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ウインドパーク笠取風力発電所の事故で最終報告書提出

~製造時の問題で風車が落下、支柱も折れる

事故の模様。ブレードとナセルが脱落し、タワーも折れている(シーテック報告書より)

 中部電力グループのシーテックが管理する「ウインドパーク笠取風力発電所」(三重県津市および伊賀市)において、4月7日に発生した事故についての最終報告書が、経済産業省中部近畿産業保安監督部に提出された。

 事故の概要は、ウインドパーク内に設置された、日本製鋼所製の風力発電用風車「CK-19号機」において、風車上部(地上65m)から、風車(ブレード、ナセル)が落下、さらに支柱(タワー)が中央付近で折れ、10度傾斜した。

 事故発生当時は、風速20m/s以上の風が吹き、事故直前の16時27分には最大瞬間風速42m/sを記録していた。

 風力発電機では、ブレードのひねり角を風と平行な受け流す角度にして、回転を止める「フェザリング」という状態にして、強風に対応していた。

 しかし、ブレードのピッチ角が変化し、風車が回転を始めてしまった。さらに、ブレードが風を受ける位置に変化し、定格回転数の約3倍にあたる57.78rpmに回転数が急上昇した。

 ローターの過回転により、ブレードが大きく変形し、タワーに衝突。ナセルとタワーを結合するボルトに荷重がかかり、ナセルが脱落した。

 事故原因は、ブレードを支えるピッチモーターのブレーキ部分の素材が、不適切なアルミ合金製となっていたことによる。この摩耗によって発生した摩耗粉により、ブレーキライニングが摩耗し、ピッチ角を保持することができなかった。

不適切な素材が使われていたため、左のように摩耗が進んだ(同)

 シーテックでは、ブレーキ素材をステンレスに交換した。さらに、ピッチモーターブレーキの保持力の確認を検査に組み込み、システムにも過回転の防止する制御を追加した。

 中部近畿産業保安監督部では、引き続きシーテックに立ち入り検査などを行ない、再発防止対策の実施状況を確認する。