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但見裕子の「家電買っちゃいました」
福山化成「とうふすていしょん」

~作りたての豆腐を家庭で味わう
Reported by 但見 裕子

作りたての豆腐を食べたい

福山化成「とうふすていしょん」
 福山化成株式会社の「とうふすていしょん」は、ご家庭で簡単に、12分で豆腐が作れるという製品だ。

 一般的な豆腐作りは、とても手間がかかる。ざっといえば、次のような工程が必要となる。

(1)豆乳を鍋で熱す
(2)ほどよいところでにがりを加える
(3)素早くこれを流し箱に入れて凝固を待つ
(4)さらに余分な水を切って仕上げる

 この作業のうち、加熱の加減、にがりを加えるタイミング、ただちに混ぜるときの手加減などがカンどころで、これを間違えると分離したり、キレイに固まらなかったりするものらしい。一種の名人芸が必要とされるのだ。

 しかし「とうふすていしょん」なら、冷たい状態の豆乳ににがりを混ぜ、あとはスイッチを入れるだけで、豆腐ができてしまうという。

 福山化成のホームページによると、居酒屋や豆腐料理店などでも「とうふすていしょん」と同じ原理の「プロ用豆腐製造マシン」が使われ、「自家製豆腐」「作りたて豆腐」として提供されているのだという。

 実は私、こうした「家でプロの味が実現可能」というアプローチには、かなり心をひかれるタイプだ。

 製品に冠された「わが家のお豆腐は、世界一新鮮だ」、「豆腐職人しか食べられなかった出来立てのお豆腐」というコピーにも、そそられるものがある。

 夫も「おお、『科学』と『学習』の付録みたいでいいじゃない」と、のってきてくれた。念のために書いておくと、両誌とも学研の小学生向け雑誌で、とくに『科学』は立派な素材を使った付録で子供たちの人気を集めていたのだ。そのころからノリが変わっていないらしい。

 「とうふすていしょん」は福山化成の直販サイトで販売されているが、楽天市場でも扱っているショップがある。使用する豆乳とにがりは、同社販売の「とうふすていしょん純正豆乳」「とうふすていしょんにがり」を使うことが推奨されている。とりあえず5回分のパックを一緒に注文することにした。

 とうふすていしょん本体の直販価格は15,540円、豆乳とにがりのセットが5回分で1,260円だ。楽天市場での購入価格は本体と豆乳5回分のセットで16,200円(送料込)だった。


コンパクトで、シンプルな本体

 数日後、かなり大きな箱で製品が配達された。箱の幅は60cmぐらいだが、奥行きも50cm以上あって、かさばる印象だ。

 同梱されているが豆乳の箱が平たくて大きいパッケージなので、全体がそれに合わせた大きさになっている。豆乳が生鮮品なので、全体がクール便で届けられた。


大きめの箱で届いた本体。「わが家のお豆腐は、世界一新鮮だ」というキャッチコピーが冠されている 「とうふすていしょん」製造元の福山化成推奨の豆乳「とうふすていしょん純正豆乳」と「とうふすていしょんにがり」 豆乳が生鮮品なのでクール宅急便で送られてくる

 「とうふすていしょん」本体そのものは小さい。240×180×127mm(幅×奥行き×高さ)で、片手に乗せようと思えば乗るコンパクトさだ。

 「とうふすていしょん」本体のフタを開けると、一回り小さな内箱があり、これに豆乳を注いで豆腐を作るようになっている。オレンジイエローの内箱には持ち上げるための取っ手がついており、おもちゃのバケツめいた可愛らしさがある。

