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