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“日本の屋根”に特化したシャープのブラックソーラー

業界トップクラスの発電効率19.1%

ブラックソーラー。出力、形が異なる4機種をラインナップする

 シャープは、国内トップクラスの変換効率を実現した住宅用単結晶太陽電池モジュール「ブラックソーラー」4機種を6月より発売する。42直出力220Wの標準タイプ「NQ-220AE1」、30直出力155Wのコンパクトタイプ「NQ-155AE」、20直出力101Wのコーナータイプ「NQ-101」が右用、左用それぞれ用意される。価格は全て税抜きで、順に12万5,700円、95,400円、62,600円(左右とも共通)。

 シャープの住宅用太陽光発電モジュールのフラッグシップに当たる製品。電極を本体表面ではなく、裏に備えた独自のバックコンタクト構造による、高い変換効率と寄棟屋根にも設置しやすいラインナップが特徴。42直出力220Wの標準タイプ「NQ-220AE1」の発電効率は19.1%で業界トップクラスを実現する。

電極を表面ではなく、裏面に設けた、独自のバックコンタクト構造
日本の住宅に多い寄棟屋根に設置しやすいラインナップを備える
42直出力220Wの標準タイプ「NQ-220AE1」の発電効率は19.1%で業界トップクラス

 変換効率については、従来からのバックコンタクト構造に加え、再結合を防止する独自の技術を導入する。太陽光発電では、半導体に光を当てることで、+と-の電気が発生し、これを取り出すことで電気を作るが、電気として取り出す前に一部の+と-が再び結合してしまうと、電気が消失してしまう。

 それを防止するために、受光面にパッシベーション膜というものを付けている。ブラックソーラーでは、受光面に窒化シリコン成膜技術、裏面に酸化アルミ新成膜技術を採用。再結合を防止し、発電ロスを大幅に低減している。

発生した+と-の電気が再び結合することを防ぐために、パッシベーション膜をつける
ブラックソーラーでは、受光面に窒化シリコン成膜技術、裏面に酸化アルミ新成膜技術を採用。発電ロスを低減する

“日本の屋根”にフィットしたサイズとラインナップ

 設置しやすさについては、日本の住宅の50%以上が採用している寄棟屋根に効率よく設置できるラインナップを展開する。屋根の大きさに合わせてサイズの異なる太陽光電池を組み合わせることで、見た目も美しく、効率よく設置できる。従来の画一的なサイズの太陽電池に比べて設置容量は約28%向上し、年間発電量も上がる。設置容量の差は、売電収入にも差が出るとし、シャープの試算では、20年間で約43万円アップするとしている。

 また、寄棟屋根は設置面が3面になることが多いが、従来のパワーコンディショナでは、3回路に対応できるものはなく、3面への設置を諦める人も多かった。シャープでは3回路に対応する「5.5kWハイブリッドパワーコンディショナ」を5月に発売。寄棟屋根に最適なシステムを構成できる。

シャープによると、日本の屋根タイプは53.9%が寄棟屋根だという
従来のような画一サイズの太陽電池パネルを、寄棟屋根に設置するのは効率が悪く、20年間の売電収入の差は約43万円にもなるという
様々な屋根形状にフィットする
3回路に対応した「5.5kWハイブリッドパワーコンディショナ」を5月に発売

実発電量が大きいことが強み

シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部 ソーラーシステム事業部 副事業部長 兼 商品企画部長 五角博純氏

 シャープ エネルギーシステムソリューション事業本部 ソーラーシステム事業部 副事業部長 兼 商品企画部長 五角博純氏は、ブラックソーラーの強みについて「実発電量が大きい」点を挙げる。

 「太陽光発電システムのモジュール出力というのは、日照量1,000W/平方mの条件で規定されているが、実環境においては、日照量がそこまであがる時間というのはほとんどない。現実では、600W/平方mの低照度の時間が年間約86%を占める。ブラックソーラーは低照度に強く、日照量100W/平方mでも95Wを発電(1kWシステム、温度25℃の場合)。これは一般的な太陽電池に比べると約2.7%高い」

日本での実際の日射量は、600W/平方m未満が年間約86%を占める
ブラックソーラーは低照度に強く、日照量100W/平方mでも95Wを発電する(1kWシステム、温度25℃の場合)

 ブラックソーラーでは独自の品質基準や、無償の20年間保証を設けるなど品質面にも力を入れる。

 「ゼロエネルギーハウスや電力自由化に向けて、蓄電池やHEMS、省エネ家電などと合わせてトータルソリューションを提案していく」

蓄電池やHEMSなどと組み合わせたトータルソリューションを提案していく
シャープ独自の高い品質基準を設ける

阿部 夏子