 ほかに、やはり可愛らしい大きさの、しゃもじ状のヘラがついてくる。

 容器には金属製の電極板がセットされていて、この電極から豆乳とにがりの混合液に直接電流を流し、加熱する仕組みらしい。

 スイッチは入/切の1つだけ。表示も電源と調理中を知らせるLEDがそれぞれあるだけ。とてもシンプルだ。


240×180×127mm(幅×奥行き×高さ)のコンパクトな本体 本体には内箱としゃもじ状のヘラがついてくる

スイッチは入/切の1つだけ
容器には金属製の電極板がセットされていて、この電極から豆乳とにがりの混合液に直接電流を流し、加熱する仕組みらしい

ちゃんとおいしい豆腐ができた

 付属の取扱説明書やレシピを見てみると、とうふすていしょんで作れる豆腐は普通に売っている、四角くて固い豆腐とは少し違うようだ。

 基本的には「汲み豆腐」「ざる豆腐」と呼ばれるもので、水気が多く、アイスクリームのようにすくいあげて盛り付けてある、あの豆腐ができるものらしい。スーパーで売っている「ざる豆腐」を買ったことがあるが、よく水が切れていて固く、当然ながら冷たく、正直、普通の豆腐との違いがよくわからなかった。しかし、この製品は「作りたてホカホカ」のざる豆腐が実現できる、という。

 さっそく、豆乳のパックを切って内箱にあける。にがりを加え、ヘラでたてよこ5~6回ずつ、ていねいに混ぜる。ふたを閉め、スイッチを押す。作業はこれだけだ。あとは、待っているだけである。


豆乳を内箱にいれる
にがりを加える
付属のヘラでていねいに混ぜる

フタを閉めスイッチを押す
スイッチを入れてから6~7分経つと、大豆独特の甘い匂いがしてきた

 スイッチを入れてから6~7分経つと、大豆独特の甘い匂いがしてきた。フタごしにのぞくと、ごく細かい気泡が立ってきたようだ。

 約12分後、調理ランプが消えた。特にお知らせのブザーやチャイムなどは鳴らない。少し、あっけないような気がする。さっそくフタをあけると、豆乳はきちんと固まり、まさに豆腐になっていた。なんだか嬉しい。学校の化学実験の世界を思い出させる。ヘラですくってみると、すくい上げた形のまま、こっぽりと丸く取れる。プレーンヨーグルトの容器から、スプーンでヨーグルトをすくうときのようだ。用意の竹ざるにあげて、試食してみることにした。

 豆腐は、とても柔らかだが、気をつければ箸でも持ちあげられる。いつもは木綿豆腐ばかり食べているので、この柔らかいのを「おっとっと」とつまみあげるのが新鮮な感覚だ。

 まずは何もつけずに食べてみた。

 「あ、おいしい!」「おいしいねえ」。思わず言葉が出た。

 「熱い、柔らかい豆腐」というと、「絹ごし豆腐を湯豆腐にしたもの」がとりあえず想像されるのではないだろうか。しかし、鼻に抜けるふっくらとした匂いと風味が違う。甘さが違う。単なる「豆腐」という食品ではなく、まさに「大豆をやわらかく加工したもの」だと感じさせられる。それほど、豆のダイレクトな匂いと味があるのだ。そしてプリンのように舌の上でつぶれ、つるつるとのどを通る。素直においしい。
醤油をかけてもまたおいしい。一応薬味も用意したのだが、醤油だけのほうが豆腐の味がわかるように感じられた。


約12分後にできあがった。しっかり固まっている ヘラですくいあげるとすくい上げた形のままきれいにとれる。ヨーグルトのようだ 竹ざるにあげて試食してみる。シンプルなざる豆腐で、十分説得力がある味だ

 付属のレシピには、オリーブオイルやアンチョビをあしらったイタリアンスタイル、抹茶やつぶした枝豆を混ぜて仕込む変わり豆腐、生クリームをあしらった豆腐デザートなどが紹介されているが、あまり凝ったことは必要ないのではないか。

 シンプルなざる豆腐で、十分説得力がある味なのである。

 容器をセットしたり洗う手間を考えると、「毎日作りたい!」という製品ではないかも知れない。しかし、市販の豆腐とはちゃんと違うおいしさがあるのは間違いない。来客のときに、イベント性のある一品として作りたての豆腐を出したら、楽しくなりそうだ。冬の朝食に出すのもおしゃれだな、と思いは広がる。


市販の豆乳で作ってみる

 上で触れたように、「とうふすていしょん」は、指定の豆乳とにがりを使用することが推奨されている。

 しかし、かさばるうえに、在宅していなければならないクール便をたびたび取り寄せるのは、正直言って面倒だし、送料もかかる。手に入りやすい市販のもので間に合わせることはできないだろうか。

