大型機器用リチウムイオン充電池は、2016年には12倍に成長

-次世代自動車と太陽光発電などが有望

 調査会社の富士経済は、蓄電デバイスの世界市場調査レポート「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2011」を発売した。全3冊で、各冊が101,850円、3冊セットが283,500円。

 主に電気自動車や電力貯蔵などの大型機器で使用される蓄電・発電デバイスの将来予測を行なったもの。携帯電話やノートPCなどの小型アプリケーション市場には触れられていない。

 蓄電デバイスの品目別予想では、リチウムイオン充電池がもっとも有望とされており、2010年の見込みが975億円なのに対し、2016年には約12.6倍にあたる、1兆2,256億円に市場が拡大するとしている。また、NAS充電池(ナトリウム硫黄電池)も216億円から4.0倍の855億円に拡大するとしている。

 また、電池以外ではキャパシタ(コンデンサ)の成長が見込まれている。現状の市場は小さいが、2016年には、リチウムイオンキャパシタが3.8倍の23億円、電気二重層キャパシタが3.7倍の274億円に成長すると予想している。

 一方、鉛蓄電池とニッケル水素充電池は成長が鈍く、2016年の予想は6,240億円と1,354億円に留まるとされている。これは2010年の1.6倍と1.1倍にあたる。

「大型蓄電デバイス 世界市場予測」 富士経済提供

 これら蓄電デバイスの最大の用途は次世代の自動車だ。電気自動車とハイブリッド車、燃料電池車などの2010年見込みは1,365億円だが、これが2016年には7.4倍の1兆130億円に成長するとしている。

 また、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入に伴って必要となる、蓄電機能を持った電力系統安定化システム用途も有望とされている。2010年は321億円だが、2016年には3.8倍の1,226億円に成長するとしている。






(伊達 浩二)

2011年5月30日 16:15