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家電製品ミニレビュー
シャープ「コンビニクーラー CV-U71」

~欲しい場所で冷風を発生する簡易式クーラー
Reported by 元麻布 春男

コンビニクーラー CV-U71
 今年の梅雨は、当初はカラ梅雨気味で、水不足が懸念されたものの、途中からジメジメとした梅雨らしい梅雨が到来した。夏場を考えれば、カラ梅雨も困りものだが、湿度の高い梅雨を好む人もいないだろう。湿度が高いと、単に人が不快なだけでなく、結露やそれによるカビの原因にもなる。洗濯物がなかなか乾かないことも悩みのタネだ。

 こうした場合に利用するのが、ドライ機能付きのエアコンや除湿機である。出力が大きく工事が必要なエアコンに対し、除湿機は工事が不要で必要な場所で手軽に利用できる。廊下や洗面所、浴室の脱衣所といった、通常エアコンの設置が想定されていない場所へも持ち運んで利用できるのがメリットだ。花粉症などアレルギー対策の点からも、こうしたところに洗濯物を室内干ししている家庭も少なくないのではないだろうか。

 もちろん工事が不要な分、除湿した水が内部の水タンクいっぱいになったら捨てる手間がかかるが、これはやむを得ないことだろう。エアコンと併用する家電製品として扇風機が脚光を浴びているように、小回りのきく除湿機をエアコンと併用するというのが便利で省エネな使い方かもしれない。


除湿機の2つの種類

 除湿機は、その方式によりコンプレッサータイプとデシカントタイプに分けられる。コンプレッサータイプというのは、エアコンと同じ原理の除湿機で、コンプレッサーで圧縮した冷媒が断熱膨張する際に周囲の熱を奪い、それにより空気中の水分を結露させて取り除くもの。エアコンでは奪った熱を室外に放出するため、部屋の温度が下がる(実際には温度を下げるのがメインで、除湿はオマケともいえる)。

 だが、室外機のない除湿機では奪った熱は結局、室内に再放出するため、トータルでの室温変化は少ない。コンプレッサーの動作による発熱により、閉め切った部屋で利用すると1~2℃程度室温が上昇することが多いようだ。また結露させた水分は、エアコンが屋外に垂れ流しに放出するのに対し、除湿機では内部の水タンクにいったん貯めて捨てる形をとる。熱と同様に、水分を室内に再放出してしまっては、除湿機ではなくなる。

 一方のデシカントタイプの除湿機は、デシカント(ゼオライト)と呼ばれる吸湿剤で空気中の水分を吸い取るもの。ただし、これだけではすぐに飽和してしまうため、水分を吸った吸湿剤をヒーターで暖めて、水分を飛ばす。ヒーターで暖められた湿気の多い空気を、室温の空気で冷やして結露させ、これを水タンクに貯めて取り除くという仕組みだ。


部屋干しの洗濯物の乾燥にも使用できる
 つまり、コンプレッサータイプは、室内の空気を冷やすことで水分を取り除くのに対し、デシカントタイプは一度ヒーターで暖かく湿った空気を作り、室内の空気で冷却して水分を取り除く。したがって室温が低い冬場でも高い除湿効果が得られるものの、夏場はヒーターにより室温が上がりやすいという欠点がある。また、吸湿剤は匂いも吸着しやすいため、喫煙者のいる家庭等では、除湿機を運転するとタバコ臭くなるといったこともあるようだ。以前はヒーターを使うデシカントタイプの方が消費電力が若干多い傾向が見られたが、改良により現在ではコンプレッサータイプと大差なくなりつつある。

 というわけで、乱暴に両方式の特徴を表せば、夏向きのコンプッサータイプ、冬向きのデシカントタイプ、ということになる。最近は、両方式を組み合わせることで通年対応したハイブリッド製品もあるが、その分価格は高くなる。基本的には、関東地方など夏が高温多湿で冬場が乾燥する地域にはコンプレッサータイプが適しており、冬場に降雪の多い地方ではデシカントタイプが適していると言えるわけだが、最近は必ずしもそうとばかりは言えなくなってきた。

 その理由の1つは、住環境の変化だ。伝統的な日本家屋は、夏場の風通しの良さを重視すると同時に、紙や木といった吸湿性のある素材でできており、冬場に湿気がこもることはあまりない。しかし、住宅の主流が木造からコンクリート造りになると、コンクリートそのものが乾燥するのに時間を要することが明らかになってきた。新築マンションなどでは、結露とカビを防止するため、コンクリートが完全に乾燥するまでの数年間、クローゼットや押し入れで乾燥機を通年運転することが少なくない。

 もう1つ、乾燥機が重宝されるようになったのは、洗濯物を室内干しする機会が増えたことだろう。花粉症に代表されるアレルギー症の問題などにより、洗濯物を室外に干すことが難しくなりつつある。閉め切った室内では、洗濯物が乾くのに時間がかかるだけでなく、部屋干しのニオイも気になる。洗濯物の湿気で部屋の湿度が上がってしまうと、結露やカビの問題が生じる。こうした点から、洗濯物を脱衣所や洗面所、あるいは浴室に干し、そこで乾燥機を使う、ということが増えているようだ。特に洗濯物の乾燥を意識した機能を備えた除湿機は、除湿乾燥機とも呼ばれる。