 取扱説明書をよく読んでみたところ、もし、指定以外の市販の豆乳を使う場合は、

・豆乳濃度12%以上のものを使うこと(それ以下では固まらないことがある)
・豆腐凝固剤の表示のない天然にがりは使わないこと(故障の原因となる)
ということだ。

 近くのスーパーに「豆腐も作れる にがり付き豆乳」というペットボトル製品が売っている。飲料としてたまに買って飲んで、添付のにがりは捨てていたのだが、これが使えるとすればお手軽だ。

 ペットボトル豆乳(店頭価格283円)を買ってきて、スペックを読んでみたところ、濃度表記は「12%以上」とあり、にがりの成分は「凝固剤(塩酸マグネシウム)」とある。大丈夫そうだ。推奨外製品ではあるが、この豆乳で豆腐を作ってみることにした。自己責任で行なうのだ。


市販の豆乳を使って豆腐を作ってみる。ただし、豆乳濃度と豆腐凝固剤については表示の確認が必要だ 作り方は指定の豆乳を使うときと変わらない。豆乳を本体に入れる にがりも市販の豆乳に添付していたものを使用した

 ざるに上げ、食べてみた。

 これもおいしかった。推奨の豆乳で作ったとき同様、甘くて、豆のいい匂いがして、柔らかさや風味も申し分ない。おいしく食べてしまった。ただ、豆の味が少し薄いようだ。薄くて物足りないとか、おいしくないということではなく、比較すると違うということだ。多分、豆乳の濃さが違うのだろう。「とうふすていしょん」の豆乳は、表示がないため濃度が不明なのだが「飲用にするには濃すぎるので、もし飲用にする場合は二割程度の水を割るように」という趣旨の注意書きがある。それに対し、飲用目的を兼ねて売られているペットボトル豆乳は、やや薄めに調整されている、その違いだと思う。

 これでまた、我が家の豆腐に新しいバリエーションができた。うれしい。


問題なく完成した。今度もざるにあげて食べてみる 市販の豆乳でも充分おいしい豆腐を作ることができた。ただ、豆の味が純正のものと比べると若干薄いようだ

「取り出しシート」を使って、四角い豆腐を作る

 さて、ざる豆腐もいいが、やはり豆腐といえば四角く角が立っていてほしいものだ。それをトントンと切って、お味噌汁なり、やっこなりをこしらえてみたい。

 実は「とうふすていしょん」には別売りで「豆腐取り出しシート」というものがあり、これを使うと、不定形な汲み出し豆腐ではなく、四角い形の豆腐が取り出せるそうだ。

 これを試してみることにした。シートは2枚組で420円。使い捨てなどではなく洗って再利用できる。

 材質は半透明なプラスティックだ。薄くて曲げられる、下敷き状のまな板をご存知だろうか、あれと同じ素材のように見える。

 三つ折になるよう成型されているので、これをコの字型になるように「とうふすていしょん」にセットして使う。底になる部分には、3センチくらいの丸い穴が、1つ開いている。

 なんだか凄くシンプルだ。「こんな板で、本当にちゃんとなるのかな?」という気持ちも、正直なところする。しかし、とにかくやってみよう。

 このシートを使う場合、内箱にまずシートをセットしておき、別容器で豆乳とにがりを混ぜ合わせたものを、そっと注ぎいれる手順をとる。シートをセットした状態で直接攪拌を行なうと、仕上がりムラの原因になりやすいという。


別売りの「豆腐取り出しシート」。これを使うと四角い豆腐ができる 半透明のプラスチックのシートを内箱にセットする

「豆腐取りだしシート」を使う場合、別容器で豆乳とにがりを混ぜ合わせる 別容器で混ぜ合わせた豆乳とにがりを本体にそっと注ぐ。後は通常どおりスイッチを押すだけだ

 いつもと同じ時間で、調理ランプが切れた。いよいよ取り出しだ。

 シートの両端を持って、そーっと取り出す。なにせ柔らかいので、市販の木綿豆腐と同じつもりでは扱えない。

 最初は、お豆腐屋さんのように水に放つつもりで、うちにある一番大きい鍋を用意したのだが、大きさがキツキツで思うようにいかない。容器一杯の大きさなので、スーパーの豆腐よりも一回り大きいのだ。

