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日立マクセル、リチウムイオンを“見える化”して高信頼・長寿命・軽量の電池を開発

〜HEMS用に展開

 日立マクセルは、リチウムイオン電池の“見える化”技術を確立したことで、高信頼・長寿命・軽量のリチウムイオン電池を開発したと発表した。今後、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)などへの導入を進めていくとしている。

 新たに開発されたリチウムイオン電池は、従来よりも高エネルギー密度の材料を採用し、信頼性や寿命を向上させ、小型・軽量化した点が特徴。従来比で、単位体積当たり1.6倍の電力を蓄えることができ、寿命は10年以上に伸びた。具体的には、5,000回の充放電後でも、1Lあたりおよそ200Whのエネルギー密度を確保できるという。高エネルギー密度材料を採用したことでさらに、単位エネルギー密度あたりの重量は40%減となった。

10年後でも200Wh/Lの長寿命を実現したという

 この高エネルギー密度材料の採用を可能にしたのは、充放電中のリチウムイオンを“見える化”する技術を確立した点にあるという。

 負極側では、設備メーカーと共同でリチウムイオンの動きをとらえる研究を進め、電極内に流入するリチウムイオンと負極の反応を直接観察。充放電中にリチウムイオンと負極の反応が偏る瞬間を捉えることに成功。負極では、1カ所にリチウムイオンが集中すると、リチウムイオンの流れを停滞させる原因となるリチウム金属「デンドライト」が発生する危険度の増すことを突き止めた。

リアルタイムの断面観察を行い、充放電中のリチウムイオンと負極の反応が偏る瞬間をとらえた
直接観察できるようになったことで、リチウムイオンの流れを滞らせる原因となるデンドライトの発生する危険度を早期に予測する

 一方、正極側では、日立製作所と共同で、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物の反応を瞬時に停止させて状態を維持するサンプル作製技術を開発。また、兵庫県の播磨科学公園都市にある大型放射光施設「Spring-8」を活用し、X線吸収スペクトルのイメージング技術を使って、正極断面におけるリチウムイオンとリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物の反応をほぼリアルタイムで可視化し、反応分布を確認した。

 HEMSなどに用いられるリチウムイオン電池は、高い信頼性や10年以上の寿命が求められる。だが、繰り返し充放電するうちに、リチウムイオンの流れが停滞し、それが抵抗となって電池容量の低下を招く。日立マクセルでは、リチウムイオンの流れが停滞しないようにするため、電池全体の反応分布を均一化し、最先端の三次元モデルによるシミュレーションを駆使して改善点を絞り込んだという。

 これら3つの先端技術により、同社ではリチウムイオンの流れをスムーズにする電池構造を開発したとしている。

(小林 樹)