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大河原克行の「白物家電 業界展望」
なぜ、シャープのエアコンが好調なのか

~買い替えを促進する3つのポイント
Reported by 大河原 克行

 猛暑日が続く8月、シャープのエアコンが好調だ。同社では、世界初の上下両開き機構を採用した長さ23cmのロングパネルを搭載。これにより、風が直接体に当たらない気流による快適空調を実現したほか、フィルター自動掃除機能を小シャーシの普及モデルにも採用することで、ユーザーからの高い評価を得ている。シャープ電化システム事業本部空調システム事業部国内商品企画部・鈴木隆部長に、2007年夏のシャープのエアコン事業の取り組みについて聞いた。

 エアコン市場全体を見ると、2007年度は、買い換え需要期に当たる。

 1994~96年には猛暑が続いたのに加え、1997年の消費税率引き上げ直前の駆け込み需要があり、3年間に2356万台ものエアコンが出荷された。これが今年、ちょうど買い換えサイクルに入っているのだ。


コンパクトタイプにもお掃除機能

お話を伺った、シャープ電化システム事業本部空調システム事業部国内商品企画部・鈴木隆部長
 ここでのポイントは3つある。1つは、10年前のエアコンが小シャーシであったことだ。

 ここ数年、リビングの大型化などを背景に、エアコンは付加価値の高い製品が求められるようになり、同時に寸法フリーの大シャーシ化が進展してきた。

 だが、買い換え需要で求められるのは、10年前の同一寸法と同じエアコン。シャープは、ここに1つのターゲットをあて、小シャーシモデルにもお掃除機能を搭載するなどの高機能化を図った。

 その「お掃除機能」については、付加価値製品ゾーンにおける搭載比率は、シャープ調べでは2005年下期には18.2%だったものが、2006年下期には46.1%に拡大。2007年は、さらにこの比重が高まっている。

 「83%の人が1年に1回以上はフィルターの掃除を行なっているが、実際には面倒なのでやりたくない、掃除しにくく手間がかかる、掃除するフィルターが高いところにあるので不安、という声が相次いでいる。数年前から各社の製品にお掃除機能が搭載されたことで、この機能に対するニーズが顕在化しており、今年の製品では、ベーシックモデルをはじめ、多くの機種にお掃除機能を展開した」と、シャープ電化システム事業本部空調システム事業部国内商品企画部・鈴木隆部長は語る。

 ワイドリビング向けのSXシリーズに加えて、ミッドレンジと位置づける小シャーシのSTシリーズ、子供部屋や寝室向けのベーシックモデルにもお掃除機能搭載モデルを用意したことで、シャープを選択するユーザーが増加したという。このように、高機能機に搭載している機能を、小シャーシモデルにも採用した取り組みが、功を奏したといえる。


大幅な省エネが買い替えを促進

「U-SXシリーズ」11年間のモデルと比べると年間約2万円の電気代節約が可能
 2つめのポイントが省エネである。

 SXシリーズおよびSTシリーズでは、全機種で省エネ基準(2007年/2010年)をクリア。40SXでは、11年前のモデルに比べて年間約2万円の電気代節約が可能であるとした。10年間利用したとすれば、20万円もの電気代節約が可能となる計算だ。買い換える動機づけには魅力的な省エネ効果だといっていい。

 シャープが業界トップレベルといえる、これだけの省エネを実現した背景には、独自の上下両開き機構採用のロングパネルの効果が見逃せない。

 従来のルーバー方式とは異なり、パネル全体が駆動する仕組みとすることで、空気を吸い込み、ゆっくりと風を吐き出すことが可能になった。

 「ルーバー方式では、小さく吸い込み、ぱっと短く吐き出すため、省エネという観点では限界があった。また、ルーバーは風の向きをルーバーそのものによって変えるのに対して、当社のロングノズル方式は継ぎ目のない風の流れを実現でき、風の効率は約20%も向上した。大きな吸い込み口とともに熱交換器の面積を大きく取ったことで、熱交換効率が向上。これも省エネに寄与している」という。

 利用者のエアコンに対する不満は、「手入れが面倒」が1位、「電気代が高い」が2位となっている。お掃除機能と省エネ化によって、この2つの課題を解決する機能の搭載は、買い換え促進には大きな威力を発揮するというわけだ。


ロングパネルが実現する無風状態

通風口には長さ23cmのロングパネルを採用
 そして、3つめの特徴が、風ストレスを感じない無風感覚の実現だ。これは、手入れ、電気代に続く、3番目以降のユーザーの不満でもある。

 同社の調査によると、「つけっぱなしだと寝冷えする」、「温度ムラがある」、そして、「冷房の風が身体に直接あたり寒い」が3~4位を占める。また、7位には、「暖房運転すると足下が寒い/顔に直接温風が当たり気持ち悪い」といった項目が入る。

 いずれも冷風や温風の不快感を指摘したものだ。

 シャープでは、昨年のモデルから採用した新・エコなフォルムによって、省エネとともに、冷房時、暖房時ともに、風を効率よく吐き出し、しかも、身体に直接当たらない環境を実現した。

 「冷房時は、風が壁面に沿って流れるコアンダ効果を利用し、ロングパネルによって天井に沿って風が遠くまで進ませることで風の垂れ下がりをなくす。一方、暖房時にはロングパネルによって下向きに抑え込むことで舞い上がりがちな温風をしっかり足下に届ける。吹き出す風を細かく整流することで、大きな無風空間ができる。

 風が直接、身体にあたらない無風状態を作り出すには、ロングパネルの存在が不可欠だったわけだ。


異質なデザインをどうプラスに変えるか

送風が直接体に当たらないエアコン「AY-U40SX」
だが、新・エコなフォルムには1つの課題があった。

 それは、通常のモデルでは厚みが22~24cmであるのに対して、厚みが30cmと、前方向に突き出す感じが強調されてしまうのだ。

 エアコンは、もともと目立たないデザインが優先されてきた。最近でこそ、カラーバリエーションが増えてきたが、従来は木目や白など、天井部分に設置した際に、存在感を抑えるようにしてきたのだ。そのため、前方向に突き出すデザインは、むしろタブーとされてきたともいえる。

 鈴木部長も、「昨年の製品で、このデザインを採用した際には、かなりのリスクがあるとは思っていた」と振り返る。

 だが、「理屈にかなうデザインであれば、納得していただけるのではないか、とも考えた」

 もちろん、デザインには多くの配慮が施されている。曲面のやわらかさを使い、カラーのインテリアにマッチするものを採用した。

 「リビングでのインテリア性は重視した。その上で、このデサインが、省エネや無風空間の実現に最適な形であるということが啓蒙できれば、むしろ強みになるのではないか」

 シャープは、2007年の製品で、「見てわかる」をキーワードとした。

 それは、エコなフォルム、健康気流、除菌イオン、インテリアデザインという4つの要素からの提案だ。

 店頭ではそのデザインは、「異質」ともいえる雰囲気で、まず目を引いた。だが、それが省エネを追求し、無風空間を生み出すデザインであることを説明するきっかけになり、見てわかる提案を実現する背景となっているのだ。

 4~8月までの出荷金額は前年同期比で約1.3倍。猛暑が続いた8月には前年同月比で約1.7倍と、業界全体を上回る実績となっている。

 シャープならではの提案が、市場に受け入れられているといえそうだ。





URL
  シャープ株式会社
  http://www.sharp.co.jp/

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2007/09/18 00:02

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