東芝、13個のセンサーで冷やし過ぎを防ぐ冷蔵庫「VEGETA」

~消費電力を最大20%低減する「おでかけモード」搭載
「VEGETA(ベジータ) GR-F56FXV」と石渡取締役社長

 東芝ホームアプライアンスは、13個のセンサーで冷やし過ぎの無駄を防ぐ冷蔵庫「VEGETA(ベジータ) GR-F56FXV」を10月下旬より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は30万円前後。

 容量556L、6ドア両開きタイプの冷蔵庫。東芝のベジータは、野菜室を本体中央部に配置しているほか、冷蔵用と冷凍用に冷却器を2個搭載した「W(ワイドレンジ)ーツイン冷却方式」を採用している点が特徴。

製品本体。ドアには光沢のあるガラスを使用している冷蔵室野菜室は冷蔵室のすぐ下、本体中央に配置されている
野菜室のレールは引き出しやすい高耐荷重アシストレールを採用する熱いものをそのまま冷凍したり、野菜そのまま冷凍などを行なう「上段冷凍室」冷凍室は最下段に配置される

 新モデルでは、省エネ性能を強化した。室内環境、運転使用状況、収納状況、さらに湿度を検知する全13個のセンサーで冷やしすぎのムダを防ぎ、冷えムラをなくして常に均等に冷やす「ecoモード」運転を搭載。さらに、長期間の自宅を空ける際などに便利な「おでかけ」モードを新たに搭載した。これは、設定後、次にドアを開けるまで庫内温度を調節し製氷回数を少なくすることで、消費電力を通常時より約20%削減するというもの。ドアを開けると自動で解除される。

 そのほか、食品に影響のない範囲で庫内温度を調節しながら通常運転時より消費電力を約10%削減する「節電モード」機能、最も電力を消費する霜取り運転を約4時間先に延ばすことができる「ピークシフト」機能を用意する。

本体には13個のセンサーを搭載し、冷やしすぎや冷えムラを抑える自分で設定する省エネモードとして「節電モード」、「ピークシフトモード」「おでかけモード」の3つを用意するおでかけモードでは長時間自宅を空ける際に、消費電力を通常時より約20%抑えて運転するモード。ドアを開けると自動で設定が解除される仕組み

 本体に2つ搭載している冷却器の性能も向上した。一般的な冷蔵庫では1つの冷却器で、冷凍、冷蔵の2つの温度帯をカバーするため、冷却器に霜が付着しやすく、200~300℃の高温で霜取りをする必要があった。ツイン冷却では、冷蔵冷却器の霜取りを行なう必要がなく、冷凍冷却器の霜取りも50~60℃の低温で行なえる。新モデルでは、冷却器の表面積を従来より約5%拡大したことで、熱交換性能がアップし、シングル冷却の冷蔵庫に比べると、除霜ヒーターの電力消費は約49%削減できるという。

 また、制御基板の位置変更や高性能の真空断熱材を採用したことで、断熱効果も従来より約8%向上した。

ベジータでは各温度帯に合わせて冷却器を2つ搭載する冷却器が2つあるため、霜取り運転の負担が少なく、シングル冷却の冷蔵庫に比べると、霜取り時の消費電力は約半分に削減できるカットモデル。制御基板を背面上部に移動したことで、より最適な制御ができるようになったという

 ベジータの大きな特徴でもある野菜室も改良した。ベジータでは、野菜の鮮度を保つために高湿・低温状態を維持するが、新モデルでは、野菜室下段の温度をより安定的な低温に維持することができるようになった。野菜室内の湿度は常に95%以上を保っており、湿度が低下すると、冷蔵側の冷却器についた霜が湿度約100%の冷気として野菜室に補給される。

 野菜室内には、除菌・脱臭効果のある東芝独自のイオン技術「ピコイオン」放出機能も備える。野菜の抗酸化作用を利用してビタミンC、ポリフェノールなどの栄養素を増量させるほか、野菜の劣化を促進するエチレンガスを分解する効果もあるという。

