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パナソニックの高効率モーター、世界最高水準の省エネ性を実証

 パナソニック モノづくり本部は、東北大学「東北発 素材技術先導プロジェクト」(文部科学省)の超低損失磁心材料技術領域と共同で、新ナノ結晶合金「NANOMET」を用いたモーターを試作し、その省エネルギー性の実証に成功したと発表した。

 試作したモーターは、NANOMETを積層したステーター(固定子)コアに、コイルを巻回して、ローター(回転子)とともにケースに組み込んだもので、サイズは直径約70mm、高さ約50mm。

試作したモーター

 評価方法は、同一形状のモーターステーターを、NANOMETと家電製品に搭載される厚さ0.35mmの電磁鋼板で製作し、モーターとして組み上げた後、同一の回転数で回した主軸に対し、同一の負荷をかけた際の消費電力で比較している。

 結果は、従来の電磁鋼板(ケイ素鋼板)を使用したモーター(2.2W 基準)と比較して、NANOMETを使用したモーターは鉄損が70%減少し、大幅にモーター効率が改善されたという。

 東北大学では、この結果を家電製品に搭載されているモーター(定格出力40W、鉄損2.2Wのものを想定)に当てはめた場合、既に90%を超える高効率モーターでも3%以上の効率改善が見込まれ、世界最高水準の高効率モーターが実現可能であると試算している。

試作モータの特性比較と家電用モータに適用した場合の効果予測

 今後の展望として、パナソニック モノづくり本部は、今回の研究成果を元に「トップランナー方式」の数値目標を達成できる家電製品の実現、およびあらゆる用途への適用を目指すという。一方、東北大学は、NANOMETの研究を継続し、さらなる省エネルギーを実現する素材の実用化を目指すとともに、モーターやトランスなどへの応用研究を推進するとしている。

中野 信二