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大河原克行の「白物家電 業界展望」
2007年度の白物家電市場を展望する

~オール電化、プレミアム家電、暑い夏で強気の見通し
Reported by 大河原 克行

 5月28日に発表された三洋電機の決算発表で、電機大手各社の2006年度連結決算が出揃った。


2006年年度の全社連結決算は、全体的には好調な決算内容(資料:松下電器産業)
 全社連結決算は、厳しい状況に置かれている企業が一部にはあるものの、全体的には好調な決算内容。また、2007年度の見通しについても、過去最高業績の更新を打ち出す企業が相次ぐなど、強気ともいえる事業計画と、デジタル家電を中心とした旺盛な設備投資計画が打ち出されている。

 こうしたなか、主要各社の白物家電事業も、全社の連結業績同様、軒並み好調な業績になったといえる。

 日立製作所や三菱電機は、カテゴリーの分類のなかにAV機器などが含まれるため、各社の数字を横並びにして、そのまま比較することはできないが、各社が発表した白物家電事業が含まれるカテゴリーの売上高を単純計算しても、松下電器、日立製作所、三菱電機、東芝、三洋電機、シャープの主要6社の白物家電関連部門の売上高合計は、前年比8%増という成長率。営業利益では前年比70%増と高い伸びを示しているのだ。

 しかも、松下電器、三菱電機、シャープ、東芝の4社が、年度初めの業績見通しを上回る実績を達成。なかでも三菱電機は、営業利益では年度初めには200億円の見通しとしていたものが、結果は前年比145%増の366億円と、予想を大きく上回る実績となった。

 2007年度の業績見通しも、6社合計の売上高見通しで前年比2%増、営業利益では58%増(部門別営業利益見通しを公表していない三洋電機を除く)という高い成長が期待されている。


松下電器では、2007年度のアプライアンス事業の売上高・営業利益ともにアップを前年目指す(資料:松下電器産業)
 家電最大手の松下電器は、2007年度におけるアプライアンス事業の売上高見通しを1兆2,412億円、営業利益772億円と、前年実績の1兆3,034億円から、835億円を下回る計画としているが、これは2007年度からヘルスケア商品を、AVCネットワークへと移管するため。これを差し引けば、売上高は1%増、営業利益では3%増とプラス成長を見込む。そのほかの5社も家電事業を含むカテゴリーにおいて、売上高ではすべてプラス成長の計画を打ち出している。

 だが、手放しで喜べるわけではない。

 例えば、財団法人日本電機工業会(JEMA)が発表した2006年度の国内家電製品の出荷金額は、前年比0.9%減の1兆4,277億円と、3年ぶりのマイナス成長になった。

 とくに、電機冷蔵庫の出荷台数は2.4%減の428万2,000台、電気掃除機も0.4%減の583万7,000台と、ともに2年連続での前年割れ。電子レンジも1.7%減の354万6,000台と2年ぶりのマイナス成長となった。

 一方、社団法人日本冷凍空調工業会(JRAIA)がまとめたルームエアコンの2006年度(2006年4月~2007年3月)の国内出荷台数は、前年比2.1%減の741万6,903台。こちらもマイナス成長となっている。


日立のエアコン「ミスト脱臭ステンレス・クリーン白くまくん X」シリーズ。昨年夏の天候不順により、エアコンの売り上げは業界全体で不振に陥った
 家電業界の主力製品と位置づけられるエアコンや、日本電機工業会の調査で、最も出荷金額規模が大きい冷蔵庫の減少、そして3番目に規模が大きい掃除機が微減となったことが、2006年度の国内出荷の前年割れにつながっている。

 「夏の天候不順の影響で冷蔵庫の出荷が減少した」と日本電機工業会は指摘するが、エアコンも同様に、天候不順の影響を強く受けたのは間違いない。

 その一方で、成長しているのが、5年連続のプラスとなった電機洗濯機や、オール電化住宅の広がりによって、IHに注目が集まっているクッキングヒーターである。

 とくに、クッキングヒーターは、2006年度の出荷台数で、前年比12.1%増の82万7,000台と2年連続の2桁増。2006年度実績で、初めてジャー炊飯器の出荷金額を上回った。