 これらの機能により、冬季、野菜を雪の下で保存する昔ながらの方法「雪下野菜」のように、ベジータの野菜室で保存した野菜はうまみ成分のアミノ酸や糖度が増加するという。

野菜室は低温・高湿を維持。野菜のうまみを引き出しながら保存できるという東芝独自のピコイオンによる除菌・脱臭・エチレンガス分解効果も期待できる

 そのほか、下ゆでなどをすることなく、野菜をそのまま冷凍できる「野菜そのまま冷凍」、野菜を乾燥させながら冷凍する「ドライモード」など冷凍機能でも、野菜をおいしく食べられる工夫が搭載されている。

 本体デザインでは、クリスタルのような輝きを持つガラスをドアに採用。パネルは、操作時に必要なメニューがだけが浮かびあがる静電タッチ式の「サークルインジゲーター」を採用する。

 本体サイズは685×745×1,821mm(幅×奥行き×高さ)。各室の容量は冷蔵室が281L、野菜室が129L、冷凍室が146L。本体カラーはクリアグランブラウン、クリアシェルホワイト、クリアレディッシュゴールドの3色。

必要なメニューがだけが浮かびあがる静電タッチ式の「サークルインジゲーター」左からクリアグランブラウン、クリアレディッシュゴールド、クリアシェルホワイト

 ラインナップとして、機能は最上位モデルと同等で、容量510Lの「GR-F51FXV」、ドアがガラス製ではない容量510Lの「GR-F51FS」、容量481Lの「GR-F48S」も同時発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は順に28万円前後、26万円前後、24万円前後。

ガラスドアを採用した容量510Lの「GR-F51FXV」スタンダードモデルで、容量510Lの「GR-F51FS」

HEMSへの取り組み、節電機能を強化

取締役社長 石渡敏郎氏

 会場では、東芝ホームアプライアンスの取締役社長 石渡敏郎氏が登壇。生活家電分野での今後の取り組みについて語った。東芝では、同社の持つ技術を集結したホーム・ソリューションを推進していくという。石渡氏は「東芝が持つ総合力を利用して、電力を作り、溜めて、賢く使うというところまで全てのソリューションを提供していく」として、HEMS(Home Energy Management System)をさらに強化していくことを明言。

 同日発表された同社のエアコン「大清快 Voice」では、スマートフォンでの遠隔操作が可能となり、HEMS実現のための共通通信規格「ECHONET Lite」にも対応。会場からは冷蔵庫や洗濯機なども今度スマートフォンに対応していくのかという質問が出た。

 これに対して石渡氏は「東芝では最適なHEMSのあり方を目指している。スマートフォン対応家電、いわゆるスマート家電はそれの構成要素の1つ。今後なるべく多くの機器に対応していきたいが、どの機器にどのような機能を持たせるかが重要。ユーザーの役に立つような機能を搭載していきたい」と話した。

東芝が自社の技術を集結して取り組むホーム・ソリューション同日発表されたエアコン「大清快 Voice」では、スマートフォンによる遠隔操作が可能

 一方、生活家電への取り組みに関しては、エコ性能を強化し、節電を推進する「節電イノベーション」に取り組んでいく構え。同社の調査によると、ユーザーの節電意識は高く、「心にゆとりをもった無理のない節電」が求められているという。石渡氏は「独自の技術で一歩進んだ節電性能を提供していきたい」とし、今後発売される新製品でも節電機能を強化していく考えだ。

 また、従来からの「ママゴゴロ家電」というキャッチコピーも引き続き採用。広告キャラクターには引き続き女優の天海祐希さんを起用する。

節電イノベーションを強化。ecoモード搭載商品のラインナップ拡大、節電性能に貢献する技術に取り組んでいく生活家電分野では、節電機能に注力していくという引き続き広告キャラクターを務める女優の天海祐希さん。新CMでは企業の部長という設定で、部下に東芝の生活家電の魅力を伝える





(阿部 夏子)

2012年8月30日 00:00