ヤマハ、電動アシスト自転車「PAS」の2011年モデル試乗会

~スポーティな女性向けアシストクロスバイク「PAS VIENTA」に乗る
電動アシスト自転車「PAS」の2011年モデルの試乗会

 ヤマハ発動機は9日、電動アシスト自転車「PAS」2011年モデルの試乗会を、報道陣向けに東京都新宿区の国立競技場で開催した。

 主に街乗り向けの“スポーティータイプ”の2011年モデルは、通勤やレジャーで使う男性向けの電動アシスト自転車「PAS Brace L(ブレイス エル)」と、アクティブに身体を動かす女性向けの電動アシスト自転車「PAS VIENTA(ヴィエンタ)」の2機種が9月15日より発売する。希望小売価格はPAS Brace Lが149,800円。PAS VIENTAが134,800円。

男性向けの電動アシスト自転車「PAS Brace L」女性向けの電動アシスト自転車「PAS VIENTA」電動アシスト自転車っぽくない、スリムでスポーティーなデザイン

 2011年モデルでは新たに全製品で、ハンドルの操作部には「液晶マルチファンクションメーター」を採用した。走行スピード/消費カロリー/平均速度/積算走行距離/バッテリー残量/アシスト力/アシスト走行が可能な残りの距離を表示する。

ハンドルの操作部には「液晶マルチファンクションメーター」を新たに採用液晶マルチファンクションメーターでは、「残りアシスト走行可能距離」と「消費カロリー」の表示が特徴
左ハンドルの付け根に搭載されているハンドルから手を放さずに、片手で操作できる

 バッテリーには、昨年モデルよりも寿命が2倍に伸びた「長生きバッテリー」を採用。PAS Brace Lには、容量8.1Ahのリチウムイオン電池、PAS VIENTAには6.0Ahのリチウムイオン電池を搭載する。いずれも700~900回繰り返し充電できる。

PAS Brace Lのバッテリー部PAS VIENTAのバッテリー。コンパクトで自転車のデザインを損なわない

 走行機能は、「強/標準/オートエコモードプラス」の3つのアシストモードを搭載。ヤマハ独自のアシスト機構「S.P.E.C.8」と組み合わせることで、きめ細かくアシスト制御する。また新たに、アシスト機能を使わない「アシストオフ」モードも用意される。アシストオフ時でも、マルチファンクションメーターは動作する。

 カラーは、PAS Brace Lがアビスレッド、アースブルー、メタル、クリスタルホワイト。PAS VIENTAがブリーズブルー、クローバーグリーン、ペスカピンク、クリスタルホワイト。

 なお、PAS VIENTAは、スポーティータイプの電動アシスト自転車として“初の女性向けモデル”とされ、同社ではPAS VIENTAを、女性向けクロスバイクを切り開くチャレンジモデルと位置づけている。山や釣りなど、アクティブに身体を動かす女性が増加していることを背景に、よりスポーティーなデザインで、走行性能を向上させた電動アシスト自転車を開発したという。なお、VIENTAとはスペイン語で「風」を意味し、風を切るように爽快に走るイメージを表したという。

これまで男性向けとされてきたPAS Brace Lにも、一定の女性ユーザーがいたというこれまで、女性向けのスポーティータイプの電動アシスト自転車は他になかったとしている

 会場では最新モデルの試乗会も行なわれた。記者は女性向けのPAS VIENTAに試乗した。旅先で自転車を借りて走り回るのが好きな自分だが、電動自転車は初体験。男性用の本格的なスポーティーモデルの自転車だと、サドルやトップチューブ(自転車のフレーム上部のパイプ)が高くて、乗れないこともあるのだが、女性向けPAS VIENTAでは、身長147cmの人から乗れるように設計されているため、トップチューブも低めに設置されていた。自分の身長は約163cmだが、足を大きく開いてまたぐ必要がないので、乗りやすかった。

 また、スポーティータイプでありながら、本体前面にはカゴを設置できるので、いつも持ち歩いているバッグを入れられる。スーパーに買い物にいくにも使えそうだ。ほかにも、グリップ間の距離や、サドルとハンドルの距離が狭く設計されていたりと、女性が乗りやすいように、細かなこだわりが感じられた。

PAS VIENTAの本体前面にはカゴを設置できるスペースがある六角形に近い形をしたペダルは、踏み込みやすかったPAS Brace Lには、0.5WのLEDバッテリーランプが2個搭載されている

 そして肝心のアシスト機能は、やはり坂道を登る際に威力を感じた。平地で自転車を漕ぐ感覚で、スルスルとそのまま坂を登れるのだ。普通の自転車とは異なり、坂を避けるという意識を持たなくて済む。試乗会の日は、真夏のような暑さだったが、坂道でもいつもより汗をかかなかったのは、アシストのおかげだろう。坂道でも速度が落ちないので、風が肌に当たって気持ちいい。

ヤマハ発動機 執行役員 SPV部長 小林正典氏

 ヤマハ発動機 執行役員 SPV部長 小林正典氏は、今後について「ただのスポーツタイプの自転車ではなく、さらなる付加価値のある自転車として、乗る楽しさを提案していきたい」と抱負を語った。

  なお、ヤマハ発動機の電動アシスト自転車は、これまで三洋電機からバッテリーの供給を受けてきた。同じく電動アシスト自転車の開発に取り組むパナソニックに三洋電機が買収されたことによって、どのような影響はあるのかという問いに対しては、「これからも三洋電機からバッテリーの供給を受けていく予定。パナソニックになったからといって、変わるわけではない」と説明した。







(小林 樹)

2011年9月9日 17:42