 クッキングヒーターの99%を占めるIHクッキングヒーターは、2007年度には家庭への普及率が10%に達するものと予測される。また、年間市場規模も100万台への大台到達が見込まれており、ますます普及に拍車がかかりそうだ。4月の統計では、45カ月連続のプラス成長となっており、この勢いはしばらく止まりそうにない。電機各社も、2007年度の業績見通しにおいて、IHクッキングヒーターを軸とするオール電化関連製品を成長領域と捉えており、先行する松下電器を各社が追随する格好になっている。IHクッキングヒーターは、数々の特許技術を必要とするものの、メーカーにとっては、依然として収益性の高い事業。この成長が2007年度の各社の収益に影響を及ぼすことにもなりそうだ。


45カ月連続のプラス成長が続くIHクッキングヒーターは、今後もその勢いは止まりそうにもない。写真は三菱電機の「CS-G37HWS」 ナショナルのエコキュート「HE-D37AYS」。オール電化関連製品は今後も成長が見込まれる

大容量化した冷蔵庫など、高付加価値の商品は今後も人気が集まるだろう。写真はシャープの「(冷⇔温)愛情ホット庫 SJ-HL」シリーズ
 また、電機各社の好調な業績を支えている要素の1つに、プレミアム家電と呼ばれる付加価値商品群の売れ行きが挙げられる。

 2006年度には、電機各社から、複合的な機能を搭載した製品が登場。同時に、大容量化した冷蔵庫、空質効果を高めたエアコン、炊きあがりを重視したジャー炊飯器など、価格は若干高くても、消費者が納得する価値を提供している商品に人気が集まっていた。

 この傾向は2007年度も継続するのは確実。景気の回復とともに、個人消費が拡大していることも追い風となっている。プレミアム家電は、引き続き、電機各社の収益確保を下支えすることになりそうだ。

 もう1つのポイントは天候である。

 気象庁が5月24日に発表した6~8月の3カ月予報によると、北日本、東日本、西日本および南西諸島ともに、平年よりも気温が高くなり、猛暑になるとの予測が明らかになっている。

 すでに九州南部などの一部地域では梅雨入りとなっているが、これは、例年よりやや遅れている。さらに梅雨明け時期が例年よりも早まるとの見方もあり、今年の梅雨は例年よりも短くなるとの見方も出ている。さらに、3カ月予報で示された太平洋高気圧の張り出しが活発になるとの予測とあわせると、真夏日や熱帯夜が増える可能性もある。

 気象庁では、気温25℃以上の日を「夏日」、30℃以上の日を「真夏日」としていたのに加えて、今年から35℃以上の日に対して、新たに「猛暑日」という表現を用いることにしたが、この猛暑日が続くようだと、エアコンや冷蔵庫の売れ行きにもプラスになる可能性が高い。今年の暑い夏の到来に、業界内からは期待の声もあがっている。

 一方、海外向けの家電事業の成長も見逃せないホイントだ。

 とくに、欧州市場ではエアコンや太陽電池の需要が旺盛で、これに業績が支えられている企業もある。

 さらに、成長著しい中国をはじめとするアジア地域での事業基盤の確立に取り組む企業もあり、この成果が徐々に業績にプラス要素となってきそうだ。


松下電器産業の2006年度の地域別販売実績 象印の「RIZO」は、海外市場をメインターゲットとした炊飯器だ

 こうして2007年度を俯瞰してみると、家電業界にとっては明るい材料が転がっているともいえる。

 出荷台数ベースでは、IHクッキングヒーターやドラム式洗濯機のような成長製品がリードしていく一方、台数ベースで前年並みあるいは横ばいという製品でも、プレミアム家電効果などによって、金額ベースでは上昇が見込まれている分野も少なくない。

 今後の見通しが比較的明るいともいえる2007年度の白物家電事業は、夏のボーナス商戦突入を前に、いよいよ第1ラウンドのゴングが鳴ろうとしている段階にある。





URL
  松下電器産業株式会社 2006年度 連結及び単独決算概要
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn070427-10/jn070427-10.html
  株式会社日立製作所 2007年3月期 決算の概要
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2007/05/0516.html
  シャープ株式会社 平成18年度 決算情報
  http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/report/index.html
  三洋電機株式会社 決算短信
  http://www.sanyo.co.jp/ir/library/financialstatements.html
  三菱電機 平成18年度 連結及び単独決算概要
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/ir/data/financial_result/

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2007/06/11 11:03

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