● デザイン性に優れたトヨタミシンの「QBシリーズ」
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TOYOTA「QB2 K500B」。四角いボックス型にまとまって、すっきりします
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“トヨタブランド”には、言わずと知れた自動車のほかにも、いくつか製品があります。その1つが、この“トヨタミシン”。意外にも歴史は古く、60年以上前に初代の「HA-1型」に商標として“TOYOTA”の使用が許可されて以来、アイシン精機からトヨタミシンとして発売されています。実はコンパクトミシンも、水平全回転釜コンパクトミシンも、トヨタミシンが最初に発売したそうで、2000年には世界で累計1,000万台を販売しています。
今回紹介する「QBシリーズ」は、そんなトヨタミシンの中でもコンパクトミシンにあたるシリーズ。テーブル部分が本体カバーを兼用していて、このカバーと小物入れをセットすると、四角いボックス型にまとまるというユニークなもの。ケーズデンキとアイシン精密が共同開発したもので、ケーズデンキとヨドバシカメラでの店頭販売でのみ発売されており、価格は19,800円です。
価格勝負になりがちなコンパクトミシンではめずらしくデザイン性の高い1台で、デザインは元トヨタ自動車デザイナーが担当。グッドデザイン賞も受賞している、売り場でも目を引く製品です。見た目はかなりポップで、まるで玩具のブロックのようなかわいい配色。今回レビューした、青・白・赤の組み合わせの「ブルー」のほか、ラインナップには赤・白・黄の「レッド」、黄・白・赤の「イエロー」もあります。
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本体左側面
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背面。おもちゃのようなカラフルな配色です
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右側面
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使うための手順。最初に、テーブル部分を兼ねる左のカバーを外します
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次に中央の小物入れを左手前に引くように取り外します
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取り外したテーブルの突起を本体に合わせてセットします
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最後に上下の糸を通したら縫う準備完了です
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カバーをプラスする分、コンパクトミシンとしては広めの使いやすいテーブルです。もちろんこのテーブルと補助テーブルを取り外せば筒物縫いもできます
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K500シリーズの場合、出荷時は電源周波数が60Hzに設定されているので、関東以北の50Hz地域で使う場合は背面の切り替えスイッチを「50Hz」に切り替えるのを忘れずに
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本体右側にある電源。電源をONにすると自動的に手元を照らすランプが付きます
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持ち運ぶときには本体上部にあるハンドルが使えます。ただし、5.7kgとポップな見た目にくらべてかなり重め
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● 想像以上にパワフルで厚物縫いもスムーズ
この「QB2 K500」は「電子制御ミシン」ですが、これはしくみ的には、スピードの切替が2段階で低価格な「電動ミシン」と、低速時もパワフルで針が上位置停止する「電子ミシン」の間に位置するもの。実感では、「QB2 K500」は電子ミシンやコンピュータミシンほどの細かな機能はないものの、電動ミシンよりもかなり安定した使い心地でした。
縫い模様は合計で13種類あり、一般的な「直線縫い」が4種類、裁ち目かがりやアップリケに使う「ジグザグ縫い」が3種類、あとは、つくろい縫いなどに使う「三点ジグザグ縫い」と、袖口などに使う「まつり縫い」、そして「ボタンホール」に使う4種類と、どれも実用的な縫い模様のみ搭載されています。
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縫い目は全部で13種類。ボタンホールには、ボタンホール押さえを使って1~4を順番に使います
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縫い目の設定は本体右の模様選択ダイヤルで設定します
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5~13の縫い目と、1~4を使ったボタンホールの縫い目
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縫うスピードは、本体前面のスピード調節ツマミで行ないます。いちばん遅いスピードでも超スローではなく、そこそこのスピードはあります。最速にした場合も本体が重いせいか、使い心地は安定しています。この“本体の重さ”が安定感に役立っているんだなと感じました。
