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やじうまミニレビュー
富田刃物「カッタネット」

~美しいデザインの女性に優しい園芸用ハサミ
Reported by 本誌:阿部 夏子

富田刃物「カッタネット」
  将来習得したい事の1つに、「生け花」がある。静かに花を生ける様子は、いかにも日本女性らしくて、趣がある。

 実家に帰省したときは、「生け花」の心得のある母に、教えてもらったりしている。母によると、花器に花を生けるときには長さを調節するために花を切るのだが、その切り口が重要なのだという。切り口が斜めになるように茎を切ると、切断面が広くなって吸水がよくなるのだ。吸水が良くなると、花の持ちが良くなって、より長く切り花を楽しめる。ところが実際やってみると、これがなかなか難しい。茎が細い花ならまだしも、太くて固い茎は、斜めに切ることができない。何度かやってみたものの、今度は手が痛くなってしまい、結局あきらめてしまった。

 うまく切ることができなかった原因を考えると、握力の弱さと、ハサミの手入れの悪さだった。1本、2本ならまだしも、茎を何十本もハサミで切るというのは大変な作業だ。握力も必要だし、肩や首への負担も大きい。私はともかく、母には老後の趣味として生け花を続けて欲しいので、母にも使いやすい切り花用ハサミをプレゼントすることにした。


茎だけでなく枝も切れる

 富田刃物「カッタネット」を楽天市場で見つけた時、まずそのフォルムに惹かれた。園芸用ハサミとは思えない丸い形に、打楽器の「カスタネット」を彷彿させるデザイン。最初はよくあるデザイン重視の製品かとおもったが、発売元が富田刃物という、園芸用品を専門に扱う会社であったことと、「女性や高齢者に使いやすい」という言葉に惹かれて購入を決めた。楽天市場で3,500円(送料別)だった。

 届いた製品はとても、園芸用ハサミとは思えないものだった。12×12×3cm(幅×奥行き×高さ)で円形のコンパクトな本体。製品のホームページを見てみると、この製品は「Ca tools / products」という園芸用品デザインプロジェクトの一環で製品化された商品だという。2004年のグッドデザイン賞も受賞している。


本体正面
本体裏側
留め具。これを外すと、上の板が開く仕組みになっている

 円形の本体には、中央部分にも丸く穴が空いている。2枚の円形が、重なっている様子は、貝のようにも見える。横に留め具がついていて、それを外すとちょうどカスタネットの様に上面が開く。上面の直径にあたる中央部分に、刃が付いていて、下面には同じ位置に刃を受け止める溝がある。花の茎を下面に設置して、上面を下ろすと、茎が切れる仕組みだ。上から体重をかけて切ることができるので、ハサミを使うよりも体への負担が少ない。

 下の板には、その溝の部分にそって半円があいている。この半円は枝の加工をするときに使用するとあった。

 この製品は、花の茎を切るだけではなく、枝の加工もできるのだ。というのも、生け花に使う花には、桜などの枝に咲く植物も含まれるからだ。茎よりも太い枝の加工は斜めに切るのではなく、切れ目を入れるようにする。それを割り加工という。更に、十文字に切れ目を入れることを十字切りという。それらの加工を施すことによって、枝の吸水率があがる。「カッタネット」では、半円部分に枝を設置することによって、枝の中心に切れ目を入れることができる。

 留め具付近には三角の山ができていて、斜め切りをしたいときはその三角部分に沿って、茎を入れる。全部で5通りの切り方ができる仕組みだ。


上面に刃が付いている。この刃を下に下ろして、茎を切る 半円が空いていて、ここに枝などをいれて切れ目をいれる 三角形の辺に沿って茎を入れる

安全にきれいに切断できる

今回用意した植物。左から「ユーカリ」「シキミ」「ソテツ」「菊」「百合」
 さっそく母と一緒に使ってみた。今回は、普通の園芸用ハサミでは、斜め切りが難しい、固い茎や太い枝を中心に切ってみた。用意した植物は「シキミ」「ユーカリ」「百合」「ソテツ」「菊」の5種類だ。

 まず、用意した花の中で一番切りやすいと思われる、「百合」から切ってみた。留め具を外し、3角形の辺に合わせてカスタネットの様に、上の板を押す。「サクッ」という小気味いい音と共に、茎が切れた。


