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人の手を目指すマッサージチェアの進化をさぐる

~松下電工 彦根工場見学レポート
Reported by 清水 理史

 琵琶湖のほとり、滋賀県彦根市にある松下電工の彦根工場で、マッサージチェアの新製品発表会と工場見学会が行なわれた。新製品にたどり着くまでのマッサージチェア進化の歴史、工場の組み立て工程などを見学できたのでレポートをお届けする。





リアルプロ EP30002
 ナショナル(松下電器産業株式会社)から11月30日に発表された新リアルプロシリーズ(EP30002/EP30001/EP30000)は、従来のマッサージチェアから、ワンランク上のステージへと進化した画期的な製品と言って良さそうだ。従来のマッサージチェアでは機械的に実現することが難しかった「揉捏(じゅうねつ)」と呼ばれるマッサージ手技を搭載しており、人の手によるものと極めて近い感覚のマッサージになっているからだ。

 「揉捏」とは、親指の先でツボを押さえながら、手首を中心に回転させるようにして内部の筋肉をもみほぐすマッサージ手技の1つだ。人の手によるマッサージではコリをほぐす一般的な手法として多用されているが、従来の技術ではなかなか実現が難しかったという。

 たとえば、人の手によるマッサージのような速い指の動きをモーターで実現するこが難しかったうえ、手首のようなスムーズな円運動を再現する制御機構も困難だった。さらには、従来のモミ玉では親指の先のようなピンポイントでツボを刺激するような感覚が、なかなか機械では再現できなかったからだ。

 しかし、今回、登場した新リアルプロでは、人の手による動きのモーションキャプチャによる解析、従来比2.5倍のモーター回転スピードや2倍の精度の回転速度検知、さらにモミ玉の改良などの技術的な進化によって問題を解消したという。

 実際に試してみたが、確かに人の手によるマッサージに極めて近いモミ味が実現されており、特に肩や首の揉捏マッサージは、ツボの中止をしっかりと押さえながら、その周囲を速い回転でモミほぐされるような感覚で非常に気持ちがよいが良い。このほか、肩を外側から刺激する「肩外マッサージ」機能も搭載されている。実際のモミごこちは店頭などでぜひ体験してほしいが、いわゆる機械的なマッサージとは明らかに一線を画す人間的なモミ味が実現されている。


EP30002
EP30002のカットモデル
【動画】EP30002の揉み玉の動き(WMV形式, 551KB)

人形にプロのマッサージ師が施術して、その再現をデータ化。メカによる再現を目指した 人形の体内に埋め込まれた感圧センサー 【動画】プロのマッサージ師による「揉捏」(WMV形式, 294KB)

EP30002と旧機種の揉み玉 約10年前の機種と、揉み玉の動きを比較するデモが行なわれた 【動画】'94年に発売された「アーバン」の揉み玉の動き(WMV形式, 503KB)

'69年に発売された「EP-50」。当時の希望小売価格は81,500円 コントロール部は、ごく簡単なもの 揉み玉はむき出し

マッサージチェアの歴史は、'70年代に始まった

進化の歴史
 このように、新リアルプロシリーズは従来製品から大きな進化を遂げたわけだが、これまでの製品を振り返って見ても、それぞれの時代で課題をクリアしながら着実に進化してきたことがよくわかる。ちなみに、販売元は松下電器産業だが、製造は初代から新モデルに至るまで、松下電工が担当している。

 松下が世にマッサージチェアを送り出したのは'69年の4月。このときは「もみ+さすり」という基本的な技しか実現できない単純な製品だった。銭湯を体験したことがある人は見かけたことがあるかもしれないが、ソファからモミ玉が付いた腕が伸びているマッサージチェアがこれに相当する。

 その後、'80年代にかけて、モミ玉の内蔵、リクライニング機構の搭載などが行なわれ、'90年代のバブル期には外観などにもこだわった高価な製品なども登場。そしてコンパクトで都会的なデザインを採用したアーバンシリーズが'94年に発売され大きなヒットを記録することになる。ここまでの時代が、「たたき」と「もみ」を中心としたマッサージ技術を利用した初期のマッサージチェアの時代の大きな区切りだ。

 マッサージ技術に注力した本格指向の製品が登場するのは、この後だ。プロのモミ技を解析し、肩の上からの指圧、体圧センサーによる位置や強さの自動調整などを実現した「リアルプロ」シリーズが2001年に登場。そして2003年には、3次元駆動で上下・左右、そして前後ともみ機を駆動させることに成功した「リアルプロG」シリーズが登場。そのマッサージ機構は飛躍的に複雑なものとなった。

 進化はさらに続き、2006年にリアルプロGのもみ機をさらに進化させることで「親指」、「つかみ」、「手のひら」、「こぶし」という4つの手技を再現した「リアルプロX」シリーズが登場。ここでかなり人の手によるマッサージに近づいたことになる。そして前述した今回の新リアルプロシリーズの登場だ。従来では不可能だった「揉捏」や「肩外マッサージ」などの新しい技を実現し、さらに進化したことになる。

 こうしてみると、従来機に足りなかった部分をしっかりと克服しながら進化を続け、限りなく人の手によるマッサージに近づいていることがよくわかるだろう。


「EP553」。'76年発売。リクライニング機能を搭載したほか、揉み玉を取れる構造にして、普通のイスとしても利用できるようにした。価格は78,800円
こうしたカラーも時代をしのばせる '80年発売の「EP545」。ベッドタイプの製品だが「置き場所の問題もありなかなか受け入れられなかった」という

'85年発売の「EP525」。「ロッキンローラー」というペットネームが付けられている。置き場所を取らないその斬新なボディデザインにより、ヒット製品となった バブル期の'90年に発売された「ザ・モミモミ」。50万円という価格もさることながら、カラーリングが時代を象徴している
コンパクトさとデザインを両立させ、ヒットした'94年の「アーバン」シリーズ

高級機ならではの丁寧で確実な造り

ライン内の検査工程
 今回の彦根工場見学では、上記のようなマッサージの歴史を実機を見ながら振り返ることができたが、これに加えて、実際に新リアルプロシリーズが組み立てられている工場ラインも見学することができた。

 実際に見学できたのは、組み立ての最終工程と検査工程、そして梱包工程だが、リアルプロシリーズの生産ラインは、1人の作業員が部品の取り付けや組み立て、加工検査などをすべて担当するセル生産方式が採用されており、非常に丁寧に組み立てが行なわれているのが印象的だった。

 セル生産方式は1人が多工程を担当するため、作業の熟練に時間がかかる。しかし、これは逆に言うと熟練した作業員がリアルプロシリーズを組み立てているということでもある。しかも、完成した製品と製作した作業員が完全に一致するため、製品に対する責任の所在もはっきりしており、これが高いクオリティを維持する要因ともなっている。

 マッサージチェアは、まぎれもない高級家電だ。それを考えると、国内で、丁寧に生産されていることに大きな安心感が持てる。高い技術力はもちろんだが、こういった点も人気商品を生み出す秘訣なのだろう。


生産にはセル方式を採用。1人の工員が1台を最後まで組み上げる 次々と流れてくる製品を、1台ずつ入念にチェックする 検品が済んだ製品は、箱詰めされて倉庫に送られる

倉庫に積み上げられた製品。あとは出荷を待つばかり ラインのレイアウト図。撮影は最終工程のみ許された




URL
  ナショナル(松下電器産業株式会社)
  http://national.jp/
  製品情報
  http://national.jp/product/beauty_health/massage_chair/

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ナショナル、ほぐして揉む機能を追求したマッサージチェア(2006/11/30)


2006/12/12 00:05

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