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世界初のハンディ洗濯機「コトン」、購入者の7割が男性

~3割が携行して利用、法人向け利用提案も

世界初のハンディ洗濯機「コトン(COTON)」

 世界初のハンディ洗濯機「コトン(COTON)」発売から約2カ月半が経過した。

 2015年1月14日に製品を発表した時点では、3月上旬の発売としていたが、予約開始初日で100件以上の予約があるなど、受注が好調であったことから、2月中旬に前倒しして販売を開始。順調な滑り出しをみせた。

 コトンは、少量の水を本体先端から噴射し、衣類を叩く「押し出し洗い」ができる“世界最小の洗濯機”。本体先端部分の水タンクに水を入れて、汚れが気になる部分に押し当てて利用する。

 重量200g、単四形電池3本で動作。片手で使えるのが特徴だ。

 スパゲティーのミートソースが衣類に飛んでしまった時、あるいはオフィスでコーヒーをこぼしてしまった場合などに、コトンで叩き洗いすれば、その場で汚れを落とすことができる。価格は1万800円(税込)で、同社の直販サイト「AQUAオンラインストア」のみでの販売だ。

本体カラーは左からスカーレットオレンジ、チタンゴールド、コーラルピンクの3色
汚れが気になる部分に先端を押し当てて利用する
先端から少量の水を噴射し、押し出し洗いして、汚れを落とす

購入者の7割が男性

ハイアールアジアの伊藤嘉明社長

 同社によると、コトンの販売傾向では意外な結果が出ているという。というのも、当初は女性の購入が中心になると想定していたが、購入者の7割が男性だという。

 同社では、「男性でも、日常的に、シミ汚れなどが気になっている人が多いことの表れと捉えている。Yシャツの襟や袖の汚れ落としに利用するといった声が多い。また、ランチタイムでの食べこぼし汚れを洗うといった用途で、オフィスで使用している人も多いのではないか」とする。

 また、今回の販売ルートが同社直販サイトに限定されていることから、最新機器に関心が高い男性層が購入している点も影響しているとみている。

 一方で、常に携帯して利用しているという購入者が3割近くを占めているという。「重量が200gと軽量であり、単四形電池3本で動作するため、どこにでも持ち運べて、どこでも使えるという魅力が伝わっているのでないか」と分析している。

 旅行や出張にも持っていけるという小型、軽量ぶりが評価されている。

 購入者の声のなかには、「旅行先で、友達の子供の食べこぼしをコトンで洗うことができ、友人に喜んでもらった」というエピソードもあったという。

 また、「携帯して利用している購入者からは、持ち運びのための専用ケースが欲しいという要望を多数もらっている」としており、同社による持ち運び利用時の提案にも今後は期待したいところだ。

法人ユーザーからの問い合わせも増加

レストランやバーなどでの使用シーンも検討

 さらに、個人ユーザーだけに留まらず、法人ユーザーからの問い合わせも増えているという。

 現時点では、法人向けの利用提案は積極化させていないが、「より多くの方に利用していただくため、ホテルや飲食店での使用シーンも検討している。当社が、気がついていない使い方や、使用シーンがあると考えており、用途提案をさらに広げていきたい」としている。

 コトンは、旧三洋電機の技術者たちによって開発された製品だ。

 ハイアールアジアは、パナソニックから買収した旧三洋電機の洗濯機、冷蔵庫をベースに事業を展開。洗濯機は、ハイアールアジアが新たに開設した京都R&Dセンターにおいて、旧三洋電機の技術を中心に製品が開発されている。コトンもここで開発された製品で、コトンの商品名は、コトコトと音を立てて動作することに加え、開発拠点が「古都」(=京都)にあることと掛け合わせたものだ。

 三洋電機時代に、業務用洗濯機の開発に携わっていた技術者が、クリーニング店から得た叩き洗いのノウハウをもとに開発。当初は中国市場向けに開発し、今年後半の発売を目標に開発していたが、研究拠点を視察したハイアールアジアの伊藤嘉明社長の一声によって、日本市場向けに製品を企画しなおし、急ピッチで製品化。今年2月に大幅に前倒しして発売した。

 これまでは洗濯機は一家に一台が常識であり、オフィスや店舗などには設置されないのが普通。しかし、コトンによって、2台目の洗濯機需要を創出するとともに、オフィスなどで利用するという新たな市場創出にもつながる可能性がある。

 今後の新たな利用提案などにも注目したい。

大河原 克行