冷風は前方の吹き出し口から

 こうした事情で、以前は主に夏場に使う季節商品だった除湿機は、年間を通じて利用する家電製品になりつつある。各社とも、通年利用を前提とした製品作りを行なっている。ここで紹介するシャープの「コンビニクーラー CV-U71CH」は、コンプレッサータイプの除湿乾燥器。ホワイト、オレンジ、ブルーの3色があり、従来の除湿機のイメージを覆すようなデザインだ。上部に用意されたキャリングハンドルと、底面に用意された4輪キャスターにより、一見、スーツケースのようにも見えるが、スーツケースのように家の中で自由に移動させて使って欲しいということなのだろう。価格はオープンプライスで、Amazon.co.jpでの購入価格は28,800円だった。

 もう1つの特徴は、本機につけられた愛称“コンビニクーラー”が示している。上述したように、コンプレッサータイプであっても除湿機である以上、部屋全体を冷却することはできない。が、本機は冷風の吹き出し口と、温風の吹き出し口を別個にコントロールできるようにすることで、特定のスポットを冷却することが可能となっており、冷風機とも呼ばれる。

 上面の操作パネル右端に用意されたドライ/クールの切換ツマミを操作することで、冷風と温風の両方を前方に吹き出すドライモードと、冷風を前方に温風を後方に吹き出すクールモードを切り替えることが可能だ。クールモードであっても、閉め切った部屋全体として温度が下がるわけではないが、前方吹き出し口の前にいれば冷風で涼むことができる、というわけだ。もちろん除湿機の動作原理上、ドライモードであろうとクールモードであろうと、除湿は行われる。


本体背面。中央のメッシュの部分が温風の排出口で、左右の2つが吸気口となる 【動画】本体前面の噴出口。ルーバーは上下120度に回転できる(WMV形式、約1.8MB)

除湿した水は、内部の水タンクに溜められる 本体上部の操作パネル。ツマミでドライ/クールモードを切り替える

 さて、すでに述べたように、コンプレッサータイプの除湿機は、どうしても冬場に除湿効果が低下する。それを補うため本機では、気温が一定以下になると風量を増すことで除湿能力を高める冬モードに切り替わるほか、セラミックヒーターを併用して温風を吹き出すことにより洗濯物の乾燥を促進するモード、衣類乾燥(ヒート速乾/冬)運転を備える。ほかに室内の湿度を一定に保つ自動除湿運転、連続して除湿運転を行なう衣類乾燥(標準)運転、内部の乾燥を行なう送風運転といった動作モードがある。本機は空気中のカビ菌を除去する除菌イオン機能を備えるが、送風運転時は内部に除菌イオンを送り、内部でのカビの繁殖を防ぐことができる。ちなみに動作モードなどの設定は本体が記憶しており、次回利用時は前回の動作モードが選択される。

 外部排水機能を持たない除湿機は、除湿した水分を排出する水タンクを内蔵する。本機の水タンクは1.8Lで、満水になると自動的に運転が停止する。タンクは大きい方が水を捨てに行く回数が減らせるが、それだけ重くもなる。1.8Lは手頃なところかもしれない。ほかにタイマー設定により2時間後、4時間後に停止させることができるほか、切り忘れを防止するため、何も設定しなくても12時間後には自動的に停止する仕様になっている。


エアコンと同じくらい冷たい

 さて本機をしばらく使ってみたが、冷風と温風を前後に振り分けるクールモードを利用していると、使っている感覚はエアコンと変わりない。実際には背面から温風が吹き出しているわけだが、前面から吹き出す冷風の風量がかなりあるため、かなり涼しく感じる。冷風扇の風は「冷たい」という感じではないが、本機の吹き出す冷風はエアコンと同じで明らかに冷たい。そのせいか、わが家のエアコン嫌いの猫は、やはりこの除湿乾燥機が気に入らないようである。

 一方、ドライモードの風は少し不思議な感じだ。吹き出し口の左からは冷たい風、右側からは暖かい風が吹いてくるのだが、近くにいると冷たい風と暖かい風を、それぞれの方向から感じる。完全に混ざり合って送風されるわけではないのだ。ただ、このモードは基本的に部屋の除湿時や洗濯物の乾燥時に使うものなので、それほど重要な問題ではないだろう。

 季節柄、衣類乾燥(ヒート速乾/冬)運転モードは試していないが、コンプレッサータイプの弱点を補う試みとして評価できる。価格は3万円台前半というところで、ハイブリッド式に比べて2万円近く安い。2万円というと低価格な除湿機が購入できる価格であり、決して小さくない差だ。冬場の湿度対策を重視する地域には向かないかもしれないが、関東以西の太平洋岸地域であれば通年で利用できる除湿機ではないかと思う。





URL
  シャープ株式会社
  http://www.sharp.co.jp/
  製品情報
  http://www.sharp.co.jp/products/living/conveni_coole/prod01/cvu71chd/index.html

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2007/07/25 00:01

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