パワフルさは厚物を縫った時も同じで、ジーンズ地を8枚重ねて縫ってもスムーズに縫えました。実は以前コンパクトミシンを長く使っていたのですが、このパワフルさはありませんでした。厚物縫いをしようとすると、動きがぎこちなくなったり、下糸がからまったりしていたのですが、このミシンの場合は普通に縫っているのと変わらないスムーズさ。このミシンを使ってみてこの点にいちばん驚きました。
また、本体背面にある押さえ上げレバーは、生地が重なって厚くなってしまう場合は通常よりさらに上に上げて生地をセットできるしくみ。厚い生地をセットするときには利用すると便利です。
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スピード調整は、本体前面のスピード調節ツマミで行います
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本体背面の押さえ上げレバー。下げて布地を固定して使います。上げるときは通常よりさらにもう1段上げることもできるので、厚物押さえに便利です
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● 小物を「小物入れ」や「補助テーブル」にセットできます
QB2シリーズのウリの1つが、糸や針、ボビンなどの裁縫小物を「小物入れ」に入れられるため、すっきり収納できるところ。ミシンには想像以上に裁縫小物が多くなりがち。収納するときも、ミシンと一緒に裁縫小物を保管しなければいけないので、案外スペースを取ってしまうものです。QB2の場合は、これを本体に収納できるため小物の紛失が防げて便利というわけです。
実際に小物入れに収納できる量はそれほど多くないので、必要最低限の裁縫小物が収納できる程度と考えた方がいいですが、1つにまとまるのは確かに便利です。
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本体左側面にある糸切り用のフック。糸切りは横にある方が圧倒的に切りやすくて便利です
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小物入れに入れられる小物の量のめやす。付属の説明書の一部が「クイックガイド」として切り取ってこの小物入れにちょうど入れられるようになっています
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本体手前の補助テーブルにも小物がセットできます
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AC電源のケーブルなどを入れるときに便利
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付属の小物類や電源コードと「取扱説明ビデオ」。付属する小物の詳細は、生地によって使い分ける「替え針」5本と、3種類の「押さえ」、下糸用の「プラスチックボビン」、針の取り付けに使う「針板ドライバー」、糸切りの「リッパー」、糸コマを固定するための「スプールキャップ」
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● 思ったより確実に通る手動の「糸通し器」
上糸は、手動の「糸通し器」を使って針穴を通すことができます。レバーを下げて、糸をフックにかけるタイプで、手元がはっきり見えていなくても、フックがわかりやすいので思ったより失敗せず、ほぼ確実に糸を通すことができて驚きました。また、下糸はボビンケースがいらない一般的な水平釜。上糸、下糸の両方がセットできたら、本体右の「はずみ車」を手前に回して下糸を引き出して準備OKです。
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上糸は「スプールキャップ」で固定して使います
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上糸調子は本体上部のダイヤルで行ないます。上糸がつるときは左に回して弱くし、たるむときは右に回して強くします
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針をいちばん上まで上げ、糸通しレバーを下げるとフックが針穴に入ります。そこにひっかかるように、上糸を糸通し器のガイドにかけてから糸通しミゾにひっかけて、糸通しレバーと糸から手を離します
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糸がフックにひっかって針穴を通り、針穴の後ろに輪ができます
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指先で輪を後ろに引いて、糸を完全に通します
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下糸は、ボビンを絵にある通りガイドに沿ってセットします
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コンパクトミシンは種類も多く、どれを選ぶか悩みがち。2万円前後の価格帯だと電子制御ミシンの上のクラスの、電子ミシンも選択肢に入ってくるでしょう。
個人的には、「QB2 K500」はポップな見た目とはうらはらに、使ってみるとシンプルな機能がしっかり作られた、質実剛健なコンパクトミシン、といった印象を受けました。普段の小物作りや服の補修に使う程度で、2万円以下で買えるものを探している方におすすめの1台です。
■URL
アイシン精機株式会社
http://www.aisin.co.jp/product/index.html
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