三角形の辺に沿って、茎をセットする 上の円から見たところ。茎が斜めに切れていく様子がよくわかる
上から、手で押して切る

百合を斜め切りしたもの。繊維がつぶれることなく、きれいに斜めに切れている
 切り口を見てみると、きれいに斜めに切れている。この製品の特徴の1つに切るときのスピードが速いことがある。上から刃を振り下ろすので、茎全体に力が加わり、一瞬で、切ることができる。切れないハサミで、植物を切ると、切った茎の繊維がつぶれてしまうことがあるが、「カッタネット」を使うと、力が均等に加わるので、切断面が全くつぶれていなかった。

 最初は、茎を切断するまでの過程が「ギロチンみたいで嫌」といっていた母も、その切断面を見て「これはいいかもしれないわね」と言っていた。

 続いて母が、「菊」を試してみた。先ほどと同じ要領で、作業を進めていく。母の力でも同じように、きれいに切断できた。菊や百合より菊が太めの、「ソテツ」で試しても問題なく切ることができた。

 今度は、枝の「割り加工」「十字切り」に挑戦してみた。最初に「シキミ」で試してみた。半円部分に、シキミを入れて、上の板をおろす。やはり、「菊」や「百合」のように簡単にはいかない。それでもなんとか、体重をかけて最後まで、切断することができた。切断面を見てみると、しっかり中心部分に切れ目が入っていた。

 そこから今度は、枝を90度回転させて十字切りにしてみる。すでに、切れ目が入っているため、今度は先ほどより、スムーズに刃を下ろすことができた。


菊の切断面
ソテツの切断面
シキミの切断面。茎に比べると力が必要だが、繊維がつぶれることなく、割り加工ができている

 枝といっても、細い枝だ。丸くて細い枝にハサミで切れ目を入れることを考えると、手元が滑ってとても危ない。その点、この製品は、上から力を加えるだけなので、安心だ。また、きれいに中央に切れ目を入れることができ、木の繊維をつぶすこともない。

 最後に用意した植物の中で一番枝が太い「ユーカリ」で試してみた。要領がわかってきたので今度もすぐにできると思っていたのだが、さすがに枝が太くて上の刃を下ろすことができない。それでも、体重をかけて刃を下ろそうとすると、今度は枝が刃に食い込んでしまった。そのあと、半ば無理矢理切断したのだが、切断面を見ると木の繊維がつぶれてしまっていた。もう一度「ユーカリ」の枝をセットして、今度は力を溜めて、叩くように刃を下ろした。すると先ほどにくらべると、スムーズに切断することができた。力の入れ方にコツがあるのかもしれない。慣れないときは、思い切りが必要だが、この製品は形状だけでなく、使うときもカスタネットの様に「叩く」ことがコツであるように思った。ただ、力に自信のない方や高齢者の方には、太めの枝の加工は少し難しいかもしれない。


ユーカリを切断しようとしても、女性の力ではなかなか刃を下に降ろすことができなかった 男性の力だと、すぐ降ろすことができた ユーカリの切断面。力の入れ方が難しく、切断面も崩れてしまっている

 使い終わった「カッタネット」を見てみると、刃の溝部分に茎の切れカスなどが詰まってしまっている。水洗いしても、溝部分に詰まったゴミはとれなかったので、つまようじでゴミを取り除いた。カスタネットのような造りになっていることが、この時は怖く感じた。上の板に体重をかけてしまうと刃が下がってくるからだ。手入れをするときは注意したい。


使用後のカッタネット、茎の切れはしなどが付着している 溝部分にもゴミが入り込んでしまっている 溝部分は、水洗いしても落ちなかったので、つまようじを使ってゴミをとった

 女性や、高齢者に使いやすいだけではなく、初心者でも簡単にきれいな切り口で切断することができる。今回、母の知人の花屋さんにも使ってもらったのだが、「自宅で楽しむ、切り花なら充分対応できる」「切断面がきれい」とプロの目から見ても充分通用する製品だった。収納時には刃が外から全く触れないという構造も安心だ。デザインも優れているので、プレゼントとしても最適だろう。





URL
  株式会社富田刃物
  http://www.nisaku.co.jp/
  製品情報
  http://www.nisaku.co.jp/ca.html

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2007/09/28 00:01

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