 あきらめて、まな板の上に静かにすべらせて出すことにした。ヘラでそっと押してすべらせていくと、うまく、四角い豆腐が立ち上がった。いったん取り出してしまうと、もう自重で崩れるようなことはない。四角いまま自立している。

 さっそく、やっこに切って、食べてみた。ざる豆腐のときと違って、箸でもつまみやすい。味や香りはそのままで、きちんと角切りの形がある。何だかんだ言っても、四角く角が立っているほうが豆腐らしい。

 次に、梅やひょうたんの形の型で抜いてみた。木綿豆腐でこれをやると、エッジのところが、切れたというよりちぎれたようになることがあるものだが、この豆腐は大丈夫だった。型抜きがすっと入り、きれいに抜ける。


柔らかいので取り出すときには注意が必要だ お豆腐屋さんのように冷水に放つつもりだったが、豆腐が思ったより大きめで鍋に入らない まな板の上に静かに滑らして出した

「とうふすていしょん」のホームページで豆腐専用の包丁を見つけた。この包丁で切るとカットした面が波形になる。472円だった いったん取り出してしまえばもう崩れるようなことはない 冷や奴で食べてみた。ざる豆腐の時よりも箸でつまみやすく、食べやすい

梅やひょうたんの形で型抜きするためのもの。豆腐専用だ。こちらも「とうふすていしょん」のホームページで682円で購入した。 木綿豆腐で型抜きをやると、エッジのところが、切れたというよりちぎれたようになることがあるものだが、この豆腐は大丈夫だった きれいに型抜きすることができた。これならばちょっとしたおもてなしにも充分使える。扇の形はカメラのレンズをひっかけてしまったのでちょっと欠けている

 やっこで食べた残りを、さめるまで置いておいたら、自然に水が切れて、しっかりしてきた。これを使って、麻婆豆腐を作って食べた。

 正直、麻婆豆腐のように強い味の料理にしてしまうと、豆腐自体の風味まではわからなくなって、スーパーで買う普通の豆腐との違いなどわからないだろうと思っていた。ところが、そうはならなかった。

 スーパーの豆腐で麻婆豆腐を作ると、味のあまりない豆腐の部分と、強い風味の麻婆ソースの部分が対照的で混じりあわず、口の中の味のコントラストが強い食べ物になるものだ。(もちろん、そこも含めておいしいわけだが)

 しかし、この豆腐だと、なにか両者に一体感があり、全体がなじんだおいしさになった。豆腐の程よい柔らかさのせいだろうか。しかも、強い味のソースに負けてしまわない。ちゃんと豆の味と香りが感じられるのだ。スーパーの豆腐とは、やっぱり違った。


豆腐が冷めてしっかりしてきていたので、麻婆豆腐を作ってみた 手作り豆腐を使った麻婆豆腐。豆腐と麻婆ソースに一体感があり、全体がなじんだおいしさになった。豆腐の程よい柔らかさのせいだろうか

面白かったし、おいしかった

 ことしのお盆休みに、特にどこにも出かけなかった私たちは、豆腐を作っては味見をして、「おいしいおいしい」「大成功じゃん」と喜びながら何日かを過ごしてしまった。

 こういう休みの使い方が大人としてどうなのか、ということは何とも申し上げられない。

 ただ、「とうふすていしょん」という製品については全体として「面白かったし、おいしかった」という気持ちで満足している。

 もちろん、これからずっと、「とうふすていしょん」の豆腐だけを使いたいとか、スーパーの豆腐はもう買わないとか、そんなことを言う気はまるでない。

 スーパーの豆腐も買うし、お豆腐屋さんの豆腐も、千住のあの店や上野桜木のあの店で買って帰ることもあるだろう。

 ただ、この製品が完全に忘れられたり、しまい込まれることは、わが家においてはなさそうだ。ちょいちょい、思い出したように「お豆腐作って食べようか」と言っては使うだろう。台所収納の、ホットプレートの横あたりに置いておく事になりそうだ。





URL
  福山化成株式会社
  http://www.fkco.jp/
  製品情報
  http://www.fkco.jp/shop/1.html

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2007/08/30 00:00

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